※この作品はR-18です。

制服資産の減価償却録 〜終わらない絶望のタイムライン〜   作:naomasa

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第1章・第2話:実況見分という名の査問

 

大沢美波が「捜査中の重度トラウマに伴う3ヶ月の長期病気休職」という公的な保護名目を満了し、復職した日。 

 

ただし、その配属先は本来の強行犯係ではなく、事案の調査と見分が完了するまでの一時的な処置として『本部警務部付』という内勤ポストに留め置かれていた。

 

それでも彼女にとっては、『警察官』としての復帰を果たした誇り高く大切な一日となるはずだった。

 

 

彼女の身を包んでいたのは、一点の皺もなく厳格にアイロンが当てられた官給品カッターシャツ(B82)と、寸分の乱れもない紺青のタイトスカートであった。

 

腰の白い帯革には、ニッケルクロムメッキ仕様の官規品手錠、拳銃ホルスター、そして彼女の誇りの依代である警察章が再び厳密に配置されていた。

 

しかし、復職初日の午前9時、彼女へ下された最初の公務は、通常の捜査前線への復帰ではなく、「特密証拠保全手続きにおける公式の現場実況見分」への立会命令であった。

 

 

 

現場となったのは、3ヶ月前に彼女が一人の女性としての尊厳を、跡形もなくすり潰された、あの郊外の薄暗い廃倉庫。

 

その場所での「実況見分」への立ち合いを命ぜられている。

 

現地で美波を待っていたのは、今回の事案を内々に処理するため期限付きで赴任してきた監察官・鮫島警部の部下である監察指導官・藤田美沙警部補(女性)。

 

女性の藤田美沙警部補がいるのは、この件に関しての上層部の配慮だろう。

 

そしてその後方には、本部監察班所属の一般警察職員(記録係のカメラマン)が1名、純粋な公務として三脚と業務用デジタルカメラを抱えて同席していた。

 

この記録係の職員は、現役女性警察官をモノとして処理する裏の計画や利権には一切関与しておらず、ただ上層部から「署長決裁済みの公式な特密証拠保全」として事務的に命令を受領し、指示された座標へとレンズを向けるだけの、純粋な組織の歯車に過ぎなかった。

 

 

そして実況見分が始まる。

 

 

「大沢巡査長。休職期間を経て、当時の記憶の正確性や、精神状態に職務上の支障がないか、公的な実況見分記録を作成します。指示に従いなさい」

 

藤田美沙の抑揚のない、徹頭徹尾に官僚的な平熱の声が、倉庫のコンクリート壁に虚しく反響した。

 

美波は「はい」と短く答え、規律を重んじるエリート刑事としての生真面目さから、凛とした敬礼を返した。

 

そのストイックな私生活と強靭な意思の象徴である背筋の伸びた佇まいは、まさに誇り高き女性警察官そのもので、国家権力の威信を体現していた。

 

 

しかし、その実直な正義感こそが、黒幕たちが彼女を効率よく罠にハメるための、都合の良い首輪であった。

 

 

 

「まず、当時のあなたの身分と状況を確認します」

 

監察指導官・藤田の言葉である。

 

「当時あなたは、刑事課としての職務では無く、「管内の特別警戒警備 」として、この周辺で警備の担当に就いていた…間違いありませんね?」

 

 

「はい、間違いありません」

 

 

美波は答える。 

 

そう、だから私服では無く、正規の制服を着用していたのだから…。

 

 

「さらに初期現認時におけるあなたの身体的・空間的ポジショニングの確認を行います。そこに跪きなさい」

 

藤田の事務的な指示により、美波は完璧な制服姿のまま、冷たいコンクリートの床へと跪かされた。 

 

手のひらと膝の生地越しに伝わる、床の容赦のない物理的な冷たさが、彼女のトラウマを内側から激しく刺激する。

 

 

「状況確認および証拠保全の厳密化のため、一度拘束状態を再現します。手を後ろへ」 

 

美波が指示に従い両腕を背中へ回した瞬間、藤田の手が美波の腰へと伸び、帯革から無機質な手つきで官給品手錠を引き抜いた。

 

 

「……っ」

 

彼女自身が普段使い慣れているはずの自らの手錠が、椅子の支柱を巻き込む形で「カチリ」とタイトに施錠された。

 

 

この瞬間に実況見分とは言え、彼女は犯罪者を捕らえる側から、完全に自由を奪われた囚われの身へと、一時的に不可逆的な転落を遂げた。

 

両腕の防衛機能を完全に奪われ、後ろ手手錠によって床へ這いつくばる姿勢を固定された美波。

 

その無様な姿を、同僚である記録係のカメラマンは、何の感情も交えずに淡々とファインダー越しに観察していた。

 

