高望みしない彼は今日もゴミ女とセックスする 作:しゃしゃしゃ
卓郎の実の妹の登場です。サブヒロイン的な立ち位置です。
当然セックスします。近親相姦っていいですよね。
朝の静けさを破るように、眩しい夏の光が薄いカーテンを透かして室内に差し込んでいた。
「おい、起きろー! いつまで寝てんだよバカ兄貴!」
どすん、とみぞおちのあたりに容赦のない衝撃が走り、卓郎は「ぐえっ」と息を詰まらせて瞼を開けた。
腹の上にまたがり、体重をかけて乗っかっているのは、中学一年生になった妹の結衣だった。くしゃくしゃの寝癖を立てたまま、ニシシと意地悪そうな笑みを浮かべてこちらを見下ろしている。
「重ぇよ、どけ。中一にもなって兄貴の腹の上に飛び乗るな」
卓郎は眉間にシワを寄せ、結衣の肩を雑に押し退けた。結衣はすばしっこくベッドから飛び降りると、腕を組んで鼻を鳴らした。
「ふん、起きない兄貴が悪いんでーす。お母さんがもう朝ごはんできてるって言ってるよ。早く起きないと冷めるから、ほら早く! 」
「わかったから出ていけ。着替える」
卓郎はだるい身体を起こし、ベッドの端に腰掛けた。昨日までの部活動の疲労が重く残っており、肩から腰にかけて鈍い痛みが走る。頭を掻きむしりながら、小さく息を吐き出した。
だが、結衣は部屋を出ていこうとせず、卓郎の勉強机の椅子に腰をかけると、クルクルと回しながら卓郎の顔を覗き込んできた。
結衣の顔立ちを、卓郎は兄としての贔屓目を抜きにしても整っていると認めざるを得なかった。
――大きくて澄んだ瞳、すっと通った鼻筋、きめ細やかな肌。中学生になりたてとはいえ、街を歩けば誰もが振り返るような華やかさと素朴な可愛らしさを兼ね備えている。
「ねえ、兄貴」
「なんだよ」
「今日もまた、あの三人の誰かと登校するわけ?」
「三人組って誰のことだ」
「とぼけちゃってさ。兄貴の幼馴染の不細工三人のこと。いつも兄貴の周りにまとわりついてて、マジでウザいんだけど」
結衣は心底嫌そうに眉をひそめ、不満を隠そうともせずに吐き捨てた。
「あの三人、ホントによく兄貴の周りにいるよね。私だったら絶対に友達になりたくないタイプばっかりなのに。なんで兄貴みたいなのが、あんな奴らの相手しなきゃいけないわけ?」
結衣にとって、自慢の兄である卓郎は特別な存在だ。妹としての純粋な好意と憧れを抱いているからこそ、その兄の周りにまとわりつく不細工でパッとしない幼馴染たちが、鬱陶しくてたまらないのだ。
卓郎は制服のシャツに袖を通しながら、淡々と問いかけた。
「なんでそこまで言うんだよ」
「だってさぁ、見ればわかるじゃん!」
結衣は自分の綺麗な指をひとつ折った。
「まず、ブス眼鏡(彩綾)。いっつも背中丸めてボサボサの頭してさ、分厚い眼鏡かけてオドオドしてるでしょ。顔も平べったくてパーツがバラバラだし、笑い方が『ニヒヒ』って感じでマジでキモいじゃん。見てるこっちが不安になるんだよね」
次にふたつ目の指を折る。
「で、デブ女(紗羽)。あの肉のかたまり、何? 歩くたびに床が揺れてるんじゃないかってくらいドシドシ歩くし、お腹もお尻もパンパンじゃん。そのくせ態度だけはやたらデカくて、自分のこと可愛いって思ってそうなのが本当に痛い。性格の悪さが顔に溢れ出してるよね。学校でも浮きまくってそう」
そして、みっつ目の指を折る。
「最後に、バカ(凜)。なんていうか……顔の筋肉がダラーンとしてて、何考えてるか全然わかんないし。たまに突発的に変な動きするから怖いんだよね。普通に話通じないじゃん。ぶっちゃけ外に連れ出すのも恥ずかしいレベルでしょ」
結衣は整った容姿を歪め、心底見下したように吐き捨てた。
「不細工と、生意気なデブと、会話も成り立たない頭の弱いやつ。欠点まみれの三選じゃん。兄貴、優しすぎるからつけ込まれてるんじゃないの? あんな奴らにまとわりつかれてたら、兄貴の価値まで下がるよ」
卓郎はズボンのベルトを締めながら、心の中で冷ややかに嘲笑した。
(お前の言う通りだよ、結衣。あいつらはどいつもこいつも欠陥品だ。……だがな、お前には分かってない)
だが、そんな本音を妹に明かすわけにはいかない。卓郎は顔にいつもの苦笑いを貼り付け、困ったような仕草で頭をかいた。
「おいおい、言い過ぎだろ。あいつらにも良いところはあるさ。付き合いが長いんだから仕方ないだろ」
「ふん、兄貴は甘いんだよ。……ねえ、ちなみにさ」
結衣は椅子から立ち上がり、卓郎の前に回り込むと、ニヤニヤとした意地悪な笑みを浮かべて覗き込んできた。
「兄貴って、今まで彼女できたことないよね? ぶっちゃけまだ童貞でしょ?」
「……ハァ? なんだいきなり」
「だってさぁ、高校生にもなって一度も彼女連れてきたことないし、いつもあの三人組か部活の話ばっかりじゃん。兄貴、顔はいいのに恋愛に関しては全然だよね」
結衣は「童貞のくせに」と言わんばかりの表情で、くすくすとおかしそうに笑った。
妹からすれば、完璧な兄にもひとつくらい「彼女ができたことがない」という可愛げのある弱点があってほしいのだ。
もちろん、卓郎がその幼馴染たちとすでに一線を越えているなどとは、夢にも思っていない。
「余計なお世話だ。俺は部活と勉強で忙しいんだよ」
「はいはい、そうやって誤魔化すー! ま、変なブスやデブに引っかかって初体験奪われるよりは、童貞のままでいてくれた方が妹としては安心だけどね」
結衣は満足そうに頷くと、飛び跳ねるように立ち上がった。
「じゃ、私先に朝ごはん食べるから。早く降りてきなよ、どーてー兄貴? 」
煽るような捨てゼリフを残し、結衣はパタパタと足音を立てて部屋を出て行った。ドアが閉まり、部屋に静寂が戻る。
卓郎は一人、鏡の前に立ち、襟元を整えながら自分の姿を見つめた。
「童貞、ねぇ……」
結衣の無邪気な勘違いを思い返し、卓郎の唇の端が歪に吊り上がった。
(何も知らねぇで、呑気なもんだな)
妹が蔑むあの不細工で欠陥だらけの幼馴染たちが、自分にとってどんな存在であるか。結衣が想像もできない裏の顔を持ちながら、卓郎は鏡の中の自分に向かって完璧で爽やかな「好青年」の笑顔を作り上げ、カバンを手に取り、卓郎は静かに部屋を後にした。