高望みしない彼は今日もゴミ女とセックスする 作:しゃしゃしゃ
耐え難いホームルームをやり過ごし、一時限目の授業が終わった瞬間、卓郎は自席を立った。付きまとおうとする紗羽を「先生に呼ばれてるから」と冷たくあしらって放置し、一目散に校舎の奥へと向かう。
向かった先は、使われていない校舎の隅にある空き教室だった。
ガラリとドアを開けると、そこには卓郎があらかじめスマホで呼び出しておいた彩綾が、怯えたように肩を揺らして待っていた。教室の隅で縮こまり、卓郎の顔を見た瞬間に「た、卓郎くん……朝のメッセージの件なんだけど――」と、弱々しく口を開きかける。
だが、卓郎はその言葉を最後まで聞くつもりなど毛頭なかった。
無言のまま彩綾との距離を詰めると、卓郎は彼女の腕を強引に掴み、そのまま抱き寄せた。
「……んぐっ!?」
驚きに目を見開く彩綾の唇を、激しい衝動のままに自分のそれで塞ぐ。
見栄が生んだ自爆の噂、そして紗羽の狂った暴走――膨れ上がったすべてのストレスを叩きつけるように、卓郎は彩綾の体を力任せに抱き締めながら、強引で執拗なキスを貪り続けるのだった。
次の授業までの休み時間はそう長くない。
無駄なおしゃべりに付き合っている時間も余裕も、今の卓郎には一切なかった。
目的はただ一つ、朝から溜まりに溜まった胸糞悪い苛立ちを、この都合のいい女で手早く吐き出すことだけだ。
「んむ……っ、ん……っ!?」
強引なキスの勢いのまま、卓郎は彩綾の豊満な体を校舎の薄暗い壁際へと力任せに押し付けた。
卓郎は一切の猶予も与えず、迷いのない手つきで彼女の制服のブラウスに手を掛け、スカートの裾を強引に捲り上げた。
「た、卓郎くん……っ」
彩綾は一瞬、突然の激しさに体を固く強張らせ、戸惑いの声を漏らした。
だが、卓郎の冷酷で乱暴な瞳と重なり合う熱い体温を感じた瞬間、彼女の思考回路はそれを肯定と捉えた。
(あぁ……卓郎くん、私でこんなに興奮してくれてる……! 私を求めてくれてるんだ……っ!)
朝の噂で不安に震えていた彩綾にとって、この乱暴な抱擁は恐怖を吹き飛ばす最高の薬だった。
彩綾はすぐさま全身の力を抜き、卓郎の首元へ細い腕を回して自分から体を預けてきた。
息を詰まらせ、鍵を掛けただけの教室の扉を気にしながらも、卓郎は彩綾の身体を道具のように扱い、欲望のままに鬱憤を晴らしていく。
(……、やっぱりこいつは扱いやすくて助かる)
肌と肌が触れ合う生々しい感触と、周囲の目を盗む不道徳なスリル。力任せに抱き潰すたび、先ほどまでの紗羽に対するドス黒い殺意や、自分自身の手で掘った彼女持ちの噂という不快なトラブルが、彩綾の甘い吐息の中に溶けて消えていく。
時間がないからこそ手早くなった暴力的なまでの行為。それすらも彩綾にとっては「自分を強く求めてくれている証」に映り、彼女はうっとりと瞳を濡らしながら、卓郎の背中にしがみついて吐息を漏らし続けた。
――数分後。
衣類を整え、卓郎は荒くなった息を整えながら大きく息を吐き出した。
頭の中に渦巻いていたドロドロとしたストレスは完全に吹き飛び、驚くほど晴れやかな気分が戻っていた。
「……ふぅ。よし、戻るぞ。お前は少し時間置いてから戻れよ」
「うん……っ、卓郎くん……ありがと……」
短時間で手早く「抜き」終え、すっかり機嫌を取り戻して冷淡な指示を出す卓郎。そして、彼に激しく求められた満足感と余韻で、頬を朱に染めて幸福そうに微笑む彩綾。
卓郎にとっては最高のストレス解消となり、彩綾にとっては大好きな男からの愛を深く実感できる至福の時間。
歪み切った二人の利害関係は、この限られた休み時間の中でも完璧に機能していた。卓郎は乱れた制服と髪を手ぐしでサッと整えると、いつもの爽やかな好青年の顔に戻り、空き教室を後にするのだった。
移動教室に向かう途中、私はちょっとした近道をしようと、普段は誰も通らない旧校舎の奥の廊下を歩いていた。
薄暗く静まり返った廊下に、自分の上履きのパタパタという音が虚しく響く。次の授業までまだ少し時間はあるし、一人でぼんやり歩くにはちょうどいい場所のはずだった。
(……ん? なんだろ、今の……)
誰もいないはずの空き教室の前を通りかかった時、ふと足が止まった。
立てつけの悪い古びた木製の扉の向こうから、かすかに、妙な音が漏れ聞こえていたのだ。
衣類が乱暴に擦れ合うガサガサという慌ただしい音。重苦しく押し殺された男の人の息遣い。そして――。
「んむ……ッ、ふ……っ……!」
「……っあ、んぁ……っ、もっと、もっとして……っ!」
湿り気を帯びた切ない女の人の声と、肌が密着する生々しい水音。
(えっ……嘘……!?)
