◇
「はあっ……。くっ、うぅっ……」
幽閉されている薄暗い部屋の中で、陽炎は悩ましげな吐息を漏らした。媚薬効果もある、術を封じて力が入らなくなる薬を定期的に投与されているために、脱出の機会など全く訪れそうに無い。普段ならなんのことなく抜けられそうな手首同士を縄で括ったこの程度の拘束さえ、今では十分すぎる効果を表していた。
さらに股間に張り付く醜悪な生物。絶頂を与えない程度に蠢くそれのせいで、身体は常に熱を持ち、疼きを抑えられないでいる。
堕ちてしまったアスカが来た後、部屋にやってくるのは薬物を投与するための医師らしき男達と、その護衛であろう亜人や獣人だけだった。隙あらば犯したいという視線で見つめてくる亜人共であったが、手を出さないよう朧に命令でもされているのだろう。薬物の投与以外に何かをされるということは無かった。
とはいえ、身体を悩ませる媚薬効果と、張り付けられた生体器具はどうにかしたいところでもあった。元々苛烈な調教を受けてしまったという過去を持つ陽炎だ。発情後の疼きは耐え難く、かといって不気味な生物が絶頂を与えてくれるわけでもない。ただただ悶えることしかできなかった。
(それでも……!)
しかし彼女はまだ希望を捨ててはいない。
(対魔忍陣営にとっても、母さんと凜子さんという2人は重要な駒のはず。その2人が捕らわれたという話は間違いなく掴んでいる。となれば救出作戦が、それも早いうちに上がると予想できる。その時に私まで助けてくれるかはわからないけど……。混乱は間違いなく起こる。そこに便乗して、どうにか逃走すればいい……)
つまり今はその時のために体力を温存すべきだと、陽炎は考えていた。目的があるのか知らないが、嬲り者にされないのは体力を消耗せずに済むために助かる。心を沈めて疼きを抑えるべく、彼女はゆっくりと瞼を下ろす。
「はぁーい、陽炎。元気してた?」
が、すぐにその目は開かれることとなった。やけに陽気な声と共に表れたのは、新たなる紫紺のコスチュームに身を包んだ、堕落してしまった少女。
「アスカ……!」
「ちょっとちょっと、そんな睨まないでよ。あんたのことを蹴っちゃったのは謝るからさ。あの時は私もちょっと頭に血が上っちゃってたのよ。代わりに私の唇を噛んだことは水に流してあげるから」
「流してもらわなくて結構よ。私とあなたはもう完全に敵同士なんですもの。……何か用?」
不機嫌さを隠すことなくそう述べた陽炎に対し、はぁ、とアスカは大げさにため息をこぼしてみせた。その仕草さえ、今の陽炎には苛立たせられるための材料でしかない。
「んー、やっぱり機嫌も考えも直してくれそうにないか……。じゃあ仕方ない……」
それまで小悪魔のような笑顔を浮かべていたアスカから、それが消えた。
「……朧さんにあんたの『説得』を申し出たの。でも穏便に済ませようかと思ったけど、そっちにはその気が全然無いみたいね。ちょっと手荒になるし、私自身も楽しませてもらうことになるけど、悪いのは私の提案を受け入れてくれないあんただから。文句は言わないでね」
「分かってるの、アスカ!? あの朧はあなたの知ってる甲河朧ではない……!」
「それが何? 前も言ったよね? 朧さんから全部聞いた、って。……精神だけが本物だった仮面の対魔忍と違って、今の朧さんこそが文字通り身も心も本物、つまり本当の甲河朧ってことじゃない。そう、私の後見人であり私を我が子のように大切にしてくれた、甲河一族の有力者……」
「でも心はあなたの知ってる朧さんのものとは違う! あの女からどこまで都合のいいように聞かされたかわからないけど、ここまで事情を察してるならもうわかるでしょう? いくら身体も精神もひとつの甲河朧に戻ったといっても、所詮はブラックに作られた、偽りの心なのよ!」
