教授って童貞ですか? 作:ニンニク番地
レンはいつからここにいたんだっけ。
薄暗い子供部屋の中にレンはいた。閉じ込められていたのかもしれない。
部屋にはおもちゃ、絵本、こども達の机やベッドがある。
みんなでお絵描きしたり積み木を崩して遊んだことを思い出す。
でもねベッドはたくさんあるのにレンは一人ぼっちだった。
クロス、エッタ、アジェ、カトル。
みんなみんな、いなくなってしまったのね。
レンを置いてきぼりにして。
こんこんこんこん
ドアをたたく音がする。レンはとっても怖かった。
光の差さない部屋の隅で膝を抱えてうずくまり、
お気に入りのぬいぐるみを抱えて朝日が昇るのを震えて待つ。
いつもずっとその繰り返し。
でもね、ある日、なんでだろう、ぜんぜんお外が怖くなくったの。
きっと怖いことがあったのに。
ううん、なんであんなに怖かったのだろう。
こんこんこんこん
優しくドアと叩く音がする。
ぎゅっとウサギのぬいぐるみを抱きしめて様子をうかがう。
お外のだれかは小さく足音を立てて去っていったの。
ドアノブを回してみる、少しひんやりしていた。
そっとドアを開けて外の様子をうかがう、外には光が広がっていた。
まぶしくって、目をつむちゃった。
でも目を開けたら、黒い髪の男の子と銀髪のお兄さんがいた。
くす、王子様が二人も迎えに来てくれたのかしら。
ここはあの子供部屋ではなかった。
真っ白いカーテンときれいな白いお布団、清潔感のある部屋で
消毒液らしい、すこしつんとした匂いが漂っていた。
連れ出したウサギのぬいぐるみは同じベッドで寝かされていた。
なんかおめかししてる?
レンが起きたこと気づいた黒髪の男の子はすこし目を見開いた。
まるでお月さまみたいに優しくて黄色くて冷たく光って見えた。
あ、きいろ、レンとおそろいだ。
「おはよう……、体調はどう……?」
……ふふ、寝起きに随分なご挨拶ね、
でも仕方ないわ、レンってばとってもお寝坊さんだったもの。
「……おはよう、レンすごくねむいわ……」
レンはとっても瞼が重くて、返事をするので精一杯だった。
「ヨシュア、どうやらまだ疲弊しているようだ。
あんな場所では無理もないだろう。 ……もう一度眠るといい」
おめめをしょぼしょぼさせてたら、銀髪のお兄さんが声をかけてくれた。
「そうだね、レーヴェ。
おやすみ……、今度起きたらレン、君とお話してみたいな」
「うん……」
ウサギのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。ふわり甘い香りがした。
そうしてレンはもう一度眠りについた。
おやすみ、『レン』
正直今から無かった事にしたい程の屈辱的な
「おはよう、良い知らせがある」
結社
「君の大事なお友達が目を覚ましたそうだ。
まだ起き上がれないようだが、近いうちに快方に向かうだろう」
菫髪の少女ことレンは意識を取り戻した。
現在は回復に専念させているが、身体機能は問題ないようだ。
近いうちに執行者候補の訓練に参加出来る見込みである。
「えっ、すごい、早いです、どうやったんですか」
私の居室の椅子に座っていた子供、ネロは飛び上がった。
そういえば動く死体同然だったが会話するために声だけ出せるようにしたらしい。
「確認してもいいですか?」
ぴょこぴょこと私の前にやってきた、どうやら私の言葉を鵜呑みにはしてないらしい。
実際、私も任務から帰ってきたヨシュアから報告を受けて、驚嘆した。
まさかこの子供の言う通り一か月ほどの記憶を消した、もう意識を取り戻すとは……。
この子供とは違い、あの少女に暗示は通用した。
そのため、力の無い少女かと思っていた、しかしあの教団で生き残っていただけあって何か持っているようだ。
それだけに面白い、封じた記憶にどれほどの陰惨な記憶が詰め込まれているか、興味が湧く。
だが今は目の前の子供がなぜ私の居室に入り浸っているか説明する必要があるだろう。
あの事故の後、私はネロと名乗った子供と話をした。
「古代遺物という言葉は知っているかい」
「はい、おとぎ話とかに出てくる魔法の道具ですよね、本で見ましたよ」
「おとぎ話ではなく実在するのだ。しかもあれは貴重な稼働する古代遺物、つまり生きた本物なのだよ」
「なるほど、おとぎ話じゃなくて本当に存在するんですねえ」
「そうだ、あと先ほどの現象はあの古代遺物が起こした事で、私の本意ではない」
まあ管理責任は私にあるが、話がややこしくなるので伏せておこう。
