パウロを撃破してお小遣いをGETしたので、シルフィに会いに行くついでに故郷であるブエナ村を見て回っている。ガイドするのは俺専属メイドのアイシャ。肩車スタイルでの凱旋だ。パイルダーオン!
最初は普通に手を繋いで歩いていたんだが、村の人はアイシャを見掛けると皆話しかけてくれる。
「アイシャちゃんこんばんは〜あら?彼が噂のお兄さん?会えて良かったわね〜」
「アイシャちゃん〜この前はありがとうね。うふふ、あなたがお兄さんでしょ?アイシャちゃんから聞いてるわよ〜」
こんな調子である。俺が自己紹介するまでもなく、アイシャがピッタリくっついてる俺を兄だと認識し自己紹介する必要がないのだ。なので、割り切ってアイシャを肩車し目立たせて村を練り歩く事にした。どっちが主人か分かったもんじゃない。
「そう言えば、シルフィと遊んだりしてるのか?」
「うん!シルフィ姉は昔からよく遊んでくれるし、お兄ちゃんとの昔話とかもしてくれるから好き〜」
「そっか、シルフィにお礼しなきゃいけないな。魔術も教えて貰ってるのか?無詠唱とか」
「私はまだだけど、ノルン姉は教えて貰ってるよ。結構苦戦してるみたい。私、初めてはお兄ちゃんに教えて貰いたいから、帰ったら教えてね…?」
「よし、俺の授業はスパルタだから覚悟しておけよ〜?」
「あはは!くすぐるのやだ〜!やめてよ〜!」
肩車しながら脇をくすぐると俺の頭をポカポカと叩いてくる。定期的に言葉遣いが怪しいアイシャだが、アイシャなりの愛情表現かもしれないし、否定はしないでおく。度を超えてきたらリーリャ経由で矯正していこう。
「あっ!シルフィ姉だ!んっ、降ろして〜!シルフィ姉〜!お兄ちゃん帰ってきたよーー!!」
シルフィとの感動の再会を期待していたが、アイシャはシルフィを見つけると駆け寄ってタックルし、腰に抱きついたまま器用にシルフィと戻ってきた。そのタックル、俺以外の男にはやってないだろうな!?
シルフィが近づいてくる。目の前に、とんでもない美少女がいた。シルフィの面影はあるけど、段違いに可愛い。可愛すぎる。幻覚か?声聞くまで信じないぞ!
「あっ……ルディ……だよね……?えっと……お久しぶりです?あっ、おかえりなさいなのかな?」
「えっと……ただいま。シルフィ……ですよね?」
「むぅ……ボクのこと忘れちゃったの?」
「違う!忘れてない!ただ……凄い可愛くなってたから」
まーじで声も可愛いのだ。童貞にはキツ過ぎる。直視出来ない!目が潰れちゃう!昔は中性な見た目で僕っ子だったシルフィが、今は髪も伸びて完全に女の子なのに、しかも僕っ子なんて!!属性盛り過ぎだろ!加減しろバカ!
「んっ……ありがと………ルディもカッコよくなってて、その………あはは、照れちゃうね」
髪をくるくると弄りながら、顔を耳まで真っ赤にして上目遣いでこっちを見てくるのだ。大丈夫?これ合法?
落ち着け俺のエクスカリバー!!落ち着け!!!