叫ぶようにそう言った陽炎に対し、射殺すような視線が突き刺さっていた。不機嫌さを隠すことなくアスカは歩み寄ると、両腕を拘束されて無防備な陽炎の首を、アンドロイドアームが残ったままの右手で締め上げる。
「がっ……! はっ……!」
「これ以上朧さんのことを悪く言うなら、いくらあんたでもタダじゃおかない。……私の右腕、かつての自分を戒めるためにまだ義肢のままなのよね。出力を上げれば、あんたの華奢な首ぐらい簡単にへし折れる」
「そう……したいなら……すればいい……! どうせ私は……この世界じゃ……本来いてはならないはずの存在……あぐぅッ……!」
ギリッと頚動脈を締め上げられ、陽炎の顔が歪む。しかしアスカは不機嫌そうに鼻を鳴らすと、その手を離した。床に崩れ落ち、酸素を求めて陽炎が激しく咳き込む。
「ねえ陽炎。いちゃいけないなんて、誰が決めたの?」
「なん……ですって……?」
「前も言ったでしょ? 私はあんたのことが好きだ、私とあんたは友達だって。……ううん、もう私にとってそれ以上の存在になろうとしてる。それに、朧さんもあんたのことを必要としてくれてるのよ」
「そのことには……もう答えたはずよ……!」
呼吸を整えようとしつつ拒絶の言葉を紡ぐ。続けてまた身体を痛めつけられると身構えた陽炎だったが、アスカは先ほど一度は剥がれた笑顔を張り付けなおし、顔を近づけただけだった。
「強情な子よね。……その性格はどっちに似たの? ゆきかぜさん? それとも凜子さん?」
「くっ……!」
挑発気味に問われて、何も返すことが出来ない。その動揺した態度に満足したか、アスカは微笑と共に顔を離すと指を鳴らした。
合図を受け、部屋へと医師らしき者達が入ってきた。いつも陽炎に薬物を酔うとする男達だ。今日はアスカがいるからだろうか、護衛代わりの連中の姿は無い。
それから普段通り薬物の投与するための針が皮膚へと突き立てられる。鋭痛に顔をしかめたものの、陽炎には特に抵抗する様子はなかった。
「あっ……うぅ……」
「ふうん、暴れないんだ」
「暴れたところで……結局は痛めつけられて薬を打たれる……。なら、無駄なことをするよりも、おとなしくしていて体力の消耗は抑えたほうがいい……」
「理知的ね。でも、その判断は結局無意味よ。どうせゆきかぜさんも凜子さんもいずれ堕ちる。陽炎、あんたも私が『説得』してみせる。それに……どんなに待っても対魔忍連中は助けになんて来ない」
「助けに来ない……? なぜそう言い切れるの?」
嘲笑混じりにアスカは腕を開いて肩を竦め、小馬鹿にしたように答える。
「簡単な話よ。ノマドは裏で汚れた権力者共と繋がっている。そこから対魔忍連中を管轄してる組織に圧力がかかれば、勝手な動きは出来ない。特にヨミハラに踏み込むなんてのはなおさら。
……全くお笑いよね。それに嫌気が差して私は抜け忍になったってのに、その時から何も変わってない、上からの命令で動くことを許されずに自由を制限され、飼い殺されて日和見しか出来ない無能な連中。援助の見返りとして縦割組織に組み込まれて首に鎖を繋がれた飼い犬なんて、所詮その程度よ。一旦はわかりあった気もしたけど、そんな組織を率いている井河アサギだって、結局は飼い慣らされた犬共の長に過ぎなかったって、改めて分かるってものね」
薬の効果が表れてくる身体を押さえ込もうとしつつ、陽炎は憎々しげに吐き捨てたアスカの言葉を耳にしていた。きっとしばらく前、この世界でブラックを倒すまでは、アスカは今言ったようなことを思っていたのだろう。それがブラックを倒してアサギと和解したはずが、しかし堕ちたことによって再び元の思考へと戻ってしまった。もう今のアスカには朧しか映らず、声も届かない。
加えて、「対魔忍が助けに来ない」という発言は十分ありえる。となれば、すぐにでも来るかもしれないと思っていた救助が遅れる、最悪の場合には見捨てられるという可能性さえ生まれてくる。改めて、陽炎は現在の状況に悲観的な思いを抱かずにはいられなかった。
