カケルの視界で、無情な数字が刻一刻と刻まれていた。
『 00:45 』
(クソッ……! またなじみか……! なんであいつは俺がどこに逃げても居場所が分かるんだよ!?)
廊下の角を曲がり、冷や汗を拭いながらカケルは走る。
幼馴染の長内なじみ。幼い頃から自分に向けられる彼女の愛は、あまりにも深く、あまりにも重かった。普通の女子なら喜ぶようなアプローチも、なじみの場合は「人生のすべてを捧げよ」と言わんばかりの圧がある。
「なじみとだけは……! あの重すぎる愛に呑み込まれたら、俺の人生が終わる……っ!」
そう心に誓っていたカケルは、図書室で「ずっと好きだったの」と迫られた時も『命の砂時計』を即座に使用して時間を巻き戻し、全力で突っぱねた。
教室で逃げ場を失い、机に追い詰められて告白された時も、死に物狂いで拒絶の言葉を叩きつけて逃げ出した。
だが、追跡者としてのなじみはあまりにも執拗だった。何度時間を巻き戻しても、どんなルートで逃げても、彼女は必ずカケルの目の前に現れるのだ。
(学校中を必死に駆け回って拾い集めた『命の砂時計』も、全部使い切っちまった……! なじみはもう、そこまで来てる……。ただ時間を稼いだところで、あいつに捕まったら俺の人生は終わりだ……ッ!)
カケルが最後に逃げ込んだのは、校庭の隅にある古びた体育倉庫だった。
砂時計がない今、ただ一人で時間を稼いでも延命にしかならない。必要なのはなじみの『重愛』を上書きしてくれる、別の女生徒との遭遇だ。
カケルはわざと引き戸を少しだけ開け、外から薄暗い倉庫の中が見えるようにした。そして、跳び箱やマットが転がる狭いスペースで、誰かに見つけられることを祈りながら、女性を求愛するかのような艶めかしいダンスを踊り始めた。
(頼む……誰か、誰かなじみ以外の女子、ここを通りかかってくれ……っ!)
その時だった。
――サッ……。
隙間を開けた引き戸の向こう側に、ふっと人の影が差した。
(っ……! 人の気配……!? 嘘だろ、本当に誰か来てくれたのか……!?)
カケルの胸が高鳴る。踊りのステップを続けながら、すがるような想いで視線を引き戸の隙間へと向けた。なじみ以外の女子であってくれ、この狂った状況から助け出してくれ――そう祈った、次の瞬間。
「あは……見ぃ~つけた……カケルくん……♡」
引き戸の隙間から、耳元に直接吹き込まれるような、甘くねっとりとした粘着質な声が鼓膜を揺らした。
(なっ……! まさか……なじみ……っ!?)
カケルの顔から一瞬で血の気が引く。歓喜と期待は、一瞬にして底なしの絶望へと塗り替えられた。
ガタンッ! ガンガンッ!
「あははっ! カケル! カケルぅっ!」
引き戸の隙間に手をかけたなじみは、横にスライドさせる構造であることも構わず、カケルを見つけた興奮のあまり扉を内側へ激しく「押し込もう」と体当たりを仕掛けてきた。当然、横開きの引き戸は奥へは開かない。
「開かない……なんで開かないのぉ……カケルがそこにいるのにぃッ!!」
ドガァァァンッッ!!!!
「ひっ……!?」
静かな体育倉庫に、耳を裂くような破壊音が響き渡った。
押しても開かないことに痺れを切らしたなじみが、狂気に任せて扉そのものを力任せに蹴破り、木くずを撒き散らして踏み込んできたのだ。
壊れた扉の隙間から差し込む光の中に立つ、一人の少女のシルエット。
右手には、鈍い銀色の光を放つ大きな包丁。ボサボサに乱れた黒髪の間から覗く瞳には、光など微塵も存在せず、ただカケルへの異常な執着だけが濁って揺らめていた。
「見ぃ~つけた……カケル♡ 押し開かないから……壊しちゃった……♡」
「な……なじみ……っ!?」
なじみは壊れた扉を踏み越え、ゆっくりと倉庫の中へと足を踏み入れてきた。床を叩く彼女の足音が、死神の足音のようにカケルの鼓膜を揺らす。
「どうして逃げるの……? 図書室でも……教室でも……私を拒否して……こんなところに隠れて何をしてたの……? まだ私から逃げられると思ってるの……?」
「くっ……!」
包丁の刃先が、真っ直ぐにカケルの胸元へと向けられた。
その恐怖と圧迫感に金縛りに遭ったように身体が竦み、先ほどまで命を繋いでいた「踊り」すら踊ることができない。
『 00:30 』
『 00:25 』
頭上で無情に減っていくタイマー。
ここで「お前が好きだ、付き合ってくれ」と言えば、タイマーは解除され、命は助かる。頭ではそれが理解できていた。……だが、カケルの本能が、プライドが、どうしても「付き合う」という言葉を口にすることを拒絶していた。なじみの重愛に屈することだけは、絶対に嫌だったのだ。
(ここで屈したら……俺の人生は一生、なじみの所有物になる。そんなのは生きてるって言えない……!)