アイシャが『2人とも顔真っ赤かで面白〜い!』と無邪気に笑っていたので、なんとか正気に戻れた。ふぅ……。
シルフィも用事が丁度なかったらしく、昔よく遊んでいた丘に行く事にした。丘の様子は昔と変わらない。背が伸びた分、風景が広く見えるように感じるくらいか。
地面にはシロツメクサっぽい花が咲いていたので、アイシャに花冠の作り方を教えてあげた。「お母さんに作ってあげる!」と目を輝かせて花を乱獲し始めた。やっぱり年相応の女の子だな。
「アイシャちゃん、ルディに会いたがってたし、ホントに楽しそう。これから沢山遊んであげなきゃダメだよ?」
「もちろん。ノルンも居るし、当分は兄妹で遊ぶ時間作るつもりだよ、なんたって5年も離れてたしな」
「5年………ホント長かったよ。ボクも寂しかったなぁ〜」
どちらともなく、2人の距離が近づく。
俺がシルフィを抱き寄せると、シルフィも俺を抱き寄せていた。
「ルディ……もう、どこにも行かない?」
「どこにも行かない。待たせてごめん、シルフィ」
顔が近づいていく。恥ずかしくて、目を瞑ってしまったけれど、唇に柔らかい物が当たった。見なくてもそれが何かは分かる。人生で初めて、唇にキスをした。目を開けるとシルフィも丁度目を開けたようだ。気恥ずかしいがお互い離れるような事はなかった。5年も離れてたんだ、まだ、近づいていたい。
いつのまにか、重なった唇は開き、お互いの舌が絡み合う。舌が絡むに連れて、身体の密着度も上がっていく。抱き寄せていた俺の手は、シルフィの小さなお尻を揉んでいた。猛り狂う俺の愚物が、シルフィのお腹に当たってしまっている。
「ルディはエッチだね」
「ごめん、その…我慢できなくて」
舌を絡めた唇を離すと、唾液の橋が掛かっていた。離れた時間が勿体無いかのように、また唇が重なる。
するすると、シルフィの手が、俺の腰の前に移動してくる。シルフィに触れられると、暴発しそうになる。シルフィは俺の物の硬さを確かめるように手をゆっくり動かしている。お互いにもう目は閉じていない。お互いの愛を確かめるように、お互いがもっと触れていたいのだ。服の上からじゃ物足りない。服の下に手を伸ばそうとすると
「あーーーーーー!!!!!
キスしてるーーー!!!!ずるい!!!
私もまだお兄ちゃんとキスしてないのに!!!!」
せっせと作っていたであろう花冠を投げ捨てて、ちびっこメイドが全力ダッシュでこちらに近付いてきている。存在をすっかり忘れてた。
そして、まずい。
今腰にタックルされるのは非常にまずい!!
しかし俺は魔術師だ!
魔術師にとって間合いは命!
間合いの取り方など方法はいくらでもあるのだ!!
名残惜しくもシルフィから離れ、土槍を自分の足元で起動。
以前から考えていた間合い確保の一つであるカタパルト射出をした。ルーデウス、いっきまーす!
焦って出力をミスった俺はとんでもない勢いで射出され、数百メートル先にあった森の木にぶつかり気絶した。
ブエナ村に戻ってきて、1年ほど経った。
俺はシルフィと交際を始め、共に魔術師として村の便利屋みたいな事をして過ごし、時間のある時は父と剣の鍛錬をし、ノルンとアイシャに魔術を教えてあげている。
アイシャは魔術を教えると直ぐに出来るようになった。当時のシルフィよりも覚えが早く、無詠唱もなんなく使いこなしている。ただ、魔力量は少ないため、直ぐパンクする。あくまでも俺から魔術を教わるという行為がしたいだけのようで、魔力鍛錬の時間よりもメイド修行ばかりリーリャと行っている。確かに、リーリャは魔術無しで完璧メイドだもんな。
ノルンは時間が掛かったが、最近やっと無詠唱魔術が出来るようになった。シルフィと俺が手を変え品を変え教えていたが、結局最後はアイシャが一言二言のアドバイスをノルンに与えると、すんなりできていた。子供同士だから波長が合うのか、アイシャが凄いのか。
シルフィは聖級治癒魔術を使えるようになった。なんでも、1年前に木にぶつかって死にそうな子供を助けた際に、もっと強くならなきゃいけないと思ったらしい。やれやれ、馬鹿な子供がいたものだ。
ボレアス家からエリスの成人祝い式典の招待状が届いた。家族揃ってのお誘いだ。パウロは行きたくないって顔をしていた。よほど何かあるんだろうな。
シルフィも連れて行きたかったが、まだ俺たちは結婚してないので親族扱いではなく、お留守番だ。付き合った日、そのまま結婚しようとしたら、双方の父に却下された。成人するまで許さない、と。法律があるわけでもなかろうに……。
ともあれ、俺は今は13歳。焦るような歳でもない。シルフィとブエナ村で過ごしていれば、2年なんてあっという間だろう。
ロアの街はエリスの誕生日に向けて盛大なお祭り騒ぎらしい。エリスってそんなに人気あったっけ?狂犬って呼ばれてたし、エリスが10歳の時は街を上げてのお祝いとかしてなかった気もするけど。まぁ、行ってみればわかるか。いざ、第2の故郷へ!凱旋だ!