レズロック!〜当方ボーカル、メンバー募集したらレズバンドに捕まってしまった件〜 作:ハヤ0313
バンドがしたい。
出来ればロック。何故ならカッコいいから。
そう、ロックはカッコいいんだ。それだけで良いんだ。理由はそれ以外に必要ないんだ。
でも正直、女の子でロックバンドをやれるような伝手はサッパリ無い。
高校に軽音学部があるわけでもないし、バンドをやっている人がいたとしても私が今から新しくメンバーとして入る余地がある筈がない。
なので、そうすると外部に頼るしかなくなる。
一応それなりに人口が多い所に住んでいるから、ライブハウスやスタジオは足を伸ばせばいくつかある。
その中で、前々から目をつけていたスタジオ……立地とか雰囲気とか……に張り紙をさせて貰える事になった。
当方ボーカル!
ギター!ベース!ドラム!募集中!
ガールズロックバンドやりたいです!
……まぁ、詳細は省くけどこんな感じ。
店長さんがすごーく苦笑いしてたけど何故だ。
本当はネットで募集した方が効率が良いのだろうけど、なんというか、どこか扱いが怖いからこうやってアナログな感じに頼ったのだ。
なんだけど、
「全然連絡こないんですけどぉー……」
あれから一ヶ月、何の音沙汰も無い。何故だ。
というかここに出入りしている人達から鼻で笑われている節さえ感じられる。何故だ。
「まぁ、
「そうなんですかねー」
やっぱり女子バンドマンは少ないんだろうか。
って事を店長さんに聞いたんだけど、
「いるにはいるんだけどね……」
との事。
いるんだ、紹介してくれないかな。
「その子達ももう組んでるし、あと、まぁ、ちょっと素行が、ね……」
素行とな。
女の子なのに素行が悪いって言われるなんて相当だと思うんですが、何したんだろうその人達。
って聞いたら店長さんものすっごく難しそうな顔した。そんな顔初めて見たし。
なんて、週末に来て雑談してた時だった。
「店長ーっ! このどう見ても地雷の子ってまだ募集してる?」
女の子が、私の張り紙を指差して首を傾げていた。
あれは……ギターケース?
っていうか地雷の子、って私の事⁉︎
「あぁうん、募集してるけど……キミんとこボーカルいたでしょ」
「抜けちゃって」
「……また何かしたんでしょ」
「……えへっ」
「えへじゃないよもう出禁だよ出禁……」
「今度で! 今度で最後にするから!」
「本当にぃ……?」
店長さんが女の子と色々話してるけど、なんとなく分かったのは、その、この子が素行不良の女子バンドマン、なんだと思う。
キラキラの金髪のウルフカット。
身長は私よりも少し低め。けどその挙動は元気いっぱい!って感じでなんというか、かわいい子だなーって感じ。実際美少女だし。
「……?」
なんて、じろじろ見てたら視線が合ってしまった。
「ねー店長店長っ」
「なに……」
「あの子が地雷の子かなっ」
「言い方」
言い方。
って店長と一緒のツッコミを心の中でしていると、金髪の女の子はズンズン近付いてきて、って近い近い近い⁉︎
「ねっ! えっと……」
「え、と、朱結、です」
「しゅゆちゃん……朱結ちゃん!」
「は、はい」
ノリが、ノリと勢いが凄すぎる。バンドマンぱない。
そんなノリに圧倒されていると、金髪の女の子は私の手をガッと握ってきて、
「私達のバンドでボーカルしてくれないかなっ!」
そう、言ってきた。
まるで、ドラマかマンガの一場面。
きっとここから私のナニカが始まっていく。そんな予感がした。
だから私は、相手が素行不良の女の子なのだとか、そもそも誰なのかだとか、何も考える事なく頷こうとして、
「ダメだよ
「ときちゃん先走りすぎー」
新しい登場人物二人に金髪さんが目の前で引っ叩かれるのを目の当たりにして、なんというか、目が点になってしまった。
「ごめん、えっと……」
「あ、朱結、です。
「方尾さん。ごめん、この子が先走った」
黒髪のショートヘアーの美人の女性……背が高くて、年上、かな。この人もギターケース背負ってる。
めっちゃ金髪さんの頭をねじ伏せてるけど、その、そこまでしなくても……。
「ときちゃん、めっ」
「だぁってぇー」
「反省して」
そんな金髪さんに説教してるのが茶髪のゆるふわミドルボブの優しそうなお姉さん。え、ちょっと待ってこの人おっぱいでっか⁉︎
そ、それはさておき、この人は何も持ってない……え、もしかしてこのお姉さんがドラムなの⁉︎
「だって見てよあれぇー」
「あれって?」
なんて色々動転していると、金髪さんはそう言って私の張り紙を指差していた。
金髪さんがねじ伏せられたままに、黒髪さんと茶髪さんがそれを確認しに行くと、
「うわぁ」
「うわぁ」
なにその感想。
「ねーっ⁉︎ スカウトして問題ないでしょーっ⁉︎」
「……そうだね」
「……そうね」
なに、なにその、なん、なんだぁ?