『 00:15 』
『 00:10 』
(……だめだ。もう、終わりだ……)
タイマーはついに限界数値を迎えつつあった。死の爆発まで、あとわずか10秒。
カケルはぎゅっと目を閉じ、自らの死を覚悟した。命を失う恐怖を超え、どこか吹っ切れたような、静かな諦めの表情がカケルの顔に浮かぶ。
(ごめんな、母さん、親父……。なじみ、お前とも……こんな終わり方にしたくはなかったよ……)
その時――。
「……え……?」
包丁を構えていたなじみの手が、ピタリと止まった。
常にカケルの表情を、動きを、一瞬たりとも見逃さずに観察し続けてきたなじみ。彼女は、カケルの顔に浮かんだ「全てを悟って死を受け入れた顔」を、見逃さなかった。
ガシャン……ッ!
手にしていた包丁が、無造作に硬い床へ落ちて音を立てた。
「カケル……? なんで……そんな顔をするの……?」
『 00:08 』
なじみの声が小さく震える。
カケルは減っていくタイマーを見つめたまま、ふっと肩の力を抜き、自嘲気味に口元を綻ばせた。死の恐怖を通り越し、なじみの顔を最後に見つめながら、静かに、優しく微笑んで見せたのだ。
「……ごめんな、なじみ。こんな終わり方になって……」
諦めと、どこか吹っ切れたようなカケルのその表情と穏やかな声。それが、なじみの理性を完全に崩壊させた。
「カケル……っ! 一人で逝かせない……ッ!!」
「なっ……!? なじみ、おま――っ!?」
『 00:05 』
叫ぶと同時に、なじみはカケルに向かって猛然と飛びかかった。
ドサッ……!!
猛烈な勢いでぶつかられ、カケルは体勢を崩して後ろへ倒れ込んだ。二人の身体は埃っぽい体育館マットの上に激しく倒れ込み、そのままなじみがカケルに覆いかぶさる格好で、骨が軋むほど深く抱き合って密着した。
「なっ……! なじみ、離れろ……っ!」
カケルはハッと正気に戻り、パニックになった。
『 00:03 』
「離れろ! 俺はあと3秒で爆発して死ぬんだ!! タイマーがあるんだよ! お前まで巻き込まれる、早く逃げろ!!」
カケルはなじみを守るため、正直に死の爆発のことを叫び、彼女の肩を掴んで突き飛ばそうとした。自分が死ぬのは覚悟できても、幼馴染の命まで奪いたくはなかった。
(なじみの狂気は恐ろしい。だけど、俺を思ってのことだったのも分かってる……! 俺一人が死ねば済むんだ、お前まで巻き込まれて死ぬ必要なんかない……っ!)
だが――なじみは、カケルの手を振り払い、さらに強く、骨が軋むほど深く彼を抱きしめ返してきた。
『 00:02 』
「関係ない……っ! カケルが死ぬなら、私も一緒に死ぬ!!」
「なじみ……!? お前、何を言って――」
「カケルが爆発するなら、一緒に吹き飛んであげる! 一人で死なせるわけないでしょ!? 死ぬ時も、生まれ変わるときも……ずっとカケルと一緒がいい!! だから、絶対に離さない……ッ!」
カケルの首元に顔をうずめ、泣き叫ぶように叫ぶなじみ。
自分を突き飛ばそうとしたカケルの「優しさ」と、それ以上にカケルを失うことへの絶望が、彼女の重すぎる愛を極限まで爆発させていた。
『 00:01 』
(なじみ……お前、本気で言ってるのか……? 逃げるどころか、俺の死の中にまで一緒に飛び込んでくるつもりなのかよ……!)
