※この作品はR-18です。

高望みしない彼は今日もゴミ女とセックスする   作:しゃしゃしゃ

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ちょい長めです


第二十三話 彩綾と休日デート回(ラブホテル)

 

 

メイクサロンを出てすぐの物陰で、卓郎くんは被っていた帽子と眼鏡をあっさりと取り外した。

 

 

「……よし」

 

 

変装を解き、いつもの端正な顔立ちに戻った卓郎くんが、私の顔を改めて上から下まで見改める。

 

 

元ののっぺりとした地味で不細工な「相原彩綾」の影は、どこにも残っていない。

 

今の私は、プロのメイクによって劇的な立体感を手に入れた、どこからどう見ても文句なしの美少女だ。

 

もし知り合いやすれ違う学校の誰かに見られたとしても、私だと認識できる人間は一人もいないだろう。

 

今の私は、ただのちょっと動作がトロくてどんくさいだけの、美少女でしかない。

 

これなら、卓郎くんが横に侍らせて連れ歩いても、何ひとつ問題はないはずだった。

 

 

「ほら、行くぞ」

 

 

「う、うん……っ」

 

 

卓郎くんの少し後ろを並んで歩き始めると、すぐに周囲の異変に気づいた。

 

 

すれ違う人々の視線が、次々と私に注がれているのだ。

 

 

普段の私なら、誰からも見向きもされないか、邪魔そうに避けられるのが関の山だった。なのに今は、通り過ぎる男性も女性も、誰もが驚きと見とれるような視線をこちらに寄せてくる。

 

 

「ねえ、あの子すごく可愛くない……?」

 

 

「モデルか何かかな……胸もすごすぎるだろ……」

 

 

ひそひそと囁かれる声が聞こえてきて、私は慣れない注目への恥ずかしさとプレッシャーで、思わず身を縮こませてオドオドと立ち尽くしてしまった。

 

その時だった。

 

 

「……おい、離れるな」

 

 

低くぶっきらぼうな声と共に、卓郎くんの大きな手が伸びてきて、私の肩を力強く抱き寄せた。

 

 

「っ……!? 卓、郎くん……!?」

 

 

体ごと引き寄せられ、卓郎くんの体にぴったりと密着する。

 

それはまるで、周囲の視線に対して「こいつは俺の女だ」と主張し、誇示するかのような堂々とした力強い抱擁だった。今まで一度だって、人前でこんな風に私を抱き寄せてくれたことなんてなかった。

 

 

驚きと戸惑いで心臓が破裂しそうになると同時に、胸の奥から押し寄せる圧倒的な嬉しさに涙が出そうになる。

 

 

(卓郎くんが……私を『自分の女』として抱きしめてくれてる……っ!)

 

 

嬉しさのあまり、私は堪らず卓郎くんの太い腕にギュッと両手で抱きついた。

 

普段の卓郎くんなら、私からこんな風に触れようとすれば「鬱陶しい」「調子に乗るな」と冷たく引き剥がすはずだった。だけど今の卓郎くんは、舌打ちひとつせず、私の行動をされるがままにしてくれている。

 

 

「卓郎くん……♥」

 

 

私は幸せで幸せで胸がいっぱいになり、溢れ出る笑みを抑えきれないまま、彼の腕にしっかりとしがみついてニコニコと並んで歩いた。

 

ギュッと腕を抱きしめたことで、私の胸の柔らかさと胸の谷間の感触が、卓郎くんの腕にダイレクトに押し当てられているのが分かった。密着した肌から伝わる体温と感触に、私自身の身体も熱くなり、どこか甘く危険な気分が込み上げてきてしまう。

 

 

卓郎くんは前を見据えたまま澄ました顔を決め込んでいるけれど、私と同じように腕から伝わる感触に意識を奪われているのは明らかだった。

彼の中で熱い衝動とムラムラとした欲望が沸き上がっているのが、密着した体から嫌というほど伝わってくる。

 

 

お互いに口には出さないものの、言葉にできない悶々とした情念を腹の底に滾らせながら、歩調を早めて目的地へと向かう二人。

 

やがて、人通りの少ない路地へと入り込んだ卓郎くんが足を止めた。

 

卓郎くんが私を連れて向かっていた目的地――そこは、当然と言えば当然、怪しく煌めく看板を掲げたラブホテルだった。

 

 