「でもね、常葉」
「なに
「テストはするから」
「あー……」
ん? あ、そうなの?
「そうだねー。朱結ちゃん、だっけ?」
「あ、はい」
「一緒に組む以上、ある程度の実力は見たいからちょっとした試験をさせてほしいの」
と、茶髪さん。
でも言ってる事は正直分かる。金髪さんみたいにいきなり一緒に組もう、って来る方がどうかしてるんだ。
「……って、もうスカウトする前提になっちゃってるけど、朱結ちゃん的にどうかな? 大丈夫? イヤだったら言ってねっ⁉︎」
……だけど、断る筈がない。こんなチャンス、二度とない。
だから、大丈夫。
「よろしく、お願いします……!」
という訳で、彼女達が元々借りる予定だったスタジオの一室に一緒に移動。
その前に店長さんから、
『変な事されたらすぐ逃げるんだよ……っ!』
って真顔で言われたけど、変な事って何されるのマジで……。
皆さんは真剣な様子で各々の楽器を用意してる。
金髪さんはギター、黒髪さんはベースだった。そして茶髪さんはやっぱりドラム……。
何度か音を鳴らし始めて、スピーカーから生の音が鳴り始める。
大きい音。
背中がゾクゾクする。
そこにドラムの音が混ざり始めて、いつの間にか
頭がぐちゃぐちゃになる。
高揚感で叫びだしたい。
違う。
叫んでいいんだ。
だから。
「っ!」
マイクを、掴んだ。
「いつでもいけます」
音が止む。
だから宣言する。
ここが私の場所だと。
ここからは私の独壇場だと。
だから。
「ッ!」
全力を、出し切った。
「お疲れ、さまでした……」
今までで、一番気持ちよかった……。
生バンド……すごい……最高すぎる……。
「……うん」
「……すごかった」
「……やー」
賞賛の声が嬉しい。
私的にも人生で一番輝いていたんじゃないかって思う。
「朱結ちゃん、ちょっと待っててね?」
「ぁぃー」
金髪さんからそう促され、部屋の端っこで水を飲みながら待機。
やー、それにしても楽しかった。
なんていうの? ギターとベースとドラムが私を引き立ててるっていうの?
妙に波長が合ったんだよねーなんでだろ。
あぁいやこれはよくある、お前をカバーしてるんだよ、的なやつじゃなく、マジでそう思ったの。
これは……運命……ドヤァ。
「……これは……思ったより……」
そう、思ったより良い、でしょお?
思わず聞き耳立てちゃったけどそう、私は稀代の天才ボーカリストなんすわ、これは当確でしょ間違いないわ勝ったなガハハ!
「……うん」
うほほい!
これは私の才能が溢れて仕方がない流れ!
さぁ皆さん私を褒め称えるがよい!
「方尾さん」
「はい!」
あ、黒髪さんがこういう時のリーダーなのかな。
……なんで金髪さんも茶髪さんもすごく気まずそうなのよ。待ってよ。
「すごく言いにくいんだけど」
「え」
待ってよ。
「あー……」
ねぇってば。
「仮合格って、どうかな」
は?
「正直、今のレベルではちょっと物足りない」
「え、あ、はい」
きっつい事を言うね黒髪さん。
えぇぇ……? 史上最高の仕上がりだったんだけどなぁ……?
