スキル『マジックバッグ』で女性冒険者を悦ばせていたら伝説の男になった。 作:もすまっく
「―――くくっ」
ユウマ達三人が緊張した面持ちの中、家の中をも軋ませていたジルの圧が突如消え、それと同時にジルは押し殺したように笑い始める。
「……ジル?」
どうしたのかと不思議そうに見つめるユウマと、困惑した顔を見合わせるエルダリアとミゼーレ。
「ふふふ、くっくくくっ、いやすまない、ふふっ」
緊張感に包まれていた筈の空気は完全に消え去り、今はただ一人笑い続けるジルと困惑する三人という構図となっていた。
「エルダリアに、それとミゼーレと言ったな?」
「は、はい」
「そ、そうです」
「くくっ、取り合えずお前達も座れ」
ひとしきり笑って落ち着いたのかジルは二人にも座るよう促すと、優しい笑みをその顔に浮かべながら三人に向かって口を開く。
「ユウマだけじゃ無くお前達にも話がある。とても大切な話だ」
二人は戸惑いながらもジルに言われた通り、ユウマを挟むように椅子に腰を下ろした。
「大切な話、ですか?」
「あぁそうだ。さっきも聞いたがお前達も裏で全部聞いていたな?」
「はい、聞いていました……よね?エル?」
「えぇミゼ。確かに聞いてましたジルファーレ様」
困惑した状態のエルダリアとミゼーレは、チラチラとお互いの顔を見合わせながら確認して頷き合った。
「それならいい、早速本題に入ろうじゃないか?ユウマ、前にガルドの宿でヤった時の事を覚えているか?」
「え?えぇまぁ……覚えてますけど……?」
しかしそこで、ジルとユウマがヤったという言葉に反応した二人が大きく目を見開き驚愕の声を上げた。
「「なっ!?えっ?!!」」
折角座って落ち着いたかと思えば、すぐに立ち上がってしまった二人。
そしてそんな二人の頭の中で、先程のジルとユウマの会話が再生された。
――――――だから私は最初から反対していたんだ。私とお前が隠れてどれだけ体を重ねたとて、私の強さを知っている者達からすれば―――。
その後に聞いたユウマを忘れさせる忘れさせないという言葉の印象が余りにも強すぎて掻き消されてしまっていたが、確かにジルはそう言っていた。
「ほ、本当に言ってる、わよね……?」
「えぇ、ま、間違いなく言ってるわね……」
自分の記憶に間違いが無いかを確認するように見つめ合うエルダリアとミゼーレの二人。
そんな二人の様子に得心がいったジルは改めてこの二人にはっきりと伝える。
「ん?あぁそういえばさっきはサラッとしか言って無かったな。私とユウマはすでに何度も体を重ねているぞ?そもそも恋人だからな」
「「えええぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇえぇっっl!!!!!??」」
あらゆる女性の憧れの的とされ、女性の理想を体現しているとされる騎士団団長であるジルファーレ。
そんな彼女が隣で座っているユウマとこっそり体を重ねている事すら驚きだったというのに、実は私達付き合ってるんですという情報まで追加され、二人はそれはもう全力で叫ばざるを得なかった。
叫んでいるエルダリアとミゼーレの二人にに挟まれながら座っていたユウマは、さり気なく指を両耳に入れてその衝撃を和らげていた。
「おい、いくら何でもうるさいぞお前達。防音魔法は外に漏らさないだけで中にいる私達にとってはいつもと何も変わらんのだぞ?」
呆れた様子で二人を諫めるジル。
「「ごっ、ごめんなさいっ!」」
顔を赤くして少し俯きながら先程の椅子に座り直した二人。
「さて、話を続けるがいいか?」
「「ど、どうぞ」」
本当に息が合ってる二人だなぁと能天気にその様子を見ていたユウマだったが、ジルが真面目な顔をした事で気を引き締める。
「先程の続きだがユウマ、あの日、検証する前にもしかしたらと考えていた事があると私がそう言ったのを覚えているか?」
「えーっと、はい覚えてます」
「よろしい。では改めて確認するが、お前の願いや想いが込められた魔力によって作り出された魔精液。その魔精液が注がれた女にはそれに則った効果が発現するという所まではいいな?」
「はい、大丈夫です」
二人の話を聞いていただけで薄っすらと興奮したエルダリアとミゼーレは、もぞもぞと内腿を擦り始める。
「だが私はずっと以前から疑問に思っていた事があってな?実はこの検証はその疑問を解決するものでもあった、という訳だ」
「……疑問、ですか?」
「あぁそうだ。そもそも初めて私とお前が体を重ねた時、お前は私の魔力限界を突破させようなどと考えてヤっていたか?」
「―――っ!!」
「ふっ、考えていないだろう?」
「……はい、あの時はそれどころじゃなかったですから」
「ふふ♡ 今ではお互いまるで獣のように交わっているが、あの時のお前も中々だったぞ?」
「「…………」」
少しばかり発情していたエルダリアとミゼーレは、ジルの言葉に頬を膨らませ、ジトッとした視線でジルを睨みつけている。
特にユウマの初めての相手がジルだったという事実は、二人にとって驚きよりも悔しさの方が遥かに強かった。
「まぁそれは一旦置いておくとしてだ。その時のユウマはまだ
◇◇◇
ユウマがジルの元で生活をするようになってから一年が過ぎた頃。
何一つ知らないまま放り出されたこの世界にもだいぶ慣れ、見習い冒険者として王都内で様々な手伝いをしながら過ごしていたユウマ。