なぜ、私は釈明しなくてはならんのだ。
「つまり、あの
……色々、脱線したが。
肝心なことがはその後だ、箱が再起動した。
あの部屋には飛ばされることはなかったが、あの箱が輝く環にアクセスしているとが判明した。
どうやら起動した後、何らかのデータを送信しているらしい。
僥倖だった、
調度、頭を悩ませていたことがある。福音計画についてだ。
結社の主目的、オルフェウス最終計画の
第一段階、リベール王国に封じられた七至宝が一つ、
封印を解く計画は水面下で準備中ではあるが、封印が解けても肝心の輝く環が見つからなければ意味がない。
そこであの箱だ、暗礁に乗り上げていた環の探索も捗ることだろう。
しかし、あの箱の起動にはどうやら二人の人間が必要だった。
計画の目的と、自身の貞操なら、無論前者を取る。
あとはもう一人である、そこで白羽の矢が立ったのは目の前の子供である。
私は、少女の治療の対価に協力関係を持ち掛け、相手も二つ返事で了承したのだ。
「ずいぶん協力的で助かるよ」
「いえいえお互い様ってやつです、それに私もその輝く環?ってやつに、ちょっと用ができまして」
「ふむ、何が目的かね。話は聞いてやろう」
「あの箱が送信してたデータって、おそらくさっきの私たちですよね。
もし映像とか流出する前に消さないと不味くないですか?」
考えたくない可能性まで突き付けてきたが。
「なので、わたし教授と仲良くなりたいです、一緒に頑張らせてください」
ふむ、これまでそうやって生きてきたのだろうか、あの少女の事といい、ずいぶん弱みを握らせてきた。
まあ従順な駒も悪くないだろう。
最初の思惑とは違うが、私はこの子供を部下として引き取ることにしたのだ。
対外的には古代遺物が反応したからとした。
早速、少女に処置を行った。意識のない相手だ、記憶操作ぐらい造作もなかった。
あの女が例外だったのだ。
そして今後の話をしようとして、今に至る。
「処置の方法はいつか話そう、確認はしてよいが、守ってもらわなくてはいけないことがある」
「はい、なんでしょう」
「私は、君のお友達の記憶を封じた」
「……」
「しかしだ」
私の話を聞き、大人しく耳を傾ける。どうやら見た目よりは知性がある。
あくまで見た目より、だが。
あの部屋の中でのあまりにも品性の無い語彙の数々を思い出した。
……万が一のこと考えて普段から黙らせたほう良いだろう、ちょうど良い理由付けもある。
「声、見た目、名前……ふとした切っ掛けで記憶の封は綻びを生じさせる」
これは事実ではあるが、今回においては正しくない、私は別にそんな柔な封印は施してはいない。
「要するに、普段は黙って遠くから見るだけにしておくといい、近くで見るなら今のうちだ」
「……はい、承知しました」
そういって出ていったが、まだ帰ってこなかった。
苛立ちながら迎えに行ってやったら、医務室で医者に絡まれていた。
そういえばこの子供、体を全部直ってなかったな。
あの時触れたの肌の感触を思い出す。
あれはベッドの住人になる必要はないのだ、連れ戻してきた。
……鋼あたりが五月蠅そうだな。
これからの考えると苦労しそうである。
その分、働いてもらうことにしよう。
後日、探知、分析を行う為の機材を準備した。
箱の接続先を調べるため、実験室を用意したのである。
福音計画の為だ。
「準備はいいかな」
「はい、問題ないです」
女は落ち着かない様子で周囲を見渡した。
「おや、どうした」
「うーん、あの箱の起動ってことは、エッチするんですよね
私の相手はだれがやるんですか
どんな人が来ても大丈夫ですよ、
この千人切りのネロちゃんにお任せあれです」
「……」
自信の程に経験自体はあるのだろう、あの時の手練手管は素人といより玄人らしさがあった。
いや私には然程女性経験はないが。そう見えた。
しかし経験人数が4桁、さすがに見た目に対して数が多いと思う。
その肉体で1000人は無理があるだろう。
「君の見た目に対して千人はいささか過剰ではないかね」
「……ごめんなさい、サバ読みしてます、30人ぐらいでいいですか。
ついでに見た目よりは大人ですよ、わたし」
どうやら、セールストークだったらしい。
ついでにした自己申告だが見た目通りの年齢ではなかったようだ。納得はした。
まあ振る舞いが子供にしか見えないので子供扱いのままだろう。
「それで、私の相手はどなたですか?」
「私だ」
「えっと、もう一度お願いしていいですか」
「私がやる」
「え、正気ですか、あれだけお疲れでしたけど!
