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ヨミハラ一ともいわれる高級娼館・アンダーエデン。しかし娼館とはいえ、売られてきたり捕らわれた女を奴隷娼婦へと貶めるために調教、あるいは反抗的な娼婦を罰するようなエリアも存在する。館の主であるリーアルは調教師としての顔も持つ。かつては優秀な対魔忍を堕としたこともあるという実績の持ち主であった。
その男の前で、今2人の美女が四肢を肉壁に埋め込まれていた。共に捕まった時と同じ、それぞれ黒と白の米連製スーツの衣装のまま、胸や股間の部分を破られて全身を舐め回すように見つめられている。視姦による嫌悪感に耐えかね、屈辱の色が2人の顔にありありと浮かんでいた。
「よくぞ戻ってきたな、ゆきかぜに凜子。1度ここに来てから4年か。また戻ってきてくれるとは嬉しい限りだ」
白髪に三白眼、そして突き出た肥満体質の腹部。4年前に1度2人の肉体改造と証した調教を行ったリーアルは、粘りつくような笑みと共にそう述べた。
2人が潜入した4年前は、まだヨミハラはノマドの完全支配下には無かった。が、元々ノマドとのパイプを持ち、さらに処世術に長けるリーアルはノマドを早々にバックアップにつけたことで今も昔と変わらず、いや、以前以上に娼館を発展させてこの街に居座り続けていたのだった。
「時々思い出すのだ。ゆきかぜ、お前に焼かれたこの頬の痛みをな」
不敵な笑みを浮かべつつ、頬を撫でながらリーアルはそう呟く。
以前の潜入から脱出する際、ゆきかぜはライトニングシューターの雷弾を、自分をいいように弄んでくれた「お礼」として彼の頬を掠めるように放っていた。傷はほぼ癒えたようであるが、目を凝らすとその痕がまだ見受けられる。それに対して復讐心を持つ男の前に再び2人が囚われの身となって現れた。リーアルとしてはまさに天恵であったであろう。
「くっ……!」
「それにしてもそのスーツは特殊任務用か何かか? 凜子の方はそのままコスチュームとして採用しても男が喜びそうではあるが……。ゆきかぜの方は露出もほとんど無くて色気も何もあったものではないな。もっとも、そのスーツでより強調される慎ましい胸がいいという者もいるのかもしれないが」
「だ、黙りなさいよ!」
「まあ普段の対魔忍スーツも男を誘惑するとしか思えないような、まさに娼婦というべき格好とも言えるか。レプリカ品ではあるがいずれ用意して着せてやろう」
露骨なリーアルの挑発にゆきかぜが反論しようとする。だが先輩である凜子は違った。努めて冷静さを保とうとし、ゆきかぜをなだめる。
「相手のペースに乗せられるな、ゆきかぜ。心頭滅却……何があっても私達は耐えるのみだ」
「クックック。相変わらずだな、お前達は。……キャンキャン騒ぐゆきかぜの声を嬌声へと変え、クールを装った凜子の仮面を外して乱れさせる。その時が実に楽しみだ」
リーアルにそう言われても、凜子の表情に変化は無かった。その態度が気に食わなかったか、少しつまらなそうに鼻を鳴らしたところで、部屋に1人の女性が入ってきた。セーラー服のような衣装の上に白衣を羽織り、異形の左腕を持つ女。
「あら、まだ始めてなかったの?」
「それはそうだ。俺とお前のゲームだからな、ドクター美琴。開始の時は2人とも揃っているべきだろう。……俺が作らせた『肉壷』とお前の作った魔界生物を用いた拷問装置。どちらかが優れているのかというゲームの、な」
そのリーアルの言葉を証明するかのように、今ゆきかぜと凜子を捕らえている肉壁の装置はそれぞれ似て非なるものだった。ゆきかぜは作り主である美琴自身やアスカもその効果を体験した、美琴が作り上げた性拷問の装置に。一方凜子はリーアルが「肉壷」と呼んだ、まるで巨大生物の胃を思わせるような装置に。
どちらも醜悪極まりなく、ひたすらに乱れ狂わせるための装置であることに変わりはない。しかし今や朧の元で腕を振るうあの桐生美琴が自分の肉壷同様の装置を作ったと知ったリーアルは、2人を調教するついでの余興としてこのことを思いついていたのだ。どちらの装置の方がより優れているのか。自分が作らせた肉壷は、噂に名高い魔剣士女医の作ったものと比べてどうなのか。そんな悪趣味すぎるゲームがこれから行われようとしていた。