全身を包み込む、なじみの圧倒的な熱量と体温。
己の命すら捨てて自分を愛し抜こうとする彼女の狂気に満ちた「究極の一途さ」に触れ、カケルの胸の奥で、カチリと何かが外れた。逃れられない恐怖と、それを遥かに上回る凄まじい愛おしさ。その両方が一気に押し寄せ、カケルの心は一瞬で白く塗りつぶされる。
(――ああ、負けたよ。こんな風に愛されたら……もう、逃げられるわけないじゃないか……)
諦念と、どこか狂気に毒されたような安堵感。自分が完全に「なじみのもの」になったのだと悟ったその瞬間――カケルの視界の右上に浮遊していた赤黒いカウントダウンタイマーが、ピキリと亀裂を入れ、一瞬で光の粒子となって消滅した。
『 CONDEMNATION CLEARED 』(恋人関係成立、試練達成)
「……あ……」
タイマーが消えた。爆発は起きない。
死を共にする覚悟を交わした二人は、死の直前で、真の意味で「恋人」として結ばれたのだ。
静まり返った体育倉庫。
埃の舞う暗闇の中で、なじみはカケルの腕の中からゆっくりと顔を上げた。その瞳には涙が浮かんでいたが、カケルの無事を確認すると、ホッとしたように胸を撫で下ろした。
「……ねえ、カケル。爆発……しないね? 逃げろって言ってたのに、一体どういうこと……? それに……なんでさっきから、こんなところで一人で変なダンスなんて踊ってたの……?」
「っ……実は、さっきまで俺の頭上にカウントダウンのタイマーが出ててさ……。『恋人を作る』か『ダンスでタイマーを回復させる』かしないと爆発して死ぬ、変な呪いにかかってたんだよ……! だから必死で踊って時間を稼いでたんだ……!」
カケルは荒い息を整えながら、信じてもらえないのを覚悟で必死に明かした。すると、なじみは目を丸くした後、ゆっくりと状況を咀嚼するように小さく微笑んだ。
「そっか……。じゃあ、私が『一緒に死ぬ』って抱きしめたから……私たち、本当に『恋人』になれたってこと……?」
「あ、ああ……そういうこと、になるのかな……」
「そっか……ふふ、あははっ♡」
次の瞬間、なじみの表情から困惑が消え、カケルを完全に手に入れたという、甘く、恐ろしいほどの歓喜の微笑みが浮かび上がった。
なじみの手が、逃がさないようにカケルの首回りに回される。
「じゃあ……もう私たちは他人じゃないんだね? 試練をクリアして、晴れて『付き合ってる』んだよね……?」
「っ……いや、待てなじみ、あれは不可抗力というか……っ」
「ねえ、カケル……。私と付き合えば一瞬で助かるのに、私を選ぶくらいなら必死で踊って時間を稼いで……他の誰かに乗り換える隙を探そうとしてたんだ……?」
「っ……!? い、いやっ! ち、違うぞなじみ! 乗り換えるとかそういう意味じゃなくて……っ!」
カケルは顔を青くし、泳ぐ目を必死に動かしながら早口で言い訳をまくしたてた。
「あのな!? 急に命の危険が迫ってパニックになってただけで……! その、まずは落ち着いて状況を整理しようと思って踊ってたというか……! ほら、踊ると脳に酸素がいき渡って冷静になれるだろ!? 決してなじみを避けてたわけじゃなくて……ただのウォーミングアップ的な……ッ!」
「ふ~ん……。ウォーミングアップ……ねぇ……?」
なじみは冷ややかな、けれどどこか嬉しそうな瞳でカケルのしどろもどろな弁明を見下ろしている。
死の恐怖から解き放たれたはずなのに、不用意な弁明で完全に墓穴を掘り自滅したことを悟ったカケルの背筋に、甘く重い戦慄が走り抜けた。
爆発の危機が去った安堵も束の間、今度は逃げ場のない「なじみの所有物」となった恐怖が、体育倉庫の埃っぽい空気と共に重く押し寄せてくる。
マットの上に倒れたままのカケルに、なじみは逃がさぬよう全身で覆いかぶさり、完全に主導権を握っていた。
「……おい、なじみ、ちょっと待てって……! 爆発もしないんだし、とりあえず身体を離して――」
「フフ……カケルの顔、さっきまで死ぬのを覚悟した悲壮な顔だったのに……今はどう? 私の下で、困り果てて真っ赤になって……すっごく可愛くて、気持ちよさそう……♡」