無理とかしなくていいんですよ?」
「あれだけの代物だ、広まるのは避けたい」
「な、なるほど」
確かに、私は初めての経験だったため、
この女に手動権を握られた挙句、醜態を晒した。
しかし、今回は違う、改めて知識は身に着けきたのだ。
箱の古代遺物が起動する、この前見た部屋だ。
観測には問題なさそうだ。
試練を与えて脱出させる。前回と同じだ。
ただし指示の文言は違った。
乳首責めをしよう、OKでるまでやって('ω')ノ
どうやら趣向を変えてきたようである。
この品性の無い言い回しだけは何とかならないだろうか
「乳首ですか、わたしはイケますよ!」
女は自信ありげな態度を取りながら言った。
態度だけは頼りになるが、この場においては単なる痴女の台詞である。
しかし今回は楽に事が終わらせられるだろう。前回のような無様をさらさずに済みそうだ。
で、あの女曰く、乳首責めにはいろいろ方法があるらしいが。
「まあ、つまんでくれればいいですよ、千切られてもイケます。」
普通の人間は肉体の損傷には快楽なんぞ感じないだろう、そっと突起に触れようとする。
男女二人で寝台の上であるが、悲しいことに女の体は、未成熟すぎる体である、
胸板も0か1で表すなら0と言い切れるほどの平面であった。
つまり、指先で捕えようとも、指先がかすかな頂をかすめるだけだ。
つまめないのである。突起の感触が分かるだけマシというものなのだ。
「仕方ないですねえ」
女は私の手を取って、胸を押し付け、擦り始めた。
乾いた皮膚を小さい粒が削り取るような、そんな感触。
「……っつ、あう」
小さな突起が私の手を犯しているようにすら錯覚する。
そうだ、突起に刺激を与えることができればいい。
考えてみれば、わざわざ奉仕してやる必要は無い。
しかし、私はあの時の雪辱を晴らすために、このような恥をさらすような真似を……。
それなのになぜ私は、と、そんな物思いに耽っていると。
女と目が合った。
白く、淡い、雪の降る空の色彩に。
色情を孕ませたまま。
顔をそらす、無心で掌を捏ね続けられること数分。
それは、もはや私の手で自慰をしているようで。
軽く体を震わせて女は果てた。
「ふう……、あの、教授」
「……分かっている」
前回と同じだった、片方が絶頂する程に行為をしても部屋から出ることはかなわなかった。
覚悟はしていた、というよりは自分の貞操などどうでもいいのだ。
福音計画のためならば多少の屈辱ぐらい甘んじて受け入れてやる。
安心してください、男の人も乳首で感じられますけど、絆創膏とかつければ大丈夫ですよ
逆にその言葉に不安しかないのだが
というか、どこまでやる気だこの女
指先を不気味に動かしながら、とんでもないことを口走りながら安心させようとする女。
悪寒がした、思わず胸を腕で隠してしまった。
己は生娘か。
かりかり、ふわり
性感帯一つを責めるといっても様々な方法があるらしい。
先ほどの乱雑な説明とは真逆に、女の愛撫は繊細だった。
乳輪をなぞり、乳頭に羽のように触れる。
指先が離れたと思えば、今度は爪先で押しつぶされる。
こそばゆかった。快楽を得るなど到底できそうにない。
眉を顰める。
「教授、乳首の才能ありますね」
あるのか、これで。
与えられた刺激で硬くなってしまったようだ、
すっかり、先端は立ち上がっていた。
「さあ乳首さん、頑張りましょう」
どこに話しかけてるんだ、この女は。
もどかしい。
私は立ち上がった。そういえば試してみたいことがあるのだった。
「んー、どうしたんですか」
「いや、脱出手段を確認したいと考えていたな」
前回は、突発的に異空間に閉じ込められた為、大人しく指示に従ったが、それ以外の脱出手段は確認する必要がある。
盟主から賜りし魔導杖を取り出し、魔術を発動させる。
敵対者を異空間に追放する禁術の応用だ、元の空間の座標を記録し空間を開く。
裂け目から実験室の景色が見える。しかし裂け目はすぐに閉じられた。
どうやら、そう簡単には脱出させてくれないらしい。
「ふむ、これは駄目か」
「あいたっ」
