※この作品はR-18です。

高望みしない彼は今日もゴミ女とセックスする   作:しゃしゃしゃ

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ちなみに、結衣(妹)は中学一年生です。去年までランドセル背負ってたと考えると滾りますね。あと処女です。いろんな男の子に告白はされていますが彼氏はいないしセックスごっこをするような友達もいません。


第二十一話 紗羽と休日(おまけのおまけ)

 

 

夕食を終えた卓郎は、自室のデスクに向かい、参考書とノートを広げていた。

ペン先が紙を滑るカリカリという音だけが室内に響く。昼間の密室での熱狂は影を潜め、今の卓郎はどこからどう見ても真面目な兄であり、成績優秀な優等生そのものだった。

 

そこへ、ノックもそこそこに自室のドアがすっと開いた。

 

 

「ねえ、兄貴ー。ちょっといい?」

 

入ってきたのは妹である結衣だった。風呂上がりなのか、髪からはほのかにシャンプーの甘い香りが漂っている。身につけているのは薄手のキャミソールとショートパンツという、かなり肌の露出が多い部屋着姿だった。

 

中学一年生にしては背が高く、スタイルが整っていることもあり、兄の卓郎から見ても目のやり場に困る格好であるのは確かだった。

 

 

卓郎は開いていたノートから視線を上げると、少し眉間を寄せて「兄としての顔」を作ってみせた。

 

 

「……お前さ。いくら家だからって、そんなだしない格好で男の部屋入ってくんなよ。少しは警戒心持てよな」

 

 

軽く小言を叩いた卓郎だったが、結衣はどこ吹く風といった様子で、ひらひらと手を振ると卓郎のベッドの縁にどっかと腰掛けた。

 

 

「はぁ? 何言ってんの。普通の寝巻きだし。……てか兄貴、なんでそんなキョドってんの? もしかして、実の妹に欲情でもしてんの? キモ〜い、うわっ、マジでキモんだけど!」

 

オーバーに自分の身体を抱きかかえるような仕草をして、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる結衣。

 

卓郎は内心で冷や汗をかきつつも、呆れたように深々とため息を吐いてみせた。

 

実際、風呂上がりの無防備な姿に少なからず翻弄されかけている己の感覚を、自制心で必死に押し殺す。

 

 

(……相変わらず無駄に勘が冴えてるっていうか、余計な突っ込みばっかしてくる奴だな)

 

 

卓郎はペンを置くと、椅子をくるりと回転させて妹に向き直った。

 

 

「くだらないからかいはいいから。で、こんな時間に何の用だよ。明日も学校あんだろ、用がないならさっさと部屋戻って寝ろ」

 

雑に話を切って追い出そうとする卓郎。だが、結衣の表情から先ほどの軽いふざけた空気がすっと消え去った。

 

ベッドの上で胡坐をかいた結衣は、どこか鋭い、真剣な眼差しを卓郎に向けてきた。

 

 

「……真面目な話。今日ってさ、あのデブ女……加賀原さんの家で、本当のところ『何してきた』の?」

 

 

「……またその話かよ」

 

 

卓郎は心底ウザそうに肩を竦め、フッと鼻で笑ってみせた。

 

 

「さっき飯の時にも言ったろ。あいつクラスで孤立してっから、昔馴染みとして話聞いてやってただけだっての。それ以上でもそれ以下でもねぇよ。お前がヘンな勘繰りするようなことなんて、何も起きてねぇから」

 

 

いつものフランクな兄としての口調、呆れたような表情、筋の通った理屈。今まで幾度となく大人たちや周囲を騙し通してきた手慣れた対応だった。この返答で話を切り上げ、妹を部屋から追い出せるはずだった。

 

 

だが、結衣はまったく引き下がらなかった。

 

 

「誤魔化さないでよ、兄貴」

 

 

妹はベッドから立ち上がると、すたすたと卓郎のデスクのすぐ脇まで歩み寄り、じっとその顔を覗き込んできた。

 

 

「嘘つかなくていいって。兄貴が『いいお兄ちゃん』ぶるときの顔、あたしが知らないとでも思ってんの? 昔からそうやって優等生演じてるときの顔、どこか嘘くさいんだよね。……今日の兄貴、帰ってきたときからなんか変だったし。毒が抜けたみたいにスッキリした顔してさ。ただの相談聞いてきた奴の顔じゃなかったじゃん」