駅から歩いてすぐの路地裏にある、怪しいネオンが静かに揺れるラブホテルの自動ドアをくぐる。

 

静まり返ったロビーに入ると、卓郎くんは迷いのない足取りで受付へと向かった。パネルに表示された部屋番号を押し、小窓の向こうにいる従業員へ声をかける。

 

支払いは前払い制だ。卓郎くんは迷うことなく財布を開くと、学生らしからぬ手慣れた手つきで、万札を何枚かすっと差し出した。

 

チラリと見えた彼の財布の隙間には、高校生の手持ちとしては明らかに異常な数の万札がぎっしりと敷き詰められている。

 

 

(卓郎くん、すごいな……高校生なのに、なんでこんなにお金を持ってるんだろう……?)

 

 

私はただただ圧倒されて感心するばかりで、そのお金の出どころなんて知る由もなかった。

 

 

――まさかそれが、あの加賀原紗羽から搾り取ったお金だなんて、夢にも思っていない。裕福な家庭で育った紗羽は、卓郎くんに抱かれ、甘い言葉で甘やかされるたびに、彼を自分に繋ぎ止めておくための繋ぎ代として数万円単位のお金を貢いでいたのだ。卓郎くんはそんな彼女の歪んだ好意と依存心を冷徹に利用し、懐を優雅に潤わせていたのだった。

 

 

 

手続きを素早く済ませると、卓郎くんは鍵を受け取り、私の手首を少し強い力で引っ張ってエレベーターへと乗り込んだ。

 

指定された部屋の前に立ち、カチャリと鍵を回してドアを開ける。

 

部屋に入り、背後で重いドアが閉まった、まさにその瞬間だった。

 

 

「卓郎く――」

 

 

言いかけた私の言葉は、最後まで紡がれることはなかった。

 

 

「んっ……!?」

 

 

視界が強引に反転し、背中が壁に押し付けられたかと思うと、間髪入れずに卓郎くんの強い力で両肩を掴まれ、激しく唇を塞がれたのだ。

 

息が詰まるほどの強引で熱烈なキス。

 

卓郎くんの熱い体温と、荒い息遣いがダイレクトに顔に吹きかかってくる。

 

突然の出来事に一瞬驚いて目を見張ったものの、私を激しく求める卓郎くんの情熱に、胸の奥から甘いトキメキと多幸感が爆発しそうなくらい溢れ出してきた。

 

 

(卓郎くん……! こんなに、こんなに私を欲しがってくれてるんだ……っ!)

 

 

普段の冷たい態度からは想像もつかないほどの激しさに、私の思考は甘くトロトロに溶けていく。

 

私はうっとりと重い瞼を閉じると、自分から卓郎くんの首元に回した両腕をしっかりと絡めつけた。

 

プロのメイクで可憐な美少女に生まれ変わった自分の全てを預けるように、豊かな胸の膨らみごと身体のラインを彼にピッタリと密着させる。

 

 

押し付けられる卓郎くんの温かい唇を受け止め、忍び込んできた彼の熱い舌に、夢中になって自分の舌を何度も絡ませていくのだった。

 

 

 

どれくらいの間、唇を重ね合っていただろう。

 

 

暗がりの中で重なり合う熱い吐息と、生々しく弾む空気。卓郎くんから伝わってくる強い体温に包まれているだけで、私の頭の中はトロトロに溶かされ、視界が甘くぼやけていく。

 

 

気付けば私の瞳はトロンと熱を帯びて潤み、まともな思考なんて一欠片も残っていなかった。理性が吹き飛び、ただひたすら彼に全てを委ねたいという欲求だけで胸がいっぱいになっていく。

 

卓郎くんは、私のそんな甘えた顔を冷徹な眼差しで見下ろしていた。

 

 

「……ハッ、相変わらずバカみたいな顔。ちょっと優しくされただけで、すぐこれだ」

 

「あ……卓、郎くん……っ」

 

 

卓郎くんはふっと体勢を変えると、私の身体を強引に反転させ、逃げられないように背後に回り込んだ。

 

 

「……本当、お前は扱いやすいな」

 

 

「ぁ……っ! 卓郎、くん……っ、好き……大好き……♥」

 

 

「静かにしろよ。耳元でうるさい」

 

 

低く冷ややかな囁きと共に、着飾ったブラウスの上から強い力で体を抱きすくめられる。

 

