『総武高校初バレンタインデーイベント!』
♡チョコをちょこっとチョコチョコレート♡
〜イベント内容〜
①2月10日に生徒会から全校生徒にチロルチョコを1個配布。
②渡せる期間は2月13日まで。チョコは男女問わず誰にでも渡せるが、校内の手渡し限定。
③チョコを渡せた人はボーナスでチロルチョコを3個贈呈。自己申告制なので欲しい人は生徒会室に来る事。
④チョコを渡された相手はその場でチョコを食べなければならない。満腹で食べれない場合はチョコを受け取る事は出来ない。
⑤④以外の理由でのチョコの受け取り拒否は禁止。禁止行為が発覚した際は生徒会によるキツいお仕置きを執行。
一色から渡されたイベントのチラシを見る。
頭悪そうなネーミングセンスだ。
「これをやるのか?なんかルールもよく分からんが、モテるやつはチョコめちゃくちゃ食べさせられるイベントってだけだろ。」
「考えが甘いですね先輩!チョコだけに!」
「それ言いたいだけだろ。」
「考えても見てください、チロルチョコなんて5個も食べればお腹いっぱいになるんですよ!」
たしかに、小さいとはいえチロルチョコって無駄に腹に溜まるしな。俺も甘い物好きだが、5個も食える気がしない。
「イベントが破綻してるだろ。葉山とか30個くらい貰いそうだぞ。」
「葉山先輩みたいにモテる人はチョコをいっぱい食べさせられてチョコチョコとしか動けなくなります、これがイベント名のチョコチョコレートの由来です!」
「葉山に何の恨みがあるんだよ。サッカー部のエースを太らそうとするな。」
俺だって最近はマッ缶の差し入れを3日に1回に減らしてあげてるんだぞ。
「葉山先輩はどうでもいいんですよ!私が狙ってるのは
『葉山先輩に渡したかったんだけど、葉山先輩はお腹いっぱいらしいからアンタにあげる!勘違いしないでよね!私はボーナスのチロルチョコが欲しいだけなんだから!』
的な流れですよ!!」
「そんなテンプレ女子いないだろ……」
「います!それに、女の子には言い訳が必要なんです!!素直になれない乙女に、私が言い訳を作ってあげるんですよ!!そうすれば私の支持基盤はより強固になるわけです!!」
「言い訳に使われる葉山が可哀想なんだが。」
「そんなわけで、比企谷先輩と雪ノ下先輩は車で近隣のチロルチョコを買い占めてきてください!予備も含めて1000個くらいは欲しいところです!」
雪ノ下のリムジンで近隣のチロルチョコ買い占めてたら変な噂立てられそうで嫌なんだけど………面倒だからメーカーに直接頼んでみるか。
「それで、一色達は何するんだ?」
「イベントの真意に気付けない可哀想な子が出ないように、水面下で噂を流します。それと、モテる人達が大食いだとイベントが破綻するので、1日5個以上食べたらお仕置きすると伝えてきます。」
「マッチポンプじゃねぇか……」
一色はなんだか悪い知恵を付けてる気がする。誰のせいだろうか。一応は生徒の事を考えてるようだが、やり方が汚い。
「特に葉山先輩には念入りにですね。葉山先輩は広告塔として使えそうなので、断る時とかにそれとなく大きな声で周りにイベントの真意を伝えてもらう予定です。」
葉山をマッ缶の広告塔として利用しまくってる俺のせいな気がしてきた。よし、俺が葉山を利用してた罪も一色になすり付けてしまおう。
「葉山もチロルチョコ好きだろうし念入りにお願いしといた方がいいぞ。さてと、雪ノ下行くぞ!バレンタインデーも近いからチロルチョコが売り切れてるかもしれん!」
俺は雪ノ下を連れて生徒会室を飛び出した。チロルチョコを集めてる振りして雪ノ下とイチャイチャしよう。生徒会室にいるとイチャイチャできんからな。
2月10日イベント当日
イベント用チョコの配布方法は朝に校門で手渡しだ。
渡す数が数なので、生徒会メンバーに加えて材木座と川崎と葉山にも手伝って貰った。葉山は校門の外で配っていて『私はまだ校外です』というプラカードを首から下げている。
チョコの配布が終わったら葉山は校門付近で待機してる女子達との鬼ごっこがスタートする訳だ。こんな役を頼む一色も一色だが、受ける葉山も葉山である。たまには断れよ。
ちなみに俺は雪ノ下をお姫様だっこしていて両手が塞がっているのでチョコの配布はしていない。なんで俺が雪ノ下をお姫様だっこしてるのかというと、これが仕事だからだ。
「比企谷くん、その、重くないかしら…」
「軽すぎて心配になるくらいだ。ちゃんとご飯食べてるか?」