「気持ちいいわけないだろ! お前、圧がすごすぎるんだよ……っ」
カケルは体を起こそうと足掻くが、しっかりと体重を乗せて拘束するなじみを払いのけることができない。なじみはカケルの頬に指を滑らせながら囁く。体育倉庫の薄暗い空間を、壊れたドアの隙間から差し込む夕陽が照らし、なじみの汗ばんだ肌に影を作る。
「うぅっ……なじみ……もうやめてくれ……」
「ダメだよ。やっとカケルを捕まえたんだから。踊り狂ってまで逃げた分の埋め合わせをしないとね?」
なじみはカケルの制服のベルトに手をかけると、躊躇なく引き抜いた。ズボンがずり下ろされ、露わになったカケルの下半身が体育倉庫の冷たい空気に晒される。
「図書室で私を振った時も……教室で私を突き飛ばした時も……こんなことになるなんて思ってなかったでしょう?」
「あっ……やめろ……っ」
なじみの指がカケルのものを捉え、ゆっくりと上下に擦り始める。体育館特有のゴムと汗の匂いが充満する中、湿った音が響く。
しゅっ……しゅっ……ぬちゅ……
「でも私はずっと考えてたよ。もしカケルを捕まえられたら……絶対にこうしてあげようって。カケルがどんなに嫌がっても、私が満足するまで逃がさない……」
なじみの手がさらに動きを速める。親指で先端を刺激し、他の指で根元を締め付けるように握り込む。カケルの腰が無意識に浮き上がり、快感に抗おうとするが、疲労困憊の身体は抵抗できなかった。
「んっ……くぅ……っ」
「フフ、声が出ちゃってるよ? カケル。こんなに弱いなんて知らなかったな……」
なじみは満足そうに微笑むと、今度は身を屈めてカケルのものを口に含んだ。舌を這わせ、喉奥まで深く飲み込む。
じゅぷっ……ぴちゃ……ぢゅるっ……
「なじみ……っ! そんなこと……っ!」
「どう? 気持ちいいでしょ? とっても美味しいカケルの味がするよ……♡」
唾液が絡みつく音が体育倉庫に響く。なじみは時折上目遣いにカケルを見上げ、わざと卑猥な音を立てて舐め回す。
「踊って時間を戻してまで逃げたご褒美だよ。たくさん気持ちよくしてあげるから……ね?」
舌先で先端を集中的に攻めながら、空いた手でカケルの乳首を弄る。強い刺激と同時に与えられる快感に、カケルの息が荒くなる。
「ああ……っ! だめだ……もう……っ」
「イキそうなの? いいよ。私のお口の中で出しても……全部飲んであげるから……」
なじみは頭を激しく上下させ、喉全体で締め付けるように吸い上げる。同時に手で根元を強く握り、カケルの限界を促す。
「ん゛っ……あぁっ! 出る……っ!」
どぴゅっ! びゅるる―――ッ!!
大量の熱い液体がなじみの口内に噴き出す。なじみは目を細めながらも、一滴残らず喉に流し込む。最後の一滴まで搾り取るように吸い上げると、ようやく顔を上げた。
「ぷは……っ。ごちそうさま、カケル。すっごく濃かったよ……♡」
口元を拭いながら、なじみは恍惚とした表情で見下ろす。カケルは射精の余韻に浸りながらも、なお衰えないなじみの要求に怯えた。
「ま、待て……まだ終わらないのか……?」
「当たり前でしょ? まだ私……カケルの中に挿れてないもん」
なじみはカケルの腰に跨がると、自分の下着を片手でずらす。すでに充分に濡れた秘所が、カケルのものに触れようとする。
「見て? カケルをいじめてるだけでこんなになっちゃったよ。責任……とってもらわないとね?」
くちゅ……ぬぷ……
「あっ……っ! 入ってくる……っ」
「んんっ……カケルが中に入ってくる……っ♡」
なじみはゆっくりと腰を沈めていく。カケルのものが完全に飲み込まれると、なじみは小さく震えながら天井を仰いだ。
「ふふ……っ。やっと……やっとカケルと一つになれた……♡」
「あ……っ! 動かないでくれ……っ」
なじみは答えず、代わりに激しく腰を上下に動かし始める。体育倉庫の静寂を破る粘着質な水音と、なじみの嬌声が響く。
ぱちゅんっ! ずちゅんっ! じゅぷっ!
