再発見
夏休み、外は真夏日、宿題なんてやる気が起きない、かといって小学生のごとくプール等に遊びに行く気力も沸かないくらい外は暑い。
そんな中、三軒隣り合った幼馴染達が真ん中の家、美香の家に集まってぐだぐだしようとなったのは特段不思議でもない。
木製の四角いテーブルが設置された和室。普段であれば美香の性格からして小綺麗な部屋である筈なのだが、近頃毎日のように集まる面子が物を置いていくせいで少し雑然とした部屋となっていた。
であるからして今日も、いや部屋に物が有ろうが無かろうが関係は無いのだが、今日もやらかしたのである。
「あ゛ーつ゛ーい゛ー」
「エアコンの真ん前で脱ぐな」
「……温度、下げていい?」
詠子。
暑がりな少女である。
白のオフショルダートップスにデニムスキニーを着ていたのだが、今はエアコンの直下で上着を捲り上げて黒の派手めな下着が露わになっている。なおその胸の大きさについては言及しない、人には触れてはならない傷があるのだ。
頭髪も含めて派手な彼女の肌の露出がいつもに比べて比較的控えめなのには理由があり、自前の褐色肌がこれ以上黒くならないようにしているためである。
ならば肌を出さないようにすれば良いと思うのだが本人曰く、
「夏に肌出さないとかありえないでしょ!」
とのこと。
なお日焼け止めの出費はそこそこ痛いらしい。
美香。
エアコンがそこそこ効いている室内にいたため、短めのキュロットパンツにTシャツと、そこそこラフな格好をしている少女。
そのおかげで大きめの臀部を隠しきれていないものの、家の中ではさほど気にしていない様子。だがやはり暑いものは暑いらしく、肩にかかる程度の髪はサイドポニーにしている。
しかしついこの先日、祖父母のいる田舎に遊びに行ってきた影響で、首元も含めてその肌は健康的に焼けてしまっていたのだが本人曰く、
「従兄弟の子達に付き合ってたら超やらかした」
とのこと。
なお意外と面倒見の良いお姉さんとして人気者らしい。
椎奈。
寒かろうが暑かろうが、表情を変えることのない強靭な精神を持った美少女。
白いワンピースを身に纏っているが、豊満過ぎる胸部のせいで体型が太く見えるのを案外気にしている。
今日も今日とてBL小説を読んでいる姿は深窓の令嬢っぽさを全面に押し出しているが、実は両親がどこぞの企業の社長をしている正真正銘のお嬢様である。
その肌は透き通るような白さを保っているが本人曰く、
「帽子被ってれば……焼けない、よ?」
とのこと。
なお単に美香の家以外には出かけない引きこもりであるから焼けていないらしい。
進級しようがクラスはまた一緒で、部活動もやっていないから予定がある訳でもなく、暑さにやられるから外出もしない。
そんな三人が休みの日に集まったところで何をやる訳でもない。暇だったから、暑いから、かと言って引きこもるのもツマラナイから……約一名はそうでもないが……とりあえず真ん中の美香の家に集まった。ただそれだけだった。
いつも通りに実の無い話で盛り上がったり、いつも通りに適当なゲームでもしたり、渋々宿題を一緒にしたり、ちょっとえっちな話をしたり、そういう事をする筈だった。
だったのだ。
詠子がまた余計なモノを見つけたり、美香がまた後片付けを怠ったり、椎奈がまた変な事を言わなければ、今日も平穏に過ぎさっていた筈なのだ。
「あれテーブルの下に……なにこれ?」
元凶は詠子であると言えなくもない。見つけたものに疑問など抱かなければ何も起こらなかった。
エアコンの前から立ち退き、テーブルに着こうとしたら足先に何かが触れ、取り出してしまった。
直径は一センチ半、長さは二十センチ弱。ペンにも似た形状のそれはぷにぷにとした弾力を持っており、先端に小粒の球体がくっついている。しかし柄の部分には何かのスイッチがあり、ペンとは全く異なるものであると密かに主張している一品。普段の見た目の派手さとはうって変わって、意外と
膣内を掘削し振動を与える事により性的快感を得る事に特化した玩具。
所謂スティックバイブである。
処女でも安心仕様なのである。
「あー? ……あ゛」
元凶は美香である、断じて美香である。いい加減エログッズはちゃんと片付けるべきである。
ここですっとぼけておけば、何も起こらなかった、かもしれない。もしくは問答無用で取り返し……たところで無かった事に出来たかは分からないが、まぁなんとか、いや無理である。
ヤバいものを見られた、またやらかした、それはえっちなものです。という、たった一文字に込められた思いは詠子に確と伝わった。ちなみに椎奈は既に気付いている。
「へぇ……ちょっと電源入れてみて」
元凶は椎奈である、もう椎奈である。エロに対する好奇心が旺盛過ぎる。
美香はこれを使って一人で致している、それはアダルティなグッズである、故にもっと見たい。
この時点でようやく三人の意識は一致した、一致してしまった。
始まってしまう、いつものちょっとしたエロスとは次元が違う本格的なエロ話になる流れだ、と。
つまり。
「コレについて詳しく」
そういうことになった。
「どうか見なかった事にしてくれませんかねぇ……!」
それでも美香は抗おうとした。
ここにいるのは気心の知れた、エロ話を乗り越えた絆の固い幼馴染三人。きっと、分かってくれる筈だと。
「やー……うん、ごめん」
「無理」
儚い絆であった。
「そっかー今日の議題はオナニーの日かー」
そうして、頭の悪い決定が再度下された。
「いやいや、いやいやいや詠子さんや椎奈さんや」
「この流れで逃げられないっしょー」
「……尻穴狂いだった筈の美香がこの道具をどう使っているのか、興味がある」
「誰が尻穴狂いだ⁉ だからこんな時だけ饒舌になんなや!」
尚も抵抗を続ける美香であったが、無駄である事は知っていた。
ならばもう開き直って始めるしかない。
「うーあー、もうー! 詠子からね!」
「またかよ……」
「……議題決めたのは詠子」
いつもの
たまには順番を変わってほしいと願う詠子であったが、こればかりは仕方ないのである。様式美というものがあるのだ。
「まーいーけどさー……でもどうする? いつぞやと代わり映えしなそうじゃね?」
「……美香もだけど、詠子も新しい事に
「ぐっ……いや何で分かんだよ」
「勘」
椎奈のエロに対する嗅覚は異常である。
「……最近の事情、ってことで」
「はいはい、じゃーそれでいーよもう」
「また私はコレの解説する事になんの……」
そうして、またオナニー座談会が始まった。