※この作品はR-18です。

ガンダムSEED Return:A   作:触手スライム

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32話

 C.E. 71年 2月5日 午後

 ――アークエンジェル(艦橋)

 

「艦長、予定時間になりました」

 ナタルの言葉を受けて、マリューが頷く。

 

「これより、モビルスーツの発艦訓練および、デブリ宙域の飛行訓練を開始します。

 フラガ大尉、指揮を任せます」

「はっ。これより、訓練を開始します」

 マリューが宣言をすると、ムウが答える。

 

 アークエンジェルでモビルスーツ、モビルアーマーの管制席には、万一に備えてという建前でミリアリアが座り、電子戦のサブコントロール席にメイリンが座っていた。

 艦橋で、マリューからその席に座るようにと言われてから、彼女の手は動き続けていた。

 その様子をダリダとサイは食い入るように見ている。

 

「艦長、タキリに訓練開始を連絡しました」

 フレイが通信席から報告をあげる。

 

「メイリン、出撃準備を開始する。

 その席からでもできるんだろう?

 何かあってもいいように、ミリアリアも見ていてくれ」

 ムウが言って、メイリンとミリアリアに指示する。

 

「了解しました。

 ……エニス機、アグネス機、ルナマリア機、発艦準備を始めてください。

 エニス機はカタパルトに進入してください」

 メイリンはその手を止めることなく、流れるようにアナウンスを始め、アークエンジェルのカタパルト、発艦シーケンスをこなしていく。

 

<まあ、アークエンジェルの電子戦能力は当時と劣るとはいえ、メイリンが使いこなせないわけないし、管制もできて当たり前なのよね。

 それより、なにをさっきから弄っているのかしら、ウイルス?

 あるいはハッキングかしらね。あとで聞かないと……>

 マリューの内心をよそに、エニル機がカタパルトから飛び出していく。

 

「ふと思ったんですけど、現状運用しているのは、モビルスーツ四機にモビルアーマー一機ですから、両舷のカタパルト使わないと展開が遅くなりませんか?」

 メイリンがそんなことを漏らした。

 

「あー、そういえば、ヘリオポリスの時はモビルスーツ二機だったし、考えた方がいいかもな」

 ムウはメイリンの言葉を受けて真面目に考えると、マリューとナタルに視線を向ける。

 

「そうね、ここを離れたら両舷のカタパルトを使った発着艦訓練をしましょう」

 ナタルと視線を交差させて頷くと、マリューはそう宣言した。

 

 ――アグネス視点

 

「CIC、アグネス機、発進準備完了」

 モニター越しに、メイリンが笑みを返す。

『アグネスさん、先にエニスさんが出ていますので、そこまであがってくださいね』

「ええ、編隊を組んで周回するだけだもの問題ないわよ」

『そうですね。……ジン、アグネス機、発艦準備開始』

 

 メイリンのその声と共に、格納庫が稼働する。

『アグネス機、発進位置へ』

 格納庫内に響くアナウンスとともに、メンテナンスベッドからジンが前進し始める。

『……カタパルト接続』

 出撃用リニアカタパルトにモビルスーツの足元が固定され、格納庫側の与圧扉が閉まる。

『……システムオールグリーン』

『アグネス機、出撃』

 格納庫内のアナウンスが終わると、メイリンから出撃の声がかかる。

 カタパルト上に赤と緑のランプが点灯する。

 アークエンジェルの右舷ハッチが開き、漆黒の宇宙が姿を現す。

 カタパルトに備え付けられたパネルに「LAUNCH CONTROL SYSTEM」が表示された。

 機体名の下には、縦に並んだ三つの赤い「ABORT」の表示。

 その横にはそれぞれ「BRAKES」「THROTTLE」「CATAPULT」と表示されていた。

 やがて右側の項目がすべて「CLEAR」に変わり、左側の「ABORT」の表示が「LAUNCH」に切り替わる。

 

「アグネス・ギーベンラート、ジン、出るわよ!」

 

 その声と共に、リニアカタパルトから青色のジンがタキリの壁面が見える漆黒の宇宙へと射出された。

 

 タキリに着底しているアークエンジェルから飛び出したアグネスは機首をあげて、タキリとの衝突を回避する。

 タキリの内側は湾曲しているので、直進すると衝突するためだ。

 

 綺麗な上昇を決めたアグネスの機体は、エニルと合流を果たす。

 

『上出来よ。本当にベテランでもこれだけ綺麗にはなかなか飛べないわ。

 実機の訓練、本当に初めてなの?』

 エニルの称賛がアグネスに送られる。

 

<当然でしょ、何度も飛んでいるんだから!

