※この作品はR-18です。

ガンダムSEED Return:A   作:触手スライム

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34話

 ――アイビー(艦橋)。

 

 アークエンジェルにラクスが遊びに行っているなか、艦橋ではレムが膝の上に横抱きに乗せたナトーラを弄っていた。

 レムの機嫌はとても悪かった。

 

「あのねぇナトーラ。シルバーウィンドの修理が終わったあと、報告が来ないままだったのはなんでなの?」

「いや、だってだれも教えてくれないし」

レムはナトーラの答えを聞くと胸に伸ばしていた手を太ももに乗せ、股間へと近付ける。

「あやや」

 それを止めようとするナトーラを見てレムの機嫌が良くなっていく。

 

「エル隊長って、気弱なくせにSですよねぇ」

「気に入られたナトーラには気の毒だけどねぇ」

 アンナとマリアが、艦長席をみながらそんな話をする。

 

「そういえば、隊長って十八歳だったよね。艦長二十五歳だけど守備範囲なんだ」

「やっぱり愛称なんじゃない? 性格とか」

 思い出したように年齢を口にしたマリアの言葉にアンナが続けた。

 

「あー、エル隊長。

 変な通信拾ったんだけど聞く? たぶん連合の、暗号解けちゃった」

 

「は? ……もういいです、一応聞かせてください」

 

『――ちら……第八艦隊先遣……【モントゴメリ】。【アー…………ェル】、応答……』

 

「どうしてこんなものが拾えたんですか」

 レムはナトーラへの責めを中断し、胃薬を懐から取り出して飲んだ。

 ナトーラは脱出を図ったが、横抱きにしている手が胸を強く掴んで離してくれなかった。

 

「いや、メイリンちゃんが残してくれたタキリのバックドアで遊んでて」

 トニヤがそんな理由を笑いながら言う。

 

「ああ、もういい。相手との距離は?」

「だいぶ遠いみたいで艦の探索能力では影も見えないわね」

 レムの問いかけにトニヤがそう報告する。

 

<アークエンジェルは連合の新造艦。ザフト内でも探している【足つき】なのだから、連合が合流しようとするのは当然。

 なら、わたしたちがこの先遣隊に見つかると、拿捕される可能性だってある。

 早くここを離れないと>

 

「ナトーラ、降りていいわよ」

 そう言ってレムがナトーラを解放すると、レムが艦長席から立ち上がった。

 

「私はこれから民間人のレム・エムとして、ラクス・クラインを迎えにいきます。

 タキリとアークエンジェルに連絡して。

 各員はいつでも艦を出せるように準備しなさい。

 ナトーラ・エイナス。ちゃんと準備しておいてね♪」

 

 ――アークエンジェル(将校サロン)

 

「ラミアス艦長。急なことで申し訳ありません」

 レムは私服の紫のパンツスーツ姿で訪れており、顔を青白くさせながらマリューに頭を下げる。

 レムは表向きオーブの民間人で、ラクスお嬢様を連れ戻しに来たという体裁で来ていた。

 

「いえ、こちらも急ぎ対応をしていたところで、実は丁度よかったのです」

 マリューがそういった所で、キラとラクス、フレイが入室してくる。

 

「ラクス様、随分と長い見送りでしたが、もう十分されましたか?」

「いえ、できればもう少し居たいのですが、無理そうですわね……」

 レムの言葉に延長を告げようとしたラクスだったが、すぐに限界だと悟った。

 

「仕方ありませんわね」

 

<この時点でできることはすべてやりました。

 少々破廉恥でしたが、フレイさんに負けていないはず。

 わたしが、フレイさん以上にキラの印象に残れたはずです。

 次に会えるのは、前と同じならプラントでしょうか……FREEDOMとエターナルの準備ですわね。

 どちらかに失敗してもアイビーがあれば地上に降りれますし。

 最後の思い出を作りますか……>

 ラクスは内心で色々考えつつ、お別れをいうような自然体でキラの前に立つ。

 そのまま顔を掴むとキスをして舌をねじ込む。

 

 そして顔を離すと虹の橋ができていた。

 

「キラ、私を忘れないでくださいね」

 キラに透明な笑顔でそう言った後、フレイへ顔を向ける。

 

「フレイさん、負けませんわよ」

 ラクスは挑発的な宣言をフレイに放った。

 

「あ、あんたねー。私だって同じなんだから」

 フレイはキラに抱きつきながら、負けじと言い放つ。

 

 この様子にマリューは頭を抱え、胃を押さえながらため息を吐く。

 レムは蹲り、口を押さえて何かに耐えていた。

 

<まずい、まずい、まずい、連合の士官と歌姫のラブロマンス!?

