---------side マラソン大会---------
総武高校にはマラソン大会とかいう運動部が活躍するためだけのイベントがある。帰宅部や文化部にとって何のメリットもないイベントであり嫌がらせに近いのだが、なぜか延々と受け継がれている。
「一色、今年のマラソン大会は廃止でいいんじゃないか?というか今後一生廃止にしておこう。」
「ダメですよ。総武の運動部は弱いので、こういう所で持ち上げてあげないと運動しか出来ない人達が可哀想です。」
運動部が強くなればそれが1番だが、それを改革するのは流石に一色には無理だ。それほど上手くない戸塚がテニス部の部長になるくらいだから、わりと絶望的なのである。
「運動すら出来ない人が可哀想とは思わないのか?同情を含んだ拍手で完走を祝われるのは結構きついんだぞ。」
1年の時は足の骨折がまだ完治してないと言い張って棄権したが、今年は流石に無理だろう。古傷が疼くと言えばワンチャンあるかもしれんが、材木座とキャラが被るからその手も使えない。
「だったら文化部が活躍できるイベント考えてくださいよー。バレンタインは私が考えたんだから次は先輩の番です!」
「1番早く家に帰れるのは誰か競う帰宅RTAはどうだ?」
「ゴミ案じゃないですか!却下ですよ却下!」
「却下するの早すぎだろ。雪ノ下はなんか案あるか?」
2人いる副会長の仕事は、実務を雪ノ下が行い俺が一色の補佐(話し相手)を行うことで分担している。雪ノ下のどこが怖いか分からんが、雪ノ下相手には一色はまだまだ強く言えないようだ。
「文化部に限定するからダメなのよ。全校生徒が楽しめるイベント………そうね、卒業イベントでも新しく作るのはどうかしら。卒業式は卒業生のものだけれど、卒業イベントなら在校生も楽しめるんじゃない?」
「卒業イベントっていうと、体育館に思い出の写真のスライドショー流すやつだろ?俺の中学でもやってたな。俺が映った写真が一枚もなくて、涙を誘う良いイベントだった。」
狙いすましたかのように俺の写真だけ無かった。まぁ映されたら映されたで『誰だこいつ?』みたいになりそうだからどっちにしろ地獄だっただろうな。
「先輩って卒業式でもぼっちだったんですね…。スライドショーはつまんないからやらないですよ。海外とかだとダンスパーティみたいなのやってますし、それどうですかね?」
「プロムナードのことね。あれは完全に卒業生の為のイベントだけれど、在校生には来年再来年に自分達が同じ事をできると思わせるという意味では悪くないんじゃないかしら?」
卒業イベントと銘打つなら在校生はそもそも脇役なわけで、それならいっそ在校生は抜きにしてしまうのはアリだ。主役を華々しく引き立てる案の方がやり易いし今回はそっちだな。
「パーティするなら総武の体育館は盛り上がらないですよね。どこかの会場を貸し切るとなると予算的に流石に厳しいので、どちらにしろ会場には期待は出来ないかもです。」
「予算が必要だったら増やせばいい。ちょうど良い財布があるだろ。」
「財布ってなんのことですか?」
雪ノ下のおかげで予算は余ってるが、流石にパーティを単独で開くほど余ってるわけじゃない。しかし、予算の当てはある。
「海浜総合高校だよ。クリスマスイベントの時に海浜の予算を折本から聞いたが、総武よりも潤沢に貰ってる上に繰越金も溜まってるらしい。海浜と合同プロムって事にして、海浜の予算を根こそぎ使ってしまえばいい。玉縄は総武に恩があるから断れない。」
玉縄が計画から行動に移すまでかなり慎重派な事はクリスマスイベントの時に分かった。あの調子なら海浜の生徒会予算はかなり余ってる可能性が高い。繰越すくらいなら俺達で使ってあげようじゃないか。
「なるほど……でも玉縄先輩と合同は不安です……」
「今回は総武が主導権握るから問題ないだろ。クリスマスの時だって最後の最後で逃げはしたが、それまでは玉縄もヤル気自体はあった。熱量の使い方を知らなかっただけだ。玉縄達には何も考えさせずに、やる事だけを指示すれば馬車馬のように働く奴らだと思うぞ。」
「思い返すと確かにそうですね。先輩って玉縄先輩のこと嫌いじゃなかったんですか?」
「玉縄の横文字が嫌いなだけで本人をそこまで嫌ってる訳じゃない。それで、今回はどうする?流石に一色だけじゃ荷が重いと思うし手伝うか?」