「それでドクター。どちらでもいいというからゆきかぜをそちらに任せることにしたが、構わないか?」
「ええ。お好きにどうぞ。たとえ相手がどんな対魔忍であろうと、この装置にかかればそんなのは無関係だし」
「言ってなさいよ! こんなもの……私にはなんともないんだから!」
懸命の強がりでもって、ゆきかぜは美琴へとそう口を出していた。煽られて、だが堪えた様子も無く美琴は微笑を浮かべるとゆきかぜへと歩み寄る。
「な、何よ!」
「いいえ、別に。……最近人の下についてたせいか受身になることが多かったけど、そういえば私ってサディストだったと思い出してね」
「ハァ!?」
「わかるように言ってあげましょうか? ……あんたみたいな生意気な小娘、いたぶってやったらそれはさぞかし楽しいだろうと思ったのよ」
挑発を受けて相手を射殺さんとゆきかぜは美琴を睨みつける。だが当の彼女はやはり気にした様子もない。軽く鼻で笑い飛ばすと、小馬鹿にしたように踵を返した。
「リーアル。あの小娘、なかなか面白いわね」
「そうだろう? ああいうじゃじゃ馬は屈服させてこそ面白い。……もっとも、凜子のようなクールな女が、その上っ面を保てなくなるほどに乱れ狂うのも楽しみではあるがな」
「いい趣味ね。まあ世間から見れば悪趣味、なんでしょうけど」
フフン、とリーアルは笑う。それから指を鳴らし、なにやら合図を出した。命令を受け、2人を拘束する肉の壁が閉じようとしていく。
「それではゲームスタートだ。本当ならそこに1週間置いておきたいところだが、まあ手始めに24時間ということにしておいてやろう」
「ま、丸1日だと!? こんな気味の悪い装置に……! くっ、ゆきかぜ、なんとしても耐えるぞ! 我ら対魔忍、この程度の責め苦など何と言うことは無いとこの男達に見せ付けてやろう!」
「は、はい!」
やがて2人は閉じられた肉の壁に遮られ、完全に見えなくなった。そこまで見てから、リーアルは不気味に笑みを浮かべて低い笑い声を溢した。
「おめでたい連中だ。耐えられるはずなどあるわけがなかろう」
リーアルにはわかっていた。以前の潜入時に媚薬ローションを伴った愛撫と洗脳装置によるイメージでの凌辱だけで陥落寸前となった2人だ。肉壷はそんな行為など児戯にも等しいような苛烈な責めである。場合によっては精神が壊れる可能性もあるほどだ。
「まあせいぜい頑張るがいい。しかしどんなに抗ったところで、所詮は無駄なことだとわかるだろうがな」
肉の壁で遮られて聞こえない捕らわれの対魔忍2人へ、リーアルは醜悪な笑みと共にそう投げかけた。
◇
視界が閉ざされてから次第に目が慣れてくるにつれて、ゆきかぜの中にますます嫌悪感が浮かんできていた。どうにか見えるのはグロテスクな肉の壁のみ。他の五感を働かせようとしても、鼻に付くのは以前仮想凌辱をされた時に覚えさせられたオスの臭いしかなく、耳はピチャピチャとその体液か何かが垂れてくるような音を捉えることしか出来ない。
(ほんと……最悪……。気持ち悪いったらありゃしない……! でも……私は負けない……! 強襲の失敗は当然アサギ隊長も把握しているはず。だったら助けに来てくれるまで、凜子先輩が言ったとおり耐え忍ぶだけのこと! 達郎……私に力を貸して……!)
遠くにいる恋人を思い、キュッと唇を真一文字に結ぶ雷撃の対魔忍。事前に術を使えなくすると同時に筋力も低下させ、さらに媚薬効果まである薬物を投与されているために、何もされずとも身体が熱くなってくるように感じてしまう。加えて呼吸をするたびにオスの臭いが鼻腔を満たしてくる。ゆきかぜ自身は知らぬことであるが、この魔界生物の体液自体が強力な媚薬でもあるのだ。臭いだけでも女体を発情させるだけの効果は十分にある。
結果、早くも身体が熱を帯びてきたと意識せざるをえなかった。結んだ唇から艶のある吐息が漏れ、額に汗が浮かび上がる。身体を覆う米連製の黒いボディースーツの下もおそらく発汗していることだろう。破られた胸からは控え目な乳房が露わとなり、鋭敏器官であるその先端がチリチリという感覚を覚えつつある。股間はまだ濡れてこそいないと思っているものの、陰唇を割り開かれたら愛液が零れ落ちてしまう可能性は否定できなかった。
(な、何を弱気になってるのよ、私! まだ何もされてないのにこんなでどうするの! もっとしっかりしないと……ああっ……!)