「ああんっ! カケルっ! カケルの……中で動いてる……っ! 気持ちいいよ……っ!」
なじみは自分の乳房を揉みながら、貪欲に快楽を求める。カケルのものを自分の好きな角度で擦り、膣壁を締め付ける。
「どう? カケル……っ! こんなに気持ちいいなら……もう私から逃げようなんて思わないでしょ? ねえ?」
「あぁっ……っ! すごすぎ……る…っ!」
「フフ……っ。言わなくてもわかるよ……カケル。私の腰の動きに合わせて、カケルも感じてくれてる……♡」
なじみは体を前に倒し、カケルの唇を奪う。舌を絡ませながらも、腰の動きは一切緩めない。口と下半身、両方から伝わる快感にカケルの理性は完全に崩壊寸前だった。
「んっ……んむぅ……っ!」
「ぷは……っ。カケル……大好きだよ……っ。ずっとずっと……こうやって一緒にいたかった……っ!」
なじみの瞳に涙が浮かぶ。それは悔し涙ではなく、やっと叶った願いへの歓喜の涙だった。だがその感情の昂ぶりとともに、腰の動きはさらに激しさを増していく。
ぐちゅっ! ぱちゅんっ! ずちゅんっ!
「もうダメ……っ! カケルっ! イっちゃう……っ! 私の中で……一緒にイこ?」
「ああ……っ! イク……っ! 中に出すぞ……っ!」
「出してっ! 私の中に全部……カケルの子種ちょうだい……っ!」
なじみは最後の力を振り絞るように腰を激しくグラインドさせる。カケルのものがなじみの中で膨張し、限界を迎える。
「あぁぁぁぁ――っ! イくぅぅぅ――っ!!」
どぴゅっ! びゅるるる――ッ!!
二度目の射精が子宮口を激しく叩きつける。しかし、なじみの猟奇的な執着は一向に収まらない。ぐったりとマットに仰向けで倒れ込むカケルの上に、なじみはくるりと背を向けて跨がり直した。
「次は背を向けたまま……♡ 私を拒絶した身体に、たっぷり教え込んであげる……!」
「なじみ……もう無理だ……体力が残ってない……っ!」
「大丈夫。カケルはただ私に犯されて、身も心も私に捧げればいいんだから……っ♡」
カケルの顔を見ないまま、なじみはそのまま腰を落とし、硬度を保ったままのカケルのモノを自身の秘所へ一気におさめた。
ずちゅちゅぅぅんッ!!♡
「あぁぁっ……! なじみっ……っ!」
「フフ……顔が見えなくても、カケルの息遣いだけでどこで感じてるか全部わかるよ……♡ 逃げられないように、私のお尻でしっかり押し潰してあげるね」
なじみは仰向けのまま身動きが取れないカケルの太ももと下腹部に体重を預け、背を向けた状態の背面騎乗位で猛烈な勢いで腰を上下・前後に振り始めた。体育倉庫のマットが揺れ、肉と肉が激しくぶつかり合う陰湿な音が響き渡る。
ぱんっ! ぱんっ! ぱんっ! ぱんっ!
「あぁっ♡ 背中越しにカケルの激しい息遣いも、身体がビクビク跳ねてるのも全部伝わってくるよっ! 私から逃げようとした身体も、私の体重でしっかり押し潰されてるんだよっ♡」
「あ゛っ♡ あ゛ぁぁっ♡ 膣奥を激しく擦られて……もう、頭が狂いそうだ……っ!」
「狂っていいよ! 私の愛で……頭も身体もぐちゃぐちゃになっちゃえぇぇっ♡」
なじみはカケルの脚を掴み、背を向けたまま狂ったように腰を激しく打ちつけ、膣奥でカケルの先端を捏ね繰り回す。相手の表情を窺うこともできず、ただ下半身の主導権を完全に支配される不可避の快感に、カケルの腰が勝手に跳ね上がった。三度目の限界が瞬く間に押し寄せる。
「イくっ……また出ちゃうっ……!!」
「私の中に……もっと注いでぇぇっ♡」
どぴゅッ!! びゅるるるるるーッッ!!