「なので、しばらく私達と練習
「クビ、ってことですか」
「……まぁ」
きっつい事を言うね黒髪さん。
……そして大変だね黒髪さん、いつもこんな役割してんのかな。
じゃあ仕方ない。お姉さんの胃が大変そうだからさっさと終わらせてしまおう。
「分かりました。それでお願いします」
「……ごめんね。こんなやり方で」
「いいえ。なんか、その、物足りない、らしい、ですし……」
「あ、あはは……」
否定してほしい。
「よーしっ! じゃあ結成祝いにご飯たべいこーっ!」
「おごるよー」
「そうだね。よし、方尾さん、何か食べたいものある?」
「え? え?」
流れの変化が早過ぎない?
え、なんでも良いのかな。
じゃあ焼肉とか……あ、なんかそれはダメっぽい雰囲気がする。
それなりに高いのはダメか……じゃあ、え、どこだろ。
回転寿司とか? あ、にっこりされた。
ここでイカれたメンバーを紹介するぜ!
ギター!
現役女子高生にして同い年。
けどちょっぴり身長は私の方が上。だけど何故かおっぱいは私より大きめ。何故だ。
でもそんな事よりも、身体の細さというかバランス?がもう比較にならないくらい凄く整ってる。勝てない。
あと今日の下着は花柄の青。かわいい。
ベース!
なんとOLさん。仕事人だった。
もうね、身長高めでシルエットがすっごく綺麗なの。男装とか超似合いそう。
その代わりおっぱいは、その、控えめでいらっしゃるんだけど、モデル体型が全部を帳消しにする程の威力だから全く気にならないよね。
あと今日の下着は黒。大人えっち。
ドラム!
現役女子大生。しかも割とすごいとこの人だった。
身長は私と同じくらいなんだけど、ホントにおっぱいがデカい。もう道行く人が皆振り返るレベル。
だから本人がすごい美人さんだって事に私も遅れて気付いた。というかこの三人美人美少女が過ぎる……!
あと今日の下着は白。レースたっぷり。
……なんで下着の色まで分かるのかって?
「んあっ! だめぇっ! あっあぁああっ!」
今ラブホで皆さんから性的に襲われているからです。
どうしてこうなった⁉︎
そ、そう。最初は普通に某回転寿司チェーン店でごちそうになっていたんだった。
金髪さんはひたすらサーモン食べてて、茶髪さんは容赦なく高いネタを食べてて、会計持ちの黒髪さんは密かにキレ散らかしながら自己紹介とかしてくれたんだっけ。
バンドの名前は、リリス・リリィ、なんだとか。絶対これリリリリって呼んで欲しいやつだと思う。聞けなかったけど。
結成はわりと近年で、金髪さんが高校入学と同時期くらいなんだとか。だから二年目だ。
スタジオを借りての練習は月に二、三回ペース。繁忙期テスト期間とかは調整するとのこと。
ボーカルの機材は基本的に借りるから買わなくてもいいけど、自前のマイクとか買いたいなら買ってもいいよとのこと。ガイコツマイクとか。あ、知ってるそれ。買いたい。でもちゃんと合格貰ってからにしよ……。
「なんでロックバンドに入りたいか、ですか?」
で、あぁ、この辺で私の事も聞かれたんだっけ。
「ロックって、かっこいいじゃないですか」
だから、そう答えた。
……なんだけど、家族からも友人からも、お前は言葉がいつも足りない、って怒られるから、今日は少しだけ、言葉を付け足したんだった。
「その、ロックってかっこいいんですよ。それが当然で、当たり前のことなんですよ。それ以上私にとって分解出来ないことで」
……なんだろう。言葉にすればするほど陳腐になっていく。
こんなの全然ロックじゃない。
「だって、ロックしてる人達って皆カッコいいじゃないですか」
違う。それも違う。
どうして。私の気持ちはどう表現すればいいの。
「だから、だから私は……!」
違う。違うんだ。
黒髪さんを困らせたかったわけじゃない。
金髪さんをオロオロさせたかったわけじゃない。
茶髪さんもそんなに優しくしないでください。
「ただ、ロックが好きなんです……」
説明出来なくても、詳しくなくても、実力が伴ってなくても。
それでも、好きなんだ。
そんな私を皆さんが気遣ってくれて、もはや回転寿司の空気じゃなくなったので二次会の会場に選ばれたのが、なんとラブホ。
え、なんでラブホ? ホワイ?
