「プロデューサー……わたし、疲れてしまいました……」
藪から棒にそう言った。
物欲しそうな顔で上目遣いする彼女を見るのは久しいような気がする。
この頃は仕事にライブに出ずっぱりであった。本人の希望もあってのことだったが、ホテルからホテルに移動することも少なくなかった。
今日は久しぶりに帰宅し、ゆっくり羽根を伸ばすことにした翌日だった。
「雨も降っていることですし、 俺の膝を貸しましょうか」
「まあ……とても魅力的な提案です。では……失礼します」
うつらうつらとベッドから立ち上がる。
たまにはこうしてお世話する側になるのも悪くない。ソファの上を払う。
向こうから花の甘ったるい匂いが近づいてきて、鼻の前で止まった。
──鼻の前?
「あの、秦谷さん」
「はい、どうかしましたか?」
「膝枕のつもりで言ったのですが」
「まあ。……でも、もう座ってしまいました」
女神みたいな笑顔でとぼける。彼女の恐ろしいところでもあるが、出逢ってすぐこの笑みに呑まれてしまったのだ。
向き合って膝の上に乗っかる。そしてそのまま首に腕が回って動けなくされてしまった。
「ん……」
目を瞑り迫る。暗い部屋の中でも唇が色づいて見えた。
「ちゅ……。ん、ふっ……」
あたたかい吐息。くっついて、離れて、求める。
「──んん……ちゅっ、ぷ」
ねばついた音が脳に響く。顔に手が添えられて、無言で合図される。
口を開いて舌を重ねる深いキス。唇だけのキスよりもさらに交わり、生体的なうねりを感じる。熱い。互いの熱と熱を交換しあって彼女を感じる。
「あぇ……んちゅ。えぁ……、んむ──あ…………」
「きゅうっ──ぱっ……は、ふ……れるっ……」
柔らかな楕円形に口を犯される。俺はそれを受け入れ、却って逃げていく舌に吸い付いた。
息ができなくなるまで口を絡め、舌を吸って酸素を肺に入れる。
カラになった肺を甘い香りが満たして、ひどく倒錯した気分になる。
顔を離すと秦谷さんも紅潮していることに気づく。媚薬でも盛られたように息が荒くなっていた。
事実、俺も興奮の中で自分が判らなくなっている。脳下垂体に靄がかかって、空間ごと彼女と触れているような、とかく全てが熱の内にあった。
「ぷろでゅーさー、あー……」
俺の少し上から、口を開けて見せる。透明な粘液が舌で流動して、僅かな明かりにてらてらと光っている。
俺も反射して口を開き舌を出す。
「──れぇ…………」
唾液がふたりの間を滴り落ちる。
彼女は蕩けた表情で、目を細めて、少し手に力が入っていた。
見つめ合って彼女の熱いものを受け取る。
──つー。どろっ。
舌上にどろりと溜まっていくそれを想像した。もっと欲しい。
ふたりを繋ぐ糸が細くなったとき、秦谷さんが顔を寄せた。すっかり彼女の所有物になってしまったようで、視えないリードに引っ張られるように。
「れる、ぐちゅっ……じゅるるっ……。んぢゅっ、えぁ…………」
「じゅっっぢゅるっ、ぐちゃ……ぅる、ちゅっ」
ぐちゅぐちゅと淫猥な音が散る。
──じゅっ、ぐちゅ、じゅるっ。
何度も、何度も、耳がおかしくなりそうになってようやく解放された。
……ごく。
「はっ……、ふぅ…………おいしい、ですか……?」
「──はい、とても。……それで、その…………」
秦谷さんが身動ぎする度に太ももが擦れて、既に怒張は限界に達していた。
それを察して膝から下りる。秦谷さんの乗っていた跡が水染みとなって黒を落としていた。
手短に肉棒を露わにすると、愛おしそうに先端に口づける。
左手を添えてキスを下ろしていく。頬に鈴口が触れて先走り汁が伝う。
「あつくて、やけどしてしまいそう…………」
握るか握らないか、さするように手を上下させる。細い指が隆起をくぐるのに反射して震えてしまう。
「ふふっ。かわいいです。このまま扱いてしまってもいいのですが──」
亀頭だけを口に含み、竿に手をあてがって目を瞑る。
そして口を閉じたまま、うがいするように唾液をかき混ぜ始めた。
「くちゅくちゅくちゅ……」
「うっ……秦谷さ、それ…………」
小さな頬袋が膨縮し、熱気と粘液に包まれた一物を舌で転がされる。
「ちゅっちゅっ、くちゅくちゅくちゅっ……しゅるっ、しゅぅぅ──」
「くちゅくちゅっれるれるれぅ…………」
「ちゅぷ、ぐちゅくちゅくちゅっ、ふぁ…………。ぃあい……それぃくさくへ、こんなぉをなぇさせるぁんへ…………」