物音がした。音がしたほうを向くと。
女がなにやらヒモ状の器具を持っていた。
持ち手が付いた細長い黒いヒモ、柔らかい素材のようだ、U字型に曲げられている。
「なんか落ちてきましたよ。教授、これペナルティらしいです」
紙を見せつけてくる、そこには
罰ゲーム、使え( ゚Д゚)
と書かれていた。
この器具を使えということか、ルール違反にたいしては軽い罰のように見える。
大人しく従っておくとしよう。
「ふむ、この器具は一体」
「あーご存じないですか。尿道ブジーってやつですかね」
「尿道。カテーテルなら知っているが」
「そうそう、カテーテルと一緒です。
おちんちんの、おしっこ出す穴に入れて気持ち良くなるやつです」
カテーテル。立派な医療器具の一種であるはずだ。
排尿がおぼつかない病人ならいざしらず、
私のような健康な成人男性が世話になることはないだろう。
尿道は、本来出すところであって入れるところではない。
ましてやそこで快楽を得ようなど正気の沙汰ではない。
「待て、私にそれを入れようというのか」
「いや、だって罰ゲームですよ。
私にはサイズあってませんし。これ教授用ですよ絶対」
「し、しかしだな」
「ご安心を、
扱いは心得ておりますので私に身を委ねてください。
さもなくば大事なところが傷つくだけですよ」
潤滑油だろうか、粘性のありそうな透明の液体が入った注射器を持ってにじり寄ってくる。
罰としては軽いと侮っていたことを後悔した。
「えへへ、
固くなっちゃって、可愛いですね。
あ、そのまま力抜いておいてもらえます?」
「……好きにしろ」
ここで抵抗して、局部に不要な深い傷を負うよりはと。
そう判断した私は、この女に身を委ねる事にしたのであった。
「えーまず、この潤滑剤をですねえ、大事な穴にお注射しますねー。
ちゃんと、消毒済みですよ」
小さな手で私の男性器を支え、注射器の先端で穴を探す。
目的地を捉えたのだろう、注射器の持ち手を動かした。
敏感な穴に冷たい感触が広がる。
「で、次にずぶぶっとね、コレ。
挿れちゃいますね」
ゆっくりと、先ほどの穴にヒモの先端を入れる
潤滑剤を入れたおかげだろう、スムーズに私の体内に侵入してくる。
本来、入れるべきではない通り道を逆走してきたそれは、やがて行き止まりに辿り着いた。
前立腺だ。
「う”ッ~~」
「おっと、すごい声ですね。大丈夫ですか、痛くないですか」
なんだ、今のは。大丈夫じゃないが。
体験したことのない刺激に私の口から声が漏れてしまう。
正直、自分が出したとは信じがたい程の汚い喘ぎ声だった。
「い、痛くはない、続けろ……」
「はーい、喜んで」
女が再び手を動かす。先端が離れたと思えば再び行き止まり部分をつついた。
「おっ~。お”お”っ」
歯を食いしばり、堪えようとするが無意味だった。
今度は断続的に刺激される。
男性器から漏れ出た先走りと潤滑剤が混じりあった水音と、濁音に塗れた呻き声が密室に響き渡る。
やがて、視界が白く明滅する。
限界だ、熱がはじけた。
「ふぅ~~~~っ、ふぅ~~」
異物が私の中心を這いずっていたこの数分は苦痛といえるような快楽を私に与えた。
まるで永劫のようにさえ感じる程だ。しかしこれで終わりだろう。
荒げた呼吸を整える。
私の下肢を犯していた異物が引き抜かれる、黒いヒモとは対照的に白い液体が絡みついていた。
女が精液を拭い取ろうとするが、異物は消え失せていた。
「消えましたね。これで罰ゲームはOKということでしょうか」
私も同じ考えだ。しかし私たちはまだ解放されてはいない。
「んーでも、ここからまだ出れないみたいですね。
また乳首いじめるのも芸がないですし……」
「……ねえ、どうしてほしいですか。きょーじゅ」
女が私に問いかける。視線の先には異物で塞がれていたためか、絞り切れてない陰茎が勃ち上がっていた。
茹で上がった思考が弾き出した答え、それは燻ぶった熱を処理する事だった。
小さい体を押し倒し、欲を解消しようとする。
本能のまま、潤んだ割れ目に肉棒を突き入れた。
「ああっ、あ~」
