※この作品はR-18です。

陽炎の揺らめき   作:天木武

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第1章
プロローグ


◇

 

 

 日本のとある施設。その地下に、捕らわれた少女と、取り囲むように男達の姿があった。部屋の中に、男達の下卑た声と少女の苦悶の嬌声が響き渡る。

 

「う……あ、ああっ……! やめ……もう……やめて……ください……!」

「何がやめて、だよ。オマンコからはこんなに涎だらだら垂らしてチンポ欲しがってるのによ!」

 

 少女の悲鳴を聞いた筋肉質の男は、やめるどころかむしろ嬉しそうに腰を突き入れ、それが更なる苦悦を少女に与える。2人の結合部である股間からグジュッという淫靡な水音が響き、少女は舌を突き出して全身を震わせた。

 

「ひああああっ! ふか……ふかいぃ……! 壊れる……壊れちゃうぅ……!」

「この程度じゃお前は壊れねえよ。現にこれまでずっと輪姦(まわ)され続けてるのに壊れてもいねえでアンアン気持ち良さそうに喘いでるじゃねえか」

「ちっ……違います……! 私……気持ちよくなんか……ああっ!」

「ほれ見ろ、言ってる傍からそんな甘ったるい声出しやがってよ! レイプされて感じて、対魔忍ってのは変態の集まりなのか、里奈子(りなこ)ちゃんよお!」

 

 自分のみならず、彼女にとって仲間でもある対魔忍全てを侮辱するような言葉に、捕らわれの少女――対魔忍・百田(ももた)里奈子は自分を犯す男を睨みつけた。だが逞しい肉槍で膣壁を擦り上げられた途端、その顔はだらしなく蕩けてしまう。

 

(くうっ……! こんな……情けない……! これでは百田の名を貶めてしまうことに他ならないというのに……!)

 

 それもこれも迂闊だったからだと、里奈子は自分を呪った。

 百田といえば代々優秀な火遁の術使いを輩出している一族である。その中でも里奈子は特に優れて秀でており、ここ数代使い手がいなかった一族に伝わる魔刀を使いこなせる正統後継者だった。

 だがいくら一族の中の優秀な存在といえど、まだ若く、対魔忍としては新米。そんな彼女に与えられたのは「草」と呼ばれる偵察の任務であった。近頃魔族の動きが活発になったということもあり、この施設と魔族との繋がりを証明するような人物、物資の出入りの監視と報告を命じられていた。家の期待を一身に背負っている以上、もっと困難な任務を望んでいたのは事実だ。しかし軽んじていたつもりは無い。いや、無いはずだった。

 今となってはいくらそう言ったところで説得力も何も無いだろう。結果として偵察をしていた彼女は見つけ出されて捕らえられてしまった。魔界医学によって作り出されたという怪しい薬を注入され、吊り上げられた両手を戒める縄さえまともに抜けられずに被虐に晒されている。尋問という名ばかりの輪姦は、捕らえた捕虜で性欲を満たそうとする施設の男達によって延々と続けられていた。

 

(無理矢理犯されてるのに……身体……どんどん熱くなってくる……! もう……何度イッてしまったかもわからない……)

 

 それが体内に打ち込まれた薬の効力だということは確認するまでも無かった。集中力をかき乱されまともに術も使えず、身体は強制的に発情させられてしまう。ほんの少し前まで男を知らないはずだった少女の無垢な身体は度重なる強姦によって性の奈落へと落とされようとしていた。

 

「おっと、そろそろ出ちまいそうだ。奥に出してやる、里奈子ちゃんの大好きな子宮の1番奥になぁ!」

 

 相手のことなどお構い無しに腰を振っていた男からの無慈悲な宣告に里奈子の顔から血の気が引く。性の知識が浅かろうとそれが場合によってはどんな結果が待っているかなど容易にわかる。頭を激しく横に振り、疲弊していたはずの身体を暴れさせて抵抗しようとした。

 

「嫌……! 嫌です! お願いします……もう、もう中で出すのは……!」

「今更手遅れに決まってんだろ! もう何人に中出しされてんだ? そうら、出すぞっ……!」

 

 しかし僅かばかりの抵抗も拒絶の言葉も、全ては徒労となった。里奈子の膣内で、男の熱い精が爆ぜる。

 

「あ、あ、ああああああああぁッ! 中に……中にぃ……! あ……熱いの出されて……なんで……私……! う、ああああぁぁッ!」

 

