オルステッドから「子供できるまでエッチしろ(意訳)」と命令があったんだから仕方ないと言い訳をして、フィットア領に戻るまでの旅路、俺とロキシーは毎日のように交わっていた。
勿論、シルフィとエリスには申し訳ないという気持ちはある。ただ、俺がロキシーを好きだという気持ちも本当なのだ。俺が出来ることは2人に妻が増える事をお願いする事だけなのだ。
とりあえず、龍神オルステッドに脅されてるということは伝えようと思う。七大列強第2位がエッチしろってエッチしろってしつこいんだと。多少盛ってはいるが嘘では無い。
そして、俺達が毎日交わると何が起こるかと言うと、同行していたアイシャがめちゃくちゃ覗いてくるのだ。しかもガッツリ覗いてくる。せめて隠れる努力をしろ!
ロキシーからは『あの年頃は興味ある物ですよ。ルディも私の着替えを5歳の頃から覗いていたじゃないですか』と言われてしまい何の反論も出来なかった。
しかし、俺はアイシャの兄だ。
自分の事を棚に上げてでも、妹に正しい道を教えるべきだ。
覗きについてアイシャを叱った。
アイシャは『ヒトガミから助言を受けたの。絶対に覗いちゃダメだって。オルステッド様からヒトガミの助言を信じるなって言われたし、私だって好きで覗いてる訳じゃ無いよ。』と反論した。
ヒトガミから助言を受けたかどうかを確かめる術は俺にはない。つまり、アイシャにこんな言い訳を与えたオルステッドが悪い。オルステッドのせいなんだから、覗かれても気にしない事にしよう。妹よ、好きなだけ覗くがいいさ!俺はもう知らん!
そんなこんなで行きよりもゆっくりと2ヶ月かけて帰宅した。
3ヶ月ぶりに我が家に帰ると、グレイラット家勢揃いで出迎えてくれた。先行して手紙を送っていたからわざわざ集まってくれたらしい。
そして、グレイラット家勢揃いの中、改めてロキシーの事を紹介した。3人目の妻として迎え入れたいと。
アイシャは『根回しした』と言っていたが、実際は俺が土魔術で等身大ロキシー人形を作ったりしていたので、いつかはこうなるだろうというのがグレイラット家の共通認識だったらしい。特に喧嘩等が起こる事なくロキシーはグレイラット家の一員となった。
妻が3人。シルフィとエリスは妊娠していて、ロキシーはまだ妊娠は確定してないが毎日していたのでしていてもおかしくはない。つまり子供3人。幸せいっぱいだが、流石にブエナ村の実家に住むには手狭だ。
そろそろ俺達の家を決める時が来たようだ。
将来的にはボレアスを継ぐのでエリスのお屋敷に住む事になるのだろうが、それまでの間はどこかに住む必要がある。
ラノア魔法大学に講師するってことで、去年まで住んでたあの屋敷貰えないか打診してみるか。ロキシーも教師になるのが夢って言ってたし、俺と一緒に教師生活も悪くないだろう。
懸念は………オルステッドか。
オルステッドの配下としてヒトガミと戦えと言われてるが、まだ詳細は聞いてない。現状、オルステッドはエッチを強要してくるが、ヒトガミは覗きをするなと助言しているので、イメージだけで言えばヒトガミの方がマトモではある。ともあれ、オルステッドから連絡がないとこちらから連絡は出来ないので放置しておこう。
とりあえず、今回の件で世話にはなったしペルギウスにお礼しに行くか。
ペルギウスは魔族嫌いだからロキシーは連れて行けないし、シルフィとエリスは身重だから連れて行けない。まあペルギウスはシルフィとエリスとも面識あるし後でいいか。子供生まれたら妻とともに自慢しに行こう。流石にその時にはロキシーも連れて行けるだろうし。
とりあえず今日はアイシャを連れて行くか。
どうせナナホシもいるだろうから、ナナホシの転移の研究が役に立った事のお礼を言いたい。どうせナナホシの事だからまた部屋を汚しているに決まってるし掃除もしてやらなきゃな、仕方のないやつだ。
ラピュタが見当たらないのでアイシャが持ってる笛を使って移動した。まじでこの笛便利だから俺にもくれないかなぁ。
謁見の場。
おや?ナナホシは今日はいないんだな。
「ペルギウス様。この度は転移魔法陣の使用とオルステッド様へ繋いでいただいた事、深く感謝します。ありがとうございました」
「気にせんでよい。普段のお前のワガママに比べたら随分楽なワガママだ。それで、どうだった?」
「無事に救うことが出来ました。ただ、オルステッド様の配下になったので……お二人は仲が悪いようならご不快になるかと…」
「我が奴を気に食わんだけだ。仲が悪いというのとは違う。しかし、奴の配下か。大変なことになるだろうな」
「やはりそうですか………しかし、大恩ががあるので尽くしたいと思います」
「何かあれば我に言え。知らん仲ではないからな、多少は手を貸してやる」
「ありがとうございます」
やっぱり寛大な人だ。魔族嫌いなのに俺がロキシー(魔族)を助けるのを手伝ってくれて、その礼を要求するどころかアフターフォローまでしてくれるとは。
