制服資産の減価償却録 〜終わらない絶望のタイムライン〜 作:naomasa
資産管理番号:#042-O-MIZUKI
氏名: 井上美月(年齢:24歳)
所属: ✕✕県警 刑事課・強行犯係(巡査)
身体的ステータス:身長 160cm / B 83(Cカップ) / W 58 / H 84
初期ステータス: 稼働前(未接触)。健康状態良好。
特記事項: 先行資産(大沢美波、山本舞)の後輩。高いリミッター解除能力と格闘技術を保有
【添付ファイル:対象者の公務顔写真(目線処理済)】
[プロファイリング・データ]
心理的ステータス: 上位個体(舞・美月)の相次ぐ失踪に対し、強い不信感と焦燥を抱いていることを確認。現在は【警戒レベル2:継続監視】としてマーク中。
身体的ステータス: 格闘・逮捕術のスペシャリスト。物理的抵抗(カウンター)リスクが「Sクラス」に該当。
[想定陥落アプローチおよび運用規定]
推奨戦術(草案段階): 対象の戦闘能力の高さを鑑み、強硬な拉致は非推奨。(※具体的な実行フェーズおよびスケジュールは現在査定中)
想定資産価値(初期配置予測): [査定中・未確定] ※強靭な肉体はインフラの定常稼働に適性を示す可能性が高いが、捕縛後の薬理テストの結果をもって最終決定とする。
長谷川千尋がサーバー室にて制服を汚損され、地下インフラの主力枠として下層へ出荷されてから、正確に1ヶ月(4週間)が経過した刑事課。そこは、淀んだ平熱の空気が支配する日常の檻だった。
「井上、その実況見分の書類、今日中に回しておけよ」
「……了解」
強行犯係のデスクが並ぶ室内で、井上美月(いのうえ みづき)巡査は低く掠れた声で応じた。身長160センチ、逮捕術の猛烈な訓練と天性の格闘センスによって極限まで引き締められた躍動感のある肉体美。黒のパンツスーツにカッターシャツという地味な服装を纏ってはいるが、刑事課内ではその圧倒的な突破力から「狂犬」と称される本作最高の肉体派刑事であった。彼女がこれほどまでに荒んでは、鋭い牙を剥き、狂気的な怒りと焦燥を煮えたぎらせているのには明確な理由があった。
大沢美波(刑事課)――美月が「美波先輩」と呼び、誰よりも公私ともに慕っていた、頼れる忠実な先輩。そして強行犯係主任・山本舞(刑事課)――美月の直属の上司であり、エリートとしての気高き背中を見せ続けてくれた道標。その2人、さらにはサイバー課の水野菜々美や長谷川千尋までもが、まるで最初から存在していなかったかのように、わずか数ヶ月の間に次々と、不自然にこの地上から消え去っている。
周囲の同僚や上層部は「精神的な長期休職」「不祥事による失踪」として、腫れ物に触れるような無関心を装い、波風を立てぬよう自らの保身だけを考えて日々のルーティンをこなしている。その事なかれ主義の壁が、美月にはたまらなく不気味で、反吐が出るほどに忌々しかった。
深夜、静まり返った刑事課。すべての職員が帰宅し、無機質な蛍光灯の明かりだけが虚しく残る室内で、美月はすでに籍を失い、備品が撤去されかけている山本舞のデスクに向き合っていた。
「主任……先輩……」
居なくなった舞と美波に想いを馳せ、そして一人で呟く美月。ほぼ同時に居なくなった2人に対する想い、そして虚無感が美月を支配している。
そんな中、舞のデスク下の床に何か小さな物体を見つけた。それは小さな黒いUSBだった。舞の備品は殆どが撤去されている中、USBだけが忘れ去られ、床に転がっている。このUSBこそが、長谷川千尋が美月に託したバトンだったのである。そもそも、そのバトンが美月の手元に届くまでに1ヶ月という長いタイムラグを要したのには、解剖学的な空間の死角が関係していた。
1ヶ月前、サイバー課の千尋が地下インフラへ引きずり落とされる直前、彼女は最後の力を振り絞り、システムやハッキングに疎い武闘派の美月へ真実を託すため、サイバー課の壁際にある換気口の隙間へと一本の黒い物理USBメモリを放り投げたのだ。そのバトンは、古い組織ビルの入り組んだダクトの内部を滑り落ち、下の階である刑事課の天井換気口の隙間へと到達。そこから山本舞のデスクとスチール製のラックが噛み合う暗い死角、文字通り床の最奥の隙間へと音もなく落下し、埃に塗れて1ヶ月間眠り続けていた。それが今、ようやく美月の元に渡ったのである。
何だろう?と思いつつも、黒のUSBという部分に直感的に思い当たる節があった。
(これは…サイバー課のUSB?)
