本日は平日の放課後。部活動とは無縁の学生生活。インドア派なのでそんなに外では遊ばない。だからと言って一人で直帰するのも味気ない。
そんな中、三軒隣り合った幼馴染達が真ん中の家、美香の家に集まるのが定番……だったのだが、今日は詠子の姿が無かった。
今回は事情があり、椎奈の家に美香がお邪魔しているのだが、この状況は最近そこそこ見る光景であった。
桜が舞い散り青葉が芽吹く頃。
三人とも進級して最上級生となり、受験勉強に本腰を入れなければならない時期。
つまり、優等生である詠子と椎奈は別として、普通のJKの代名詞たる美香はそこそこ努力しなければならない時期なのである。
それ故、恥を忍んで椎奈に勉強を教わっている最中なのであった。
美香。
自他共に認める普通のJK、の皮を被った
本日のコーデはブレザーの制服。学校帰りそのままの姿なので当然である。
最近は家族の目を盗んでお尻でオナニー出来ていないらしい。
椎奈。
無口無表情深窓の令嬢系性欲魔人。
下着姿だった。自室に帰ってくるなり制服を脱ぎ捨てた。ちなみにそこそこレースのついている白であった。
無論毎日オナニーしている。お尻でもオナニーしている。
参考までに詠子。
初心ギャル。
最近オナニー頻度が高いらしい。何故かは分からない。分からないのだ。
椎奈の成績は優秀である。
それと同等に詠子の成績も優秀なのだが、どうやら彼女は、教える、という行為は向いていないようで、それ故、美香は椎奈に勉強を教わっていた。
ちなみに椎奈が部屋に入るなり制服を脱いで下着姿になっても美香は何もつっこまない。その儀式は初回にもう済ませたのである。
「……美香」
「ん」
そんな奇妙な部屋の中で、美香は勉強道具を広げ、椎奈は時折助言を与えつつ向かいで本を読んでいた。
基本的には自力で勉強し、分からない場所があったら教えを請うスタイルなのである。
「セックスしたい」
「はあ⁉︎」
ノートに変な線が引かれた。ついでにシャーペンの芯が折れた。
「しよ?」
「しないが⁉︎」
美香が思わず叫びながら顔を上げれば、そこにはいつもの無表情な椎奈。
「好きだよ、美香」
「それはこの間聞いたけど! 色々すっとばし過ぎでしょ⁉︎」
数ヶ月前、確かに椎奈から詠子と美香に対して告白がなされた。二人とも好きだと。性的にも好きなのだと。
だがそれは有耶無耶になっていた。その話を誤魔化すかのようにしてオナニー座談会の頻度があがっていた。おかげで性生活については三人とも殆ど情報共有している。
故に、椎奈がオナニーが大好き過ぎる事や、詠子が二人に影響されて少しずつオナニーが激しくなってきている事や、美香のオナニーも日々変化している事もお互いに知っていた。
「あのね、聞いて?」
「……まぁ、言ってみ」
だが今日議題に上がったのはセックス。オナニーとは次元が異なる行為。
オナニーの見せ合いをしたい、と椎奈が言った事はあれど、セックスという単語が出たのは
「美香、マゾだよね?」
「マゾじゃないが⁉︎」
無論、秒で否定された。
「聞いて」
「イヤ」
「……おねがい」
「涙目になれば良いと思うなよ……!」
美少女の上目遣いは最強なのである。
「美香って本当はマゾでしょ?」
「だから違うってば……」
「だってオモチャ、本当は見つけてほしくて隠してなかったんでしょ?」
「そんなことないが⁉︎」
あれは悲しい事故だったのである。
「それに前、ちょっぴりマゾかも的なサムシング言ってた」
「言ってないが⁉︎ ……え、言ってない、よね?」
「言った」
言ってたのである。
「ま、まぁそれはさておき、いきなりなんなんじゃ」
「ん。マゾの美香のお尻をつぽつぽしてあげる」
「なんでじゃ⁉︎」
ツッコミが追いつかない。
「聞いて、私は美香のことが好き」
「お、おう」
「だから美香とえっちしたい」
「お、おう」
「そして美香はマゾ」
「いや違うが」
「だから美香を攻める」
「なんでじゃ……」
椎奈の筋は通っている。
まあ通っているからといって、それが通るとは限らないが。
「ダメ?」
「ダメに決まっとろうが!」
ので、通らなかった。
「なんで?」
「なんでって……」
何を考えているのか分からない無表情を前にして美香は頭を抱え、バカな事しか考えてないと更に頭を抱える。
だから、考えた。
「…………」
「…………」
考えた。椎奈を論破できる何かを考えた。
「…………」
「…………」
考えた。椎奈を説得できる何かを考えた。
「…………」
「…………」
そもそも考えている時点で、もうダメなのである。
美香は単に拒否すれば良いだけなのである。
でないと、
「……美香」
「……なに」
「しよ?」
「しないから……」
このように話が振り出しに戻ってしまうのである。
「……分かった。セックスは諦める」
「お?」
だが、流れが変わった。
「美香のオナニーを手伝う」
「……は?」
「美香のお尻をつぽつぽしてあげる」
「何も変わってないじゃん!」
吼えた。
「違う。愛情たっぷりアナルセックスじゃない」
「お、おう?」
「アナルオナニーの補助」
「は、はあ」
「全自動で動くアナルビーズみたいなもの」
「あー……あーなるほど……?」
「……上手いこと言った?」
「言ってないわ!」
それはともかく、と椎奈は続ける。
「美香」
「なに……」
「アナルって、難しいよね」
「まぁ……そうねぇ……」
美香に触発されて椎奈もアナルオナニーに手を出したからこそ、分かるものがあった。
……ここで言う難しさ、とは慣らしなどの話ではない。
アナルオナニーをする時の手付き。つまり気持ちよくなってきた際や、絶頂しそうになってきた際の、自己があやふやになっている状態での手付き、オナニーを継続する難しさの事である。
だからこそ、と続ける。
「一人で出来ることには限界があると思うの」
「まぁ……」
「もし慣れた人にやってもらったら、絶対気持ちいいよね」
「ま、まぁ……」
「だから、完璧に予習した私がしてあげたら、絶対気持ちいいよね」
「ま、まぁ、そう、ね……?」
だんだんと椎奈が美香に近付いていく。
美香は拒否しようと、様々な考えを巡らせるも、言葉が出て来ない。どうやったら椎奈を止められるかが分からず、思考が定まらない。
「美香……」
「な、なに……」
妖しげな瞳に見詰められる美香。
顔を紅潮させ、幼馴染にしか分からない真剣極まる表情で、椎奈は訴えかける。真摯に恋願う。
「絶対……気持ちいいよ……?」
「い、いや……」
「お尻を……ぬぷ、ぬぷ、って……」
「だ、だから……」
「自分じゃ出来ないような動きで……」
「で、でも……」
「気持ちいいまま止まらない動き……」
「ぅ……」
「ね……してあげるよ……してあげれるよ……?」
「…………」
だから、
「ね、しよ……?」
止められなかった。