 

耳元でぶつけられる容赦のない言葉と、背中越しに伝わってくる彼の圧倒的な存在感。それらを感じるたびに、私の背筋を甘い痺れとゾクゾクとした危険な快感が激しく駆け抜けていく。

 

 

「こんなとこ連れてこられて、何されるか分かってんだろ? なあ、彩綾」

 

 

「う、うん……分かってる……っ。卓郎くんの……好きなように、して……っ」

 

 

「フン……分かってんなら余計なこと喋るな。言ったろ、お前は黙って俺に従ってりゃいいんだよ」

 

 

「……はい……っ♥ 卓郎くんの言う通りにする……っ」

 

 

普段の学校で見せる、優しい優等生の姿――そんな表の顔からは絶対に想像もつかない、冷酷で乱暴な卓郎くんの一面。

 

でも、私にとってはそれこそが卓郎くん。世界中で私だけが知っている彼の「裏の顔」で扱われ、都合のいい存在として支配されること。それ自体が、私にとって異常なほどの喜びであり、自分が生きていることを実感できる唯一の瞬間だったのだから。

 

 

「卓郎くん……ぁ……っ、ん……♥」

 

 

「……エロい声。もう感じてんのかお前」

 

 

「ごめっ……ごめんなさい……っ。でも、卓郎くんに触られて……嬉しくて……っ」

 

 

「……調子乗んなよ」

 

 

理性を失った私は、彼の強引で乱暴な手つきに抗うどころか、もっと深く求めてしまうように自分から身体を擦り寄せ、甘く熱い声を漏らしてしまう。

 

 

卓郎くんは私を背後から抱え直すようにして、抗う術を奪ったまま、一歩一歩ベッドの縁へと誘導していく。

 

 

「ほら、さっさと動け。こっちに来い」

 

 

「うん……っ、どこでも……卓郎くんの行くところなら……っ」

 

 

「……ったく、気味の悪い奴」

 

 

冷たく吐き捨てられ、乱暴に引きずられるようにしてベッドへと追いやられる。

 

だけど、私の中に怯えなんて微塵もなかった。これから始まる、誰にも邪魔されない密室での「卓郎くんだけのものにされる時間」――その圧倒的な多幸感と期待感で、私の胸の興奮は有頂天に達していた。

 

音を立てて、ふかふかのベッドの上に二人で倒れ込む。

 

 

「……準備はできてんだろ?」

 

 

「……うん。卓郎くん……私を……いっぱい使って……♥」

 

 

弾む息を整えることもできないまま、私は乱れた髪の隙間から、熱っぽく恍惚とした瞳で大好きな卓郎くんを見上げるのだった。

 

 

ベッドに押し倒された私の体の上に、卓郎くんがゆっくりと覆いかぶさってくる。

 

 

「……なぁ、彩綾」

 

 

上から見下ろしてくる卓郎くんの目は、どこまでも冷たくて、それでいて欲望の熱を孕んでいた。私は息を呑みながら、彼のシャツの胸元をキュッと握りしめる。

 

 

「な、なに……? 卓郎くん……」

 

 

「お前、さっきサロンで鏡見たとき、どう思った?」

 

 

「え……っ? あ……すごく、びっくりした……。私じゃないみたいで……」

 

 

卓郎くんの口元が、意地の悪い形に歪んだ。

 

 

「だろ? プロに塗りたくってもらって、少しはマシな面になったわけだ」

 

 

「う、うん……卓郎くんが……連れて行ってくれたから……っ」

 

 

「勘違いするなよ。お前が不細工すぎて、一緒に歩くのが苦痛だったから金かけただけだ」

 

 

「ごめんなさい……っ。でも……卓郎くんのおかげで、私……すごく、嬉しかったの……っ」

 

 

卓郎くんはフンと鼻で笑うと、私の顔にかかった前髪を乱暴にはらいのけた。その手が私の頬をなぞり、首元へと滑り落ちていく。

 

 

「こんな綺麗な顔に化けても、中身はお前のままだもんな。オドオドして、どんくさくて……俺にすがるしか能がない、ただの彩綾だ」

 

 

「……うん……っ。私は、卓郎くんの彩綾だよ……っ。卓郎くんがいないと、生きていけないの……」

 

 

「わかってんならいい。……お前、俺が捨てたらどうする?」

 