 

 

「……」

 

 

「ただ話を聞いてただけなんて、絶対ウソ。本当は『何』してきたわけ? 正直に言いなよ」

 

 

誤魔化しが効かなかった。いつもなら適当な言い訳で煙に巻けるはずの妹が、今回は逃げ道を塞ぐようにじっと卓郎の真意を探ろうとしている。

 

卓郎は表面上の余裕な笑みを崩さないまま、喉の奥で静かに息を飲んだ。

 

目の前で疑いの眼差しを向けてくる妹と、今日あの大邸宅の密室で繰り広げられた、加賀原紗羽との濃密で不潔な交尾の記憶。誰にも言えるはずがない、言うわけにはいかない真実を隠し通すため、卓郎の頭脳は猛スピードで次の「嘘」と「切り抜け方」を組み立て始めていた。

 

 

「そんなこと聞いてどうするんだよ……お前には関係ないだろ」

 

 

苦し紛れの切り返しだった。

 

いつもなら鼻で笑って軽やかに受け流すはずの卓郎が、珍しく余裕をなくして口を濁した。そのわずかな動揺を、結衣の鋭い洞察力が逃すはずもない。

 

 

「やっぱり?」

 

 

妹はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべ、ポンと手を叩いた。

 

 

「その反応だとマジっぽいね……。えー、まさか兄貴があの人とね〜……!」

 

 

(待て……何か盛大に勘違いしてないか?)

 

 

卓郎の脳内に嫌な汗が吹き出す。妹のニヤついた顔を見る限り、彼女の頭の中では今、とんでもないロジックが組み上がっていた。

 

 

『真面目で堅物な兄貴が、あの不潔で醜悪なデブ女(紗羽)と、今日ついに初めてのセックスをして童貞を卒業した』

 

 

そんな愉快で香ばしい事実が、妹の中でほぼ確定事項として認定されようとしている。

 

このまま黙っていれば、どうなる? 妹の中で「兄貴はあのデブ女のことが実は本気で好きで、純愛の末に付き合って結ばれた」という、最悪のストーリーが完成してしまう。そんな噂や認識が家族内に広がれば、優等生としての面目は丸潰れであり、兄としての威厳は地に落ちる。

 

 

(あの豚と俺が『相思相愛の恋人同士』だと思われる……? ふざけるな、それだけは絶対に耐えられない……!)

 

 

純愛の彼氏彼女だと誤解される屈辱に比べれば、真実――すなわち「ただの都合のいいセフレとして玩具にしている」と告げる方が、男としても兄としても遥かにマシだった。

 

 

卓郎は小さく息を吐くと、意地の悪い笑みを浮かべる妹の肩を軽く掴み、ベッドへと押し戻した。

 

 

「おい、変な勘違いすんな。……声が大きい、父さんと母さんに聞こえたらどうする」

 

 

「え〜? だって動揺してんじゃん兄貴。あのデブ女と付き合ってんのでしょ?」

 

 

「違う。……絶対に他言しないって約束できるか?」

 

 

卓郎の表情からいつもの優等生らしい柔らかさが完全に消え、冷たく低いトーンに変わったのを見て、妹も思わず言葉を呑んだ。

 

卓郎は観念したように軽く首を振ると、妹の耳元に顔を近づけ、静かに真実を打ち明けることに決めたのだった。

 

 

「……いいか、ヘンな勘違いすんなよ。一回しか言わないからな」

 

 

卓郎は小さくため息を吐くと、妹の耳元に顔を近づけ、低い声で静かに切り出した。

 

 

妹の頭の中にある「純愛の末に結ばれた恋人同士」という香ばしくも屈辱的な誤解を、跡形もなく叩き潰すためだ。だが同時に、自分の内面にある歪んだ支配欲や暗い毒の部分まで明かしてしまうのは、今後の妹との関係や家での立場を考えても決して得策ではない。卓郎は瞬時に頭脳を回転させ、過剰な悪意は伏せたまま、あくまで「割り切った事実」だけを淡々と打ち明けることにした。

 

 

今日、加賀原家で何があったのか。自分が彼女とどのような関係にあり、どのような経緯でそうなったのか。

 

 