 ちょっと身体の負荷が大きいけど、問題ないわ。これから鍛えるもの>

「ええ、ありがとうございます」

 アグネスは内心をひた隠し、猫をかぶって答えた。

 

――ルナマリア視点

 

「CIC、ルナマリア機、発進準備完了」

 モニター越しに、メイリンが心配そうな視線を見せる。

『お姉ちゃん、緊張しすぎないでね。やればできるんだし』

「あんまり言わないでよ、いっぱいいっぱいなんだから」

『まっすぐ飛ばないでね。ぶつかるから。……ジン、ルナマリア機、発艦準備開始』

 

 メイリンのその声と共に、格納庫が稼働する。

『ルナマリア機、発進位置へ』

 格納庫内に響くアナウンスとともに、メンテナンスベッドからジンが前進し始める。

『……カタパルト接続』

 出撃用リニアカタパルトにモビルスーツの足元が固定され、格納庫側の与圧扉が閉まる。

『……システムオールグリーン』

『ルナマリア機、出撃』

 格納庫内のアナウンスが終わると、メイリンから出撃の声がかかる。

 カタパルト上に赤と緑のランプが点灯する。

 アークエンジェルの右舷ハッチが開き、漆黒の宇宙が姿を現す。

 カタパルトに備え付けられたパネルに「LAUNCH CONTROL SYSTEM」が表示された。

 機体名の下には、縦に並んだ三つの赤い「ABORT」の表示。

 その横にはそれぞれ「BRAKES」「THROTTLE」「CATAPULT」と表示されていた。

 やがて右側の項目がすべて「CLEAR」に変わり、左側の「ABORT」の表示が「LAUNCH」に切り替わる。

 

「ルナマリア・ホーク、ジン、出ます!」

 

 その声と共に、リニアカタパルトから赤色のジンがタキリの壁面が見える漆黒の宇宙へと射出された。

 

 飛び出した途端に白い壁が見え、ルナマリアは機首を勢いよく上げていた。

 急角度となったそれは、衝突は避けたがエニルのいる位置ともずれていった。

 

『ルナマリア! 生きている!?』

「な、なんとか」

 心配の声がエニルからかけられ、負荷と緊張からルナマリアは一言返すのがやっとだった。

 

『まあ、最初ならこんな物でしょう。

 これからも離発着訓練をちゃんとしないとね』

 エニルはそう言いながら、ルナマリアのもとに機体を寄せて外観を確認していた。

 

 ――アークエンジェル(艦橋)

 

「あのアグネスって子はすごいな。

 あの年であんなに綺麗な軌道ができるとは」

 ムウは素直にアグネスを称賛していた。

 

「ルナマリアはどう判断します?」

「まあ、腕のいい新兵だな。

 反応もいいし、モビルスーツの操縦もしている。鍛えがいがあるぜ。

 ……ひょっとしたら腕前はキラと同じくらいなんじゃないか?」

 ナタルの問いかけに、ムウがルナマリアをそう評した。

 

「エニス機から、これよりデブリ帯を周回すると報告がきました」

 メイリンが通信を受け取ると、それをムウに報告した。

 

「了解した。

 さて、後は周回を待っての着艦とシミュレーターか、それは格納庫で確認したほうがいいな。

 艦長。ちょっと、格納庫の様子を見て来たいんだが?」

「わかりました。

 訓練は、バジルール少尉が引き続き指揮してください」

 ムウの問いかけに、マリューはそう言って訓練をムウからナタルに引き継がせる。

 

 ムウが艦橋をでたところで、マリューはそれとなくナタルを伴いメイリンの席に向かう。

 

「(メイリン、あなた何をしているの?)」

 周囲に声が伝わりにくいよう、声を押さえてマリューがメイリンの端末を覗きながら尋ねた。

「(ちょっと、暇だったんで、タキリのデータ抜きながら、タキリの長距離通信使って最新の情報を集めてました)」

 

 メイリンの言葉に、マリューは胃が絞られる感覚を覚えた。

 ナタルは口を開けてメイリンを見ている。

 

「(それよりこれみてくださいよ。

 大西洋連邦の人事関連資料なんですけど、ナタル・バジルール少尉を月本部に移動させるよう働きかけているんです。それもビッグなアズラエル理事なんですよ。

 事情を知りたくて調べているんですけど、ここからだとなかなか難しくて)」

 近所のスーパーの品物について語るように、さらりとメイリンが漏らした言葉は、ナタルとマリューの顔から血の気を引かせた。

 

「(この時期に、あなたの引き抜きはおかしい。ひょっとして……)」

「(ええ、おそらくあの男は私たちと同じ、私を探すのは、あの時の恨みか。

 あとは、アークエンジェルも、相当恨みを買っていますね。

 あの男の性格からただでは、すまさないでしょう)」

 マリューの言葉にナタルが同意する。

 

「(そう言えば、なんでかフレイさんを月本部にって話もでているんですけど、なにかあるんですか?)」

「(……推察はできるがここでは言えない。

 艦長、この席は彼女専用にして情報を引き出してもらいましょう)」

 メイリンの言葉に、ナタルはマリューに提案する。

 

「(そうね。彼女がいれば電子戦で敵艦を行動不能にできそうだし)」

「(ああ、ウイルスならもうすぐできますよ)」

 マリューの言葉に付け足されたそれは、マリューとナタルを硬直させた。

 

 

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