 

「まずここで…顔を上げさせられたのね?」 

 

藤田が美波の美しく手入れされた黒髪を、その根元から事務的な力任せでグイと掴み上げた。

 

物理的な痛覚とともに、美波の顔面がレンズの正面へと強制的に跳ね上げられる。

 

 

「バシッ」と容赦のないストロボの鮮烈な閃光が 、美波の網膜を暴力的に灼いた。

 

 

「記録。被疑現場における大沢巡査長の初期配置完了」

 

「……カメラマン、基本構図の撮影は以上です。機材を車へ戻し、外で待機していなさい」

 

「了解しました」

 

 

カメラマンは藤田の淡々とした指示に何の疑問も抱かず、速やかに三脚を畳んで倉庫の外へと去っていった。

 

重い鉄扉が「ガチャン」と閉まり、倉庫内は完全な密室、そして藤田、美波だけの空間へと変貌した。

 

カメラマンが去った瞬間、藤田の平熱な声のトーンはそのままに、言葉の刃だけがその鋭さを増した。藤田は跪く美波の顎を冷徹に見下ろし、その耳元へ歩み寄った。

 

  

 

「さて、大沢巡査長。他人の目がなくなったところで、ここからは公式記録には残せない、真実のすり合わせをしましょうか」

 

藤田は言う。 

 

「……あなたはまさにこの座標で、現役の警察官制服を着用したまま、男たちの容赦のない肉体的汚辱を身体で…いや、その顔で受領した。……相違ないわね?」

 

 

あまりにも露骨で事務的な辱めの言葉が、重圧となって美波に突きつけられた。

 

「そ、そんな事まで、公式の記録に……っ。私は、公務の、手続きとして立ち会って……っ」

 

あまりの羞恥と屈辱に、美波は必死にエリートとしての理性を保とうと抵抗の言葉を絞り出した。

 

 

自分が今受けている扱いは、あくまで警察官としての正当な「命令」であり、「職務」であるということだけが、彼女に残された唯一の心の救いだった。

 

しかし、後ろ手手錠という完全に制圧された奴隷のポーズを肉体に刻まれた状態で、彼女の優秀な頭脳は、自らの身体が起こしている異変を冷徹に分析してしまっていた。

 

男たちに直接触れられてもいないにもかかわらず、手錠の手首への食い込みと、倉庫内の静寂が、彼女の記憶を強制的に引きずり出す。

 

 

嫌悪を置き去りにした恐怖と倒錯が、下腹部の自律神経を直撃していた。

 

冷たい床に擦れる膝の感覚が、かつて4時間にわたり白濁を浴び続けたあの夜の皮膚感覚と、恐ろしいほどの精度で一致していく。

 

 

「……大沢巡査長。心拍数と呼吸の乱れが激しいようね…。もしかして…この場所…そしてこの床の感触だけで、あなたの肉体はあの日の出来事を思い出して、過剰に反応しているのではないかしら?」

 

「ち、違う……そんな事……っ!」

 

「そう?なら…そのスカートの奥で、今、何が起きているか。自身のプロファイリング能力で客観的に報告しなさい」

 

「……すでに、見苦しく濡らしているのではないの?」

 

 

「そ、そんな事……あ……っ…!」

 

 

美波は藤田の言葉により、自分の身体が恐怖のあまり激しく脈打ち、拒絶しているはずのタイトスカートの内側(ショーツ)で、じっとりと自動服従の分泌液を滲ませ始めている現実を、克明に自覚させられていた。

 

知性が高ければ高いほど、肉体が恐怖に屈していくプロセスが論理的に理解できてしまい、一人の女性としての尊厳が内側から崩壊していく。

 

決して誰の目にも触れない官給品タイトスカートの最奥――そのパンストの内側で、自身の意思とは完全に無関係に、恐怖による分泌液のぬめりがドロリと滴り落ちる感覚。

 

その様子を、藤田の冷徹な言葉によって「指摘」を受け、終わりのない30分間の見分手続きが粛々と執行されると、今度は彼女の肉体へ服従のポーズを完全に染み込ませていく地獄のプロセスであった。

 

 

「…それでは、今回の実況見分を終了します」

 

「大沢巡査長、本日の記録データは監察の公式記録として厳重に保管されます」

 

「明日からの職務に励みなさい」

 

 

手錠を外され、虚ろな目で立ち上がる美波の精神は、3ヶ月前のあの地獄の底へと、完全に引きずり戻されていた。

 

表社会のエリート警察官としての規律を維持したまま、肉体と精神の奥底から確実に黒幕たちの絶対的な支配下へと堕とされていく。 

 

まさに終わらない絶望のタイムラインが、静かに刻まれ始めたのである。

 

 

 

 

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