俺の謁見が終わると、アイシャはアイシャでペルギウスに用があるらしい。アイシャの話も気にはなるが、ペルギウスとアイシャの話は長いからとりあえずナナホシへの挨拶は済ましておくか。
ナナホシの部屋に行くとナナホシは寝ていた。
時間は昼だし、部屋は散らかってるし、だらしないなぁ。
叩いて起こしてやろうかと近付くと、様子がおかしい。
呼吸が荒い。汗が滝の様に流れ出ている。
顔が青ざめて………これはヤバいだろ。
「ナナホシ!大丈夫か!!」
刺激しすぎない様に身体を優しく揺すって呼び掛ける。
「………ルーデウス?久しぶりね。ゴホッ…ちょっと…治癒魔術掛けてくれないかしら……」
「もちろんだ!ちょっと待ってろ!ほら、どうだ?どこがキツい?魔力だけならいくらでもあるからどんどん言ってくれ!」
俺は治癒魔術をナナホシに掛ける。頭、首、背中、胸、腰。治癒魔術は相手に触らないとダメだ。下着姿になったナナホシの全身を触って治癒魔術を掛けるが……少しは楽になったようだが、治ってはいないようだ。
学園にいた頃より治りが悪い。治癒魔術に耐性が付くなんて話は聞いたことがない。なんで治らないんだ。
「やっぱりルーデウスの魔術でもダメなのね。ゴホッ……何なのかしらね、これ」
今にも死んでしまいそうな、何かを諦めた様な顔をしていた。なんで、こんなになるまで……
「ペルギウスは、ペルギウスは何してたんだ!」
「ペルギウス様も治癒魔術を掛けてくれるし、今調べて貰ってるわ。何も聞いてなかったの?」
嫌な予感がする。ペルギウスは俺がナナホシと同郷で仲がいいのは知ってるはずだ。俺にも言えなかった理由があるとしたら、、、
「ナナホシが具合悪いとは聞いてたよ。でもこんな酷いとは思わなかっただけだ。ごめんな、起こしちゃって。なんかして欲しいことあるか?」
「……だったら、ちょっと手を握っててくれる?こんなことは流石にペルギウス様には頼めないから」
さっきの治癒魔術が少しは効いたのかナナホシは先程同様に少し呼吸が荒いまま眠りについた。ナナホシの手が冷たい。生きてる人間の手とは思えないほどだ。
ナナホシを起こさない様にそっと手をベッドに戻し、俺はナナホシの部屋を後にした。
俺とナナホシはそこまで長い時間を一緒に過ごしたわけじゃない。共通点は同じ世界にいたというだけだ。仮に前世で知り合ったとしても、仲良くなんてなれなかっただろう。
だけど、俺は転生し、ナナホシは転移し、偶然出会った。お互いに前世の世界の話をして懐かしんだ。仲良くなって数ヶ月が経ち、俺は油断してしまったんだろう。うっかり口が滑って前世の姿がバレた。
俺はヤケクソになって過去の事を全てナナホシに伝えてしまった。どうせ嫌われるのなら、いっそのこと全て話して蛇蝎の如く嫌われようと思った。前世の俺はそれに見合うだけのクズだったのだから。
ナナホシは、そんな俺の事をトラックから友人を救ってくれた恩人だと言った。そして、過去を反省して生まれ変わった今も頑張ってるなら、仮にあそこで死んでなかったとしても前世の世界で頑張れていた筈だと言ってくれた。
ナナホシからしたら何気ない雑談の一つだったのかもしれない。だけど、俺はナナホシの言葉に救われたんだ。
ナナホシとはそれ以降も色々な話をした。
年頃の女子高生だから性に興味があるようで下ネタを話す事も多かったが、俺はナナホシと話したいから下ネタを言っていただけで、ナナホシには興奮していなかった。
ナナホシの事は好きだ。だけど、この感情は俺が嫁に向けてる好きという気持ちとは明確に違う。
ナナホシは俺の親友なんだ。
親友を助けるのに、他に理由なんかいらない
俺は謁見の場に戻りペルギウスを問い詰めた。
ナナホシは大昔に流行ったドライン病という病に冒されているらしい。ペルギウスが調べ回った結果、それを治す薬となる草の生息地も判明したらしいが、運悪く魔王の城に生えているものらしい。
ペルギウスは魔族と仲が悪い。
それでも、ナナホシの為、ナナホシと仲が良い俺の為に、魔王の城に出向いて草を譲ってもらう様に頼んだ。しかし、断られた挙句守りを固めて絶対に奪われない様にされているらしい。
怒り心頭のペルギウスだったが、相手は不死魔族の一族なので戦えば間違いなく凄惨な殺し合いになる。勝てる保証がないため、他の手段を探していたらしい。そうして、時間が過ぎてしまっているということだった。
「ペルギウス様。ナナホシには時間がない。今すぐ魔王の城に行きましょう」
「交渉は無駄だ。それに、奴らは不死で我とお前は不死ではない。戦えば持久戦で負ける。他の魔王城に生えてるかどうか探す方が賢明だ。七星ならまだ時間はある」
「これ以上ナナホシが苦しんでる姿を見るのは嫌なんです。魔王?不死魔族?上等じゃないですか。ナナホシを無駄に長く苦しめた事、俺だって怒ってるんです。この怒りを、俺がそいつらの死なない身体に一生刻み付けてやりますよ。」