「今日も朝は一緒に同じ物を食べたじゃない。私と同じ量しか食べてないんだから、比企谷くんの方がもっと食べなきゃダメよ。」
「それもそうだな。なんかお腹減ってきた。」
「チロルチョコがあるわよ。食べる?」
「食べたいけど両手塞がってて食べれない。悔しい。。。」
「仕方ないわね。ほら口を開けて。食べさせてあげるわ。」
「モグモグ……。なんだこれ美味すぎる。もっと食べたいけど、1個しかないんだよな?」
「いいえ、1個渡したら3個もらえるからまだまだ食べれるわよ。でも困ったわね。両手に一個ずつチョコを持ったら3個目が持てないし、とりあえず一個は私が食べることにするわ。」
「ずるいぞ雪ノ下。そのチロルチョコの味は俺が好きな味なのに。」
「わがまま言わないの。それなら半分こしましょうか。ほら、比企谷くんも齧って?」
雪ノ下がチョコを前歯で噛んで俺に口移ししてくれた。バレンタインデーなんてくだらないと思っていたが、それほど悪くないな。
「はいはーい!!みなさん!!!チロルチョコを渡せるとこんな感じになれるかもですよ!!!イベント楽しんでくださいねー!!!!」
俺も雪ノ下も人前でイチャイチャなんてしたくないのに、仕事だから仕方なくやっている。一色は本当に人遣いが荒い。
2月13日イベント最終日
一色の作戦は上手くいったようで、生徒会室には何人もの女子がお礼を言いに来ていた。誰もボーナスのチロルチョコは受け取らないので、一色の言う通りボーナスは言い訳要素だったのだろう。
ちなみに、今回のイベントは男女ともにチョコを渡せるイベントだ。美人揃いの生徒会メンバーにも当然多くの男子からチョコが渡されたらしいが、しれっと拒否したらしい。これは禁止行為に該当するが、禁止行為を処罰するのは生徒会なので実質ノーリスク。職権濫用がひどい。
生徒会メンバーは沢山チョコを渡されたらしいと言ったが、例外として雪ノ下はチョコを一個も渡されていない。総武高校の男どもは見る目がないようなので、イベント中にモテないことに落ち込んでる雪ノ下を俺がずっと慰める羽目になっていた。まったく手間が掛かることこの上ないイベントだ。
バレンタインデー当日
生徒会は乙女の集まりなので、友チョコ作り+αで女子陣は家庭科調理室にこもり、男子禁制ということで追い出された。雪ノ下とイチャイチャしながらチョコ作りしたかった………しかたないので奉仕部で材木座とお喋りでもしよう。
「雪ノ下殿は去年はチョコ作ったのか?」
「去年は俺が作った。雪ノ下には普段から弁当作ってもらってるからな。チョコなんて溶かして固めるくらいだし俺が作ったんだよ。」
「ふむ。女が渡す物だというのは古い考えのようだな、失敬した。」
「俺のはあくまで普段の感謝の印だ。本来のバレンタインは告白イベントだし、女から男に渡す物だと思うぞ。」
男から女に渡す場合はマカロンとかクッキーって聞いた事はあるが、俺はそんな難しい物は作れないのでチョコを作った。
「我は告白は抜きにしても、海老名殿からは貰いたいでごさる。」
「最近仲良いもんな。海老名も律儀だから貰えるとは思うぞ。渡されるのは普通のチョコではないだろうけど。」
「ロシアンチョコか、義理と大きく描かれたチョコか。ふむ。あまり考えずにその場のサプライズで喜ぶとしよう。」
「それが良いと思うぞ。あっちも相手に喜んで貰いたくて作ってくれるんだろうし。」
「三浦殿、由比ヶ浜殿、一色殿は渡す相手がおるのか?」
「由比ヶ浜と一色は居なさそうだな。三浦は葉山だろ。」
一色はバレンタインイベントで相手を見つけると豪語していたが、結局一つも受け取らなかったらしい。一色のお眼鏡に適うやつは果たして現れるのだろうか。
「葉山氏はバレンタインイベントで大活躍であったな。期間中はずっと走り回っておったぞ。こき使い過ぎではないか?」
「葉山にもメリットあったみたいだぞ。普段はバレンタインにもっとしっかりしたチョコを渡されるからお礼に困るらしいが、今回はチロルチョコで満足した層が多いとかでチョコの数が減ったらしい。」
「チョコが減って喜ぶとはイケメンは次元が違うのであるな。我らとは異なる苦しみに耐える葉山氏に黙祷を捧げようではないか。」
「全くだ。おっ、一色からメールがきた。材木座、お前も調理室に来いってさ。チョコが食えるぞ。」
「うむ、ゆくぞ八幡!我らの戦いはこれからだ!」
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