未だに
「はい、確かに依頼の品が揃っている事を確認致しました。こちらがその報酬となります」
「―――っ!……ありがとう、ございます……っ!」
この世界に来てから初めての手伝いではなく依頼。
王都の外へと踏み出し、近場とはいえそれなりに魔獣が彷徨っている森の中へと入り薬草を採取する。
戦闘能力が皆無なユウマからしてみれば、ただそれだけの事でさえ大冒険以外の何ものでも無かったこの依頼を彼は初めて受け、そして成功させた。
金額は少ないとはいえ依頼を成功させ報酬を貰ったという事実に、ユウマは思わず強く拳を握り叫びたくなる気持ちを必死に抑えながらその喜びを噛み締めた。
「……頑張ろう……次も……」
今こうして依頼を終えるまでアルバイトの経験も無かったユウマにとって、ちゃんとした仕事をしてお金を貰うというのは初めての体験だった。
自分は出来る、自分は必要とされている、そんな気持ちで満たされていた。
これからはこれで生きていける。少しずつでも積み重ねて行けばきっとジルの役にも立てる、そう思って。
だがしかし、そんな純粋だった彼に残酷な現実が訪れるまで、時間はそう掛からなかった。
―――それから数日後の事。
「ユウマッ!!」
大きな声を上げながらギルトへと駆け込んで来たのは、保護者としてユウマの身を預かっているジルファーレであった。
毎回しっかりと魔獣の嫌がる匂いを出すアイテムなども用意して薬草採取の依頼を行っていたユウマであったが、運の悪い事にそれらが全く効かない森の中でも中級レベルの魔獣と出会ってしまった彼は、満身創痍の状態で保護されていた。
依頼を成功させた事で自信がつき、毎日が輝いて見えていた彼にとって、その魔獣との相対はかつてのトラウマを強く思い出させる事となってしまった。
そして依頼を失敗したという事実と魔獣への恐怖は、そうやって着々と積み上げて来たユウマの自信を全て粉々に打ち砕いたのだ。
「ユウマ、お前は何もしなくていいんだ。この世界はお前のいた世界とは違い余りにも危険すぎる。魔獣と戦う術を持たないお前が、わざわざこうして危険な事をする必要は無いんだ」
「……ジルっ……俺っ……俺は―――!」
「いいかユウマ?私がお前を守り続ける。何が来たって私がお前を守ってやる。だから頼ればいい。いつまでも私に頼り続ければいいんだ、ユウマ」
彼女の自宅で抱き締め合いながら目と鼻の先で見つめ合っていた二人は、気が付けばお互いにゆっくりと顔を近づけ、そしてその唇を重ねていた。
ユウマは誰よりも優しくて、誰よりも信頼を寄せ、誰よりも自分を守ろうとしてくれているジルに。
ジルはあの時にも見た、ボロボロになりながら立ち尽くしていた時の彼と似た姿で今も傷ついているユウマに。
◇◇◇
「―――恐らくはその時だろう。心が折れ、自信を失っていたユウマに掛けた私の言葉がトリガーとなった。魔獣への恐怖とその恐怖から守って欲しい、助けて欲しいというユウマの願いが
ジルはその長い脚を再び組み換える。
「魔力というものは本来、倒した魔獣から自然へと還るために溢れ出た魔力の残滓を吸収したり、同じく肉や植物に宿っている僅かな魔力を体内に取り入れる事で成長する」
ユウマもエルダリアもミゼーレも、ただの一言も漏らすまいとジルファーレの言葉に耳を傾けている。
「だがあの日、私がお前の魔精液を得て魔力が高まった事で、私もお前も魔精液はそれを取り込んだ者の魔力を高めるものなのだと認識してしまったのだろう」
ジルを最初に抱いた時に注いだ魔精液は、自分をあの恐怖から守ってもらえるようにジルがもっと強くなる事を願っていた。
彼女が強くなればなる程、自分はもっと安全になりもっと安心出来るからと。
そして更に都合の悪い事に、ユウマがその魔力を高める効果と
「つまりは最初から魔力限界の突破という効果は誤りだったのさ。ユウマが自分を守る存在である私をより強くあって欲しいと願った結果、私の魔力を高める事となった。そしてその効果は例え成長が止まっていたとしても関係が無かったというだけの話だったのだよ」
だから今までエルダリアという女性に出会うまで気が付けなかった。願いによって効果が変わるという本来の
「私の乳が急に出るようになったのも、その女の体が異常なまでに疼いたのも、お前のそういった願いが混じった結果なのだろうな」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!だったらっ、私達がユウマに注ぎ込まれた魔精液っていうのはまさかっ!?」
何かに気が付いたミゼーレに、ジルはニヤリと笑みを浮かべる。
「あぁ、そのまさかさ」
一体何の事かと首を傾げるユウマに、ジルは熱い眼差しを向ける。
「言っただろう?ずっと以前から疑問に思っていた事があると?」
そう言って自分の手を、自らの下腹部に当てたジル。
「どうして
その瞬間から、ジルもエルもミゼも。
三人全員が、熱い眼差しでユウマを見つめる。
「だがその理由を知った今は違う。お前が望み願いさえすればユウマ?私達をより強くする事も、より美しくする事も、よりお前好みにする事も、そして―――」
ギラギラと獲物を狙う光をその瞳に宿したジルは言った。
「私達という雌を孕ませる事すらも、今のお前には簡単に出来るという訳だ♡」
その瞬間、ユウマの雄としての本能が彼の下半身を大きく膨らませた。