 全身を強張らせて里奈子も同時に絶頂を迎えていた。強力すぎる媚薬の効果に怖れを抱きつつ、またも呆気なく果てさせられてしまったと、目尻に涙を浮かべながら唇を噛み締めて余波に耐えようとする。

 

「うお、マンコがキュンキュン締め付けてきやがる……! 子宮に直接出されるのがそんなにいいのかよ、この変態が!」

「中出しでイきやがったか。まあしょうがねえよな、里奈子ちゃんの弱点は子宮だしよ」

「何度犯しても飽きねえよな。俺また勃ってきたわ」

 

 部屋の中にいる他の男達の嘲笑も受け、里奈子にますます惨めな気持ちが浮かんでくる。

 ようやく射精を終えた男がペニスを引き抜くも、脱力しきった彼女はどうすることも出来なかった。両手首を戒める縄に体重がかかり痛みが走るが、それでも脱力した身体は言うことを聞いてくれない。

 

(う、うぅ……。こんな……こんなの……! でも……諦めちゃダメ……心を強く持つのよ、里奈子……! きっと異常を知った仲間の対魔忍が助けに来てくれる……。それまでの辛抱よ……!)

 

 ゼェゼェと肩で荒く呼吸しつつも、里奈子は心の中で己を奮い立たせようとした。弱い心ではあっさりと砕けてしまう。身体はどんなに汚されようと、心だけは強く持たなくてはならないと、苦悶に歪む表情の中で自身に言い聞かせる。

 

「さてと。じゃあ次は俺か。さっきは前だったから……今度はこっちかな」

 

 しかしそんな彼女の心を嘲笑うかのように。別な男が歩み寄って来る。それも視界の外である背後へと回りこんだことで、何をされるのかが予測できない。

 

「はぁ……はぁ……。私を犯して……楽しいですか……? こんなこと……いくらしても意味が……っ! あ、あぐうううぅッ!? そ、そこ……お尻ぃ……!」

「いくらしても意味が無いって言うなら、何をやっても俺達の自由ってことだろ? それじゃ、アナルを堪能させてもらうとするかな」

 

 言うなり、肛門を指でほじっていた男はそれを抜き、代わりに己の逸物を押し込んだ。一瞬前と比べ物にならないほどの圧迫感が里奈子を襲い、苦しさのあまり目が見開かれる。

 

「お゛、お゛、お゛おおおおぉッ! 入ってくるっ……! お尻に……入ってくりゅうううぅッ!」

 

 泣こうが喚こうが、男は関係無しだった。強引にペニスを押し込み、根元まで埋没させていく。

 

「いい具合にずっぽり咥え込んでくれたな。こっちもいいじゃねえか。んじゃ、動くぜ」

 

 そして始められるアナルレイプ。経験したことの無い感覚に里奈子はひたすら嬌声を振り撒くことしかできない。

 

「あ゛、があああぁっ! だめ……らめええええぇっ! らめれ……もうらめれえええええぇッ!」

「おーおー、効果抜群みたいだな。オマンコパクパク動いてやがる。おい、どうせ前が空いてるなら俺も混ぜてもらってもいいか?」

「あ? 折角人がアナルを堪能してるってのに……。まあ2穴ってのもオツなもんか。いいぜ、ぶち込んでやれよ」

 

 背後から肛門を抉っていた男が動きを止め、里奈子を挟み込むように別の男が前へと立つ。そのいきり立った股間に、これからされることを予測できてしまった里奈子は泣きを口にした。

 

「ま……待って……。待って……ください……。ま、まさか……!」

「そうだぜ、そのまさかだ。じゃあ里奈子ちゃん、アンアンよがり狂ってくれや!」

 

 宣告と同時。今度は膣へと男根が捻じ込まれた。再び里奈子の口を衝いて出る、悲鳴にも似た嬌声。それに気を良くした前後の男達は、競うように腰を打ちつけ始めた。

 

「あっ、あっ、ああああぁッ! いや、いや、いやああああああぁッ! 壊れるッ……! 今度こそ本当に壊れちゃうぅ!」

「大丈夫だろ、無敵の対魔忍様だしな」

「そういうこった。ほら、前と後ろ擦られてたまんねえだろ?」

 

 男達の勝手な言い分に反論したくとも、口を開いてもそんなものは出てこなかった。激しすぎるサンドイッチファックに、もう何度目かわからない絶頂の予感が駆け抜ける。

 

「いや……いやぁっ! またイク……! イク、イッちゃううううううぅッ!」

 

