※この作品はR-18です。

制服資産の減価償却録 〜終わらない絶望のタイムライン〜   作:naomasa

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第1章・第3話:「手錠による自己検挙」

 

 

 

復職翌日の午後五時十五分。定時が過ぎ、人影の絶えた警察署の最奥に位置する地下装備品保管庫は、昨日「実況見分」が執行されたあの郊外の廃倉庫と、恐ろしいほどに似通った薄暗がりに包まれていた。

 

鉄製の重厚な棚が整然と並び、窓のないコンクリートの四方を囲む空間は、外気から完全に遮断され、冷たい埃の臭いだけが事務的に滞留している。

 

大沢美波は、薄暗い棚の合間に一人立ち、棚卸しの台帳を手に黙々と備品のカウントを続けていた。

 

その身を包むのは、今日も寸分の乱れもない官給品の冬用カッターシャツと紺青のタイトスカートである。

 

腰の白い帯革には、現役の証たる警察章と、一組の官給品手錠が厳格に配置されていた。

 

 

「私は警察官に戻れた。もう、あの夜の悪夢に怯える必要はない」

 

ストイックな私生活で培った強靭な自制心を総動員し、彼女は胸の内でその規律を何度も唱えていた。

 

エリート刑事としての誇りだけが、今の彼女を物質的に支える唯一の骨組みだった。

 

しかし、棚の最下段にある予備の制動具を確認しようと腰を屈め、帯革のホルダーから自身の手錠を取り出したその瞬間、指先が微かに、だが致命的に震えた。

 

指の力が物理的に抜け、重厚なニッケルクロムメッキ仕様の金属塊が、手元から滑り落ちる。

 

――ガチャン。

 

無機質な鉄の響きが、静寂に包まれた保管庫のコンクリート壁に鋭く反響した。

 

 

「ひ、っ……」

 

その金属音を感覚器が拾った瞬間、美波の脳内で、前日の実況見分の記憶が、臨場感を持ってフラッシュバックした。

 

手錠の音は、彼女の肉体にとって「あらゆる抵抗を剥奪され、モノへと格下げされる」境界線の合図そのものとして、皮膚記憶に深く刻まれていたのである。

 

 

肺から酸素が急速に失われ、激しい過呼吸が彼女を襲う。

 

全身の筋肉から意思が置き去りにされ、膝の力が笑うように抜けていく。

 

美波の肉体は、自らの制御を失ったまま、床へ向かって崩れ落ちた。

 

 

手のひらと膝の生地越しに、保管庫のコンクリート床の「容赦のない物理的な冷たさ」がダイレクトに伝わる。

 

その凍り付くような質感は、昨日、藤田美沙の前で跪かされたあの感触をまざまざと想起させ、床の冷たさが強力なアンカーとなり、皮膚感覚の底に眠っていた三ヶ月前の記憶を一気に呼び覚ましていく。

 

最悪なことに、男に直接触れられてもいないのに、衣服の内側――タイトスカートの最奥にあるパンストの裏地が、自身の意思を無視した自律神経の暴走によって、じわり、じわりと熱い分泌液で濡れそぼり始める。

 

この現象を、美波の優れた頭脳は冷徹に感知してしまった。

 

 

その瞬間、美波の肉体は恐怖のあまり、理性の制御を完全に置き去りにしたかのように動き始めた。

 

震える自身の右手が、あろうことか、その下半身の濡れを確かめようと、あるいは高まる熱を自ら鎮めようと、自慰的な動きを伴ってタイトスカートの裾へと無意識に伸びようとしたのである。

 

「――ッ! 駄目……駄目よ、大沢美波……ッ!」

 

エリート刑事としての誇りと理性が、その肉体の裏切りを強烈に拒絶した。

 

職務中に、それも国家の威信たる警察官の制服を着用したままで、自らの手で自身の秘部を弄り、肉体を汚すなど、絶対に許されることではない。

 

そんな醜態を晒せば、美波の警察官としての尊厳は文字通り跡形もなく消滅する。

 

なのに己の手は下半身へ伸びようとしている。

 

 

「ダメっ…!」

 

どんなに美波が否定の意思を示しても、己の手が止まらない。

 

 

(ダメ…この悍ましい本能の手を、今すぐ止めなければ……! 自ら身体を汚しようとするこの両腕を、物理的に完全に封じるのよ……ッ!)