「……なんか暗い話しちゃったわね。明るくいきましょ。これからは私と陽炎、2人だけの楽しい時間なんですから。……股間のあれ、取ってあげて」
捕らわれてからの間、身体の疼きの大元であった股間に張り付いた生体器具が薬を投与した男達の手によって取り外される。が、その手つきは実に作業的で事務的だった。対象の状態を気にも留めない様子で乱暴に外されたために、胎内を浅く舐めていた触手が膣壁を引っかき、発情状態にある陽炎の身体が大きく震えてしまう。
「ああうっ……! ひううぅっ!」
「ちょっとちょっと、乱暴ね。女の子には優しく接しなさいよ。でも陽炎としてはそのぐらい荒々しくされたほうが感じるのかもしれないけど。今もいい声出してたしね。……ねえ、あんた普段無理矢理感情殺してるような澄ました顔してるけど、もっと色んな表情した方がかわいいわよ?」
「ハァ……ハァ……。よ、余計なお世話よ……!」
「あんたってそういう怒った表情か、あとは無表情ばっか。……もっと色んな顔が見たいな」
アスカの顔が近づく。嫌がって顔を背けようとする陽炎だったが、顎に手をかけられ、無理矢理正面を向かされた。
「……私と一緒に乱れた時の顔、すごくかわいかった。また見せてよ」
「お断りだわ……!」
「そう言わずにさ……」
顎の角度を調節され、ゆっくりとアスカの唇が近づけられる。また以前のように重ねられる、顔をしかめつつそう身構えた陽炎だったが。
「……ウフフ。今はやめておこっと」
吐息がかかるほどに迫った唇から、そう言葉が紡がれた。
「また唇噛まれたら頭に血が上っちゃいそうだし、折角の時間が痛めつけるだけで終わっちゃうのは勿体無いものね。身体がメロメロになっちゃったら、またキスしてあげる。……あんたら、持ってきた道具置いたらさっさと出て行って頂戴。私と陽炎の2人きりの時間に水差すようなら、ぶった切るからね」
指示を受けた男達は持ってきた物の乗ったトレイを置くと、そそくさと部屋を立ち去った。そのトレイの中にある物へと目を移し、陽炎の表情に影が差す。そこにあったのは、性行為の際に女性に快楽を与えるために作り出されたであろう、卑猥な形をした淫具の数々。
「さあ、これで2人きりよ、陽炎。……待たせたわね。たっぷりかわいがってあげるから」
少し前と同様、アスカの生身の左手が陽炎の花弁を撫で上げる。媚薬による強制発情に加えて、先ほどの器具を取り外す際の刺激。既に敏感になってしまっている少女は、それだけで期待するように身体を震わせていた。
「ひぃあああああぁっ!」
「フフッ……。入り口をちょっとなぞっただけでこの反応。中はどうなってるのかしら……?」
「ま、待っ……! あっ、はあああああぁっ! ふぅあああああぁっ!」
ほんの少し指を淫裂から中へと押し入れただけで濃厚な蜜が糸を引いて溢れ、嬌声が零れ出ていた。焦らす目的の生物による無機質なものと異なる、明らかな意思を持った生身の人間の指の感触。舐るように膣内を撫で回され、ヒクヒクという膣口の動きに合わせるかのように、陽炎の身体も震えていた。
「んんっ……! あうぅ……はっ、ああっ……!」
「やっぱり何だかんだ言っても身体は正直ね。それに……今の顔の方がかわいいわよ、陽炎」
投げかけられた挑発に、陽炎は一旦は唇を真一文字に結んで蕩けかけた顔を引き締め直す。だがそれもほんの僅かな時間のこと。同性同士、身体を知り尽くしているような指の動きによって呆気なく口は開かれて喘ぎが漏れ、顔にも悦楽の色がありありと浮かんでしまう。
「あっ、はあっ、ああああぁんっ……!」
「こんなに出来上がってるのに我慢なんて出来るわけないじゃない。このままイかせてあげてもいいけど……」