 全身を痙攣させる里奈子。だがまだ射精に至っていない前後から犯す男達はそんなことは気にも留めない。

 捕らわれの対魔忍の悲痛な声が室内に響き渡り、凌辱の宴はまだ終わる気配は無かった。

 

 

 

◇

 

 

「……で、所長。いつまで待てばいいんですか?」

 

 その施設から程近い林の中。監視するようにスコープ越しに目を向けつつ、身を隠している少女はインカムへとどこか不機嫌そうに言葉を発した。身体にフィットする桃色のスーツに鮮やかな栗色の髪の毛。一見ただの美少女のようにしか見えない。しかし中身は全く別物であるということは、物騒ともいえる会話のやり取りから感じることもできた。

 

『大物が食いつくまで。食いついたらあなたの好きにやっていいと言っているのだから、私としては譲歩しているつもりよ』

「それはわかってますけど……。でも、捕らわれた対魔忍を餌に、ってのは、私はどうにも……」

『あら、情が移るようになったの? 共闘したら古巣を思い出して、なんてことを言うのかしら? 『鋼鉄の死神』ともあろう者が、随分と甘くなったんじゃなくて?』

 

 インカム越しに聞こえてくる「所長」の言葉に、「鋼鉄の死神」――甲河(こうかわ)アスカは顔に苦い色を浮かべるしかなかった。確かに自身は抜け対魔忍だ。だが言われたとおり対魔忍と共闘したこともある。それによりかつてほど悪い感情を持たなくなっていたのは事実ではあった。

 

「……確かに捕らわれた対魔忍は、自分のヘマのツケを今払っている形でしょう。でも、捕らわれていることをわかっているのに助けにいかないというは……どうにも落ち着かないと思って」

『その件は事前にちゃんと説明したでしょう。聞き分けの無い子は嫌いよ。……まああなたの言い分はわからないでもない。でも救出活動は本来私達米連DSO(防衛科学研究室)には関係の無いこと。だから利用させてもらって、ついでに救出してあげようってことだ、と説明したでしょう?』

「勿論わかってるつもりですよ。でも大物、本当に食いつくんですか? たかだか対魔忍1人を捕らえたぐらいで日本の政財界に影響をもたらすお偉いさんが直々にここに来るなんて……」

『情報では来るという話よ。それにあなたが思っている以上に捕虜の対魔忍というのは強力で有効なカードなのよ。……もっとも、私達だって救出してあげたら結果的に対魔忍連中に恩を売る形になるんですから、やってることは変わらないかもしれないけど』

 

 ああ、なんてしちめんどくさい駆け引きだろうかと意図せずアスカはため息をこぼしていた。

 

 今彼女が監視している施設――里奈子が捕らえられている施設の責任者は日本の権力者と魔族との両方に繋がりが濃いと言われている。日本政府といえど一枚岩ではない。魔族と裏で手を結び、権力拡大を謀りたがる汚れた政治家はごまんといるのだ。

 そこにアスカの所属する米連DSOが関わってくるのは本来筋違いかも知れない。だがDSOの日本支部である以上見過ごすことは出来ないし、ここでの抑止は結果として他にも魔族と手を結ぼうとする輩に対してそれがどういうことになるかという牽制にもなる。

 人魔の間で交わされた「互いに不干渉」という暗黙のルールなど、もはや効力を成さなくなってから久しい。それ故、人間と魔族と結託するということは今日(こんにち)では珍しいことではない。しかしそれを止めるべく正義を貫こうという人々がいないわけではない。そういった人々によって組織された忍びの者達の集まりが対魔忍であり、魔に対抗するという意味ではアスカの所属する米連DSOも同様だった。加えて、魔族によって親しい人たちを失い、さらには自身の四肢をも失ったアスカにとって、なおさら無関係とはいえない事ではあった。

 

(……とはいえ、メンテが必須という条件はあれど今じゃこの機械製の義手と義足(アンドロイド・アーム&レッグ)は気に入ってるし、私にとって一族の敵であるエドウィン・ブラックもこの手で討てたから、もうそこまで意固地になって固執するつもりもないんだけどさ)

 

 エドウィン・ブラックは死んだ。

 

