※この作品はR-18です。

​【エロマンガ先生】正宗、秒で出ます。〜紗霧の感覚過敏を『徹底イチャイチャ』で治そうとしたら、妹の締め付けが凄すぎて兄の理性が即死した件〜   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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暴走する脳内データと神楽坂さんの前での失策

「……和泉先生? 聞いていますか、和泉先生?」

 

神楽坂さんの澄んだ声が、秋葉原の電撃文庫編集部・応接セットの空間に響き渡った。

 

俺——和泉正宗は、猛ダッシュで電車に飛び乗り、奇跡的に約束の9時ジャストに応接室へ滑り込むことに成功していた。しかし、対面に座る担当編集者・神楽坂さんが提示している新刊の販促スケジュール案に対し、俺の脳は全く意味のある返答を出力できずにいた。

 

「っ……! あ、はい! 聞いています、神楽坂さん……っ!」

 

俺は必死に姿勢を正し、メガネの位置を直した。しかし、額からはダラダラと冷や汗が吹き出していた。

 

原因は明白だった。ほんの数十分前まで自宅のベッドで繰り広げられていた、紗霧との極限の愛し合い(朝の本気バトル)の感覚が、未だに俺の意識を力任せに占拠し、思考回路を絶え間なくショートさせていたからだ。

 

(くそっ……! 頭が……全く機能しない……!?)

 

神楽坂さんが書類をめくる「カサッ」という微小な音すらも、俺の耳には、先ほどまでの紗霧の口内での「ちゅ、むぐっ」という過激な水音へと脳内変換されてしまう。

 

視界の端に入る神楽坂さんの真っ赤な口紅を見ただけで、朝の紗霧の濡れた唇、俺の部位を喉奥まで呑み込み、溢れる熱量を一滴残らず吸い尽くそうとしていたあの圧倒的な愛撫の記憶が鮮烈にフラッシュバックするのだ。

 

「先生、顔色が極めて赤いようですが……体調でも悪いのですか? それに、シャツの襟元が少し乱れていますよ」

 

「な、なんでもありません! 呼吸も体調も……き、極めて正常です!」

 

裏返った声で答える俺に対し、神楽坂さんは怪訝そうな目で眼鏡の奥の瞳を細めた。

 

「そうですか? ……では、今回の新刊のクライマックスシーンについての確認です。主人公がヒロインの拒絶を乗り越え、彼女の心に踏み込む場面ですが……具体的にどのような描写をお考えですか?」

 

「っ……! 踏み込む……ッ!?」

 

その単語がトリガーとなり、俺の脳内で抑え込まれていた視覚・触覚データが爆発的に雪崩れ込んできた。

 

視界の奥に焼きつくのは、俺の上で腰を振り、涙目になりながら「わたしの中、兄さんの形になっちゃいそう……っ!」と叫んでいた紗霧の絶頂時の表情。腰に伝わっていた、紗霧の最深部が弾け、俺の熱量を最後の一滴まで絞り尽くしたあの狂おしいほどの締め付けの触覚フィードバック——!

 

下腹部に、急速に熱い血流が再充填されていく感覚が走る。

 

(バカな……っ!? 朝に2回も完了しているんだぞ!? なぜ今、神楽坂さんとの対面中に熱くなり始めているんだ……っ!?)

 

「和泉先生? ……先生?」

 

「あ……あぁっ……! 一番奥へのアプローチが……最大値に達して……ッ!」

 

「……は?」

 

神楽坂さんが素で口をポカンと開けた。

 

俺は自分の口から漏れ出た過激な失言に顔面を蒼白にさせた。ヤバい。完全に脳が暴走している。紗霧との激しすぎる愛の余韻が、俺の理性のセーフティを完膚なきまでに破壊していた。

 

さらに最悪なことに、急激な火照りを隠そうと前傾姿勢になった瞬間、急いで着たシャツの襟元が大きく乱れ、首筋に刻まれた紗霧の「真っ赤なキスマーク」が、神楽坂さんの正面からバッチリと露出してしまったのだ。

 

神楽坂さんの視線が、俺の首筋の痕跡へと静かに落ちた。

 

「……なるほど。朝から大変な『愛し合い』を行ってからお越しになられたわけですね、和泉先生」

 

「ち、違います神楽坂さん! これは皮膚のちょっとした炎症反応で——!」

 

「先生。苦しい言い訳は結構です。……今日の打ち合わせは、先生の頭が冷めてから出直しましょう」

 

ジト目で冷ややかに言い放つ神楽坂さんの前に、俺は机に両手を突き、ただ「申し訳ありませんでした……」と絶望の敗北宣言を口にするしかなかった。

 

打ち合わせが不調に終わり、失意のまま編集部のフロアへ出た俺は、待ち構えていたかのような人物と正面から鉢合わせることになった。

 

「待たせたな、我が宿敵よ!」

 

豪快な高笑いとともに現れたのは、俺のライバルであり作家仲間の千寿ムラマサ——山田ムラマサだった。和服風の衣装の裾をひるがえし、自信満々に胸を張って俺の前に立ち塞がる。

 

「ム、ムラマサ……!? なぜここに……」

 

「ククク、新刊のプロット提出でちょうど立ち寄ったのだ! それよりあつお、貴様……なんだその情けない顔は! 我が認めたライバルが、まるで抜け殻のようではないか!」

 

バシバシと力強く背中を叩かれ、俺の意識は無理やり現実へと引き戻される。だが、ムラマサの距離の近さが、今の俺には致命的だった。

 

「む……? なんだ貴様、妙に熱っぽいぞ? どこか具合でも悪いのか?」

 

「いや、それは……」

 

ムラマサは不審に思ったのか、ぐっと俺の顔へ顔を近づけてきた。そして——ムラマサの視線もまた、俺の襟元から覗く「痕跡」へと釘付けになる。

 

「……ぬ!? あ、あつお、貴様その首筋の赤斑は……っ!?」

 

「あ、いや! これはだな、ムラマサ!」

 

「た、たわむれるなーっ! 乙女の純情をなんだと思っているのだ! 貴様、朝からどれほど破廉恥なことをしてきたのだーっ! 許さん、絶対に許さんぞーっ!」

 

顔を真っ赤にして扇子を振り回し、大騒ぎし始めるムラマサ。編集部の社員たちが何事かと一斉にこちらを振り返り、俺への生暖かい視線が集まっていく。

 

「静かにしろムラマサ! ここは編集部だぞ……っ!」

 

脳を埋め尽くす紗霧の甘い熱気、神楽坂さんの冷ややかな視線、そして目の前で暴れるムラマサの怒号の挟み撃ちに合いながら、俺は一刻も早く家に帰り、この収まらない体熱を紗霧と再び分かち合うことでしか鎮静化できないことを痛感していたのだった。




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