「ま、まだ出るっ」
俺の射精は止まらないかと思った。
どくどくと俺のモノが波打つ。
今まで溜め込んでいた物が全て出し尽くされたような感覚を味わった。
「はぁはぁ」
俺は荒くなった息を整えた。ちらりと精液まみれの少女の顔を見る。
「あれ?」
少女は狭いシャワー室の床に倒れていた。
「お、おい……やべぇ」
俺は慌てて少女を抱きかかえ、バスタオルでくるんでシャワー室を飛び出した。
「おい、テツオ、どうした?」
口のまわりにべっとりとピザの油をつけたヒゲ面フレッドがめずらしく慌てている俺を見て不思議そうな顔をしていた。
「い、息をしていないんだ。医者を呼べ……。いや救急車!」
俺は狭い部屋で必死に叫んでいた。
スキンヘッドのマギーが無言で近づいて来た。
トーンと手刀で少女の背中を叩く。
「お、おい何してんだよ……」
俺はマギーを睨んだ。
「げ、げほ、げぼぉ」
少女の口から白い液体が吐き出された。
「あ、そうか……。喉に引っかかてたのか……。よ、よかった……」
俺はほっとして少女を胸に抱えたまま床に膝を付いた。
「ずいぶんとその子がお気に入りなのねぇ」
マギーが呆れ顔で言いながら少女の顔をタオルで拭った。
こいつすげぇよ。何年かしたら最高のオモチャになるぜ。
「マギー。こいつ、もらっていっていいか?」
「別に構わないわ。元々そういう店だし。調教の手間も省けるし」
そう言ってマギーは上のフロアから白い下着と水色の服を持ってきた。
「これはサービス。まぁ、元々この子のだけどね」
「あぁ。そうだな。裸で連れて行く訳にもいかないしな」
マギーが少女に服を着せる。手馴れたもんだな。
俺は脱がすのは得意だが着せるのは苦手だ。ちょっと俺は感心して見ていた。
少女の腰のあたりに付いている白いリボンを結んでいたマギーに俺は話しかけた。
「なぁマギー」
「なによ」
「例えばあんたが牧場主だったとするだろ?」
「突然何言ってるのよ?」
「例えばだよ」
「それで?」
「食われる為だけに生まれて育てられる牛にさ、名前を付けたりする?」
「あたしの仕事の事言ってるワケ?」
「例えばって言ってるだろ」
マギーはリボンを結ぶ手を止めて面倒くさそうに考えていた。
「あたしなら名前は付けないわ。かわいそうで殺せなくなっちゃう」
俺はソファに座って煙草に火をつけた。
「俺さガキの頃、鶏を飼ってたんだ。名前はぴーちゃん。ひよこから俺が育てたんだけどさ」
「ぷっ」
フレッドが吹き出す。それを無視して俺は続ける。
「なんか大事な客が来たとかで絞められちまった。こんな感じで頭を持ってきゅりきゅりって首をねじるんだ。動かなくなるまで何回も何回も」
「何の話してるのかしら?」
「俺んちすげえ田舎でさ、今はそんなことないんだろうけど、昔はちょっとお店でお買い物って訳にもいかねえから、そんなことは普通のことだった」
「へぇ」
興味無さそうにマギーが相槌を打つ。
「大事なぴーちゃんが殺されるところを見た俺は興奮してちんぽをおっ立てていた」
「大人になったって人間なんてそう変わるもんじゃないもの。あなたを見てたら大体想像がつくわ」
マギーが肩をすくめた。
殺す家畜にも名前は必要ってことさ。
「さてと、こんなもんかしら」
マギーは少女の服の白いリボンを結び終え、ふとリボンの端に目をやる。
「なんか書いてあるわね。えっと、これ何て読むのかしら」
「んー。どれどれ」
フレッドが覗き込む。
「SELMA……セルマかな。名前だよ。北欧の方の女性の。割とよくあるよ。神に守られてるとかって意味だったかな。確か」
「へぇ。フレッド物知りね」
マギーが感心していた。
神に守られている?
「ぶはっ……ひゃははっはははははははは」
俺は笑いが止まらなかった。
神に? こいつが? どこぞの組織に拉致されて、くせえ豚小屋みてぇな所に閉じ込められて、変態の外人に買われていくこいつが? 守られているだって?
「いつまで笑ってんのよ。気持ち悪いわね」
「つまりさ、ひやはは……。こいつを豚小屋から救い出した俺が神ってことかな……ひゃはははははは」
「まったく……。で、その子を日本に連れて行くつもり?」マギーが俺に尋ねる。
「ああ。そのつもりだ」
「養子にするのか?」
フレッドがハンバーガーを食いながら言った。どんだけ食ってんだよお前。
「いや、友人から預かったことにしようと思う。養子なんかにしたら色々めんどくせえだろ」
「じゃ、後であんたの泊まっているホテルにこの子のパスポートと必要な書類一式送るわ」
「何だよ、ずいぶんサービスがいいな」
「このくらいやらないとこんな商売やってけないのよぅ」
「あぁ、でも助かるよ。その辺考えてなかったわ」
「全部偽造だけどね」
そう言ってマギーは俺にウインクした。キモチワルイ。
「おっと……。こんな時間か」
俺は社長室に掛けられた安っぽい時計を見た。
俺は家に電話を掛けた。
「あぁ、カオリか? 仕事が片付いたんで今日は帰れそうだよ……。うん、へぇ。それであの子とうまくやっていけそう? ……ははっ。そうか。うん、ケーキでも買って……。うんうん……。七時くらいには帰れると思うよ」
何だ? あのクソアマ……。やけに機嫌がいいな。
まぁいいか。精々セルマと仲良くやってくれよ。
へへっ。今日はセルマと一緒に風呂にでも入るかな……。
そして、クククっ。ゆっくりゆっくり広げてやるよ。前も後ろも。
早くぶち込めるようにな……。クククっ
主人から電話が来た。
帰るコールなんて初めてだったから、すごくびっくりした。
でも……嬉しかった。
私の声が弾んでたらしい。主人も驚いていた。
ふふっ……。ケーキ買ってくるんだって……。
やっぱり今まで私がいつも暗い顔していたから主人も帰って来たくなかったのかなぁ。
でも、これからはもっと明るく生きられそうなの……あなた。
セルマちゃんが来た途端に家の雰囲気が変わったのよ。不思議な子……。
この子とならうまくやって行けそうなの……。
その夜、主人はいつまで待っても帰ってこなかった。
二十一時を回った頃、警察から主人が交通事故にあったことを知らされた。
即死だった。