※この作品はR-18です。

ガンダムSEED Return:A   作:触手スライム

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7話

――――モルゲンレーテ(造船所)

 

「バジルール少尉。乗員は集めましたが、殆どが艦にいた工員です」

 アーノルド・ノイマンが、オペレーター席で通信を試みるナタル・バジルールに歩み寄り、そう報告した。

<小手先では変えられないという事だな>

 ナタルは悔しさを滲ませる。

 敵性の艦艇が来ていると聞いて、ナタルはすぐにアークエンジェルを出すべきだと進言したが、結果は変わらなかった。

 ただ、前回見知っている士官たちを連れてアークエンジェルに避難したことで、前回のような生死をかけることはしなくて済んでいた。

 

「こちら、地球連合軍……アークエンジェル。だれか……」

『バジルール少尉……』

 何度目かの通信の末、懐かしいマリュー・ラミアスの声が響き、ナタルの目から思わず涙がこぼれる。

「こちらアークエンジェル。

 我々は、モルゲンレーテ造船所内格納庫に閉じ込められています。

 ……ラミアス大尉、ストライクは?」

 違和感。前回はキラ・ヤマトが応答していたはずだ。

 それを確かめるため、ナタルはそう尋ねた。

 

『大丈夫よ。今はストライクのバッテリーをチャージするためにバックパックを運んでもらっています』

 マリューの言葉を聞き、ナタルはあるべき場所に帰って来たと実感していた。

 

「了解です。格納庫は港側が崩落、コロニー内に向かう隔壁にも残骸が多くありますが、これを排除しコロニー内に進出します」

 ナタルは涙をぬぐい、帽子をかぶり直すと、毅然とした軍人の顔に戻った。

『了解。現状敵影はなし。私たちはモルゲンレーテ近くの公園にて待機しています』

 ここでマリューとの通信が切れたが、艦橋要員たちは外部との連絡がとれたことで、どこか安堵と共にこれからの戦いに思いをはせていた。

 

「聞いていたな。これより【アークエンジェル】を発進させる」

 ナタルが艦長席に座ると指示を出す。

「そんな! 艦を発進させるなど……この人数では無理です」

 ノイマンは抗議した。だがナタルは起動作業の手を止めず、彼を叱咤する。

「そんなことを言っている状況ではない!

 コロニー内の戦闘になっている以上、いつコロニーが崩壊するかわからんのだぞ!!

 やるにはどうしたらいいかを考えろ!」

 トノムラ伍長が、数名の人員を連れて戻ってきた。

「ご命令通り、動ける者すべて連れてまいりました」

 

「シートに着け! コンピュータの指示通りやればいい!」

 命じるナタルを、ノイマンは何とか思いとどまらせようとする。

「外にはまだザフト艦がいます! 戦闘などできませんよ!」

「わかっている。艦起動と同時に特装砲発射準備――できるな、ノイマン曹長!」

 睨みつけられてノイマンもついに腹をくくった。

 パイロットシートに飛び込むように座り、コンソールに向かった。

「アークエンジェル発進シークエンススタート!

 非常のためプロセスC30からL21までを省略! 主動力オンライン!」

 艦長席に座ったナタルが、キビキビと指示を出す。

「出力異常なし! 定格まで450秒!」

「長すぎる! 【ヘリオポリス】とのコンジットの状況は?」

「生きています」

 ナタルに突然降られたトノムラがうわずった声で答える。

「そこからもパワーをもらえ! コンジット、オンライン!

 パワーをアキュムレーターに接続……」

 着々と、発進シークエンスが進められていく。

「……主動力、コンタクト。エンジン異常なし、アークエンジェル全システム、オンライン…………発進準備完了!」

 ノイマンが最後の報告を行う。ナタルが力強く頷くと、号令が響いた。

「気密隔壁閉鎖! 総員衝撃に備えよ…………!