 

卓郎くんの唐突な質問に、私の心臓がヒュッと跳ね上がった。全身の血が引いていくような感覚に襲われ、私は必死で首を振る。

 

 

「や……やだっ! 捨てないで……っ! なんでもするからっ、卓郎くんの言うこと、全部聞くから……っ!」

 

 

「嘘つけ。言うこと聞くなら、さっきからいちいちうるさく鳴くなよ」

 

 

「あ……っ、ごめんなさい……っ、声、我慢するから……っ!」

 

 

半泣きになりながら縋り付く私を見て、卓郎くんは満足そうに口元を緩めた。私の怯えや依存心が、彼にとって何よりの好物なのだ。

 

 

「フ……いい子だな。……なぁ、彩綾」

 

 

「な、なに……? 卓郎くん……っ」

 

 

「お前のその体も、顔も、全部誰のものだ?」

 

 

「卓郎くんの……っ! 卓郎くんのものだよ……っ♥」

 

 

「……よし」

 

 

卓郎くんの低い声が耳元で弾け、私の首筋に熱い息が吹きかけられる。

 

 

「じゃあ、今日も存分に俺のために使われてくれよ」

 

 

「うん……っ! 卓郎くん……私を……全部、卓郎くんの好きにして……♥」

 

 

 

互いの肌から伝わる圧倒的な熱気が、暗がりの中でどこまでも重く、甘く狂っていく。

 

 

「……あ……っ、卓郎、くん……っ」

 

 

「しつこいぞ、彩綾。黙って使われてろ……っ」

 

 

耳元に吹きかけられる卓郎くんの荒い息遣いと、身体を強く抱きすくめてくる力強い腕。冷酷な言葉とは裏腹に、私を貪るような彼の熱がダイレクトに伝わってきて、私の頭の中は痺れるように溶けていった。

 

 

「だって……っ、卓郎くんが……すごく、熱くて……っ……私、頭がおかしくなりそう……っ」

 

 

「ハッ……当たり前だろ。お前が変な声出すからだ……っ。……おい、俺の顔見ろ」

 

 

強引に顎を掴まれ、視線を強制的に合わせられる。

 

上から見下ろしてくる卓郎くんの瞳には、いつもの冷ややかな蔑みと、逃げ場を失わせるほどの濃密な欲望が渦巻いていた。

 

 

「どうだ? 俺に抱かれてる気分は。いつもの不細工な相原彩綾じゃなくて、俺の女として扱われてる気分はよ」

 

 

「すごく……幸せ……っ。卓郎くんの……ものになれてるって、実感できて……っ」

 

 

「……本当、救いようのないバカだな。こんな都合のいい扱いされて、何が幸せなんだよ」

 

 

卓郎くんは意地の悪い笑みを浮かべ、甘い毒を含んだ言葉を耳元に流し込んでくる。

 

 

「卓郎くんに……必要とされてるから……っ。私……卓郎くんのためなら、なんでも……っ」

 

 

「じゃあ、このまま一生、俺の言うことだけ聞いて生きていくか? 他の男なんか見ないで、俺のためだけに都合よく使われ続けるか?」

 

 

「いく……っ! ずっと……ずっと卓郎くんの言う通りにする……っ! どこにも行かないよ……っ」

 

 

「……言ったな。お前、絶対に後悔しても逃がさないからな」

 

 

「逃げない……っ、逃げたくないよ……っ! 卓郎くん……私を、もっとぐちゃぐちゃにして……っ♥」

 

 

「……っ……ハッ、生意気なこと言いやがって……っ」

 

 

卓郎くんの抱きしめる力がぐっと強まり、彼の呼吸が一段と荒くなった。

 

 

「あ……っ、卓郎くん……? 息、すごく荒くなってる……っ」

 

 

「……うるさい、喋るな……っ。お前が……っ、変なツラして俺のこと見るからだろ……っ」

 

 

「卓郎くん……っ、余裕なくなってる……? 私のことで、そんな風になってくれてるの……っ?」

 

 

「っ……調子に乗るな! ……くそ、なんだよその目は……っ」

 

 

冷徹さを覆い隠しきれず、余裕をなくしていく彼の表情。

 

その激しさに触れるたび、私の身体はゾクゾクとした甘い痺れに包まれて悶えてしまう。

 

 