自分が彼女に抱いているのは甘い恋愛感情などではないこと。お互いの利害や欲望が一致した結果として存在している、冷めた肉体関係に過ぎないこと。そして、お前が面白おかしく想像しているような「お付き合い」などでは断じてないという客観的な事実のみを、言葉を選んで冷静に語って聞かせた。

 

恋人扱いされる屈辱を回避するための、あまりにも淡々とした事実の告白。

 

最初はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべ、完璧な兄をからかう気満々だった妹だったが、卓郎の口からあまりにも生々しく大人びた事実が直球で語られるにつれ、徐々にその顔から余裕が消えていった。

 

 

開いた口が塞がらないとはまさにこのことだった。

 

兄をからかって遊ぶつもりで首を突っ込んだものの、中学一年生の彼女にとって、実の兄の口から直接語られるリアルな情事は、想像を遥かに超えて刺激的で生々しすぎたのだ。

 

余裕のある少女を気取ってはいたが、根はまだまだ初心な年頃。その許容量は一瞬で限界を迎えていた。

 

 

「……え、あ……兄貴、な……っ」

 

 

何を言い返せばいいのかも分からず、あまりの生々しさと気恥ずかしさに、妹の顔はみるみるうちに茹で上がったタコのように真っ赤に染まっていく。

 

普段の「お堅いお兄ちゃん」とは違う、一人の男としての卓郎のリアルな一面をまざまざと突きつけられたことで、脳の処理が完全にフリーズしていた。

 

 

卓郎はそこまで一気に話してから、ハッと我に返った。

 

 

(……しまった。あいつと恋人扱いされるのが嫌すぎて、いくらなんでも真実をそのまま直球で喋りすぎたか……)

 

 

遅まきながら、中学生の妹相手に説明が刺激的すぎたことに気づいた卓郎。

妹を見やると、彼女は真っ赤になった顔を両手で覆うようにして、ベッドの上で小さくなったまま完全に沈黙していた。

 

先ほどまで部屋に漂っていたニヤついたからかいの空気は跡形もなく消え去り、自室には耐えがたいほどの気まずさと、甘酸っぱく重苦しい静寂だけが残されていた。

 

ベッドの上で両手で顔を覆っていた妹は、深く深呼吸を繰り返しながら、ようやく麻痺していた思考を動かし始めたようだった。

 

 

真っ赤になった耳たぶを押さえつつ、チラチラと卓郎の顔を伺う。

 

 

 

兄貴はあのデブ女と付き合っているわけでも、純愛を育んでいるわけでもない。

 

互いの目的のために割り切り、欲望を満たし合っているだけの冷めた関係。

 

 

 

中学生の感覚からすれば刺激的で毒が強すぎる現実だったが、それでも兄から淡々と告げられた説明に、妹はしぶしぶ納得したようだった。

 

 

「……ふん。まあ、兄貴が言いたいことは分かったよ」

 

妹は消え入りそうな声で呟き、気まずさを誤魔化すようにキャミソールの裾をきゅっと引っ張った。そのまま引き下がって部屋を出ていくかと思われたが、結衣はふと何かに引っかかったような顔をして、再び卓郎を見つめた。

 

 

「……でもさ」

 

「ん?」

 

 

「兄貴の方は『割り切ってる』からそれでいいとして……向こう(紗羽)の方は本気なんじゃないの? 夕飯の時に話したけど、あたしが見た時のあの人の表情とか、兄貴へのすがりつき方とか……どう見ても『大好きな彼氏にメロメロな乙女』って感じだったじゃん」

 

 

鋭い指摘だった。自分は割り切っていても、相手は本気で恋をしていて、それを利用されているだけなのではないかという疑問。

 

 

しかし、卓郎は動じるどころか、どこか他人事のようにフッと口元を緩めた。

 

 

「そりゃまあ、そうだろうな」

 

あまりにも当然と言わんばかりの軽い返答。卓郎は紗羽が自分にどれほど好意を寄せ、どれほど深く依存しているかなど、百も承知だった。

 

それどころか、彼女をそういう精神状態に追い込み、自分なしでは生きていけない「お姫様」に仕立て上げたのは、他ならぬ卓郎自身なのだから。

 

自分の思惑通りに狂い、自分を王子様と崇める怪物の姿。その好意を冷徹に受け止め、手元で転がして楽しんでいる。その圧倒的な優越感は、卓郎の腹の底にある暗い満足感を満たしていた。