腰をつかんで、我を忘れて最奥を突き上げる。
そこに待ったをかけたのは背中に回された脚であった。
私の上体は女の体のほうに引き寄せられる。
ちゅっ、ちゅう~~、じゅうるるる
女の口腔の中に私の乳首が吸い込まれていた。
小さい口で私の胸を貪る様は赤子のようであった。
「はっ離せ……」
私は、逃れようと体を起こそうとする。
しかし、女の手足が体に巻き付いていた。
私が逃げようとしたことに気付いたのか締め付けが強くなった。
よりいっそう、体が密着する。
愛撫された乳首と陰茎が受ける刺激が重なり、まるで胸で感じているようにすら錯覚する。
もしやこれが目的であったのだろうか。たしかに乳首と陰茎を同時に愛撫されれば指示を達成する事も可能かもしれない。
互いに貪りあい、高めあう。やがて快楽は頂点に達した。
「くぅ……」
「んっ♡そのまま中に、おしゃせーください……」
上の口と同じように、下の口が私から体液を搾り取る。
吐き出しきれなかった、精液を最後の一滴まで注ぎ込んだ。
絞り取られて萎えた男根が女の中から白濁とともに引きずり出された。
流れ出た液体がシーツを汚す、光が瞬いた。
箱の展開が終わったのだろう、元の実験室に戻っていた。
私の目の前にはあの女が立っていた。
さきほどの情事はなんだったのか、息も絶え絶えな私とは違い、平然と。
「そういえば訂正なんですけど」
どこか遠くを見るような目で女は言った。
「あの子とわたし、友達じゃないです」
ペタペタペタと小刻みに短い足を動かしながら辿り着いたのは医務室である。
どうやら先程まで怪我人の処置をしていたようで、かすかに血の匂いがした。
待機している医者は訪問者を見て眉をひそめたが、
ここ最近は見舞客が多いらしい
いつものことのように白衣の袖から手を出して指をさした。
指さしたカーテンの仕切りの中にはベッドが一つ。
菫色の髪をした少女が寝ている。
訪問者は安堵した。
あの、今にも消えてしまいそうな呻き声ではなく健やかな寝息を立ていることに。
どんな夢を見ているのだろうか寝顔はまさに天使のように愛おしい。
訪問者は手をのばし頭をなでてしまいそうになる。
指先が髪に触れそうな距離になるとハッと手をひっこめた。
対価は払われた。
そして確認は済んだとばかりに足早に立ち去るとする。
しかし目の前に壁ができていた。
医者は訪問者のことも治療しようと立ちはだかったからである。
この訪問者、医者の記憶が正しければ
骨に肉がついてるだけです、なんで動いてるんですか?
といった手の付けどころがない、いや肉を付けろと言うしかない風体をしているのだ。
そんな患者が出歩いていることは許せない、当然である。
ベッドで絶対安静にと言いつけたはずだった。
いつの間にかどこぞの使徒の言いつけにより
とある執行者がこっそり連れ出して以降、帰ってこなかった。
それが朝帰り()して帰ってきたのだ、医者がにじり寄る。
今度はお前がベッドとお友達になるんだよ!と言わんばかりであった。
訪問者は逃亡しようと慌てるが、
肝心の出入口は医者がふさいでいた
そう、さっきの指差し案内は罠だったのだ。
両者は隙を伺う。
天使が眠る医務室に相応しくない緊張感が走る。
しかしその均衡は破られた。
廊下からだれかの靴音がした。
あらたなる来客の登場である。
紺色の髪を後ろに撫でつけ、眼鏡をかけた男、
結社の幹部ワイスマンがいた。
噂をすればなんとやら、どこぞの使徒である。
「なにをしている」
医者と睨み合っているうちに時間が経っていたようだ。
苛立ちを隠さずに、使徒ワイスマンは医者のことも気にも留めず、
目的の人物の首根っこを引っ掴んで持って行った。
「仕事の話だ」
堂々とした脱出、医者はタイミングを逃した。
ぷらーん
ぷらーん
グロリアスの廊下を吊られて揺れながら移動する。
(たすかったー、あの医者こわかった)
訪問者ことネロはとりあえず医務室に近寄らないでおこうと決心するのであった。
医者
モブ、またでるかもしない
医務室くらいあるやろ設定
サバ
めっちゃサバ読んだ