テンションが一瞬で迷子になったよね。
いいとこ連れてってあげる、って金髪さんから言われて、皆さんから引っ張られてきたとこが、ここ。妖しげな建物オブラブホテル。
え、でも高校生たる私と金髪さんがいても大丈夫なんだっけここって。
「私とまなちゃんがいるから大丈夫だよー」
「……まぁ」
なんて疑問を抱いてたら、茶髪さんがそう言ったから大丈夫なんだろう。黒髪さんも頷いてるし。じゃあ平気か。
という訳でラブホに初めて入った感想。
「おぉ、案外かわいい」
こう、意外にもラブでえっち、って感じじゃなかった。いやラブでえっちなのがどういう感じなのかはそれはそれで分からないけれども。
なるほど。これは確かに女子会が捗るかもしれない。
あぁカラオケとかルームサービスとかあるんだ、はえー。
「……お酒飲んでいい?」
「あ、じゃあ私もー」
「ぶー、大人はいいなー」
あ、なんか勝手にやりだした。じゃあ私の分のドリンクもお願いします。
カラオケ大会? よーしじゃあ早速ボーカルの力を見せつけてやりましょうぞ。
え、バツゲーム? 音程外したら服を脱ぐ? 余裕ですよ余裕。
さあ皆さんいきましょう。
「私達が下着になるのは分かるんだけどさ」
「方尾さん……」
「ボーカルが下着になるのはちょっとー……」
こんな筈では。
「や、やり直しを要求します」
「朱結ちゃんってもしかして面白い子?」
失礼な。金髪さんも金髪さんで容赦ない人だ。
なのでベッド上で転がってる金髪さんのほっぺたをむにむにしておいた。
しかしこのベッド、四人乗って丁度良い広さとか、普段どういう使われ方するんだ……?
「んんー?」
「わっ⁉︎」
なんて、一瞬の隙を突かれた。
「なっ、なんですっ⁉︎」
「んふー」
茶髪さんから、ベッドに押し倒された。
うわ、酔っ払ってるっぽいこれ。
「しゅーちゃん」
「え、私? あ、はい」
そんな呼ばれ方されたの初めてだったからびっくりしちゃった。
「えっちなこと考えてたでしょ」
「……は?」
……は?
「ベッドの方じーっと眺めて、ここでどーんなプレイするんだろぉーって、考えてたでしょ」
「考えてません」
そこまでは考えてない。
というか茶髪さん。雰囲気がえっち過ぎるんですが。
「お姉さんが教えてあげようか……?」
「いいえ結構です」
ダメだえっち過ぎるぞこのお姉さん。
あの、誰か止めてくれませんか。
金髪さん? あ、ダメだウキウキした目で見てる。
黒髪さん? あ、ダメだ頭抱えて諦めてる。
茶髪さん? あ、ダメだちょっと待って待ってウソでしょ、
「ん……」
「んんっ⁉︎」
キス、された。
「んんんっ! んぅっ⁉︎ んんんんんっ!」
押し倒された状態で、頬をガッチリと固定されて、キス、というか油断した隙に深い深いキスをされた。
「んむぅぅっ! んんっ! んっんっんんっ!」
驚愕で目を見開くけど、茶髪さんの背中をぺしぺし叩くけど、そんな事を出来ていたのは本当に少しの間だけだった。
唇と唇が合わせられ、舌が、強引に絡め取られる。
そんなものがしばらくの間ずっと、ずぅっと続けられて、呼吸が辛くなる程に続けられて、頭がぽおっとする程の間ずっとずっとずぅっとキスされ続けてたら、くたぁ、と力が、抜けてしまった。
「はむ……ん……ちゅ……んっ……」
残ったのは、茶髪さんのキスを無抵抗で、素直に受け入れている私。
そんなだから、啄ばまれる度に、舌が絡め取られる度に脳が蕩けるような快感が止まらなくなってしまった。
「んっ……んぅ……ちゅむ……は、ぁ……」
だからいつの間にか、茶髪さんの背中に腕を回したりなんかして。
最初にあったような激しい、無理矢理なキスなんかもう無い。
今は慈しむような、私を可愛がってくれるようなキスばっかりしてくれて、頭が蕩けてしまいそうになるし、心が弾んでしまいそうになる。
