※この作品はR-18です。

制服資産の減価償却録 〜終わらない絶望のタイムライン〜   作:naomasa

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第2章 エピローグ:身代わりの娼婦

 

あの特命査問室での地獄のような夜から、数日が経過していた。

窓のない地下の一室。薄暗い間接照明の下で、山本舞は虚ろな瞳で床の絨毯を見つめていた。全身の関節が軋み、ふとした瞬間にあの夜の男たちの暴力的な圧力と熱い精液の量、そして下腹部を突き上げるような恐怖がフラッシュバックしては、彼女の細い肩を震わせる。静かにドアが開き、藤田美沙がヒールを鳴らして室内に入ってきた。その手には、水の入ったグラスと、小さな白い錠剤が一つ乗せられている。

 

「……飲みなさい。アフターピルよ」

 

藤田は事務的な手つきで、テーブルの上に錠剤を置いた。

 

「商品がいきなり孕んでしまっては、使い物にならないからね。これで、数日前の夜の『事故』はリセットされるわ」

 

舞の視線が、その白い錠剤に釘付けになる。 エリート刑事として培ってきた彼女の知性が、微弱な警鐘を鳴らしていた。二日以上も経過している。タイムリミットである七十二時間を過ぎているかもしれない。そもそも、これが本当にピルなのかすら分からない。睡眠薬か何かを用いてまた何かをする気かもしれない…。

 

(疑え……こんな女の言葉を、信じちゃいけない……っ)

 

だが、限界まで削り落とされた舞の精神は、その「明白な疑念」と向き合うことを激しく拒絶した。あの夜、危険日に無数の種を子宮の奥底に散々叩き込まれたという圧倒的な恐怖。それが現実になってしまうことだけは、どうしても耐えられなかった。

 

「……あ……っ、は、はい……っ」

 

舞は震える指で錠剤を摘み上げると、縋り付くように口へ含み、水と一緒に一気に飲み下した。 これを飲めば助かる。あの夜の恐怖は消え去る。自らの優れた知性を殺し、敵から与えられた不確かな錠剤に【偽りの安堵】を見出す。現実から目を背け、自ら騙されることを選んだその瞬間、彼女は「誇り高き刑事」から、組織に管理されるだけの哀れな家畜へと完全に堕ちていた。

その様子を冷徹な目で見下ろしていた藤田は、続けて一冊の黒い手帳をテーブルに放り投げた。 桜の代紋が鈍く光るそれには、『大沢美波』の顔写真と身分証が挟まれている。

舞が息を呑んで顔を上げると、藤田は氷のように冷たい声で、決定的な宣告を下した。

 

「あなたが地上のソープで、笑顔で高額なVIPたちの相手をし、その最奥へ白濁を丁重に受領し続ける限り……大沢美波の警察籍は、この通り『病気休職』のまま安全に保護(ホールド)され続けるわ。あなたが一度でも拒絶し、商品価値を落としたその瞬間に、あの子の懲戒免職調書は即座に受理され、社会的に完全に抹殺される。……」

 

一通り説明した後、藤田は一呼吸を置いて、

 

「さあ、これからもあの子の身代わりとして、たっぷりと上層の男たちに抱かれ、徹底的に汚れなさい。山本舞巡査部長」

 

美波の警察手帳。それはもはや物理的な制服ではなく、「大沢美波」という存在そのものを意味する証拠だった。舞は震える両手でその後輩の手帳を拾い上げ、胸の谷間に抱きしめるようにしてすがりついた。

 

「……はい……っ。私が……美波の代わりに……全部、受けますから……っ」

 

大粒の涙をこぼしながら、舞は自らの地獄を受け入れた。そんな彼女の耳元に、藤田が悪魔のように囁く。

 

「今度、あなたの安全日の時はね…。最初のVIPの相手は、特別に『中』で受けなさい。大沢美波として、上層の男にたっぷりと種を注ぎ込んでもらうのよ」

 

舞は力なく頷いた。

数日後、豪奢なホテルのVIPルームのベッドの上。舞は全裸になり、見知らぬ初老の権力者の前で、震える手で警察手帳を開いて見せた。

 

「……初めまして……大沢、美波です……。今日は、いっぱい……私を汚して、ください……っ」

 

 

黒幕である鮫島が構築したこの裏処理組織は、単に警察官のプライドを汚し、破滅させるためだけの安直な復讐装置ではない。 ターゲットの正義感や愛情といった『気高き美徳』を逆手に取って精神を根本から叩き折り、生きたまま完全服従の「極上の高級娼婦」へと作り変える、極めて冷徹な搾取システムである。女性警察官が自ら進んで淫らに堕ちていくその肉体は、闇の市場において天文学的な付加価値を生み、警察権力すら及ばない政治家や官僚、裏社会のトップといったVIPたちへ供される最高の「生きた賄賂(資産)」として恒久的に消費され続ける。

 

大沢美波が叩き落とされるはずだった最下層の部屋では、女警たちは名もなき肉の塊として底辺の男たちに無秩序に嬲られ、精神をすり潰される『安価な消耗品』に過ぎない。 対して、山本舞のように知性と美貌、そして確固たるエリートの矜持を残した極上の個体のみが、VIP専用の『高級娼婦』として選別される。

 

清潔なシーツと衣服を与えられ、一見すると手厚く保護されているように錯覚させられるが、その実態は、権力者たちの果てなき欲望を最奥で受け止め続けるための、精巧で壊れにくい『特注の肉便器』としての無期懲役である。一度この巨大な歯車に組み込まれたが最後、個人の意思で逃げ出すことは絶対に叶わない。商品価値を維持できるうちは夜な夜な上層の男たちに肉体と尊厳を啜られ続け、やがて心身が壊れ果てるだろうか。組織に目をつけられた女警たちを待つ、絶対的な終着駅だった。

 

舞は今その舞台に立っている。

大沢美波として…だが。

 

無理に作った卑屈な笑顔とともに、彼女のアイデンティティは完全に上書きされた。 直後、男の重い肉体が彼女にのしかかり、容赦なく下半身を貫いてくる。舞はシーツを強く握りしめ、痛みに耐えながら、行為に及んだ。そして後背位での行為中、自分の最奥で男のモノの脈動を明確に感じ取った。見知らぬ男が放つ熱い精液が舞の最奥を襲う。

 

(……大丈夫……今日は安全日……ピルも飲んだ……。だから、妊娠なんかしない……っ)

 

男の重いピストンと、中を満たしていくドロドロとした白濁の感触に絶望の涙を流しながらも、彼女は必死に自らに言い聞かせていた。自分が身代わりになることで美波を守れているのだという、ただ一つの悲痛な希望だけを胸に抱いて。

 

だが、それは完全に知性を狂わされた女がすがりついた、究極の自己欺瞞でしかなかった。 VIPの白濁を丁重に受け止めている彼女の子宮。そのさらに最奥の暗闇では――すでに数日前のあの地獄の夜、反社の男たちによって強制的に打ち込まれた致命的な種が、舞の子宮の中で取り返しのつかない『最悪の細胞分裂』を、静かに、そして確実に進めていたのだった。

 

 

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