制服資産の減価償却録 〜終わらない絶望のタイムライン〜 作:naomasa
薄暗い部屋に漂う重苦しい消毒液の臭い。大沢美波が意識を取り戻したのは、署内最奥にある医務室のベッドの上だった。
「大沢、気がついたか」
白衣を着た老医師が、手元のカルテから顔を上げて静かに声をかけてくる。その眼差しには、明らかな困惑といたわりの色が混ざっていた。
「装備品保管庫の前の廊下で、お前が倒れているのを通りかかった職員が見つけてね。ここに担ぎ込まれたんだ。……過労と極度の緊張による一時的な脳虚血だろう。復職したばかりなんだ、しばらくここで安静にしていなさい」
医師の優しい言葉が、かえって美波の優秀な頭脳に、自らが晒した「言い訳の立たない醜態」を冷徹に突きつけてくる。
医師が部屋を出ていった静寂の中、美波は縋るようにベッドから這い出した。
下腹部にじっとりと絡みつく、重く物質的な不快感――。男に直接触れられてもいないのに、装備品保管庫で手錠の金属音を聴いただけで自律神経系がオーバーヒートを起こし、自ら後ろ手手錠を選び、不可抗力の脳逝きを引き起こした結果だった。
タイトスカートの内側で、失禁と自動服従分泌液によって完全に汚損されきったショーツの重みを皮膚感覚で引きずりながら、美波は逃げるように帰宅した。それが、彼女に残された最後の、あまりにも脆弱な虚勢だった。
翌朝。
美波が呼び出されたのは、地上からは遮断された地下の「監察特務査問室」だった。
白一色ではなく、冷たいコンクリートが剥き出しになった、若干暗くて無機質な空間。中央には重厚なスチール製の机と鉄製の椅子が置かれ、壁面には大きな特密調査用の大型モニターが嵌め込まれている。
そこには、完璧に糊の効いた制服を着用した監察指導官・藤田美沙が、平熱の視線で待っていた。
美波は内心で、ほんのわずかに安堵した。
今回自身が引き起こした失態――犯人からの執拗な性的加害と凌辱を伴う事案の性質上、男性警官からの聴取によるセカンドレイプを防ぐため、同性である女性指導官が配置されたのだと瞬時に理解したからだ。
だが、同性ならではの同情や配慮がもらえるかもしれないというその淡い期待は、直後に放たれた声によって冷酷に打ち砕かれることになる。
「座りなさい、大沢巡査長。これより、先日の実況見分に伴う事案に関する『公式な供述調書』の作成を開始する」
藤田の無機質な役人言葉に促され、美波は引き締まった腹筋を規律の帯革で縛り付け、鉄製の椅子に深く腰を下ろした。
「あの……詳細につきましては、すでに先日の実況見分にて……」
「曖昧な記述は、公的な書類には一切通用しないのよ」
藤田は手元のリモコンを操作し、壁面の大型モニターを起動させた。
暗い画面に映し出されたのは、犯人グループが現場の無法地帯スタジオに過失で置き去りにしていった、凌辱の全容が記録された証拠映像だった。
衣服の擦れる生々しい音と、男たちの下劣な呼吸音。
そして、顔面を容赦なく白濁で汚されながら、家畜のように呻いている美波自身の無残な姿が、大画面に克明に映し出される。
「やめて……っ! 見ないで、消してください……ッ!」
美波は顔を背けようとするが、藤田の冷徹な声がそれを許さない。
「消さないわ。確定させなくてはいけないの。さあ、回数?あなたはあの倉庫内で、具体的に何回の放出を受けたの?」
「覚えていないです……。2回……いや、3回……っ」
「そんな曖昧なこと、公式文書に記述できません」
藤田はリモコンを操作して映像を進め、淡々と事実関係の数値を突きつけた。
「この映像を見る限り……あなたは終わるまでに、24回もの犯人の精液を受領してるわね?」
「に……にじゅう……24回……!」
大型モニターに映る自らの醜態と、突きつけられたあまりの数字の多さに、美波の顔から一気に血の気が引き、激しいショックが脳髄を直撃する。
美波自身、あの状況下において、射精を受けた回数など覚えているわけが無い。
しかしこの時、自身が思っている以上の数値を突きつけられたのは事実だ。
「内訳は顔に14回、口内に8回、その他が2回。あくまでも映像の中だけど、総計で24回の受領を確認できます。……さあっ……どうなの!?」