カリ首をやするような細かい舌の振動が耐え難い快楽となって襲う。
先に舐めたのは秦谷さんの方、と言いかけたのを遮って、今度は深く咥え込んだ。
ぐっ、じゅぷっ。じゅるるるる……。ぇぇっぇ、んっ。ぐぷっ、しゅる。
「っぷは。びくびく震えて…………もう出てしまいそうですか? いいですよ。お口の中に出してください」
精を搾り取ろうとして動きが激しくなる。
狭い喉の締め付けに悶え、つい頭を押さえつける。
「んん!? ぅ、お゙ごっ。……ふぅっ、ん。じゅっ、ぐぷ。お゙っ、じゅううぅ……んっんっ、ごぽっ」
「────イっっ」
────びゅるるるるるっ
「──! ぐっ、んぶ。じゅるるっ、じゅぽっ、んっお゙…………ふー、ふー……」
放たれたものをこくこくと飲み込む。処理できていなかったぶんの精液が溢れ、半ば溺れるように呼吸する。
やや口吻をしぼませ、舌で遣ってドクドクと断続的に出るそれを煽る。
やがて落ち着くと、再び鈴口にキスをして口を離した。
「ちゅるっ。……ごくん。っはぁ」
「はぁ、はぁ、すみません……」
「担当アイドルの喉に無理やりなんて……わるいひと」
スカートの内から灰色の布切れが落とされる。パンツというにはあまりにも濡れすぎていて、やはり布切れというべきであった。
「わたしも、我慢できそうにありません……」
スカートをたくし上げて跨がる。
ぐちゃり。
秘所は充分に濡れきっていて、容易に挿入を許した。
「ぁっ。ん、うぅ」
すこし身体を傾けただけで大きく水音が主張する。
焦らされた快感をこらえるように、体重をかけ俺の頭を抱き寄せる。
息を整えようと上下する胸は柔らかく、ほどよい大きさのそれに熱を覚える。
「ひぁ!? ぅ、なかではねてっ」
「おっぱい、すきなんですか……? …………ふふ、よしよし。いっぱい、舐めてくださいね」
宥めるみたいに髪を撫で、胸を突き出す。
俺も秦谷さんのするように背中へ手を回し、血色のよい乳頭に舌を這わせた。
「れる……ちゅっ、しゅる……れぇ──」
「よしよし……いいこいいこ。かわいいですよ、ぷろでゅーさー。……んぅっ」
言外に促されて、もう片方の乳房に手をかける。
「ひぅっ、ふふ。いっぱい感じてください、指先からてのひらまで。……あかちゃんみたいで……っう! …………んぅ、ふう。よし、よし……」
掌からあたたかい鼓動が伝わって、安心するような。
親指や人差し指で突起をつつくと小さい声を漏らしてのけ反る。
やさしく穏やかな声に媚びが交じり、頭を撫でる手は不規則にびくんと跳ねた。
「ふぁっ、ぅん、……おいしい、ですか…………?」
びくん。
抓んでみると、今度は腰が大きく動いた。
突然に締まりがキツくなって思わず力んでしまう。
「────! あっあっっ、まって、だめっ。~~~~~~~っ!」
──きゅぅ
声にならない声の痙攣。
クリトリスを擦り付けるように腰が前後し、膣内がうねりを増す。
「甘イキしてしまいましたか……?」
「ぁっ…………ぅっん、ひっ」
俯いて、口端から涎を垂らしている。甘く、永い絶頂。
そんな彼女を見て穏やかでいられるはずがなかった。
「っ! ──動きますね」
「ふぇ……? きゃっ──」
いまだ震える彼女を乱暴に突き上げる。
美鈴はどこからかバチバチという音を聞いた。
踏ん張る力を失った身体は無抵抗に貫かれる。
「あ゙っっっ~~~~! やめ、いまっはっ。あ゙うっ」
重力に負けて離れてしまいそうになる肢体を抱え、ピストンをはじめる。
もはや美鈴の声は聞こえていないし、彼女の発火する脳は快楽以外の信号を認識できなかった。
「んお゙っ、らめっまた、いっへ……ひぅっ! っっあ゙」
ぱちゅっ、ぱちゅっ。
無遠慮に何度も肌を打ち付ける。溶けてしまいそうな喘鳴で叫ぶ彼女は電撃に犯されていた。
ぷしっ。
腹部に勢いよく潮が噴きかかり、挿しても抜いてもぐちゃぐちゃと淫らな音が響く。
抱き合う力がいっそう強くなって、密着。
互いに滲む汗を感じつつ、不快とは思わない。むしろその臭いが、ふたりを取り巻く湿度が、興奮材料となっていた。
ポルチオが離すまいと肉棒に吸い付き、激しく叩きつけるそれにきゅうきゅうと恋しくキスをする。
「ふーっ……秦谷さっ、うっ、射精しますっ」
「はぃっ、きてっ、きてくださいっ! なかっ、にゃかにっ──」
────びゅるるるるっ!