不意にアスカは指の動きを止め、ゆっくりと引き抜いた。そして陽炎の淫液がべっとりと付いた指を舐めながら、妖艶な口調で呟く。
「折角だから私も楽しませてもらうわね。またあんたと一緒に気持ちよくなれると思うと……私もオマンコが疼いちゃってさ……。わかる? 私もあんたと同じぐらい……ウフフ……ここがトロトロなの……」
そう言って、申し訳程度に股間を隠していた布を指でずらして、開かれたアスカの媚心から糸を引いて愛液が零れ落ちた。魔へと堕落し、力を得た代償――理性や節制という感覚が麻痺し、快楽を純粋に享受してしまうが故の反応。思わず陽炎は目を逸らしていた。
「見る方が恥ずかしがってどうするの? ……ま、いいわ。すぐにあんたも私と同じにしてあげる」
顔を背けたままの陽炎からアスカが遠ざかった。先ほど男達が置いていったトレイへと手を伸ばし、何かを取る。
「……うん、これでいいかな」
逸らしていた視線を戻したところで、意図せず陽炎は息を呑んだ。アスカが手にしていたのは男性器を模した張り型、それも一方だけでなく両側に付いていたものだった。しかもサイズがオークのものかと思うほど巨大であり、見るからに悪辣なイボのようなものまでついている。捕らわれて嬲り者にされたという過去がある陽炎だが、そもそもの性知識は人並みかそれ以下。故にこういった代物を見るのは初めてのことだった。
「何? そんな驚いた顔して。双頭ディルドー、見たことない? ……ま、私も見たのはつい最近だけどね。あんたを説得したい、って朧さんに提案した時に色々とこういう器具やら性知識やらを教えてもらったの。だから使うのは初めてなのよ。女同士ならこれがいいんじゃないかってさ」
嬉々として説明しつつ、淫具を手にしたアスカがにじり寄る。逃げたくとも身体に力は入らず、そもそもここは狭い部屋の中。観念したように身を強張らせることしかできない。
「本当に諦めいいのね。それとも……期待してるとか?」
「そんなもの……してるはずがないでしょう!」
「そう? まあどっちでもいいわ。2人の楽しい時間を始めるだけだし。……この媚薬ローションで滑りをよくして、っと……。さ、いくわよ」
仰向けに寝転がされて両足が広げられ、膝を曲げられたM字の姿勢を強いられる。恥じらいから反射的に足を閉じようとする陽炎だが、アスカが手を離しているにも関わらず閉じることが出来ない。
「え……!? ど、どうして……。足……閉じられない……!」
「風神・
得意げに微笑むアスカ。その笑みは、かつて「鋼鉄の死神」と呼ばれたことも相俟って、まさに死神の微笑のようでもあった。
「じゃあ抵抗も出来ないってわかってもらったところで……それっ」
「……ッ!」
遠慮などという言葉からはほど遠かった。アスカは陽炎の肉
「あああぁっ! くっ……ううっ……!」
「あはっ。入っていく入っていく。どう、気持ちいい?」
「いいわけ……ひうぅ……ない……!」
「そっか。私に犯してもらうっていうシチュエーションにならないと満足できない、ってわけね」
「な……何を言って……」
そこまで言ったところで、陽炎はその先を続けられなかった。自分の秘所へと押し込まれた張り型の反対側。そこにアスカも濡れた割れ目を押し付けていたのだ。
「あ……アスカ……何して……」
「言ったでしょ? 私が犯してあげる、って。こうやってこっち側を私のオマンコに入れて……あはぁっ……!」
器具の反対側も喜悦に歪んだ表情のアスカの胎内へと飲み込まれていく。男性器を模した1本の器具の両側。そこに2人の女性器が繋がってしまっていた。屈曲位のときの姿勢のように下半身を折り曲げられ、上から跨られているような体勢のまま、怯えたように陽炎は相手の少女を見つめている。
「準備よし、と。それじゃ……動くわね」
ゆっくりとアスカは腰を沈め始めた。応じるようにディルドーも動き、アスカと陽炎の胎内をそれぞれ刺激していく。