藤田のトーンが、それまでの事務的なものから、鋭く刃のように尖った詰め寄りへと切り替わる。
逃げ場のない密室での容赦のない追及に、美波の理性の防壁は激しく軋み、抗いきれず、まずは事実関係を認めるようにコクコクと小さく頷いた。
しかし、藤田のサディスティックな官僚主義は、ただ頷くだけの従属では満足しない。
「正式な供述でないとダメなのよね……あなたの口からハッキリ言いなさい」
映像を直視させられ、逃げ道を完全に塞がれた美波は、息も絶え絶え、疲労困憊の様子で、自らの美しい唇からすべての数字を白状し始めた。
「……14回、です……」
「どこに?」
「顔面、です……。顔面に、14回の、放出を、受領しました……っ」
「口腔内は?」
「……8回、です。口の中に注がれたものを、すべて、嚥下……させられました……っ」
「その他は?」
「2回……合計、24回、です……っ!」
全ての数字を自ら吐き出させられ、胸を激しく上下させて耐える美波に対し、藤田の追及は止まらない。
「では大沢巡査長、あなたは犯人に捕まり、後ろ手の拘束を受けた上で、24回もの精液で汚されたのね?」
「は……はい……」
「では自分の口で言いなさい」
美波は必死に声を絞り出した。
「私、大沢美波は……犯人に捕まり……24回もの大量の精液で汚されました」
「聞こえない!大きな声で!」
間髪入れず、藤田の鋭い叱責が密室に飛ぶ。
「犯人に捕まり……精液を……24回受けました……!」
「どこに!?」
「口と……顔に……!」
「ハッキリと言いなさいと言ったでしょう!?」
藤田の厳しい怒声が美波の耳腔を物質的にすり潰す。
「口に……8回……受けました!」
「顔は?」
「か、顔には……14回……」
「聞こえない!」
「顔に……14回……受けましたっ!!」
「誰が? ほらっ……最初から!」
大型モニターの映像は、未だに白濁にまみれて絶頂させられている美波の姿を映し出し続けている。
「大沢美波は……口に8回、顔に14回、他に2回……精液を受けました!」
「受けましたじゃない! 汚されましたでしょ! ほら早くっ!」
完全に追い詰められ、逃げ場を失った美波は、ついに意を決して涙を溢れさせながら絶叫した。
「大沢美波は、犯人に捕まり……口に8回、顔に14回、他に2回……合計24回もの大量の精液で、汚されましたっ!!!」
自らの知性と唇によって、精神への完璧なセカンドレイプとなる屈辱の文字列を大声で公的に唱えさせられた瞬間、美波の脳下垂体は過剰なストレス負荷によって限界点(オーバーヒート)を迎えた。
――そして、その寸前だった。
美波の涙に濡れた網膜へ、壁面の大型モニターが冷徹なまでの光量を放ち、決定的な視覚ファクトを叩きつける。
画面の中の自分が、男たちに髪を掴まれて無理やり顔を跳ね上げられ、濁った叫び声をあげた刹那、容赦のない質量を持った大量の白濁が一斉に顔面へと激しく浴びせられ、鼻腔から唇、顎へとドロドロに堆積していく生々しい瞬間が、これ以上ない鮮明さで映し出されたのだ。
「あ……、あ、うあ、ぁぁっ……!」
映像内の自らの凄惨な汚損シーンがトリガーとなり、美波の理性の防壁は完全に木っ端微塵に圧殺された。
手錠すらされていない。ただ、暗く無機質な密室で、大画面に映る「顔面に大量の精液を受ける自分」を直視させられながら、その事実を完全に言語出力させられたという精神的暴力だけで――美波の下腹部の自律神経系が完全に決壊した。
美波の背筋が弓なりに激しく反り返り、鉄の椅子の背もたれが軋む音を立てた 。
現役制服のカッターシャツの胸元がはち切れんばかりに波打ち、タイトスカートの内側で、パンストのクロッチ部分へ向けて大量の自動服従分泌液が一斉に漏出した。
四肢を激しく痙攣させ、美波は本日最初の凄絶な【脳逝き】へと叩き落とされた。
自律神経が完全に暴走し、椅子の鉄製の座面の上で、パンストとタイトスカートの裏地をぐずぐずに濡らし尽くしていく。
藤田美沙は、その現役エース刑事の無残な痙攣と、スカートの裾から床へ滴り落ちる物質的な汚損の様子を、ただ冷徹に観測し、手元の調書に淡々とペンを走らせるのだった。