 

限界まで追い詰められた彼女の生真面目な正義感と防衛本能は、錯乱の果てに、歪んだ公的論理を弾き出した。

 

彼女は、職務を逸脱して淫らな暴走を始めようとする「自分自身の両手」を、今まさに現行犯で逮捕し、抑え込むべき『制圧対象の犯人』として定義したのである。

 

 

凄まじい躊躇いと恐怖に指先をガタガタと震わせながらも、美波は床の手錠を掴み取った。脳の最深部では「それを嵌めたら終わりだ」と本能的な警戒シグナルが鳴り響いていたが、下腹部から突き上げる熱量と、手が秘部へと向かおうとする肉体の衝動を物理的に拘束する手段は、これ以外に存在しなかった。

 

「あ、う……っ、制圧……する……っ!」

 

悲痛な声を漏らしながら、美波は自ら両腕を背後の死角へと回した。

 

自身の肉体をこれ以上の汚損から守るため、現役警察官としての最後の規律の防衛として、手首を厳密に重ね合わせ――カチリ、カチリ。自らの手で、退路を断つように施錠の音を響かせた。

 

それと同時に彼女は手錠の付属キーを、自身の足元から遠く離れた棚の下へと無意識に蹴り飛ばした。

 

金属の冷たい輪が美波の皮膚をギリギリとタイトに締め付け、完全に自由を奪われたその瞬間だった。

 

自分の手を封じるための防衛策であったはずの「後ろ手手錠」という完全なる屈服のポーズ。

 

美波の肉体に刻まれた皮膚記憶、そして脳内に蘇るあの日の出来事が、巨大なパニックスイッチとなり、彼女の目論見を内側から木っ端微塵に爆破した。

 

自縛したという事実が、「私は完全に制圧され、肉体隷属の為の姿勢になった」という覆しようのない現実へとスワップされる。

 

つまり「男達に玩具にされる準備」「射精の的にされる準備」が整ったという事実が、美波の中枢神経系を容赦なく直撃する。

 

美波は物理的に一歩も動けない後ろ手手錠の姿勢のまま、非接触で押し寄せる異常な快楽の波に飲まれ、美波の身体は弓なりに激しく硬直した。

 

自身の身体が嫌悪を置き去りにして、恐怖と倒錯のままに開発されていくプロセスを、優れたプロファイリング能力によって、解剖学的な生体ファクトとして冷徹にセルフ解析してしまう。

 

その客観的な自覚が、さらに背徳感と屈辱の燃料となり、肉体の裏切りを加速させる。

 

絶頂へ向かうプロセスを優秀な知性でセルフ解析し、背徳感の極限に達したその瞬間、非接触のまま肉体が完全に限界を迎えた。

 

「脳逝き」である。

 

誰にも触れられてもいない薄暗い床の上で、ショーツを濡らし尽くしながら、嫌悪を置き去りにした肉体の開発による凄絶な自発絶頂の濁流へと叩き落とされた。

 

激しい痙攣の最中、瞬間的に意識が完全に停止する。

 

 

だが、絶頂の直後、意識の波が引き戻された瞬間、鮮明に復帰した高い知性が、さらなる絶望の事実を突きつける。

 

現役の制服を着用したまま、自縛によって自発的に絶頂を迎え、失禁と愛液で床を汚してしまったという、覆しようのない現実。

 

美波は、過去の誇り、美徳、犯された記憶を鮮明に呼び戻せるベースラインの頭脳で、自身の完全な自壊をまざまざと受領するしかなかった。

 

 

 

そこへ、廊下から静かに近づく足音が響き、保管庫の重い鉄扉がゆっくりと開いた。

 

現れたのは、足音もなく入室してきた監察官・鮫島警部であった。

 

鮫島は、床に這いつくばり、口元から涎を垂らして震える美波の無様な姿を、徹頭徹尾に官僚的な平熱の視線で見下ろした。

 

 

そして、床に落ちていた手錠の鍵を、無造作につまみ上げる。

 

 

「見苦しいな、大沢巡査長。誰もいない部屋で、随分と淫らな行為だな」

 