玉縄は逃げたが、俺は逃げた事自体を責めるつもりは無いし、それを理由に嫌うなんて事もない。俺自身も色々と逃げてきた人生だから人の事は言えないのだ。
「他校との調整は先輩にも来て欲しいです。やっぱり私だけじゃ舐められるかもしれないですし。雪ノ下先輩は校内の調整をお願いしていいですか?そもそもプロムが出来るかどうかと、それが無理そうなら校則を改定できそうかとか調べて欲しいです!」
「総武の規定は前に一度全て読んだけど、今回引っ掛かりそうな物は無かったはずよ。一応もう一度確認はしておくけれど、怪しい所は裏どりしておくわ。」
「よし、決まりだな。一色は他校との調整、雪ノ下は校内の調整、俺は2人の補佐をするから必要に応じて仕事を振ってくれ。ちなみにマラソン大会は運営側として活動するから俺は不参加でいく。それじゃぁ、一色、こんな感じで頑張っていくぞ!」
「はい!ありがとうございます!応援してあげるので先輩はマラソン大会頑張ってくださいね!」
話の流れでマラソン大会を不参加しようと思ったが無理だった。マジで走らなきゃダメなのかよ………
マラソン大会当日
スタート直後に葉山から『比企谷はマラソン苦手だろう?俺が先にゴールして、頑張って完走した比企谷にマッ缶を奢ってやるから頑張ろうな。』とマッ缶奢りを先に宣言されて走り去られてしまった。優勝した葉山に奢ってやるつもりだったのに、葉山も悪知恵が付いてきてるようだ。
マラソンはなんとか完走したが死ぬほど疲れた。
一色がマイクを使って『私の下僕が!おっと、間違えました!生徒会副会長がゴール間近です!みなさん大きな拍手で迎えましょー!』とか言って無駄に注目を浴びさせられたから、後で三浦に一色をぶっ叩いて貰おう。最近調子に乗り過ぎてる。
マラソン完走後に約束通り俺にマッ缶を渡そうとしてきた葉山だったが、俺にマッ缶を渡してる姿を雪ノ下に見つかってしまい、自身で買ったマッ缶を自身で飲まされていた。葉山がマッ缶を飲む姿はやはり絵になるな。
---------side 小町の高校受験---------
俺の妹である比企谷小町はそれほど頭がいいわけではなかった。持ち前の愛嬌と可愛さで補ってこそいるが、総武に受かるかは怪しい学力『だった』。
そう、過去形だ。
『総武に入りたい』という小町の願いを叶える為に雪ノ下は小町に勉強を定期的に教えていた。学校帰りや土日に雪ノ下は俺の家に入り浸っていたので時間はある。総武高校の学年1位が専属の家庭教師となるのだ。これで成績が伸びない訳がない。
現在の小町の偏差値は、俺が当時総武を受けた時よりも高い。俺でさえ結構余裕で総武に入れて、今も総武の成績上位にいるので、これなら小町は安全圏だろう。
受験に向かう小町を俺と雪ノ下で見送った。
これは小町の戦いだし、俺たちは小町を信じるだけだ。
俺と雪ノ下は俺の部屋に戻り、雪ノ下が俺のベッドに倒れ込んだ。雪ノ下にしては珍しい。
「小町さん、心配だわ……」
「大丈夫だろ。雪ノ下が勉強をたくさん見てくれたんだ、きっと受かる。」
俺も雪ノ下の横にベッドに倒れ込んだ。雪ノ下が寝返りを打って俺の身体に身を寄せてくる。
「私がもっと教えてあげれてたら……もし小町さんが落ちたら私の責任よ。どうしましょう……」
雪ノ下も怖いんだろう。自分自身ならなんとでもなるが、他人の事となるとどうにもならない。責任を取ろうにも、責任が取れるかどうかもわからない。
俺は不安で震える雪ノ下を抱き寄せてしっかりと語りかけた。
「そんな事はない、落ちたらそれは小町の責任だ。頑張ってくれた雪ノ下には悪いが、小町が受かったとしたらそれは小町の努力の成果だ。落ちようが受かろうが俺達は関係ないさ。」
「………そうね。小町さんは凄い努力していたもの。私のせいなんて言ったら小町さんに失礼だわ。やっぱり、比企谷くんは小町さんのお兄さんなのね。兄妹の絆ってことかしら。」
「当たり前だ。俺は小町の唯一の兄だからな。」
雪ノ下の事は大切だが、小町の事だって大切だ。妹を大切に出来ない男が、雪ノ下を大切にできるわけがない。
「私も比企谷くんみたいな兄が欲しかったわ。これだけ比企谷くんに愛されてる小町さんに嫉妬してしまってるもの。」
雪ノ下が俺に口付けをしてきた。抱きついていた雪ノ下の手が俺の服を少しずつ脱がしている。