「だって、嬉しいんだもん……っ! 卓郎くんのそんな顔、私しか知らないんだよね……っ?」

 

 

「……あぁそうだよ! お前のせいだよ、彩綾……っ! 責任とれよ……っ」

 

 

「んぁっ……っ!? 卓郎、くん……っ! ひゃ、あ……っ♥」

 

 

「ほら、さっきまでの強気はどうした。すぐそんな風に悶えて……っ、身体、ビクビク震わせてんぞ」

 

 

「だって……っ、卓郎くんの手が……すごく、意地悪で……っ……あ、あぁっ♥」

 

 

「意地悪? 喜んでるくせに嘘つくな。……おい、もっと俺に抱きつけ。離したら許さないからな……っ」

 

 

「離さない……っ! 離すわけないよ……っ! 卓郎くん……っ、もっと……もっと私を壊して……っ♥」

 

 

「……クソっ……本当、どうしようもない女……っ! ……んむっ」

 

 

強引に重ねられた唇に言葉を遮られ、私は彼の首元に狂おしく両腕を絡めた。互いの体温が狂おしく交ざり合い、息もできないほどの濃密な熱が部屋に満ちていく。

 

 

「……はぁ……はぁ……っ。……おい、目開けろ。俺の顔見ろって言ってんだろ……っ」

 

 

「あ……っ、卓郎くんの顔……汗で濡れてて……すごく、かっこいい……っ。私だけの、卓郎くん……っ」

 

 

「誰がお前のものだ。逆だろ……お前が、俺のものなんだよ……っ!」

 

 

「……あ……っ、うん……っ! 私、卓郎くんのもの……っ! 全部、全部卓郎くんの好きにして……っ♥」

 

 

「……っ……もう絶対に離さねぇからな、彩綾……っ!」

 

 

「離れない……っ! ずっと、卓郎くんにしがみついてる……っ♥」

 

 

 

嵐のような熱気がようやく去り、静まり返った部屋に二人の荒い呼吸だけが重なり合っていた。

 

荒れたシーツの上、二人とも全裸のまま横たわり、天井をぼんやりと見上げる。汗ばんだ肌と肌が触れ合う部分から、じんわりと温かい体温が伝わってきた。

 

「……はぁ……っ、ふぅ……っ」

 

私は未だに火照りが引かない身体を小さく丸め、隣で仰向けになっている卓郎くんの腕にそっと自分の頬を寄せる。

 

「……卓郎くん」

 

「……なんだよ」

 

卓郎くんは天井を見つめたまま、億劫そうに低い声を返した。

 

「あのね……今日の卓郎くん、いつもより……すごく、激しかった……っ。私、息ができなくなるかと思ったよ……」

 

心臓がまだバクバクと胸を叩いている。普段の冷酷な手つきとはどこか違う、自分を貪り尽くすようなあの尋常じゃない激しさを思い出し、私の胸の奥は甘い痺れとトキメキで再びキュンと跳ね上がった。

 

 

「……気のせいだろ。いつも通りだ」

 

 

卓郎くんは吐き捨てるようにそう言って、特に動揺する様子もなく冷ややかな顔のまま横を向いた。

 

 

だが、彼の内心の計算はほんの少し狂っていた。

 

 

卓郎にとって、相原彩綾という女は単なる「都合のいい性処理の道具」に過ぎなかった。ブスで、どんくさくて、自分に盲目的に従属する惨めな存在。だからこそ、何の価値も感じず、ただ欲求をぶつけるためだけに扱ってきたのだ。

 

 

しかし、今日は確かにいつも以上に興奮していた。それを卓郎自身も冷徹に認めていた。

 

 

(……フン、プロに顔を整えさせた甲斐があったな)

 

 

 

理由ならはっきりしている。プロの手で美少女へと仕立て上げられた今の彩綾は、単純に男としての視覚的な欲望を酷く刺激したのだ。

 

 

 

整った顔立ち、濡れた瞳、完璧に化けた「極上の女」が、自分の腕の中で自分だけに淫らに悶え、すがってくる。それが彩綾だと分かっていても、男としての所有欲と征服感がいつも以上に跳ね上がったのは事実だった。

 

 

「……卓郎くん? どうしたの……?」

 

 

じっと考え込む卓郎くんの顔を、私は不安そうに覗き込む。

 

 

 