鮫島の突然の入室に驚きを隠せない美波だが、鮫島の言葉に、自分のした事の重大さを、今更ながらに気付かされたようだ。

 

エリートとしての理性を保とうと必死に抵抗する美波に対し、鮫島は平熱のトーンを変えぬまま、彼女の耳元で冷酷な事実を提示した。

 

 

「見事な条件反射だな…大沢。昨日の実況見分で身体に刻み込んだ『拘束姿勢への服従』という刷り込みに対し、自ら進んでその状況を再現してみせるとは …」

 

「しかし…自ら自縛してみせるとは…大したものだ」

 

 

次々と鮫島の口から暴かれる新事実。

 

だが今の美波には頭に入ってこない…

 

 

「な…何を…」

 

自らを律しようとした防衛行動すらも、すべて鮫島たちの計算通りに誘導された結果であったという絶望的な現実に、言葉が出ない美波。

 

さらに鮫島は、極限のショック状態にある美波の脳髄を、冷徹な理屈ですり潰しにかかる。

 

 

「誰もお前を脅してなどいない…。お前が自分自身でその手錠の姿勢を受け入れた。ただそれだけの客観的事実(現実)だ」

 

「あの夜、お前の顔が標的になったのは、犯人たちがDNAを隠滅し、捕まらないようにするための合理的な処理だ。お前がどれだけ正義を叫ぼうが、お前の身体はすでにその証拠隠滅の一部として機能している」

 

本来であれば皮膚表面からでもDNA抽出は容易であり、この論理が破綻していることは優秀な刑事である美波なら一瞬で見抜けたはずだった。

 

しかし、自発的絶頂による脳の疲弊とパニックにより、初歩的な鑑識知識すら想起させてもらえない。知性の刃を自虐の凶器へと反転させられ、論理的思考力を完全に奪われた美波の心は、ここで完全に突き崩された。

 

 

「お前のその無様な姿を公にするか、それとも内々の公式処分として『警察官の籍』を維持してやるか、どちらがいい?」

 

「籍の維持」という名目の、絶対に逆らえない公的な首輪を突きつけられ、美波に拒絶の選択肢は残されていなかった。

 

鮫島は、腰の帯革から自らの肉棒を引き出し、跪く美波の目の前へと突き出す。

 

「警察官の籍の維持」という問題を突きつけられ、心を完全に折られた美波は、背中の後ろで手錠を嵌められたまま、規律への絶対的な隷属から、その口腔内へ鮫島の肉棒を深く受け入れ、咥え込まざるを得なかった。

 

 

「自ら後ろ手に拘束をして、さらに自慰に耽るのか…」

 

「よほど3か月前の出来事が頭から離れないのだな」

 

「あのような処理を受領して、自ら後ろ手に拘束までしておきながら……お前はそれでも警察官か?」

 

 

鮫島に頭髪を容赦なく掴み上げられ、事務的な言葉の暴力を受領しながら、美波は口腔内での処理を続けさせられる。

 

 

逃げ場のない密室、手首に食い込む手錠の金属の擦れ合い、速度を増す鮫島の動き。

 

これはまさしく3か月前、美波が受領した行為と全く同じだった。

 

次の瞬間、美波の口腔内へと、一斉に放出されたものの「生々しい熱量とアンモニア臭」が容赦なく流し込まれた。

 

 

「んぐ、っ……!? ――ッ!!」

 

美波の口内に圧倒的な精液が放たれ、その感覚器を美波の脳が支配した瞬間、脳内環境は、あの三ヶ月前の地獄と「完全に同期」してしまう。

 

「だ…ダメっ…」

 

押し寄せる波に抗うも、脳内では覆しようのない現実が完成し、彼女の肉体は本日2度目となる、先ほどよりも遥かに凄絶な「脳逝き」へと跳ね上げられる。

 

 

この2回目の「脳逝き」により、美波の中枢神経系はこの過剰な負荷に耐えきれず、ショートを起こして強制的な失神を選択する。

 

美波は、口元からは鮫島の放った精液を溢れさせたまま、前方向へと崩れ落ちた。

 

意識は完全な空白、絶対的な絶望の暗闇へと転落し、装備品保管庫の冷たい床の上に、ただ現役制服を汚したモノとしての身体だけが残された。

 

 

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