「私も私もーっ」
「ぁ……」
そんな折、横から金髪さんが入ってきて、キスの相手が交代した。
「ん……んっ……んっ……」
啄ばむようなキスから始まって、やっぱり深いキス。
だけど、彼女は目と目で会話しながら啄ばみ合うのが好きみたい。
……黒髪さんは、どういうのが好きなんだろう。
「むーっ! 私とのキスに集中してよーっ!」
「ご、ごめんなさい……」
怒られた。そりゃそうだ。
だからお詫びにいっぱいキスをする。
金髪さんを抱き締めながら、何度も、何度も、何度も。
「っ⁉︎」
「あーっ」
「あーっ!」
なんて時だった。
ブラのホックを、いつの間にか参戦してた黒髪さんから外された。
「真香さんズルいーっ!」
「え、いや、え、ごめん……」
「あ、酔っ払ってるー」
ふわり、と浮くブラ。
待って。流石にちょっと待って。
「ごめん方尾さん」
「は、はい」
流石にそれはシャレにならないっす。
「せめてちゃんと気持ちよくなって」
「はい?」
「じゃあパンツ脱がせるねっ」
「え待って」
「待たないよー」
「うそでしょ」
なんて、頭が展開に追いついていないでいると、金髪さんからパンツを脱がされ、茶髪さんからブラを剥ぎ取られ、素っ裸の状態になってしまった。靴下がある?うるさいよ。
「ちょ、あの、んわっ⁉︎」
そして、ベッドの中心に、三人から押し倒された。
「やめっ、んんんんっ!」
そして、唇をまた茶髪さんに、塞がれた。
あぁ、ダメだ。また流される。そう確信した。
「んんっ! んっ! んむぅううっ!」
さっきみたいに、えっちに、激しく、容赦なく。
こっちの正気を刈り取るようにして茶髪さんは唇を合わせてきて、私の舌を絡め取ってきた。
「んっんっんんっ! んっ……ちゅ……」
だから、経験の浅い少女が大人しくなるのなんてすぐ。
頭がぽおっとして、くたぁ、と力が抜けるのなんてさっきよりも時間がかからなかった。
「ん……ちゅ……んっ⁉︎」
だから、前後不覚になりながらキスをせがんでいると、ふわ、と私の胸が、誰かに揉まれ始めた。
「んっ、んっ、んっ……」
黒髪さんだ。
さっきまであんなクールな感じだったのに、なんだかすっごく熱っぽい感じ。
「ちゅっ……ぁっ……ゃぁ……」
乳房が、ゆっくり、大きく揉まれる。
手付きがすっごく優しくて、全然痛くない。むしろ胸で感じた事なんてほとんど無いのに、ちょっとだけ気持ちいい。
「んん……は、ぁ……」
むずむずする。
変に胸が気持ちいいから、
「んゅぅ……ぅ……んんっ……」
こんなの求めちゃいけないのに、こんな意味不明な状況で求めちゃいけないのに、身体が勝手に揺らめいて、黒髪さんにそこを触ってほしくて求めてしまう。
「ふゎああ……っ!」
だから、優しい黒髪さんは、応えてくれた。
「あぁっ……んぅっ……んんんっ……!」
ちゅぷ、と私の期待に満ちた乳首を咥えてくれて、くちゅくちゅくちゅって舐めしゃぶってくれた。もちろんもう片方の乳首は指でくりくりくりってしてくれてる。
「はぁぅんっ……んんっ……んぁあっ……!」
もう天にも昇る気持ちよさだった。
胸の中にあったどろどろが一気に流れていって、新しく生まれる熱も一瞬で昇華されていく感覚。
つまり、とても気持ちいい。
「あぁあんっ……! んちゅぅっ……んんっ……!」
そこに加わったのが茶髪さんのキス。
黒髪さんの胸の愛撫だけでもすごく気持ちいいのに、茶髪さんのキスだけでもすごく気持ちいいのに、そんな二つ同時だなんて。
「ぁっんんっ……んんんっ……はあ、んんっ……!」
脳が、蕩ける。涙が出そう。
こんな気持ちいいの経験した事なんてある筈なくて、頭がどうにかなってしまいそう。
茶髪さんが目の前で優しげに微笑んでて、黒髪さんが私の胸元で熱っぽく浮かされた表情で……金髪さんは?