 ばれたら殺される。社会的に殺される>

 

「そ、そういえば、あの三人は良いのですか?」

 レムはこの空気を変えようと、この場にいない三人の事をラクスに尋ねた。

 

「あの三人? ……ああ、大丈夫ですわ、この後軽く挨拶をするので」

「いま、モビルスーツで物資の最終搬入をお願いしていまして、内火艇(ランチ)の見送りの時にはちゃんと会えますから」

 ラクスの言葉を補足するようにマリューが続けた。

 

「そうですか、それではラクス様帰りましょう。……ラクス様?」

「やはり、もう少しだけ」

 レムの言葉に、ラクスが延長を匂わせる。

 

<また、この女は、私の胃に穴をあける気か>

 

「はぁ……くっ、シルバーウィンドの応急修理もおわりましたから、仕事もしませんと。 それに、連合の艦にも迷惑になりますし」

 胃を押さえながらそう言うと、ラクスは仕方ないと帰ることを認めた。

 

* * *

 

――アークエンジェル(艦橋)

 

『先ほど、そちらの副長からも挨拶を受けたが、どうか良い旅を』

 ラクスが帰ってしばらくした後、艦橋では、マリューが通信回線越しにオキタとの話を終えようとしていた。

 

「ありがとうございます。

 補給など色々お世話になりました」

『なに、大したことはしていない。

 ……くれぐれも無理はしないでくれ、大事な荷物もあるのだからな』

「はっ、それでは失礼します」

 そうして、タキリとの通信が切られた。

 

「艦の舫を解け、出航する」

 マリューの命令と共に、タキリからアークエンジェルが離れていく。

 

「我々は、先遣艦隊との合流を目指し、予想航路に進路を取ります。

 アークエンジェル発進!」

 十分にタキリと離れた後、マリューの号令でアークエンジェルが発進する。

 

* * *

 

 ――ヴェサリウス(艦橋)

 

 その頃、ザフト軍のクルーゼ隊旗艦ヴェサリウスの艦橋でも、第八艦隊先遣隊の通信が傍受されていた。

 

「隊長。拾った通信の解析が終わりました。間違いない、第八艦隊の先遣隊です」

 アデス艦長の報告に、ラウ・ル・クルーゼは仮面の下で冷たい笑みを浮かべる。

 

「ふっ……。これで餌は撒かれたというわけだ」

「餌、ですか? では、あの連合の新造艦【足つき】は、この先遣隊を救出に来るでしょうか」

「来るさ。彼らにとって、喉から手が出るほど欲しい友軍の影だ。

 見過ごすことはできまい」

 クルーゼの断言に、アデスは無言で頷き、艦に戦闘態勢を命じた。

 

 一方、パイロットの待機室では、出撃を控えた赤服たちが各々の思いを抱えていた。

 

「おい、見たかよ。最近、イザークの野郎とレコアの奴、やけに距離が近くないか?」

 ディアッカがニヤニヤしながら、ニコルとミゲルに囁く。

「そうですね……よく二人で密談しているのを見かけます」

「ま、戦場じゃ頼りになる二人だ。仲が良いのはいいことだろ」

 ニコルが首を傾げ、ミゲルが軽く返す。

 

 その視線の先、少し離れた通路の陰で、イザークとレコアが声を潜めて言葉を交わしていた。

 

「……通信の通りなら、前と同じようにキラはラクスを連れてあの艦(アークエンジェル)から出てくるはずだ」

 イザークの言葉に、レコアが重々しく頷く。

「ああ。だが、クルーゼ隊長の目的は先遣隊の殲滅とアークエンジェルの撃沈だ。

 前回のように、ラクス様を盾にした交渉の時間は与えられないかもしれない」

「なら、混戦の中で少しでもアークエンジェルに接触し、キラと話をする隙を作るしかない。……やるぞ、レコア」

「了解だ」

 

 二人は、戦場という盤面の上で、自分たちにできる最善の動きを静かにすり合わせていた。

 

 

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