「はあっ……! ふっ……くうっ……!」
「あっはぁ……! これ……すごいぃ……!」
2人の反応は対照的だった。苦い表情を浮かべて歯を食いしばり、快感をどうにか殺そうとする陽炎と、蕩けた表情で口を開いて、快感を貪るアスカ。
「なあに、陽炎。そんな我慢するみたいな顔して……。ああっ……。気持ち……いいでしょ? もっと……かわいい声を聞かせてよ」
自身の膣で咥え込んだ器具を揺らし、アスカが陽炎を責め立てていく。同性同士でありながらも犯されているような背徳的な感覚。さらには以前も肌を重ねたこともある相手ということもあって、陽炎の心の中に戸惑いと同時に何とも言えない感情が広がっていく。
「んっ……! んんっ……くっ、ふうっ……!」
「まったく、頑固ね。でもそんなことされたら……余計にいじめたくなっちゃうじゃないの。ねえ、これはどう? ほら、ほらほら!」
嗜虐心を煽られたアスカが腰を動かすペースを上げた。声を漏らすまいとしていた陽炎だが、次第に快楽に蕩けさせられ、口が開かれていってしまう。
「んああっ……! あっ、ああっ、ああああああっ!」
「フフッ。やっとかわいい声聞かせてくれた。……でももっとよ。もっともっとかわいい声、聞かせてよ!」
ディルドーで小突く角度を微妙に変えての動き。身体の作りを知る同性ということもあってか、陽炎は翻弄されっぱなしになってしまう。オークに強引に犯されるのとも、心を堕とすために母にかつて施された調教とも違う。ただ純粋に共に快楽を味わうためだけという意思も感じられる、アスカとの性交。
(だ……ダメっ……! 心を乱されちゃ……! 母さんも凜子さんも、きっと今必死に耐えているはず……。ここで私が流されるようでどうするのよ……!)
己を叱咤し、漏れ始めた声を抑えようとする。だがそんな抵抗も、アスカによって責められて段々と弱まっていってしまった。
「ああっ……! あっ、あっ、ひゃうううぅんっ!」
「ほんといい声ね、陽炎……。でも……フフッ……そろそろ、イッちゃうんでしょ……?」
「イッ……イかない……! こんなことで……私……イッたりなんて……!」
「強がっちゃって。そこもまたかわいいところだけど。……我慢なんて無駄だって事……教えてあげるわ……!」
舌なめずりし、アスカは一気に深く、腰を押し込んだ。ディルドーの双方が2人の美少女の胎内へと飲み込まれ、両者の口から正反対の色を含んだ嬌声が漏れる。
「ふぅあああああああぁっ! こんな……深いぃ……!」
「あああぁ……! ウフフ……ねえ陽炎、わかる……? これで……ああんっ!」
グチュッ、と淫靡な水音を響かせてアスカの腰が更に落とされた。淫具を飲み込んだ2人の膣口同士が触れ合い、アスカに恍惚とした笑みが浮かぶ。
「あはぁ……! 今、私とあんたのオマンコ……キスしたのよ……。お互いに張り型チンポを咥え込んで、一緒に犯されながらの、このキス……。どう……? たまらないでしょ……?」
「あ……はああぁっ……!」
「もう余裕もないみたいね。あと一押し、かな。キスしてるオマンコ越しにイキそうだってのが伝わってくるし。……それじゃラストスパート、いくわよ……!」
陽炎に跨るように中腰の姿勢を保つアスカが、激しく身体を上下させ始めた。膣内を抉っては往復されるその動きにますます追い詰められていく被虐の少女。秘部からは愛液が、ピストン運動を続けるアスカの身体からは汗が、下になっている陽炎へと飛び散る。その体液、そしてアスカが晒す媚態に、凍りつかせなければならない心が次第に崩れていくことを実感せざるを得ない。
(そんなに……気持ちよさそうな顔を見せないで……! ああっ……ダメ……なのに……! 一緒に捕らわれていた時よりも蕩けてしまったそんな顔を見せられたら……私……私ぃ……!)
