※この作品はR-18です。

ガンダムSEED Return:A   作:触手スライム

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11話

 アークエンジェルの格納庫では、モビルスーツの緊急発進の準備が進められていた。

 最初にリニアカタパルトに入ったのはエニルのジンだった。

 その腕に携えているのは【MMI-M8A3 76mm重突撃機銃】、腰には【MA-M3 重斬刀】のみ。

 

「CIC、エニス機、発進準備完了」

『了解した。……シールドは持って行かないのか?』

 人手不足なのか、管制に出てきたのはナタルだった。

 

「今回は機動戦だし、盾は邪魔になると思ってね」

『そうか。……ジン、準備開始』

 ナタルのその声と共に、格納庫が稼働する。

『ジン、発進位置へ』

 格納庫内に響くアナウンスとともに、メンテナンスベッドからジンが前進し始める。

『……カタパルト接続』

 出撃用リニアカタパルトにモビルスーツの足元が固定され、格納庫側の与圧扉が閉まる。

『……システムオールグリーン』

『エニス機、出撃』

 格納庫内のアナウンスが終わると、ナタルから出撃の声がかかる。

 カタパルト上に赤と緑のランプが点灯する。

 アークエンジェルの右舷ハッチが開き、コロニーの地表と空が姿を現す。

 カタパルトに備え付けられたパネルに「LAUNCH CONTROL SYSTEM」が表示された。

 機体名の下には、縦に並んだ三つの赤い「ABORT」の表示。

 その横にはそれぞれ「BRAKES」「THROTTLE」「CATAPULT」と表示されていた。

 やがて右側の項目がすべて「CLEAR」に変わり、左側の「ABORT」の表示が「LAUNCH」に切り替わる。

 

「エニス・エル、ジン、出る!」

 その声と共に、リニアカタパルトから紫色のジンがコロニーの空へと射出された。

 

<まずは大型武器を潰す!>

 エニルは敵モビルスーツの反応へと一直線に突っ込んでいく。

 オレンジ色のジン(ミゲル機)をあえて無視し、その後方に位置していた、拠点攻撃用の大型ミサイルをもつジン二機に狙いを定めた。

 

「あの紫のやつ、俺を無視しただと!? なめやがって!!」

 ミゲルは専用ジンを翻し、味方のジンに取り付こうとしている紫色の機体に向けて猛追する。

 

 エニルのジンは、重突撃機銃で正確に相手の武装だけを狙い撃っていた。

 狙われたジンの左腕にあった拠点攻撃用の大型ミサイルが直撃を受け、強烈な光を放って誘爆する。

 

「させるかぁーっ!」

 ミゲルがエニルのジンに追いすがり、特火重粒子砲を放つ。

 エニルは急降下により紙一重でその場を離脱。

 すぐさま急上昇で再び別のジンに狙いを定め、残る大型ミサイルを破壊しようと機動する。

 

『ミゲル、支援する!』

「相手の頭を押さえろ!」

 イザークの言葉に、ミゲルは即答した。

 

<こいつら、あたしを自由にさせない気ね!

 ……それにあのビーム砲の威力。周辺への被害が酷い>

 エニルは重突撃機銃でイザークのデュエルを牽制するが、フェイズシフト装甲には弾かれる。

 機動性を生かした一撃離脱を繰り返すも、イザークとミゲルの連携の前に決定打を与えられない。

 エニルはイザークの火力に頭を押さえられ、ミゲルの高火力砲の回避に専念せざるを得なくなっていた。

 

 そして、ミゲルのジンが放つ特火重粒子砲のビームが、コロニーのシャフトに繋がるケーブルを焼き切る。

 束ねられた高分子ワイヤーが千切れ飛び、コロニーの大地に叩きつけられる。

 

 その裏で、アークエンジェルから出撃したキラのストライクはソードストライカーを装備し、【15.78m 対艦刀】で残る大型ミサイルを持つジンを狙っていた。

 だが、アスランのイージスと、レコアのジンに挟み込まれ、鹵獲されないよう逃げ回るだけで手いっぱいだった。

 

 イージスはストライクに致命傷を与えないよう、精密なビームライフルで進路を塞ぐ。

 ストライクが避けると、今度はビームブーメランで牽制してくる。

 イージスを回避すると、間髪入れずにレコアのジンが立ち塞がり、ストライクの自由を完全に奪っていた。

 

「くっ……どうしたら……!」

 キラは焦燥感に駆られながら呻く。

 

『――キラ!』

 すれ違いざま、スピーカーからアスランの声が飛び込んでくる。

 

『やめろ! 俺たちは敵じゃない! そうだろう!?』

 キラはハッとする。そうだ、この戦争は自分には何の関係もない。

 それ以前に、アスランは大切な友達だ。

 

<同じコーディネイターのお前が、なぜ俺たちと戦わなくちゃならないんだ!?>

 アスランの一言一言が耳に突き刺さる。キラ自身の迷いが、また頭をもたげる。

 

「ボクは地球軍じゃない!」

 思わずキラは言い返した。

「でも……あの艦には仲間が……友達が乗っているんだ……!」

 その時になって、キラは別のジンがアークエンジェルへ攻撃を仕掛けていることに気が付いた。

 さらに、エニル機もザフトのモビルスーツ二機と激しく交戦し、劣勢を強いられている。

 

『やめろっ!』

「アスラン……っ」

 焦りを感じつつも、親友に攻撃を仕掛けることもできない。

 キラはやり場のない怒りと悲しみを、眼前の親友へとぶつけた。

 

「アスランこそ……なんでザフトなんか!

 戦争なんて嫌だって、君も言ってたじゃないかっ!」

 

 その直後だった。

 アークエンジェルを襲っていたジンに対して、艦から放たれた対空ミサイル【コリントス】が命中する。

 しかし、誘爆したジンが抱えていた大型ミサイルと脚部の小型ミサイルが制御を失い、コロニーのメインシャフトに向かって飛んでいき――大爆発を起こした。

 

 残るもう一機のジンは、手持ちの大型ミサイルをアークエンジェルへ向かって放つ。

 だが、艦のイーゲルシュテルンによる迎撃でミサイルの進路が変わり、あろうことかシャフトを支える巨大な構造物へと吸い込まれていく。

 やがて、コロニーの根幹をへし折る致命的な大爆発が連鎖した。

 

 エニルから一度距離をとったミゲルは、イザークのデュエルと合流した。

「くそっ、特火重粒子砲のエネルギー切れだ。

 イザーク、そっちはどうだ?」

『こちらもあまりないな。……まだこの機体のことはわからないことが多い』

 苛立つミゲルに、イザークは冷静に返す。

 

「……ちっ、アスランもあの機体を落とせていないようだし、ここが潮時か」

 ミゲルは忌々しげにそう言うと、撤退の信号弾を上げた。

 信号弾を見たエニルは、すぐさま反転しキラのもとへと急ぐ。

 

「アスラン……ボクは、友達のところに行くよ」

『キラ!』

『キラ! 無理しないで。それに、私のことも忘れないでね』

 アスランの叫びに被さるように、レコアからの通信が入る。

「うん。レコアも……元気で」

 

 キラがエニルと合流しようとしたとき、コロニー内に軋むような音が鳴り響く。

 シャフトとの結合をしていたケーブルが切れ、メインシャフトが中央部でねじ切れた。

 

 コロニーの大地がブロック状に割れ、その向こうに暗い闇が見えると、何もかもを吸い込んでいく。

 

 

 

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