「雪ノ下が妹だったらこんな事できてないだろ?」
俺も雪ノ下に口付けをし返して、お互いにベッドに寝転がりながら服を脱がせ合う。
「ラノベだったら妹キャラの攻略もあるわよ?確か同じ千葉が舞台の……」
「そういえばそれも読ませたことあったな。あれ?この下着見た事ないな。めっちゃ似合ってる。綺麗だ。」
雪ノ下には白が似合う。
今日の下着は一見すると飾り気のないシンプルな下着だが、薄く刺繍が施されていたりして洗練された下着という印象だ。
雪ノ下の洗練された綺麗な体によく似合う。
「ふふ、下ろし立てよ。気に入ってくれてよかったわ。」
「やばい、めっちゃ好きかも。脱がすの勿体無く思っちゃう。」
とはいえ脱がすんですけどね。
下着を少しずつズラすようにして脱がせると更に背徳的だ。
下着一つでここまで変わる物なんだな。
「下着だけじゃなくて私にも興奮して欲しいのだけれど………そうね、これはどうかしら、お兄ちゃん?」
「それは………興奮しそうで興奮できないな。なんか、小町がチラつく。」
某千葉題材の兄妹ラノベは面白かったが、俺は興奮自体はしなかった。妹がいると妹キャラに興奮出来ないらしい。
「確かに小町さんも比企谷くんのことをお兄ちゃんと呼ぶものね。とはいえ私も今日は比企谷くんを兄として甘えてみたいし………」
雪ノ下が俺を仰向けにし、その上に乗っかってきた。
雪ノ下が俺に重なる様にうつ伏せになって全身を重ね合わせてくる。既にお互い裸なので色々な所が当たっている。
耳元で雪ノ下が吐息混じりに囁いてきた。
「お兄様。今日は私と一緒に気持ち良くなりませんか?」
耳に響く雪ノ下の声と吐息にゾクゾクとする。
雪ノ下が妹だとしたらきっとこんな感じなんだろう。
小町の天真爛漫さとは真逆の、お嬢様系妹だ。
これが実の妹の小町だとしたら、俺の妹がこんなに可愛いわけがない。雪ノ下だからこそ可愛いと感じるんだ。
妹じゃないからこそ、妹キャラに興奮する。
俺の八幡がはち切れそうだ。
身体を重ねていた雪ノ下の身体が持ち上がるほどである。
雪ノ下の腹を押し上げる俺の物に、雪ノ下が身体をくねらせてグリグリと押し付けてくる。
「お兄様、私も我慢出来ません。お兄様の、早く欲しいです。」
「ゆ、雪ノ下!おれも」
スッと雪ノ下の指が俺の口を塞ぐ。
「お兄様。私の名前は雪乃ですよ。今日だけは雪乃とお呼び下さい。」
「雪乃!!!!!」
「お兄様!!!!!」
今日は親も仕事でいない!小町も受験でいない!
レッツパーリーだ!
俺(兄)と雪ノ下(妹)が時間を忘れて楽しんでいたら、夕方になっていたらしく、試験を無事終えた小町に見つかってしまった。ノックをしてくれ!!え?したの?聞こえなかったごめんなさい!
「もう!!!試験終わってケーキとか用意して待っててくれるかなーとか思ってたのに何やってるの!!」
「「ごめんなさい」」
俺も雪ノ下も正座で反省している。弁解のしようがない。
「しかも雪乃さんがお兄ちゃんのことをお兄様とか呼んでたし、お兄ちゃん雪乃さんに変態なことさせちゃダメでしょ!!」
「そ、それよりも試験どうだった!?お兄ちゃんはそっちの方が気になるなー!!」
「試験は完璧だったよ!絶対受かってる!試験はどうでもいいから、話を逸らさないの!雪乃さんはお兄ちゃんの言う事聞いちゃうんだからお兄ちゃんが我慢しなきゃダメでしょ!」
「うぐ……すまん、これから気をつける。」
「もう……雪乃さんもお兄ちゃんに変なこと頼まれても断らなきゃダメですよ!お兄ちゃん変態なんだから!」
「分かったわ。私も比企谷くんの変態性には呆れ果てていた所よ。小町さん、試験お疲れ様。冷蔵庫にケーキがあるから一緒に食べましょうか。比企谷くんはそこで反省してなさい。」
「はい!雪乃さんが勉強見てくれたおかげです!高校入ってからも宜しくお願いしますね!」
「ふふっ、こちらこそよろしくね。」
雪ノ下は兄妹プレイの罪を全て俺になすり付けることに成功したようで、小町と仲良く2人で部屋を出て行った。
俺の分のケーキ、残してくれてるかなぁ。
次に読みたい話はどれですか?
-
雪乃の独白(雪乃視点で文化祭以降を回想)
-
葉山の独白(八幡と友達関係になった話)
-
男子会と女子会のワチャワチャ話
-
平塚先生の彼氏作りをお手伝いする話
-
女たらし八幡の浮気疑惑裁判