ゆきかぜが自分を叱咤しようとした、その時。シュルシュルと腕と足へと細い肉紐が絡み付いてきた。それは次第に胴体へと迫り、それぞれ二の腕と太股へと巻きついていく。
(き、きたっ……!)
いよいよ本格的な責めが開始される。迫りくる衝撃に備えようと身を固くするゆきかぜ。だが彼女の予想に反し、それは一向に訪れなかった。手足に絡みついた触手がゆっくりと、緩慢すぎる動きで撫でるような動きをするだけだった。
(え……? 何、これ……?)
予想に反する触手の動きに戸惑う。四肢を締め上げるか、このまま胴体にまで絡み付いて愛撫をされるものかと思っていた。しかしそんな素振りはなく、あくまでじっくり擦りあげるように這い回るのみ。目的のわからない動きに困惑しつつも、同時にゆきかぜは安堵してもいた。
この程度、拷問にも何にも当たらない。ちょっと不快なだけだ。自分を屈服させるなんてことからはほど遠い。この程度が続くのであれば、大したことはない。
だが、すぐにそんなはずはない、と考えを改める。リーアルが相当の自信を見せ、この装置を作った美琴も同様だった。これはまだ前準備。とにかく動揺せずに気を緩めず、ただ耐えればいいだけのこと。そうゆきかぜが考えたところで。
「……あっ!?」
ゆっくりと、もったいぶるように四肢に絡みついていた触手が身体へと伸びてきた。二の腕を経由して胸の周辺へ。一方で脚の方は太股を舐め上げてから腰付近へ。
いよいよ来る、というゆきかぜの予感に反し、しかし気味の悪い肉の器官はまた身体を舐め回すだけだった。敏感な場所に近づきつつはあるものの、直接触れようとはしない。
「なん……なのよ……! こんな……くふぅっ……!」
ナメクジが肌を這い回るような不快な感覚に顔がしかめられる。まったくもってどういう意図でこんな動きを続けているのかが理解できない。スーツ越しにぬめる液体が肌へと触れ、ますます不愉快な気分となってくる。
「こんなこと……いくら続けても……。あ、ああっ……!」
強がろうとしたその時。ついに破かれたスーツから露わとなるボリューム不足な胸へと細い触手が巻きついた。早くもツンと尖ってしまっている桃色の頂へも絡み付いてくる。
しかし荒々しく責められるというゆきかぜの予想に反し、相変わらず触手の動きは緩慢だった。ゆっくりと、纏う粘液を擦りつけるようにかわいらしい乳首を愛撫していく。
「う……うぅん……。あうぅ……んんっ……」
快楽でも苦痛でもなく、胸から広がったのはもどかしさだった。ゆきかぜの心に疑問ばかりが浮かぶ。
(ほんと……一体何なの!? 私を快楽漬けにするでもなく、かといって苦痛を与えてくるわけでもない……。確かに気持ち悪いけど、この程度どうということはないし、私に対してあれだけ大口を叩いたあの女が作ったものがこれで終わるはずもない……。遊んでるの……?)
思考を巡らせている間にもキュッと鋭敏器官を押し撫でられ、ゆきかぜの華奢な身体が小さく跳ねる。だが、それだけだ。快楽というほどの甘いものでもなければ、絶頂などいうものからもほど遠い。反射的にそうなってしまうというだけの事象。しかも緩やかな愛撫をいくら乳首にされているとはいえ、まだ感じやすい性器で受けていないために身体はまだまだ余裕がある。
にも関わらず、ゆきかぜの心に言葉に出来ない不安が生まれていた。意図が理解できない。次に何をされるのか、まったく予想が付かない。
「ひゃふぅっ!?」
そう思っていたところで次に責めが及んだ箇所に、思わず懐疑の色を含むかわいらしい声が漏れていた。破れた胸の箇所からスーツの中へと押し入った触手はそのまま腋の下へと伸びて、ブラシのような繊毛を擦り付けてきたのだ。
「ちょ、ちょっと……! そんなとこ……くすぐった……ひぃんっ! ふっ……くうっ……はぅん……!」
くすぐったさとむず痒さを覚え、戸惑うような声を漏らしてしまうゆきかぜ。嫌々と身体をよじろうとするも、四肢を固定されてしまってはどうすることも出来ない。
(ま……まさかくすぐり責め……!? そんなのどう耐えたらいいか……ああっ……!)
