※この作品はR-18です。

ガンダムSEED Return:A   作:触手スライム

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18話

――C.E. 71年 2月2日。ユニウスセブン近郊、デブリベルト宙域。

 

 アイビー級惑星間軽巡洋艦は最初こそ問題が発生したが、予定通りに民間船【シルバーウインド】を護衛する形で、ユニウスセブンが眠る場所へとデブリベルトを航行していた。

 

 いつの間にかクルーの端末席にメイリン・ホークが座り、楽し気に操作していることや、アグネスがルナマリアとジンのシミュレーターで対戦をしていること。

 艦の設備のあちこちで不意に姿を現すラクスを除けば、平和だった。

 

<どうしよう。機密が、責任が、未成年。ああ、どうしよう>

 最初こそレムも抗った。しかしラクスを前にすると如何にも抗い切れずに、現在にいたってしまった。

 

 そのうえ、シャワーの時に鉢合わせし、自分の身体を知られた後から何かあると、アグネス、ルナマリア、メイリンがとても興味深く触ってくるのだ。

 

<女の子なのだから自重しなさいな。男のアレに興味がある年頃でもさぁ>

 レムは航路図が置かれた自分の隊長席ではなく、艦長(黒服)のナトーラ・エイナスが座る席にもたれかかり、彼女の胸を揉んでいた。

 ナトーラはレムの手をどけようとしながら顔を赤くしてキョロキョロするが、それがレムを刺激していた。

<ナトーラのこの恥ずかしくて、悩ましくて、でも小動物みたいな挙動。癒されるわぁ>

 周囲が一切視線を向けない中、レムの指がナトーラの制服に入ろうとしていた。

 

 その時、アイビーの艦橋に、けたたましい警報音が鳴り響いた。

「熱源反応、複数! デブリの陰から接近してきます!

 熱紋、識別信号……地球連合軍のモビルアーマー【メビウス】です!」

 緑服の索敵オペレーターを兼任しているトニヤの報告に、戦隊長のレム・エルは胃を押さえて呻いた。

 ナトーラはどうしていいかわからないのか、泡を食った状態になる。

 

<なんでこんな宙域に連合の部隊がいるのよ!?>

 内心でレムは罵倒すると、指揮を執るため姿勢をただす。

 

「ナトーラ・エイナス。しっかりしなさい! 全艦、戦闘配置!

 モビルスーツ隊は直ちに出撃! ニャアンはシルバーウインドの直掩につきなさい!」

「うぇぇ、でも、どうしたら……」

 ナトーラは狼狽えるだけで指示が出せずにいた。

「は、はいぃっ! ニャアン、出ますぅっ!」

 通信越しにポンコツ気味な悲鳴を上げながら、ニャアン――ニャアン・コストのジンがシルバーウインドの盾となるべく飛び出していく。

 それに続くように、ポゥ――ポゥ・エイジ、ユズリハ――ユズリハ・アマテのジンが飛び出す。

 

<最悪、わたしも自分のジンで出る。……初めての専用機、ちょっと乗りたいな>

 

「トニヤ! オープン回線で連合へ通信!

 こちらはユニウスセブンの追悼慰霊団であり、戦闘の意思はないと伝えなさい!」

「了解ー。……あー、ダメですね隊長さぁん。

 完全に無視されてます。向こう、攻撃態勢に入ってますよ」

「話の通じない相手か……っ! ニュートロンジャマー戦闘濃度散布!

 迎撃ミサイル【ディスパール】装填! 自動発射に設定!

 艦主砲、艦底部砲塔起動! CIWS近接対空迎撃! 各機、迎撃開始!」

 レムの命令とともに、アイビー級の主砲【20cm連装砲塔】二基が起動し、接近するメビウス部隊に砲撃を開始する。

 艦底部からも副砲【937mm二連装高エネルギー収束火線砲】の火線が飛ぶ。

 艦橋周辺と推進器部に設置された計八基の【30mmCIWS】が防空体制をとる。

 やがて、メビウスの砲撃がアイビーの艦体を掠めた。

 

「ポゥとユズリハに、メビウスの足を止めるように伝えて。これ以上の接近は危険過ぎるわ」

 レムの命令を、なぜかメイリンが受け、モビルスーツ隊に的確に伝達する。

 

<……あれ? この子、まだアカデミーにも入ってない年じゃない?>

 レムがそう疑問を感じたところで、宇宙空間に爆炎の華が咲いた。

 

 トニヤから鋭い報告が飛ぶ。

「追加でメビウス一機と大型熱源、来ます!

 照合、連合のドレイク級護衛艦一隻です! 敵艦、進路をこちらに向けています!」

 

「くっ……! アンナ、マリア! アイビーを盾にするようにシルバーウインドの前に出しなさい!」

 レムが叫ぶと同時に、双子の操舵士は嬉々として操縦桿を引いた。

「「はいなーっ!」」

 アイビー級の巨体が、シルバーウインドに近づくドレイク級の射線に割り込む。

 

「本艦の装甲はローラシア級と同等よ、多少の被弾は耐えられる!

 艦中央、20cm連装砲塔! てーっ!」

 宇宙空間には似つかわしくない、火薬式砲塔の激しい発射炎がアイビー級を包み込む。

 ドレイク級からは対艦ミサイルが発射されたが、アイビーから放たれた迎撃ミサイルにより相殺されるか、CIWSの餌食となった。

 周囲のデブリが障害となり互いに命中弾を得られずにいたが、やがてアイビーの主砲がドレイク級の装甲を容赦なく削り、さらに副砲の二連装高エネルギー収束火線砲が機関部に直撃。ドレイク級は爆炎を上げて四散した。

 ドレイク級が沈むのとほぼ同時に、残っていた連合のモビルアーマー・メビウスもモビルスーツ隊によって撃墜された。

 

「ふぅ……なんとか退けたわね」

 レムが安堵の息を吐き、艦長席のナトーラもへなへなと椅子からずり落ち、レムの足にしがみつく、その時だった。

 

『きゃあああああっ!?』

 突如、通信回線からシルバーウインドの乗員の悲鳴が響き渡った。

「な、なに!? 今度は何!?」

「隊長! シルバーウインドが、戦闘の余波で流れてきた巨大なデブリに衝突しました! 外装が大きく破損し、航行不能です!」

 

「…………は?」

 レムの表情が、絶望に凍りつく。

 モニターには、巨大な瓦礫に乗り上げ、推進器から黒煙ならぬ冷却ガスを吹き出している民間船シルバーウインドの姿が映し出されていた。

 

「だ、大破は免れましたが、このままでは二次被害の危険があります!」

「……っ! アイビー級を横付けしなさい! 内火艇(ランチ)とモビルスーツを動員してシルバーウインドの人員をすべて本艦へ移乗させるのよ!

 必要ならサマラ級往還シャトルも使っていい」

 

 レムはキリキリと痛む胃をさすりながら、必死に救難活動の指示を飛ばした。

 

「あなたも、これくらいの仕事はしなさい」

 レムは自分に縋りついているナトーラの胸倉を掴み上げ、立たせると蹴り飛ばす勢いで現場指揮に向かわせた。

 

 

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