※この作品はR-18です。

ガンダムSEED Return:A   作:触手スライム

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6話

 C.E. 71年 1月25日 午後3時30分。

 【ヘリオポリス】のアスハ邸は、攻撃の余波を受け屋敷が半壊していた。

 破壊されたゲートの前でエニルが乗りつけたエレカを放棄すると、カガリを連れて屋敷に向かう。

 

「おい! どこに行くんだ!?」

 カガリはエニルの後ろを走りながらエニルに問いかける。

「緊急脱出用のシャトルが地下格納庫にあるから、とにかく急いで!」

 エニルは屋敷の手前にあるガレージに入りながら答える。

 ガレージに入ると、奥にある小部屋の棚をスライドさせ、パネルが付いた隠し扉が現れる。

 

「……ああ、まさかここにも地下室があるのか」

 カガリは呆れながらそう言った。

 エニルが操作していた扉が開くと、地下に通じるエレベーターがあった。

 

「ここにも? ……まあ、追及はあとにして早く乗って」

 エレベーターの状態を確認していたエニルが促すと、カガリと乗り込む。

 

「カガリ、格納庫についたらシャトルに乗り込んでノーマルスーツを着て頂戴。

 あたしは色々やることがあるから」

 コロニーの外殻近くまで降りていくエレベーターの中で、エニルがそう言う。

 

「ここの地下格納庫にはどんなものがあるんだ?」

「――まあ、暴れられるよりはいいか……。

 モルゲンレーテを使ってモビルスーツの研究開発を進めているのはサハク家だけど、アスハ家だって何もしていないわけじゃないの。

 あたしみたいな宇宙軍の中にいる少数のアスハ家の派閥も、ザフトの【ジン】なんかのモビルスーツ研究を手伝う拠点にしていたのよ」

 

 ため息交じりにエニルが話をしていると、途中でエレベーターが目的地に到着し、通路を抜けるとひらけた場所にでる。

 そこには、大型の貨物シャトル二艇とジンが三機、ジンの装備品と思われるものや、そこから奥に続く大きな扉も見えた。

 

「おい、パイロットはいるのか!?」

 カガリがエニルに詰め寄る。

「大丈夫。あたしがパイロットだから、とにかくカガリはシャトルでノーマルスーツを着て待機していて」

 そういうと、エニルは入ってきた通路に戻っていく。

 

「なんだってこんなことに……アークエンジェルに合流しないと」

 カガリはそう呟きながら、ジンを横目にシャトルへと向かう。

 

 シャトルにカガリが入ると、整備は常にされているのか綺麗に整頓もされていた。

 水や食料、燃料も十分にあり、このまま宇宙に出ても月まで行けるようになっていた。

 

 誰もいないシャトルの中で、ノーマルスーツとは別にパイロットスーツを見つけたカガリはそちらを選択する。

<動きにくいノーマルスーツなんか着られるか!>

 人目を気にせずに下着姿になると、カガリはオーブ軍用パイロットスーツに袖を通す。

 ジッパーの位置、生命維持ケーブルのジョイント、気密ロックの手順。

 ただの15歳の学生が知るはずもないそれらの手順を、カガリの身体は幾度も着ているかのように淀みなくこなしていく。

「ん、ちょっと旧式だな。……まあ、しょうがないか」

 カガリは衣服を適当なランドリーボックスに放り込むと、シャトルのコクピットに向かう。

<アークエンジェルと連絡が取れれば……。頼む届いてくれ>

 シャトルのメインスイッチを入れて、通信機を起動させる。

 するとジャミングのせいか聞き取りずらいが、つい先程まで一緒だったキラの声が聞こえた。

『ザー……ピィピピザー……こちらX105ストライク、地球軍、応答願います』

「キラ!」

 見知った相手の声を聞けた事に、カガリは喜んだ。

 

* * *

 

 カガリと別れたエニルは屋敷に戻り、手際よく物色していた。

 厨房や備蓄庫を回り、酒瓶やハム、ソーセージ、チーズといった日持ちする食糧やサバイバルに必要なカロリー源を袋に詰められるだけ詰め込むと、次にカガリの部屋へと向かう。