その予想は外れ、と言わんばかりに胸に巻きついていた肉紐も同調するように動き始めた。上半身の両胸と両腋。4箇所が責められ始めたことで口から吐息が漏れ、身体が震える回数が増えていく。耐えようと歯を噛み合わせるが、どうくるかわからないその動きの前に完全に翻弄されてしまう。
「んっ……はあッ……。あ、そ、そこ……いやぁ……!」
そして嫌悪の言葉を吐き出したところで、ついに股間付近へと触手が迫ってきた。身体を舐め回すものより大きさが一回りほど小さな肉の塊。サイズこそ小さいものの、男性の性器を思わせるような卑猥な形、何より人外のものが迫っているということに恐怖する。
(私……犯されちゃうんだ……。ああ……達郎……)
その男性器のような形状に、思わず恋人の名を頭の中で呼び、肌を重ね合った日のことがゆきかぜの脳裏に思い出される。恋人同士であるというのに奥手な達郎との性交回数は片手で数えられるほどしかない。それでもその時は女として最高の時間であったし、同時に恋人である男性以外の男になど絶対に抱かれたくないとも思った。
しかし今、そんな彼女の願いを打ち砕かんと、触手の先端が膣口へと押し当てられた。リーアルによる仮想凌辱こそ行われたものの、受け入れた「男」は達郎以外にいない、その聖域。
「うっ……くうッ……! ああっ!」
僅かに湿っていたそこは、触手自身が体液を纏っていることもあってあっさりと押し開かれ、中へと侵入されてしまった。愛する男性以外のものを受け入れてしまったという背徳の思いに、ゆきかぜの目尻に僅かに涙が浮かぶ。
(ごめん……ごめんね達郎……。でもどんな辱めを受けても心までは汚されない……! 私は絶対に屈したりなんかしないんだから!)
一瞬弱いところを見せたものの、すぐに端整で勝気な顔は普段を取り戻し、唇をキュッと噛み締めていた。瞳にはどんな激しい凌辱にも耐えてみせるという決意が見て取れる。
「あんっ……あっ、ふっ、うぅん……」
声こそ漏れるものの、強気な表情を崩さない雷撃の対魔忍。膣内へ異形の触手が挿入されて不快感を覚えるが、一方で少し安堵もしていた。
(だ、大丈夫……。この程度なら、気持ちよくも何ともない……。耐える……耐えてやるわ!)
生まれ出た自信は対魔忍である彼女を本来の強気な心へと戻していた。腋の下や胸、さらにスーツ越しにではあるが全身を触手に舐め回されて胎内へも押し入れられてなお、平常心を保とうとする。
とはいえ、既に膣内に触手が潜り込んでいるのは事実だ。そこで蠢かれ、また乳首を摘まれて腋の下を擦られるたびに反射的に身体は震え、口からは甘い声が漏れてしまう。最初と比べれば呼吸も荒く、熱を持ったように頭がぼうっとし、スーツの下に汗がにじみ出ていることは否定のしようがなかった。
「はぁ……はぁ……。でも……この程度……んくうぅっ……」
己を鼓舞するようにそう口走る。触手の動きは緩慢だ。この程度で快楽を感じるようでは自分が淫乱だと言っているようなものではないか、と自身を叱咤する。
だがいくら緩やかな動きといえど、ぬめる触手が肌を這い回っては無反応というわけにはいかない。殊に、この魔界生物の体液とは人間にとっては強力な媚薬だ。そのことを知らないゆきかぜも己の身体に起こり始めた異変に対しては、時間が経つにつれて否が応でも感じざるをえなかった。
(触手の動き自体は……大したことないのに……。何これ……身体が……疼いて……)
10分、20分と時間が経過するにすれ、その疼きは瞬く間に耐え難いものへと変貌していった。まだ1度としてオーガズムを迎えてはいない。しかし心臓は大きく鼓動し、全身にじっとりと汗が染みて、霞がかかったように思考がまとまらない。身体が完全な発情状態にあるのは明らかだった。
さらに30分、1時間と時が過ぎる。しかしゆきかぜにはその時間が数倍に感じられるほどに長く感じ、同時にようやくこの生物の意図を悟り始めていた。
(こいつ……焦らすつもりじゃないの……? 徹底して私をイかせないように、生殺しにする気じゃ……!)