 特装砲発射と同時に最大戦速! アークエンジェル、発進!」

 直後、コロニー内で局地的な地震が起こる。

 土埃を巻き上げ、大地を割って現れたのは、巨大な白い戦艦だった。

 

 

* * *

 

 C.E. 71年 1月25日 午後4時00分。

 ヘリオポリス内で再び大きな揺れが起こる。

 それを合図にしたように、アスハ邸近くの格納庫ハッチが開いた。

 

 そこから飛び出して来たのは【ジン】だった。

 【MMI-M8A3 76mm重突撃機銃】に盾を装備したそれは、格納庫から現れるシャトルを守るように飛んでいた。

 

「カガリ。あなたのわがままでシャトルにジンを乗せたんだからね。

 あたしがシャトル操縦しなくてもやれるところ見せてよ?」

『わかっている。

 これくらい、わたしにだってできる』

 カガリのシャトルを視界にいれつつ、エニルは周囲を警戒する。

 

<まったく、あたしがシャトル操縦する予定だったのに、どうなっているのよ>

 カガリを一人にしていることに苛立つが、敵モビルスーツの相手をする以上、エニルはジンに乗る以外に手はなくどうしようもないことと理解していても、気に入らなかった。

 

<それにさっきの揺れ。

 またザフトの攻撃……なにあれ!?>

 エニルのジンの先には、白い戦艦が浮かんでいた。

 

『エニル。あの戦艦、アークエンジェルは連合の戦艦で味方だ。

 攻撃するなよ!』

「はぁ!? なにいっているのカガリ!?」

 

 その時、メインシャフトが爆発する。

「何!?」

 

 エニルの視線の先には、連合のモビルアーマーが飛び出して来るのと同時に、ザフトの白いモビルスーツ【シグー】が見えていた。

 シグーが携えているのは、【MMI-M7S 76mm重突撃機銃】と【M7070 28mmバルカンシステム内蔵防盾】。

 腰に【MA-M4 重斬刀】を下げている。

 

「カガリは目的地に向かって! 民間人を守るんでしょう!?

 あと、できるならあの戦艦にあたしを撃たないように言って頂戴」

 エニルはジンを戦闘状態にして重突撃機銃を構えさせると、シグーに向かっていく。

 

<近くにいたらカガリがまきこまれる。

 あれの自由を奪わないと!>

 

 戦艦もモビルスーツに気が付いたらしく、戦闘体制に入るのが見て取れた。

 

「頼むからコロニー内でぶっ放さないでね」

 ジンの出力リミッターを解除しながら、エニルのジンはシグーを追いかける。

 きりもみ状態になりながら、メインシャフトを盾にするように逃げるシグーに、エニルが揺さぶりをかける。

「こいつ!」

 エニルは機体を直接狙うのではなく、シグーの進路上の構造物を撃ち砕いて目くらましにする。

 一瞬視界を奪われた隙を突き、エニルのジンが放つ重突撃機銃の砲弾が、シグーの推進器の一部を正確に破壊した。

 途端、シグーは正面から重突撃機銃とバルカンを交互に切り替えながら撃ちつつ急接近を仕掛ける。

 エニルのジンも応戦するがシグーの重突撃機銃の一撃を受け、一度背中に回り込まれた後、すれ違いざまに重斬刀で切りかかられると被弾し盾を失ってしまう。

 エニルのジンは相手との距離をとるが、推進器にダメージを負ったシグーは追撃を諦め、そこで離脱する。

 

* * *

 

――――モルゲンレーテ(周辺)

 

「うわぁ。すごいことになったわねぇ」

 マリュー・ラミアスは、誘導されておりてきたアークエンジェルとシャトル、そして友軍として降りたジンを見ていた。

 なにより、そのジンの手にしている盾は見知ったものによく似ていた。

 

<あの盾、絶対に対ビームコーティングされたアストレイのやつだわ。

 そうなるとエリカが怪しいわね>

 シャトルの格納庫から取り出された新しいそれを、マリューは厳しく見ていた。

 

 シャトルから出てきたカガリはキラ達と合流すると、アークエンジェルから出てきたナタル達と鉢合わせする。

 

「――ラミアス大尉!」

 ナタルが駆けよってきた。

 

「ご無事で何よりでありました!」

「あなたたちこそよくアークエンジェルを。おかげで助かりました」

 

「あー……感動の再会を邪魔して悪いんだがー」

 この声に、マリューの目頭が熱くなる。

 そしてそちらへと顔を向けた。

 オレンジ色のパイロットスーツ姿の長身の男が、端正な顔に愛想よい――軽薄な態度といやらしい視線を向けながら――笑みを浮かべ、歩み寄ってくる。

 

「地球軍第七機動艦隊所属、ムウ・ラ・フラガ大尉だ、よろしく」

「あ……地球軍第二宙域第五特務師団所属、マリュー・ラミアス大尉です」

 それぞれ敬礼して名乗りあった。

 

<ムウは違う。彼は過去に戻ってないんだ>

 マリューは内心でそんな思いを抱き、難しい顔をしているナタルに視線を向けた。

 

 

 

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