第一夜『Ⅰfeels like 'EVEN IF'』 作:石花
未来を変えられないのか、ですか。
いましたね、過去にも同じことをを聞いてきた子が。
ならば答えましょう、歯車は。同じように。
過去が変えられないのと同じで、現在もそうなのです。
……とっくにご存じなのでは? 貴女の名乗る女神とやらが本当ならば。
けれど、そうですね。
繋げる必要があるのは、見た未来のヴィジョンです。
なので必要ありません。未来でないヴィジョンなら。
どういうことか? たまにあるのですよ、混線とでも言うべき現象が。
そのヴィジョンはどう考えても現在につながらず。
想定される同時間軸に到達してもヴィジョンの片鱗すら起こらず。
故に繋げる必要がないのです、現在と。
機序? 知ったことではないですが、そうですね、無理に理屈を付けるなら……。
没になったプロット。修正されたバージョン。或いは、別の者の書いた物語。
異聞、伝聞、スピンオフ。そういうものだと理解しています、歯車は。
この世界が一つの本であるならば、存在するでしょう。その原型が。
頭の中にあるもの。走り書きされた単語の欠片。最初に書かれたあらすじは、大抵は異なっているものです、最終成果物とは。
この世界が一つの連載であるならば、存在するでしょう。その変更が。
物語は着地点を決めて書かれることが多いでしょうが、その通りに行くとは限らないでしょう。特に連載であれば。
読者の反応が見れるということは、それに答えるための余地も生まれてしまうということです。
そもそも、書いてみた作者自身が、思いついてしまうことだってあるでしょう。新たな展開を。
新町古都子ならば言うでしょうか? 瞬瞬必生とは良い言葉だと。
この世界が一つの作品であるならば、他の作者が書くことだってあるでしょう。
公式であればスピンオフ、非公式ならば二次創作と呼ばれますが。掲載場所だって、違う場所だったりするかもしれません。
さて、そうですね、せっかくですから語りましょうか。一つくらいは。
中でも、新町古都子が、一番ひどい目にあった話を。
ああ、そうです、あくまで新町古都子の物語です。混線したヴィジョンと言っても。
ヴィジョンの中で、彼女の友人から伝聞で聞いた彼女の話。
それを再構成した話なのです、歯車が。
正伝でなく、伝聞の、新町古都子の友人から聞いた話。
ですから、そうですね。
feels like 'EVEN IF'
呪いの物語です、これは。
※本作は、リングシリーズの重大なネタバレを含んでいます※