その整った顔立ちと潤んだ瞳を見下ろし、卓郎くんはふっと意地の悪い笑みを浮かべると、私の頭を乱暴に引き寄せて自分の胸に押し付けた。

 

 

 

「ん……っ、卓郎くんの匂い、すごく落ち着く……っ♥」

 

 

私は彼の胸元に顔をうずめ、肌から伝わる熱と香りにうっとりと浸っていた。全裸で肌を重ね合わせているこの瞬間こそが、世界で一番幸せな時間だ。

 

 

けれど、しばらくして胸元に伝わる卓郎くんの心拍数が、わずかに早くなっていくのに気づいた。

 

 

「……あ」

 

 

私の肌に触れている彼の体温が、再びぐっと上がっていく。私を抱きかかえる彼の腕の力も、無意識のうちに強くなっていた。

 

(卓郎くん……また……?)

 

一度激しく重なり合ったばかりだというのに、彼の身体は短時間で再び熱を帯び、男としての欲望を漲らせ始めている。私の身体に密着している彼の腰元から、はっきりと伝わってくる主張。

 

それに気づいた瞬間、私の胸は甘い痺れとトキメキでキュンと跳ね上がった。

 

(私……また、卓郎くんをそんな気にさせちゃったのかな……っ?)

 

私は静かに息を整えると、掛け布団の下へとそっと右手を滑り込ませた。

 

指先が卓郎くんの熱い一物に触れる。布団の中で力強く盛り上がっている肉茎を、愛おしさを込めて優しく包み込み、ゆっくりと指先で撫で回した。

 

 

「……ッ」

 

 

卓郎くんの喉から、低い息が漏れる。

 

私は嬉しさに胸をいっぱいにしながら、滑らかな手つきで撫で続け、そのまま彼の体の上に覆いかぶさるように体勢を変えた。

 

 

「卓郎くん……いっぱい気持ちよくなってほしいな……♥」

 

 

熱っぽい瞳で彼を見上げると、顔を俯かせ、いつものように愛おしくてたまらないというように、そっと顔を近づけていく。

 

 

 

そして、彼の一番熱い部分――おチンポの先っぽへと躊躇なく口づけ、愛おしそうにしゃぶりつき始めた。

 

 

「……んぐっ……ん……っ、ふ……っ♥」

 

 

丁寧な口づけと、全身全霊で彼を愛撫する私の口唇。

 

 

卓郎くんは上から冷ややかな目で見下ろしていたが、やがて満足そうに鼻で鳴らすと、私の頭へ雑に手を置いた。

 

私の髪を鷲掴みにするようにして乱暴に撫で回し、低い声で命じる。

 

 

 

「……そうだ。そのまま止めずに続けろ、彩綾」

 

 

「ん……っ! む……っ♥」

 

 

頭を押さえつけられる乱暴な手つきにすら、私は最高の愛を感じていた。卓郎くんの冷酷な命令に応えるように、私はさらに深く、夢中になって彼に奉仕し続けるのだった。

 

 

 

「ん……っ、じゅ……っ、ふぅ……っ♥」

 

 

ベッドの上で、私は一心不乱に口元を窄め、教え込まれた通りに卓郎くんのおちんちんをしゃぶっていた。

 

 

(あ……すごく熱い……っ。卓郎くん、私にじゃぶられてこんなに大きくなってくれてる……嬉しい……っ)

 

 

「んぐ……っ、ジュプ……っ、ふぅ……っ♥」

 

 

濡れた水音と甘い吐息が部屋に響く中、私は夢中で卓郎くんに奉仕を続けていた。

 

 

(卓郎くんに……もっと、もっと気持ちよくなってほしい。私のこと、困るくらい欲しがってほしいな……っ)

 

 

大好きな卓郎くんの匂いと体温に包まれて、胸がいっぱいになる。私の顔も体も全部卓郎くんのものだから、もっと私で気持ちよくなってほしい。

 

 

(卓郎くん、大好き……っ。私の顔も、体も、全部卓郎くんのものだから……好きに壊していいんだよ……っ♥)

 

 

「……余計なこと考えてねぇで、口動かせ。止まってんぞ」

 

 

「んっ……! む、ちゅ……っ♥」

 

 

(ごめんなさい……っ! でも、卓郎くんの匂いに包まれてると、嬉しくて胸がいっぱいになっちゃうの……っ)