どうにか思考を巡らせてそのことに思い当たるが、その最中も触手はのろのろと動くことをやめようとはせず、身体には快感が蓄積されていく。それが解放できない苦しみ、その前にそんなはしたないことを願うこと自体が出来るはずも無いと、堪えるために唇を噛み締める。
しばらく前は大したことが無いと思っていた箇所への愛撫すら悩ましい。くすぐったいだけだったはずの腋の下をブラシ状の触手で擦られると、むず痒さとは別の感覚が呼び起こされそうになってくる。コリコリにしこりきった乳首は、少し扱かれては止まる動きにもっと激しく弄ってほしいと勃起してしまっている。そして決して太くない触手を押し入れられた膣内は、膣壁を抉られるでも最奥の子宮口を叩かれるでもなく、時々思い出したように動くだけ。ほぼ入れられているだけという状態にも関わらず、刺激が欲しいと入り口が触手を締め上げる有様だった。
(無理矢理イかされるのは嫌だけど……焦らされるのも……こんなつらいなんて……)
そう思っている傍からまた膣内の触手が蠢き始め、乳首が擦り上げられる。媚薬漬けにされ、出来上がってしまった身体は甘美な刺激を待っていたと受け入れようとし、耐えなくてはならないというゆきかぜの理性を蝕もうとする。
「んんっ……! くうっ……。あっ、あっあぁんっ……!」
ピンと乳首の尖った胸が突き出され、ガクガクと腰が跳ねる。
気持ちいい。でも足りない。もっともっと激しくしてもらいたい。そう思いつつも、もう少しでようやく達することが出来るというところで――。
「……あぁ」
触手はその動きをやめ、反射的に口からは恨めしそうな嘆息が漏れてしまっていた。少しずつ少しずつ、身体と理性が溶かされていくような感覚。かつてリーアルに施された強制的に絶頂を覚えこまされる調教とは真逆の、達したくても出来ないことに対する苦悶にゆきかぜは翻弄され続ける。
(ち、違う……! イきたいなんて思ってない……! 私そんないやらしくなんて……う、あ、ああっ……!)
そして再度始まる蠢動。触るか触らないかという微妙なところで乳首の先端を軽くなぞられ、かと思えば股間の触手が前後に動き出す。
「はぁ……はぁ……。あっ、ふあぁ……! あ、あっ……私……イきそう……! イク……今度こそ……イクッ……」
しかし――。
「あ、あぁ……」
落胆の声と共に、悦楽を与えてくれるはずの動きは止まった。熱を帯びて昂った身体が少しずつクールダウンされ、もどかしい気持ちが一層募っていく。そうして落ち着き始めたところで。
「んんあっ……! ああっ……あんっ……ひゃんっ……!」
また始まる生殺しの苦悦。ゆっくり、じっくりと身体を押し上げようとし、だが何度も体験したことによって感じやすくなっている淫乱ボディは瞬く間に発情してしまう。嬲るように触手に舐め上げられ、抽送されるだけで息が上がり、思考がばらばらになる。もう少しで待ち侘びるエクスタシーに酔いしれることが出来る――。
「あ……うぅ……」
だがやはりそこまでだった。それ以上は続けてくれない。こんな責め苦があとどれだけ続くのか。絶対に耐え切るという思いは早くも揺らぎ始め、快楽に身を委ねたいという背徳的な誘惑が心に浮かんできそうになる。
(だ……ダメッ! そんな弱気になっちゃ……! 凜子先輩だって、今苦しい思いをしてるはずなのよ。私1人がこんなことでどうするの! 仲間を信じて耐える、それだけよ! だからこの程度……う、くっ……! あ、ああっ……!)
仮初めの決意は触手の脈動と共にあっさりと中断させられた。終わりの見えない、辿り着けない快楽への責めがまた始まろうとしている。
四肢を肉に飲み込まれ、どうすることも出来ない今のゆきかぜは、翻弄されるがままにこの苦しみに耐えるより他はなかった。