 

卓郎のその一切の罪悪感を感じさせない、あまりにも不敵で余裕に満ちた態度。

 

 

結衣はその雰囲気を敏感に察取した。兄が詳細な悪意まで口にしなくても、その一瞬の表情や空気感だけで、相手の好意をいいように手玉に取っている「裏の顔」を直感したのだ。

 

 

妹は呆れたような、けれどどこか兄の底知れなさに引きつったような笑みを浮かべ、軽く肩を竦めた。

 

 

「……へぇー。ほんと、悪い男だねー、兄貴は」

 

 

先ほどまでの真っ赤になって照れていた空気は消え、妹は半ば呆れ交じりに卓郎を揶揄った。卓郎はそれに対して何も否定せず、ただ優等生の微笑みを浮かべたまま、静かにノートを開き直すのだった。

 

 

 

 

 

 

▼  ▼  ▼

 

 

 

 

 

 

自分の部屋に戻ってドアを閉めた瞬間、私はそのままドアに背中を預けて力なくヘタリ込んだ。

 

 

「……はぁ、マジでなんなの、あの兄貴……」

 

 

胸の奥がドクドクと不快な音を立てて鳴り響いていて、両頬はまだ火照ったままだ。さっき兄貴の部屋で聞かされた言葉を、脳ミソがうまく処理してくれない。

 

 

まさか、あの完璧で品行方正を絵に描いたような兄貴が、加賀原紗羽……あのデブ女と、裏でそんな関係になってただなんて。

 

 

付き合ってるとか、純愛でラブラブとか、そういう甘っちょろい話じゃないっていうのは理解した。

 

でも、だからって「ただお互いに性欲を満たすために利用し合ってるだけ」なんて、実の兄から直球で聞かされる妹の身にもなってほしい。生々しすぎて眩暈がする。

 

 

(……っていうか、何? 兄貴ってあの手のデブがタイプなの……? いや、違うな……)

 

 

さっきの兄貴の冷めた顔を思い出す。別にデブ専ってわけでもなさそうだった。

 

じゃあ何? 単純にストライクゾーンが異常に広すぎるだけ? 相手が誰であれ、やれれば何でもいいってこと?

 

 

……やばい。普通に考えて、私の兄貴、思考がやばすぎるでしょ。

 

 

優等生の仮面を被っておきながら、陰ではそんなことやってたんだ。

 

いくら兄貴とはいえ、やっぱり男は男なんだなというか、裏でしっかりやることやってんだなーって……なんだか妙な寒気がした。

 

 

 

ベッドの上にバタンと倒れ込み、天井を見つめる。

 

熱を持った頭でさっきの会話を反芻していると、ふと嫌な予感が脳裏をかすめた。

 

 

(……待って。そう言えば兄貴って、あのデブ以外にも幼馴染いたよね……?)

 

 

ブス(彩綾)とバカ(凛)。

 

 

兄貴の周りにいつも引っ付いている、あの二人。正直、私から見れば彩綾も大したことない不細工だし、凛なんてただの頭が足りないアホだ。二人とも見ていてイライラするレベルでろくでもない女だけど……。

 

 

(……まさか、ね。まさかあの二人とも……??)

 

 

あのデブ女と平然と「そういうこと」ができる兄貴だ。彩綾や凛みたいな不細工や頭の足りない奴ら相手だって、同じように食指を伸ばしててもおかしくないんじゃないか?

 

 

「いやいやいや……! まさかねー……!」

 

 

一人で声を上げてブンブンと頭を振ったものの、一度芽生えてしまった疑念は止まらない。あの完璧な顔の下に隠された兄貴の「裏の顔」を知ってしまった以上、絶対にないとは言い切れないのが恐ろしいところだ。

 

 

兄貴の本当の姿。生々しすぎる大人の関係。そして、芽生えてしまった余計な疑惑。

 

 

聞かされた話の衝撃があまりにも強すぎて、心臓のドキドキがちっとも収まってくれない。頭を空っぽにしようと布団を頭まで被ってみたけれど、脳が冴え渡ってしまって全然眠気が来なかった。

 

 

結局私は、そのまま夜が更けるまで、ベッドの中で何度も寝返りを打ち続けるハメになったのだった。

 

 

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