 

 

「……そうだ。上手いぞ、彩綾」

 

 

 

「ぁ……っ♥ んじゅ……っ、ふ……っ♥」

 

 

 

(あ……っ! 卓郎くんに褒められた……っ! 嬉しい、嬉しい……っ! もっと、もっと頑張るね……っ♥)

 

 

そう思いながら夢中で口元を動かしていると、卓郎くんの手の力が突如として強まった。髪を乱暴に掴んでいた手が私の頭全体を力任せに包み込み、容赦なく下へと押し付けてくる。

 

 

「……ん」

 

 

「んむっ……!? じゅ、ジュル……っ、んぐ……っ♥」

 

 

強引に押さえつけられた勢いのまま、さらに深くへと押し込まれる圧迫感。苦しくて瞳からポロポロと涙が零れ落ちるけれど、私の胸の奥は狂おしいほどの歓喜で満たされていく。

 

(あ……っ! 卓郎くん、私でイってくれるんだ……っ!)

 

卓郎くんの腰が微かに浮き、身体が固く緊張していくのが伝わってくる。彼が限界を迎えているのを察した私は、苦しさに怯むどころか、ぐりぐりと頭を押さえつけられた状態のまま、自ら進んで喉奥で必死に扱きあげた。

 

 

「……あー、出るわ」

 

 

上から聞こえたのは、焦りも熱もない、心底だるそうな卓郎くんの低い声。

 

 

「……汚すなよ。ちゃんと受け止めろ」

 

 

「ん……っ、んじゅ……っ、ふ……っ♥」

 

 

(いっぱい……っ、私の中に……卓郎くんの全部をちょうだい……っ♥)

 

 

冷淡な命令と共に、卓郎くんは微塵の躊躇もなく、私の口内へと一気に解き放った。

 

 

「……ん……っ」

 

 

「んぐぅ……っ!? じゅぷ……っ、ん、ぶ……っ♥」

 

 

容赦なく口の中に溢れ出してくる、圧倒的な熱と量。

 

私の中に注ぎ込まれる彼の証をひとしずくも逃すまいと、私は苦しさに喉を鳴らしながら、甘い恍惚感の中で必死にしがみついた。

 

 

「んぐ……っ、ん……っ、ふぅ……っ♥」

 

 

口内に溢れる熱い感触と独特の匂いに包まれながら、私はうっとりと目を細めた。

 

 

卓郎くんが私の中に直接注ぎ込んでくれた、確かな熱量。舌の上に広がる重たい感触をひとつも逃したくなくて、私は頬を熱く染めながら、愛おしそうにその余韻を味わう。

 

 

上から私を見下ろす卓郎くんは、怠惰に息を吐き出すと、まるで飼い犬に言い聞かせるような冷たい声で短く命じた。

 

 

「……よし、飲め」

 

 

「ん……っ♥ ぐ……っ、ごっくん……っ」

 

 

その言葉だけで胸がキュンと跳ね上がり、私は躊躇なく喉を鳴らしてすべてを呑み込んだ。

 

ゴクンと音を立てて呑み下した瞬間、頭の中が真っ白になるほどの甘い衝撃が全身を突き抜ける。

 

 

(あ……っ、卓郎くんのを……私、口の中に注がれて……全部飲んじゃった……っ♥)

 

 

大好きな卓郎くんの熱を直接口の中に注ぎ込まれ、それを自分の身体に取り込んだという事実に、背筋を狂おしいほどの痺れが駆け上がっていく。

 

激しい屈服感と、卓郎くんに愛されているという甘い錯覚が混ざり合い、身体がゾクゾクと歓喜で震えた。

 

 

「ぁ……っ、んぁ……っ♥」

 

 

飲み込んだ背徳的な快感だけで、私の腰がビクッと跳ね上がり、下腹部がキュッと熱く締め付けられる。

 

卓郎くんに直接触れられてもいないのに、頭の中が快楽で弾けて、一瞬で軽く絶頂を迎えてしまった。全裸で横たわる私の脚の間から、愛液が溢れてシーツを濡らしていくのが分かる。

 

「……ハッ、飲んだだけでイってんのかよ。本当、救いようのないスケベだな」

 

 

冷ややかに見下ろす卓郎くんの鼻で笑うような声すら、私にとっては最高のご褒美だった。

 

 

 

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