「んあっ⁉︎」
だから、私のあそこから強烈な快感が立ち昇ってきた。
「んふ」
驚きで黒髪さんの奥を見れば、私の脚の間に金髪さんが陣取っていて、
「女の子の一番気持ちいい場所、してあげるね?」
そんな事を、言ってきて、
「ふぁあぁあっ!」
私の一番弱い場所を、触ってきた。
「ああっ! んんぅっ! んっぁああっ!」
クリトリスから、感じた事がないくらい気持ちいいのが流れてくる。
指先一つでゆっくり、ゆぅっくり触られてるだけなのに、こんなにも気持ちいいのが信じられない。自分の場所なのに、自分の場所じゃないみたい。
「ひぅんんっ! んあっ! ぁっあっあぁあっ!」
腰がひくひくと浮いてしまう。そんなつもりはないのに、金髪さんに向かって、もっと触ってください、って伝えてしまう。
だから金髪さんはニッコリ笑ってもっともっと触ってくれて、もっともっともっと気持ちよくなってしまう。
「はぁあんんっ! んんっ! んっぁあああっ!」
だんだん、指遣いが激しくなっていく。
だんだん、気持ちいいが溜まっていく。
身体全体がくなくなと揺れ始めて、もう何に縋れば良いか分からなくて、とりあえずシーツをギュッと掴もうとして、
「んんんっ⁉︎」
ダメだよ、と両手を茶髪さんと黒髪さんに絡め取られた。
「んんんっ! んんぅっ! あっんんんっ!」
その上で、また激しくキスされて、さっきよりも少し激しく胸と乳首を愛され始めた。
「ふぁああっんんっ! んんっ! んんっ!」
こんなの、こんなの無理。
口の中で自分の喘ぎ声が反響して脳に響いて、乳首が幸せ気持ちよくて、クリトリスが尋常じゃない程に気持ちよくて、なのに、なのに両手がキュッて絡め取られて安心している自分がいて、こんなの、こんなの、こんなの、
「んんっ! んんっ! んっあっああぁぁああっ‼︎」
イく以外の選択肢が無い。
ビクビクビクッ!て身体が痙攣して、腰が一気に浮いて、恥ずかしい姿を三人の前に晒した。
「はあっ! はっ! はっ! は……」
呼吸が、荒ぶる。
こんな気持ちいいの、初めて。
「んふっ」
「かわいい」
「気持ちよかったー?」
こちらを見下ろしてくる三人の現行犯。
そうだ。意味が分からないけど、レイプされたんだった。
気持ちよかった、じゃないんだ。
逃げないと。逃げて、それから……。
「じゃあ次は私とキスしよっ」
「え……んっ⁉︎」
なんて、考えている場合じゃなかった。
今度は金髪さんが、私を組み伏せてキスをしてきた。
「じゃあ私があそこ……」
「じゃあ私はーどうしよっかなー」
イったばかりで頭がぼおっとする。何も考えられない。
「んっんっ……ちゅ……」
分かるのは、
「んっ、ぁあぁああぁああっ!」
黒髪さんの愛撫がやたら上手いという事。
「ぁは、まなちゃんのクンニ、やばいでしょ……」
「ひぅっ⁉︎」
そして耳も性器になりうるんだという事。
「しゅーちゃん、今夜は寝かさないからね……?」
そして、逃げれるタイミングはさっきが最初で最後だったという事。
「ああぁあっ! あっんんんっ! んっぁああっ!」
結論から言うと、寝れはした。
というかイき過ぎて意識が落ちた。どんだけ。
「……ッ」
という訳で、皆さんが寝てる隙に服を着て荷物を抱えて脱出……!