キュン、と発情し切った子宮が疼いてしまう。それに目ざとく気づいたアスカは、上体を倒して両手で陽炎の控え目なバストを撫で回しつつ、唇をゆっくりと重ねた。性器同士でなく、今度は互いの口同士でのキス。少し前のように噛み付こうとする陽炎だったが、もうそれも叶わない。
(だ……めぇ……! キス……気持ち……いい……!)
少し前に覚えてしまった同性同士でのキスの記憶よりも、遥かに甘く官能的な口付け。歯を立てようとしても甘噛みにしかならず、それ以前に唇が相手のそれを啄ばんでしまい、続けて舌が伸ばされて絡み合う。絶頂寸前の昂り切った身体に、もうそれだけで達してしまいそうなほどの疼きが広がり、塞がれた唇からくぐもった声を漏らして陽炎はよがり狂った。
「んんんーっ! んむぅっ……んふぅっ……。んぷあっ……あっ、ああああっ!」
「やっと素直になってくれた。じゃあ一緒にイキましょう、陽炎……」
唾液の糸を引く唇が離れ、アスカの腰が動く。
もう耐えられない。結局流されるままに唇を重ねて舌を絡め合わせ、快楽に溺れてしまった。その事実が陽炎の心に追い打ちをかけ、追い詰めていく。
「そんな自分を責めないでいいの……。気持ちいいことは素直に気持ちいいって認めた方が、もっと楽しめるんだから……。今、私すごく最高の気分よ……。陽炎、あんたはどうなの……?」
「私……私も……」
心を読んだのようなアスカの言葉に率直な心を述べかけて、陽炎は口を噤んだ。超えてはならない最後の一線。ここを超えてしまえば、抵抗の心は崩れ去ってアスカ同様堕落してしまう。
「ふうん……。まだそんな意地を張れたんだ。……まあいいわ。これ以上は私も我慢できないし、今日の『説得』の時間は……」
懸命に唇を噛み締めようとする陽炎を見つめて、アスカはそう言い放った。それから腰を僅かに浮かせ始め、互いの女性器が接触するほどに深く咥え込んでいたディルドーが少しずつ引き抜かれていく。
「あっ、あぁ……」
ようやく終わる。どうにか心が堕ちずに済んだと陽炎が僅かに安堵した、その瞬間――。
「ひぃあああああああああぁッ!?」
突然、ズン、と身体を内側から引き裂かれるような衝撃が襲ってきた。抜けかけたディルドーへと再度アスカは腰を下ろし、陽炎の胎内を抉っていたのだ。
「……イッたら、終わりにしてあげる」
「そん……なっ……! ひぐううううぅっ! うっ、あっ、うああああああぁっ!」
もはや遠慮というものは全く無かった。快楽を貪ろうとするようでありながら、同時に被虐の対魔忍を果てさせ、自分も達しようという獣の本能のような腰の動き。
「だっ、ダメえッ! やっ……やめっ……! アスカ……もうやめてえ!」
「あぁんっ……! 出来ない……相談ね。このまま……はあっ、あんたも私もイクんだから。今度こそ……フフッ、私の意思でね」
最後の懇願も無情に断られた陽炎に打つ手は存在しなかった。開発されて堕ちてしまった身体は心までをも巻き込もうとして、エクスタシーを呼び込もうとする。
「いっ……イクッ……イッちゃうっ……! ダメ……なのぃ……! あんっ、私……はうぅっ……私ぃ……! あっ、あっ、あああああああああああぁっ!」
ディルドーが一層深く膣奥へと押し込まれると同時。腰を浮かせるようにしながら身体を激しく痙攣させ、陽炎はアスカによって強制的に絶頂を迎えさせられた。それを見ていたアスカも嗜虐的な笑顔を覗かせながら、淫具を自身の胎内深くへと押し込む。
「あはっ……。イッたのね、陽炎……。私も……ああんっ……私もイクッ……! イク、イク、イクううううううううううううぅッ!」