 大きいボストンバッグにドレスや普段着が数着押し込められ、靴、アクセサリーが素早く詰め込まれる。

<あー、化粧品全部は無理だ、最低限だけになるなぁ>

 エニルはカガリのクローゼットを漁りながら、ふと引き出しの奥へ手を伸ばす。

<……んふふ、カガリの下着。お気に入り以外のも、スケスケなのとかエグイのいれとこ♪>

 最愛の姫の匂いが残る布地にそっと頬をすり寄せると、エニルは恍惚とした笑みを浮かべ、それらを嬉々としてバッグの底へ忍ばせた。

 無事だったカガリの部屋にあったものをボストンバッグに詰め終えると、自分の僅かな荷物も担ぎ、エニルは屋敷を後にする。

 

 エニルがシャトルに戻ると、カガリが待ち構えていた。

 

「お前なにやってきたんだ!」

 開口一番、カガリは咆哮をあげる。

「ほら、カガリの着替えとかだよ。着の身着のままじゃつらいでしょ?」

 エニルは惚けた様にカガリにいうと、ボストンバッグを投げつける。

「あとは食料とかあたしの私物、まあ置きっぱなしのだから大したものじゃないけどね」

 そういいながら食料品の入ったバッグと別にしている重たげなものを収納していく。

「わかったよ。

 それはそれでいいが、このシャトルはコロニー内に出られないのか?」

 カガリは荷物を整理しているエニルにそう尋ねてきた。

 

「なによいきなり? 出られないこともないけど、外にはザフトのモビルスーツが見張っているかもしれないのよ?」

「まだ避難できていない民間人が残っているんだ!

 さっき通信回線が繋がって、避難できてないって!!」

 エニルの困惑した問いかけに、カガリは必死に思いを伝えようとする。

<マリューとの話はできない、でもキラと合流してアークエンジェルに乗らないと!>

 カガリは目の前のエニルにすべてを話せないが、どうにかして状況を動かそうと必死になる。

 

<必死になっている姫様かわいいなぁ。

 まあ、コロニーの外にもザフトはいるだろうし、仕方ないか>

「……相手の人数と場所はわかっているの?」

 エニルは内心をひた隠し、しぶしぶという形で話を進める。

 

「人数は8人、モルゲンレーテ近くの公園にいるらしい」

 カガリは喜色を浮かべて説明を始める。

「じゃあ、あたしはこれからパイロットスーツに着替えるけど、シャトルの格納庫のハッチ開けておいてね。

 モビルスーツと予備の装備の積み込みと準備ができたらコロニー内に行きましょう」

「わかった!」

 カガリはそう言ってコクピットに向かう。

 エニルが戸棚からパイロットスーツを取り出す時になってふと振り返る。

 

<なんでカガリがパイロットスーツを一人で淀みなく着ているの?

 ……まあ、いまは良いか>

 エニルはカガリの手際よさに違和感を覚えたが、すぐにそれを無視した。

 

 シャトルのロッカールームに入ると、エニルは手早くパンツスーツを脱ぎ捨てる。

 すらりとした長身で筋肉質な身体。女性らしいなだらかな胸のふくらみに対し、その股間には女性ではあり得ない形状の男性器が熱を持って存在していた。

 研究所で製作された両性具有のコーディネイターたる己の急所を、アンダーウェアへと手慣れた動作で収めると、彼女はパーソナルカラーである紫色のパイロットスーツに身を包む。赤(女)でも青(男)でもない、両性が混ざり合った自分を象徴する色だった。

 

 着替えを終えてエニルが顔をのぞかせると、カガリが声を掛けてくる。

 

「シャトルの格納庫は問題なさそうだぞ」

「はぁ、……カガリどこで覚えたのそれ? あなたまだ学生でしょ」

 

 カガリの思ったよりも早い行動に、エニルは呆れる。

 そのあと、エニルはコクピットに移動すると、計器類を確認する。

 

「じゃあ、カガリはここから格納庫を監視していて、あたしはモビルスーツに移動するわ」

 そう言って、エニルがモビルスーツに向かうと後は早かった。

 ジンを使い、予備の【MMI-M8A3 76mm重突撃機銃】と弾倉などを積みこんでいく。

 

「なあ、ジンをシャトルに乗せないのか?」

『それをしたら、あたしの機体を入れる場所がなくなるでしょ』

 カガリの言葉に、エニルが返す。

 

<アークエンジェルに乗せるから、最初から積んでおいた方が楽なのに……>

 カガリは口に出せない思いを内心で吐き出した。

 

 

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