ってあれ⁉︎ ドア開かない! なんで⁉︎
「……ラブホってそういう仕様だから」
「黒髪さん⁉︎」
「黒髪って……蓮田真香」
「あ、あぁつい……」
そーっと動いてた筈なのに、起きていただなんて不覚。
というか無音で背後に立たれるとすっごい怖いんですけど。
「……今開けるから待ってね」
「え?」
「え?」
なので、今度は何が始まるのか、とヒヤヒヤしてたんだけど、なんと何も始まらなかった。
「帰って、良いんですか……?」
「あー……」
なので、思わず聞いてみた。
そうすると黒髪さん、蓮田さんは、
「……次の合同練習、この日だから。良かったら」
とだけ言って、背を向けた。
「……はぁ」
なので、よく、分からない感情を抱きながら、人生初のラブホテルを後にした。
ロックが好きだ。
特に理由は無い。
カッコいいと思った。カッコいいと感じた。
ただ、それだけ。
「あは」
「……お」
「しゅーちゃんだー!」
だからその日、スタジオに私は顔を出した。
「来てくれたーっ!」
「よかったーっ」
「わぷっ⁉︎」
そしたら大歓迎。金髪さんと茶髪さんからダイビング攻撃を受けてもみくちゃに。
「……来ないかと思ったよ」
そして溜息を吐きながら黒髪さん……蓮田さんがそう言った。
なので私も全力で溜息を吐きながら言い返す。
「……逃げるのはロックじゃないかなって」
半分強がりだけど。
そう、あのまま何も出来ずにただ下手くそ呼ばわりされてレイプされて終わる、っていうのが頭にきて、だったら見返してやろうって。
だから、これが私なりのロックかなって。
「へぇ」
「……そっか」
「うんうん」
そんな私の宣誓を、皆さんがどう受け止めたのかは分からない。
だけど、
「んじゃー今日から本格稼動開始だねっ!」
「よろしくね」
「厳しくいくよー」
これで本当の、仮合格、ってやつなのかもしれない。
……それに、気になる事もあった。それを確かめたい。
「……ところで皆さん」
「ん?」
けど、これだけはハッキリさせておかないと。
「なんで私襲われたんです?」
そう。それだけは本当に分からなかった。
考えられる可能性としては、この人達が悪徳レズバンドだっていう理由しか……
「え? 私達が悪徳レズバンドだからだよ?」
「常葉……」
「ときちゃん言い方……」
おぉもぅ……。
「だからそっちの方も、よろしくねっ」
「遠慮します」
「えええええええええええええええええ」
「えーじゃないです」
「あんなにあひんあひん言ってたじゃん!」
「あれはっ! そのっ……闇討ちだっただけでっ!」
「闇討ち」
そう。あれは不意打ち的なサムシングだったから遅れを取ったのであって、私がよわよわだとか悦んでいただとか、そんな事は一切無い。
「常葉」
「うー、なにさ真香さん……」
「こういうのは合意が大事だから」
「むー」
そうだぞ蓮田さん良い事を言った。ただし合意はしない。
まぁその蓮田さんからホックを外されたんですけども。覚えてるからな。
「そうだよときちゃん」
「里美ちゃんまでぇ……」
「無理矢理和姦すれば良いの」
「それだ」
無理矢理和姦ってなに。知らない日本語出すのやめて。
茶髪さん、ぽわぽわ雰囲気かもしだしてるのに案外ぐいぐい来るから危険なんだよな。
「ま、いいかげんスタジオ入ろ?」
「……そうだね」
「だねー」
えええええこの流れでぇ……?
もしかしてスタジオの中であひんあひんにされたりするんだろうか。
いや流石にそんな事は無いだろう。彼女達とて音楽には真面目に取り組んでいる筈、この間の演奏からそれは伝わってきた。
「……朱結ちゃん知ってる?」
「はい?」
そんなスタジオ内、色々機材セッティングしてる時に金髪さんが話しかけてきた。
「ここってもちろん音は外に漏れないよね?」
「そうですね?」
「外からも見えにくいよね?」
「そうですね?」
「実は監視カメラも無いんだー」
「はぁ」
ニマァ、と笑う金髪さん。
「えっちなこと、出来ちゃうねっ」
「しませんからっ!」
「わお流石ボーカル声でっか」
蓮田さんは呆れてるし、茶髪さんはくすくす笑ってるし、あぁもうなんなんだこのレズバンドは。
「じゃあ今日もこの間と同じ曲やってみようか」
「はいっ」
溜息一つ。
そして呼吸一つ。
自分の中の世界を変える。
ここが私の場所。
ここが私の独壇場。
「ッ!」
だから、ここから私のロックが始まるんだ。