恥じらいを見せた陽炎と対照的、アスカは恍惚と笑顔を蕩けさせていた。快楽を押さえ込もうとした自分と味わったものがまるで違うかのような相手の妖艶な様子に思わず息を呑み込んでしまい、慌ててその心を消そうとする。
「ウフフ……。こんな風にイキたかった、って顔ね……」
「ちっ……違う! そんなこと……」
「本当に思ってないの……?」
再びアスカが上体を倒して、陽炎に被さる。背けようとする顔を掴まれ、再度強要されるキス。
(もう……やめて……アスカ……)
心ではそう思っていたが、もはや明確な拒絶を意思を示すことは叶わなかった。なされるがままに口内を蹂躙され、舌が絡み合わされ、唾液を
「身体は正直ね……。私のこと、さっきも今も噛まなかった。……つまり、そういうことでしょ?」
返事は無い。陽炎は今度こそ顔を背けただけだった。その唇をアスカの生身の指が撫で、自身の唇へと持っていく。小さく笑い、それから互いの秘所を繋げていたディルドーを引き抜いた。
「うっ……ああっ……!」
これだけでまた小さく絶頂してしまう陽炎。しばらくの間胎内を抉り続けていた淫具は、互いの愛液でベトベトになっていた。アスカは引き抜いたディルドーの、陽炎の方に挿入されていた部分を舌で愛おしそうに舐めてから、ゆっくりと話し始める。
「最初に会ったときは気に食わない奴かと思ったけど……。やっぱり本当はかわいいわね。私、あんたのことますます好きになっちゃったわ。あんたも私のこと、好きでしょ?」
「私は……違う……。確かに本来のアスカは、私の知っていた禍々しい姿と違って……悪い人じゃないんだってわかった。でも、『風神魔将』に堕ちたあなたのことなんて……!」
「そう言ってるくせに、身体は正直にアクメ極めて、私とのディープキスも楽しんだわけだ」
「ううっ……くうっ……」
何も言い返せない。今の指摘は事実だった。
反論が無いと分かると、アスカは愉快そうに笑って、ずっと宙に拘束したままだった陽炎の両脚の術を解いた。ようやく足が地面に着いて自分で動けるようになるも、疲労からまともに動けない。
「今日のところはこのぐらいにしておいてあげる。また明日も来るわ。ゆっくり休んで、私との楽しい楽しいレズプレイに没頭できるように体力回復しておいてね。じゃあね、バイバーイ」
言いたいことを言うと、机の上にあった道具類をまとめ、小悪魔的な明るい笑顔と共にアスカは部屋を後にした。静寂と共に訪れた、疲労から来る急激な睡魔に襲われつつ、陽炎はポツリと呟く。
「母さん……」
このままでは自分もアスカによって堕とされてしまいかねない。そう思いつつも、同様に捕らわれたゆきかぜはどうしているだろうか、ということが気がかりでもあった。
(この世界にとばされてしまった時に決めたのに……! この世界の母さんは、私のいた世界の母さんのようにだけは絶対になってもらわない、って……。そして、朧の思惑通りにはさせないとアスカも助けようとしたのに……。なんで、こんな……! 私のしようとしたことは……全部無意味だったの……?)
異世界で自分が巻き込まれた運命に抗おうと、この世界でたった1人で戦おうと決めた。なのに結果は母と共に捕らわれ、アスカは堕落し、同じ世界から来た朧の思うがままに、元の世界同様の状況になろうとしている。
自分のやろうとしていたことは全てが無駄で、これからの日々に抵抗しようとも徒労に終わるのかもしれない。そんな絶望感が心をよぎりつつ、虜囚の異世界の少女は一筋の涙と共にゆっくりと瞳を閉じたのだった。