三度目の熱い飛沫が注ぎ込まれても、なじみは終わらせない。脱力して力なく倒れ込んだカケルの両脇に手を差し挟むと、なじみは執念とも言える力で彼を引きずり起こした。そのままマットのすぐ脇に置かれていた跳び箱にカケルの背中を深く預けさせ、自らその膝の上に正面から激しく跨がり直す。
両腕と両脚でカケルの身体を完璧に拘束し、胸と胸がぴったりと密着する。逃げ場は完全に遮断され、互いの荒い息遣いと熱量がダイレクトにぶつかり合った。
「ふふ……これで逃げられないし、大好きなカケルの顔もずっと見つめていられるね……♡」
「なじみ……本当にもう無理だ……精液も出ない……限界なんだ……っ」
「出なくても関係ないよ。カケルの体液も、命も、私への愛も……これから先全部、私が限界の先まで搾り尽くすんだから。……ねえ、愛してるって言って? 私だけのものになってって言って……っ!」
「あぁっ……! 愛してる……愛してるから……っ! なじみ、愛してる……っ!」
「ひゃあぁぁぁんッッ♡♡ カケルの口から……言わせたぁぁぁッ♡♡♡」
カケルの懇願混じりの告白を受け、なじみの狂気が絶頂に達する。跳び箱にカケルの身体を押し付けたまま、自ら狂ったような速度と重さで腰を打ち付け叩き込み始めた。
肉と肉がぶつかり合う凄絶な打撃音と、秘所から溢れる愛液の濁音が体育倉庫内に鳴り響く。限界を遥かに超え、完全に枯れ果たと思っていたカケルの身体が、なじみの圧倒的な熱量と子宮奥を抉るような快感によって強制的に呼び覚まされていく。
「あ゛ッ♡ あ゛ぁぁぁッ♡ もう出ないはずなのに……奥が熱い……っ! 何か、来ちゃうッ……!!」
「出してッ! 私の中にカケルの全部を打ち明けてぇぇッ♡ 一滴残らず、私に命を頂戴ぃぃぃッ♡♡」
激しいピストンが子宮口を激しく叩きつけた瞬間、カケルの背中が大きく反り返り、限界突破の四度目の射精が爆発した。
どぴゅーッ!! びゅるるるるるるーッッ!!!
びゅくッ! びゅくくくくくッッ!!!
「あはぁぁぁぁぁッッ♡♡♡ 子宮がカケルの激しい種で破裂しそうぉぉぉッ♡♡」
枯れ果てたはずの竿から湧き出る灼熱の飛沫が、なじみの子宮壁を容赦なく叩き叩き直す。その激痛のような快感に、なじみもまた限界を超えた極上の絶頂を迎え、身体を弓なりに反らせて白目を剥かんばかりに激しく痙攣した。
「あぁぁ……っ♡ カケル……好き……好きぃ……っ♡♡」
四度にわたる執拗で猟奇的な搾精を経て、カケルはついに完全に意識を飛ばすように脱力した。
結合部からなじみがカクンと力を抜くと同時に、絡み合っていた二人の重い身体は跳び箱から滑り落ち、下のマットの上へと力なく崩れ落ちていった。
「はぁ……っ……はぁ……っ……」
ドサリと倒れ込んだマットの上で、二人は重なったまま荒い息を吐き出し続ける。
体育倉庫の暗闇の中、精液となじみの愛液、そして二人の汗が混ざり合った甘く濃密な匂いが立ち込め、充満していた。汗と涙と体液でべとべとになった二人の身体が、静かに横たわったまま熱を放ち続けていた。
「カケル……大好きだよ……♡」
耳元で囁くなじみの声には、満足と独占欲が込められていた。
薄暗い体育倉庫の中。埃っぽい空気が漂う中、二人の荒い息遣いと甘い体温だけが充満していた。
カケルは倒れ込んだマットの上で、激しい快楽と解放感の余韻に身を委ねていた。目の前から死のカウントダウンタイマーが消え去ったというのに、全身の自由は未だに奪われたままだ。
「……ふふ、カケル。散々私を拒否して逃げてくれたね……?」
カケルの胸の上に跨がったまま、なじみはうっとりとした、けれどどこかゾクッとするような笑みを浮かべて見下ろしていた。乱れた黒髪、紅潮した頬、そして自分を拒絶し続けた愛しい男を完全に“分からせ”て屈服させたという満足感。その瞳の深淵には、重すぎる愛の光が怪しく揺らめいている。