 それに伴い、彼が率いていた闇組織・ノマドは一気に弱体化した。結果、闇の勢力は分裂して群雄割拠の時代に突入し、あれやこれやと互いを出し抜く方法を模索している。

 そこにつけ込もうしているのが一部の日本政府のお偉いさん、というわけだ。これを機に秘密裏に魔族と協力関係を結び、同様に魔族と歩調を合わせる米連組織があればそことも結託、さらなる覇権拡大を狙っているらしい。場合によっては傀儡と化した政府がいつぞやのように濡れ衣のクーデターをでっちあげ、それを理由に武力行使で邪魔者を排除、などということもありえる。こういった魔の者達とのよからぬ関係を結ぼうという動きは水面下で広がりを見せ、米連にとって目の上のこぶである中華連合も同様の路線を模索し始めたことが、なおさらその路線への思想を加速させていた。

 今回所長が狙う「大物」とはそういった魔族側との関係を表に出さずに結びたがっている日本政府の権力者のことである。この施設の責任者を橋渡し役として、捕らえた対魔忍を手土産に、などという魂胆らしい。そこでアスカが乱入、魔族との協調を目論むとどういうことなるかという見せしめと同時に捕縛された対魔忍も助ける、という作戦であった。

 

『ただ、勘違いはしないでもらいたいわね。確かに対魔忍連中に恩は売ることになる。でもそれは、魔族と手を結んで対魔忍をどうにかしたい、なんて敵対関係にある輩とは逆で、どちらかと言えば友好関係でいたいという思惑もあるわ。現にあなたは、ノマド寄りの米連に真っ向から対抗する反米連、と言ってもいい私達のような組織と対魔忍達との架け橋となっているようですし』

 

 確かにアスカはブラックを討った。だがそれは彼女1人の功績ではなかった。「最強の対魔忍」と名高い井河(いがわ)アサギがいなければ成し得なかったことだ。

 それ以降、抜け対魔忍という立場のアスカであるが、対魔忍陣営との関係は悪くない。むしろ良好であり、今しがた所長が述べたような「架け橋」としての役割を担っている側面もあった。

 しかし、だからこそ捕らわれた対魔忍を一刻も早く救い出したいという思いが生まれてもいた。

 

「でしたら架け橋として、早く助けてあげたいという気持ちもありますけどね。……捕らわれた対魔忍、誰だかわかりましたか?」

『いいえ。でも、わからない、ということは、こう言っては言葉が悪いけど大物ではないということ、じゃないかしら。もし大物なら一気に話題になるでしょうし、私達が狙っている腐った権力者ももっと急いでのご登場になると思うから』

「だとしても……捕まった人が今も苦しめられているんだとしたら、早く助けてあげたいですね。……ったく、腐った野郎はさっさと現れなさいっての。デートで待ちぼうけ食らう女の子の気分だわ」

『あら、随分と物騒なデートね。あなたのデートというのはミサイルをばら撒いて刃物と風神(ふうじん)の術で全てを切り刻む行為なのかしら?』

「ちょっと所長! 私だって仮にも年頃の女の子ですよ!? 今のはいくらなんでも……」

 

 アスカがインカムへと反論を唱えようとした、その時だった。

 監視していた施設から、突如として火の手が上がった。やや遅れて、かなりの距離を置いているはずの彼女の場所まで爆音が轟いてくる。

 

「なっ……!?」

 

 仮にも見た目に警備が厳重とわかる施設。さらに、自分が監視していたにも関わらず、異常を感じる前に起こった異変にアスカは驚愕の声を上げる。

 

『何、今の音!? 何があったの、アスカ!? まさかあなたが……!』

「私じゃありません! 突然施設で爆発が……。そんな、ずっと監視していて異常も何もなかったはずなのに……!」

 

 何の予兆すらなく起こった異変。その原因が何か、確かめなければならないと思うと同時、「風神・飛翔(ひしょう)!」と己の忍法を行使していた。風を操る力によりふわりと彼女の身体が宙に舞う。

 

『アスカ!? 待ちなさい! もしかしたら罠かもしれない!』

「だったら本当にそうか確かめるまでです! 折角のデートの約束をめちゃくちゃにした相手がどんな奴か……顔を拝んでやらないと気がすみません!」

 

 米連特製の光学迷彩を展開して周囲の背景と一体化しつつ、文字通り風の如くアスカは飛び立った。風を操る自身の術と、それを最大限に引き出すアンドロイド・アームとレッグ。その力を借りて一気に加速する。

 

(対魔忍の救助部隊? だとしても早くてもあと数時間はかかるという話だったはず……。だから私達が先手を打って救助という名目で腐った連中を釣り上げる予定だったんだもの……。どこのどいつか知らないけど私達の計画をパーにしてくれて、しかも私が暴れる場まで奪うなんて……場合によってはただじゃおかないんだから!)

 

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