(菜々美先輩…いや千尋先輩の…?)
ここまで思考が回ると美月の行動は早かった。美月は即座に強行犯係の共用PCへと向かい、そのUSBを荒々しくポートへと突き刺した。
ハッキングスキルのない美月でも一発で開けられるよう、千尋が命懸けで設定したノンパスワードの金型。USBを挿した瞬間、複雑な認証画面など一切挟まずに、仕込まれていたマスターログが液晶画面の上に無骨に自動展開された された。美月の優れたプロファイリング能力によるセルフ解析など、そこには存在しない。彼女は知性派ではない。目の前に表示された文字と、自動で再生され始めた映像という、言い逃れのできない「事実」を、ただ網膜から脳へとにダイレクトに受信した。
画面に表示されたのは、無機質なシステムUIの文字列だった。
『特密監査報告:被疑資産稼働リザルトおよび減価償却データ』
『監査対象ID:#042-O-MINAMI(大沢美波・元刑事課)』
『監査対象ID:#042-O-NANAMI(水野菜々美・元サイバー課)』
『自我残存率:〇.〇〇%』
『【個体内処理(体内への強制注入・完全嚥下)】累積受領データ』
『 - 口(口内嚥下処理) : 195 回』
『 - 膣(前部区域蹂躙) : 497 回』
「……なに…これ……」
美月の唇が細かく震えた。先輩たちの名前の後ろに、まるで官給品の棚卸しのように並べられた、数百回におよぶ体内受領数、そして自我残存率という冷酷な数字。彼女たちが人間ではなく、組織のインフラの一部として、単なる「データ・備品」として処理されている絶対的な現実。
そして、そのテキストデータを正当な事実として証明するトドメのファイルが、画面の右側で強制再生された。
「あ……、ひ、主任……?」
美月の瞳が、恐怖と激昂で激しく見開かれた。
画面の向こうに映し出されていたのは、見間違いようのない、強行犯係主任・山本舞の姿だった。誇り高き制服はドロドロに乱され、繊維の奥まで白濁のシミで汚損されている。両手首を「公務用手錠」で完全に後ろ手に固定され、床に四つん這いにされ、背後から男の欲望の的として物質的に貪られ、すり潰されている生々しい映像記録。映像の中の舞は、涙と汗に塗れながら、必死に拒絶の声を漏らしていた。
「や、やめて……っ、私が……美波の代わりに、私が……ん、んぅううッ!!」
舞が美波の身代わりとして自己犠牲を受け入れ、悲痛な言葉を紡ごうとしたその生のセリフを強引に掻き消すように、画面外から伸びた男の無骨な手が、彼女の豊かな髪を乱暴に掴んで、剥き出しの肉棒をその舞の口内へと無機質に、深く、根元まで突き立てていく。
「ウ、……オォ、グ、ゴ……ッ!!」
大義名分を言葉ごと喉の奥へ流し込まれ、口内を激しく突き動かされる舞。
男はやがて、
「もっと、舌を使えよ!」
と乱暴な言葉を浴びせ、やがて口から引き抜くと、舞の顔に向けて精を解き放った。また背後から舞を突いていた男も、歓喜の声を上げ、その動きが止まった。おそらく舞の中で果てたのであろう。
完全に知性の光を抜かれ、ただ涎を流しながら精液の受け皿として処理されている上司の無惨な事実。 。それはのちに、地上の職務中に美波の偽音声を合成して現役偽装を継続するための、組織側の冷徹な証拠映像だった。言葉による感情の決壊が、深夜の刑事課に響き渡った。美月の視界は、押し寄せる涙と怒りによって、瞬時に真っ赤に染め上げられた。
「嘘……美波先輩も、主任も……。ふざけんな……ッ! こ、コイツら…人間じゃねえ……ッ!!」
拳を血が滲むほど強く握りしめ、美月は掠れた悲鳴のような生の叫びを漏らした。脳内で状況をこねくり回す余裕などない。大切な先輩たちが、組織という見えない怪物によって生きた便器へと格下げされているという生々しい最悪の因果律が、美月の脳を、激しい憤怒の業火で焼き尽くした。