「な、なじみ……もうタイマーは消えたんだし、恋人になったんだから……そろそろ離してくれても……」
「だーめ。離すわけないでしょ? 教室でも、図書室でも、何度も何度も私の気持ちを蹴り飛ばしてくれたんだから。……命の砂時計? 体育倉庫で踊り狂って逃げてたなんて、カケルも必死だったんだね。可愛いよ」
なじみは愛おしそうにカケルの頬を両手で包み込むと、逃がさないように体重を預けてぐっと顔を近づけた。冷や汗をかきながら抵抗しようとするカケルだが、先ほど散々女性上位で攻め立てられ、身体の力は一滴も残っていなかった。
「あんなに死を覚悟してまで私と付き合うのを嫌がってたのに……。最後は爆発に私を巻き込みたくないからって、本当のこと教えてくれて……私を突き飛ばそうとしてくれたよね」
なじみの声が一段と甘く、重く沈んでいく。
「そういう優しいところが大好きなの。……ほら、見て? カケルが爆発しそうだったから、私が抱きしめてあげることで、カケルの彼女(命の救い主)になってあげたんだよ? 私がカケルの命を救ったの。だから……カケルの命も、身体も、心も、これから死ぬまでずーっと私のものだからね」
そう言って、なじみはカケルの首元にそっと抱きつき、耳元で吐息を吹きかけた。カケルは背筋に甘い悪寒が走るのを感じる。想いが重い幼馴染とだけは付き合いたくなかった――その懸念は、最悪かつ最高の形で現実のものとなっていた。一度彼女の愛を受け入れてしまえば、もう二度とこの甘い檻から抜け出すことはできない。
「……逃げようとしたって、無駄だからね。カケルがどこに逃げても、私は絶対に追い詰めて、こうして捕まえてあげる。……分かった?」
「……ああ。分かったよ、なじみ」
カケルが観念して呟くと、なじみは心底嬉しそうに満面の笑みを咲かせ、彼の唇に深く、熱い口づけを落とした。
死の恐怖からは逃れられた。だが代わりに、カケルは一生解放されることのない、長内なじみという名の甘く重い鎖に繋がれたのだった。
『愛し尽くせ!インスタントハーレム』、そして特別エピソード【第一話・裏:重愛の枷と、爆炎の契り】まで全てお読みいただき、本当にありがとうございました!
本編の裏側で密かに繰り広げられていた、なじみの重すぎる狂愛と、それに導かれるようにして結ばれた二人の濃密な記録、いかがでしたでしょうか?
実は今回の第一話・裏、カケルとなじみが真の意味で結ばれるシーンを執筆しながら、私自身、思わず目頭が熱くなり、涙を流しながらペンを走らせていました。
ただの狂気や執着ではなく、お互いの命や優しさが極限状態ぶつかり合った末の「究極の愛の結末」を描くことができ、作者としても非常に思い入れの深い一稿となりました。
「1分以内に彼女を作らなければ即爆死」という理不尽な極限状態から始まり、なじみ、今日子先生、ミチル、そして女神様という魅力的で愛の重いヒロインたちに囲まれたカケルの命がけの物語も、これにて幕閉じとなります。
……と、言いたいところですが!
皆様、最後にもうひとつ……どうしても見てみたい「IFの可能性」はありませんか?
そう、もしもカケルが、あの過酷な試練のどこかで「失敗」してしまっていたとしたら……?
どの試練での失敗ルートを描くのかは、あえてまだ秘密にさせていただきます。ぜひ想像を膨らませてみてくださいね。きっと、皆様が「見てみたい!」と願ったあのIFと同じであったなら嬉しいです。
次回は、そんな「試練に失敗した世界線」を描く特別IFエピソードをお届けする予定です!
楽しみにお待ちいただけますと幸いです。