瞬間、ドキンッと心臓が大きく跳ね上がった。一気に頭に血が上り、顔がカッと熱くなるのが自分でもわかる。
どう考えても、この中で「ヤッてる」声と音だ……!
信じられない。ネットの小説や漫画の世界だけの話だと思ってた。本当に学校の空き教室で、しかも昼休みの明るい時間帯にこんなことしてる人がいるなんて……!
胸のバクバクが止まらない。早く立ち去らなきゃいけない、万が一見つかったらヤバいって頭では分かっているのに、吸い寄せられるように足が扉へと一歩、また一歩と近づいてしまう。
息を殺し、扉にそっと耳を近づけた。
「……ッ、うるせぇぞバカ、声落とせ……! 誰か来たらどうすんだよ」
「んっ……ぁ、ごめっ……だって、急に激しく……っ!」
「ちっ……朝からクソ面倒なことばかりでイライラしてんだよ……さっさと抜かせろ」
「うん……いいよ……っ、――くんのイライラ、私のなかで……全部出して……っ! んぁッ……!」
男の人の低くて乱暴な声。そして、それに乱暴に扱われながらも、どこか嬉しそうに喘ぎ狂っている女子の声。
扉越しに伝わってくる生々しい熱気とスリルに、私の喉の奥がカラカラに乾いていく。
自分の荒い息遣いが相手に聞こえてしまうんじゃないかと焦るのに、胸の鼓動は早まるばかりだ。
「……くそ、力抜けよ……狭ぇな……っ」
「んうっ……! ごめん、ね……っ、――くんを感じると、きつくなっちゃうの……っ! あっ、そこ……ダメぇ……っ!」
「……っつ、お前ホント扱いやすくて助かるわ……そのままじっとしてろ」
「うん……っ! ――くんの好きにして……っ、私、――のモノだから……っ、あッ、んぁ……っ!!」
「……そろそろ出すぞ、動くな……っ」
「んっ……来てぇ……ッ! ――熱いの、ちょうだい……っ! あぁぁっ……!」
「……ッつ……ふぅ……っ」
「はぁ……はぁ……っ、……すき……っ、大好き……っ! 」
「ふぅ……よし。お前は少し時間置いてから戻れよ。バレないようにな」
「うん……っ、卓郎くん……ありがと……」
(……はぁ……はぁっ……! マジで、全部丸聞こえじゃん……っ!)
激しく衣類が擦れ合う音、そして二人の唾液が混ざり合うズルズルとした淫らな音だけが廊下に響き渡っていた。
(すごい……! 誰だか全然知らないけど、マジでヤバい……!)
男子の方の声、めちゃくちゃ強引……!
それなのに女子の方は完全に嫌がる素振りなんてなくて、むしろその乱暴さにうっとりして蕩けてるみたいだ。
現実でこんなリアルすぎる現場に遭遇してしまった興奮で、全身の毛穴が開くような感覚がした。見つかったらどうしようという恐怖以上に、ドロドロとした好奇心と興奮が勝ってしまう。
私は心臓を耳元で鳴らしながら、荒い息を必死に殺し、扉の向こうから漏れ出す生々しい吐息と声の全てを貪るように聴き入り続けていたその時。
(やばっ……出でくる……っ!)
私はハッと正気に戻り、忍び足でその場をコソコソと離れ、脱兎のごとく自分の教室へと逃げ帰った。心臓が胸を突き破りそうなほど鳴り響き、結局その日の午後の授業は一言も頭に入らなかった。
――そしてその日の夜、自室のベッドの中。
部屋の電気を消し、静まり返った暗闇の中で、私は昼間の情景を脳裏に焼き付けたままじっと目を閉じていた。
頭から離れない、あの男の人の強引な声と、女の人の蕩けた喘ぎ声。
思い出すだけで、昼間よりもずっと深く、下腹部の奥がじんわりと熱くなっていく。耐えきれなくなった指先が、スカートを脱ぎ捨てた下着の隙間へと吸い寄せられるように潜り込んでいた。
「っ……ふあ……っ」
昼間耳にした生々しい水音を自分の部屋で再現するように、指先を滑らせる。あの顔も知らない「卓郎」という先輩に、自分もあんな乱暴な声で命じられ、無理やり抱き潰されている妄想が頭の中を埋め尽くしていく。
「ん……ッ、たくろ……せんぱい……っ……あぁ……ッ!」
姿も知らない先輩の名を密かに口の中で呟きながら、私は背徳感と興奮に溺れるように、一人で激しく甘い果てへと落ちていった。