※この作品はR-18です。

ガンダムSEED Return:A   作:触手スライム

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61話

 夜。アークエンジェルは砂丘の陰と夜の闇に紛れるようにして、慎重に砂漠を移動していた。

 だが、その巨体と熱源を完全に隠し通すことはできず、周辺の哨戒と物資輸送を行っていたバルトフェルド隊に捕捉されてしまう。

 

「前方より敵機接近! ジンオーカー六、戦闘ヘリ六! 後方に輸送車両群を確認!」

 当直のカズイが悲鳴のような報告をあげる。

「総員第一戦闘配置! フラガ大尉、ヤマト少尉、エニ……いえ、モビルスーツ隊は直ちに出撃!」

 マリューの号令のもと、ムウのスカイグラスパーとキラのエールストライク、そしてエニル、ルナマリア、アグネスが搭乗する三機のジンが夜の砂漠へと飛び出した。

 

「イーゲルシュテルン起動、ウォンバット装填。

 敵戦闘ヘリを近づけるな! 敵モビルスーツはモビルスーツ隊に任せればいい」

 マリューから矢継ぎ早に戦闘指示が飛ぶ。

 

 アークエンジェルからのイーゲルシュテルンによる対空砲火が夜空を切り裂き、ザフトの戦闘ヘリを次々と牽制していく。

 その援護を受けながら、モビルスーツ隊はザフトの地上部隊と激突する。

 

『砂漠戦仕様のジンか……っ、けど!』

 ルナマリアが砂に足を取られながらも、二機一組で動いているジンオーカーの先頭に重突撃機銃で牽制射撃を放つ。

『そのまま押さえてなさいよ!』

 ルナマリアの牽制で動きを止めた敵に対して、アグネスがスラスターを吹かし、砂塵を巻き上げながら死角へと回り込み、鮮やかに重斬刀で斬りかかる。

 

「このぉ!」

 キラのエールストライクが果敢に切り込み、ジンオーカー二機を撃破すると、エニルが残りのジンオーカーに突っ込む。

 

「キラに攻撃はさせない!」

 ジンオーカーの砲撃と巻き上げられた砂を被りながら、エニルは突撃機銃で相手を牽制して懐へ潜り込むと、武器を持ち替えて残る一機を撃破する。

 

『エニスさん、後ろ!』

 エニルの背後から襲い掛かろうとするジンオーカーは、キラがあげた叫びと共に、ビームライフルで撃破される。

 

 残ったジンオーカー一機は、アグネスとルナマリアが相手をしていた。

『ルナマリア! そっち!』

 アグネスの重斬刀の攻撃をよけたジンオーカーの先にはルナマリアが待ち構えていた。

『もらった!』

 ルナマリアのジンによる重斬刀の一撃で、最後のジンオーカーが撃破される。

 

 戦闘ヘリはスカイグラスパーとアークエンジェルの火砲により撃墜され、戦闘開始から一時間もたたずに戦闘は終わった。

 

 ――砂漠(戦闘終了後)

 

 武装を解除させた輸送車両群を、エニルたちの操る三機のジンが取り囲む。

 少し離れた砂丘の上ではキラのエールストライクが周囲の警戒に当たり、上空ではムウのスカイグラスパーが旋回して監視を続けていた。

 エニルがコックピットから部隊全体の状況を確かめていると、アークエンジェルと繋いだままの通信回線に、格納庫のマードックの声が割り込んできた。

『あー、艦長。ちょっといいか。タキリで補給したとはいえ、うちのジン三機はパーツも武装もカツカツだ。撃破した連中の機体から、使えるパーツをもぎ取って持ち帰れねぇか?』

『……そうね。背に腹は代えられないわ。許可するわ、マードック曹長』

『了解した。すぐに回収班を向かわせるぜ』

 マードックの要求にマリューが許可を出し、アークエンジェルから整備班が派遣されることが決まる。

 そのやり取りを聞いていたエニルは、モニターに映る輸送車両群を見下ろし、同じ回線を使って艦橋へと呼びかけた。

『艦長、整備班が来るならついでに提案があるんだけど。

 こっちの輸送車両の積み荷も調べてみてもいいかしら?』

『ええ、お願いするわ、エニス』

 マリューの許可を得たエニルは、自機のコックピットから地上へと降り立ち、輸送車両のコンテナを直接確認した。

 そして、パイロットスーツの通信機から再び艦橋へと報告を入れる。

『艦長、確認したわ。積み荷は……大量の水と医薬品よ』

『どのみち、アークエンジェルみたいな巨体が街に入って物資を調達するなんて無理でしょ?

 こっちには車両が六両ある。投降した連中は解放して三両に乗せて帰らせるとして、残りの三両は物資ごとあたしたちが【貰って】もいいんじゃない?』

 その提案に、艦橋のマリューは頷いた。

『ええ、その通りね。エニス、モビルスーツのパーツと一緒に、車両三両も回収するわ。

 ……曹長、搬入のほうはお願いできるかしら?』

『ああ、任せとけって』

 

 ――アークエンジェル(格納庫)

 

 ストライクやスカイグラスパーに続いて回収作業を終え、帰投した三機のジン。

 搬入された物資や鹵獲車両の確認が行われる中、エニルたちも機体から降りてようやく 一息ついていた。

 だが、一時間ほどして機体の点検を終えたマードックから呼び出され、エニルたちが再び格納庫のデッキへ向かうと、そこには深刻な顔をしたマードックと、報告を受けて集まったマリュー、ナタル、ムウの姿があった。

 

「……ダメだ。関節部にかなり細かい砂が入り込んできてる」

 マードックがジンの脚部の装甲の隙間をライトで照らして見せながら、苛立たしげに頭を掻いた。

「急造の防塵処理じゃあ、これが限界だ。さっき敵からパーツを分捕ってきたとはいえ、 抜本的な整備環境がないとどうしようもねぇ。

 ……悪いが、このままだと次にまともに動かせるのは、三機中二機になるかもしれん」

「そんな……」

 マードックの無情な宣告に、ルナマリアとアグネスが顔を見合わせる。

 宇宙用の機体を無理やり地上で運用しているツケが、ここに来て明確な戦力低下という形で現れ始めていた。

 

* * *

 

 ――陸上戦艦レセップス(艦橋)

 

 明けの砂漠を誘い出すための餌として砂漠を巡回させていた輸送部隊が襲撃されたと報告を受け、ダコスタは艦長席のバルトフェルドのもとへ歩み寄った。

「隊長、囮の輸送車がやられました。

 襲撃のあった場所を調べたところ、モビルスーツ同士の戦闘があったと判明しています」

「ほう。レジスタンスじゃなく大天使(アークエンジェル)か」

「はい。ですが、その後は方向を変えて移動したのか、現在はこちらも見失っている状態です。

 投降した兵士には目もくれず、水と医薬品、それに車両三両だけを奪って見逃したそうです」

 ダコスタの報告を聞き、コーヒーを片手にしたバルトフェルドは、大天使をしとめるための方法を思いついたように不敵な笑みを浮かべた。

「いや、これはつかえるな」

 面白そうな獲物を見つけた猛獣のような表情に、ダコスタが怪訝そうに首を傾げる。

「どうやら向こうは正面きっての戦いは嫌らしい、なら捜索しながら大天使を罠に追い込めばいい」

 

 

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