「イ゙っ~~~~~!」
白濁を最奥に流し込む。全身に痺れが回って、内からドクドクと放たれる感覚に身悶えする。
種を一滴も逃すまいとぎゅうぎゅうに締め付けた肉ヒダが美鈴を絶頂の向こうへ押しやった。
じゅっ、と勢いよく小刻みに小水を漏らす。貪った欲液が対流して腹部に重い熱を感じる。
「────ぁっ。…………ぅう。……すき、すきです」
「…………? 秦谷さ……うわっ──」
すき。うわ言のように呟いた美鈴はそのまま彼の胸を倒した。
挿入したまま、前傾姿勢でのしかかる。どこも見ていないような目で彼だけを見ていた。
いただきます。そう言って頸筋に食いかかった。
「はむ…………ふむ。ん、ちゅっ」
ごく僅かな力の甘噛み。小動物を思わせるほどの甘い、甘い捕食。
「むむ……ん、ぷはっ」
薄く痕が残る頸筋から糸が架かる。
名残惜しそうにもういちど顔を寄せると、同時に揺動をはじめる。
二度も出したはずの彼も、美鈴の官能的な振る舞いに、やはり痛いほどの屹立をしていた。
「くぷ。んっ、あ゙っ……ちゅっ、っぷ。じゅっ、かぷかぷ──うあ゙」
膣内の精液をなじませるようなグラインドで陰核を擦り潰す。
逆流した液が摩擦を促して、たった数回の往来が数え切れない絶頂を呼び込む。
苦しげな喘ぎ声は我を失うほどに魅力的で、首許のむず痒さも、昂揚をせきたてて陰茎へシグナルを与える。
触手が鋭敏なカリ首をぐりぐりと膣壁に嫐り倒し、はやく、はやく、と求めるようであった。
「がむ、──ちゅうっ。……っは」
口を離したわたしは上体を起こしてゆるやかな弓形に反らせる。
クリトリスが肉圧から解放された代わりに、凶悪な肉鎌がGスポットを抉る。
「あ゙あぁっ! うっ、おなか、くるしっけど、きもちっ、よく、て──んっ! あたまっ、おかしくっ」
ソファの背もたれを摑みきれず、曖昧に身体を支えて腰を振り下ろす。
「────ゔっ!」
反り立ったモノが窪みを直接に打撃する。たったの一回でも腰が砕け意識を飛ばしてしまいそう。
この快楽になら死んでしまってもいい。浮かぶ思いは思考回路をスキップした本能であろうか。ぼんやりとした淫楽に染まる頭で考える。
「あ゙っあ゙っあ゙っあ゙っ」
無茶苦茶に腰を落とす。一突きの度に頭が白んで、神経締めされた魚のように跳ね上がった。
また善がる身体を無理矢理に動かして彼を貪り求める。意思とは無関係に彼を惜しんで離さない肉ヒダがわたしを苦しめた。
ぐちゃ。一際重い音を聞いた。
──あ、だめ、おおきいのくる、きちゃう
「あ゙あ゙っ、ぷろでゅーさ、ゔっ、すきっ、すきです! あいしてますっ!」
「っ……! 俺も、好き、です──」
「なまえ、よんでっ、あいしてるって……ひあ゙っ」
「好きだっ美鈴、愛してるっ、美鈴っ! みすずっ!」
────くるくるくるくるくるっ
ぐっ。
「────っあ゙」
びゅるるるるっ! びゅるっ、びゅーっ。どくっ、びゅるるるるるっ。
激しく子宮が前方に弾かれ、ぐっぽりと空いた入口に精子が侵入する。天を仰ぐように反らした身体は、腹部に収めている陰棒を酷く誇張する。
「~~~~~~~!」
びゅーーっ。
どくっ、どくっ、どくんっ! びゅるる、びゅぅぅぅっ! ぱた、ぱた。
「──お゙っっあ゙っ…………」
ぷしゃあああ──
意識を手放した彼女の秘所からあたたかな液体が溢れる。
痙攣したまま倒れ込んだ彼女は彼の胸に収まり、なお愛液と尿を撒き散らしていた。