多少の凌辱シーンと、ロリXショタが含まれます。
除籍。
私に待っていたのは、不名誉の烙印だった。
パーティーの誰も助けられず、装備も全部失くして一人生き残る。
名声と、伝統と、格式と。その全部に傷をつけた私、シルヴィア・ロゼンベルグの名前は、学院から抹消される。嘲笑と、侮蔑の声。根も葉もない噂の中にも一つだけ、正しいことがあった。
とんだ淫売だ。
きっと、魔物に体を開いて見逃してもらったんだと。
命からがら。街に戻った私には着るものさえなかった。
人前に肌を晒す。股間からは白濁液を垂れ流しながら。あの瞬間、快楽の虜になっていたのも事実だ。心配してくれる人達もいた。けれど、あの「白雪姫」が。その影で、面白がる声のほうがずっと大きい。
「あの……」
冒険者ギルドで一人きり。声を掛けても、パーティーは見つからない。
この間までは、引く手数多だったのに。当然だ。私の価値は、学院を首席で卒業した魔法使いというだけ。それすらも、剥奪されてしまった。
冒険者としての実績は、無いにも等しい。
一人、生き残ってしまった縁起の悪さ。不名誉の看板を引き取りたいパーティーなんてあるはずもなく。そんなの関係ない。冒険者なら実力勝負だ。みんな口々に言うけれど、実際は、まったくの逆だった。
失敗した私を庇ってくれる人もいなければ、次の機会も回ってこない。
どうでもいい依頼の数合わせ。抜けた穴を埋める程度の仕事ばかり。私に選ぶ余裕なんて、何処にもなかった。
「今日は……ありがとうございます」
無理矢理に口角を持ち上げた。思ってもないことを口にする。
人脈が必要だった。本当なら、学院時代にやっておかなければいけないこと。
その全部を使って首席の椅子に座ってはみても、一度の失敗でもう立ち直れない。
「まぁ、噂は聞いてるけどね。あんまり緊張しないでよ?」
「そうそう。俺等だって、魔法使いが捕まらなくて困ってたし。こういうときはお互い様でしょ?」
「っ。そう……ですね。はい。私も、そう思います」
肩に手を回されて、仲良しこよし。馴れ馴れしい。
反射的に手を払いそうになるのを ぐっと耐えた。気の良さそうな笑顔が、どうにも胡散臭い。見栄と、野心と、楽観的な……なによりも、見え透いた下心が癪に障る。
大柄な青年が二人。それも、私と比べればだ。
冒険者という職業を考えれば、まだ細身に思う。それと、私と同じくらいの少年が一人。他の二人に比べれば、少し神経質そうな気配があった。
「どうも……よろしく、です」
「あ、うん。こちらこそ」
軽く会釈してそれっきり、少年は小走りに前に行ってしまった。
斥候? それにしては、まだ若い。あれじゃあ……まるで。浮かびかけた言葉を振り払う。見た目で判断しちゃいけない。探索系の魔法が得意なのかも。
もしかしたら、私には分からない特殊な技能があるのかもしれないし。
後で話をしてみよう。スライムに負けた経験が、私にそうさせる。
何か、索敵のコツがあるのなら聞いてみたい。
「ねえ? ちょっといい?」
「え、あ、うん……なに?」
ダンジョンの道中。石造りの通路は、どこかの遺跡を思わせる。
その途中。開けた小部屋で、私たちは暖をとっていた。少年から軽い食事が配られた後、男達は早々に寝息を立て始めた。
妙な感じ。
休ませるなら、ずっと先頭を歩いていた少年のほうが先だと思う。
火の番を続けている彼の隣へ腰を下ろした私は……何から手を付けていいものか。
無難な会話が先か。それとも、体調を気遣うべきなのか。
今までのように、ただ興味のあることだけを聞いて終わり。それが不味いのは、なんとなくでも分かる。
「えっと……君、は。その」
「ああ、レノアです」
「レノア、くん?」
「はい」
無難どころか、それ以前。私は、彼……レノアくんの名前も知らなかった。
顔合わせのとき、会釈をしてそれっきり。タイミングがなかったと言えばそうだけど。男達は気にせず話を進めてしまって、口を挟めなかった。
「私は……」
「知ってます。白雪姫……ですよね? みんな噂してて」
「……やめて」
気にしてなかった。気にもとめてなかった。
白雪姫なんて、ただのやっかみだと思って。けれど、今の私にとって、そのあだ名は蔑称でしかない。高嶺の花。飾られている内は綺麗だけれど、枯れ落ちれば見るも無惨に踏みつけられる。人の噂なんて、すぐに手のひらを返すんだ。
「あ、ごめんなさい。名前の通り綺麗な人だなって、だからみんな」
「……口説いてるの、君?」
「ちがっ、そういうんじゃ……。本当にそう思ってて」
変に慌てないでほしい。こっちまでくすぐったくなってくる。
嫌味なんてなかった。じっと私を見てたかと思えば、目が合った瞬間、頬を染めて視線を逸らされる。最初に会った時もそう。なんだ、そういう……。避けられてるのかと思って、あんまり触れないようにはしてたけど。
「……シルヴィア。私にも、ちゃんとした名前があるんだから」
「それはっ……そう、ですよね。白雪姫って、うん」
「だから、やめてってば」
「ぁっ、ごめんなさい」
ロゼンベルグ。家名は名乗れなかった。
今の私が名乗るには、あまりにもおこがましい。両親にまで泥を被らせたくはない。今はまだ、ただのシルヴィアでいい。また、みんなに認められるようになったその時には、改めてそう名乗ろう。
「レノアくんも、休んでていいよ。ずっと働いていたでしょう? 見張りなら私が」
「そんなの、僕は大丈夫だから。シルヴィア……さんも、疲れてるでしょ?」
敬称を付け加えられてしまった。
呼び捨てでもよかったのに。頬を染めるレノアくんの様子が可愛く思うと同時に、男達のイビキが耳に障る。
「レノアくんは、斥候の技能とかあるの? ずっと前にいたけれど。探索魔法が得意だとか? よければ私にも……」
「……ないよ、そんなの。だって僕は……カナリアだから」
力なく首を振った彼は立ち上がり、男たちを起こしにいってしまった。
距離を取られたのかな。さっきまで、私に向けられていた好意のような温もりも、すっと冷めていくみたい。この感じ、私と同じだ。レノアくんから、白雪姫と呼ばれた時の私。情けない自分を見られたくなくて、耳を塞いだ時の。
カナリア。
原因はきっとコレ。たしか、黄色い小鳥の名前のはず。
その性質から炭鉱夫のお守りにされていたり。そこから転じて、他にも……。
******
警戒されちゃってるな。アレっきり、なんとなく話しかけづらい空気だ。
隠し事は私にもあった。レノアくんは、綺麗な私しか知らないだけ。それが、彼にとってのカナリアなら、私はスライムだ。
踏み込んでいいものか。
カナリアの意味を……聞いてどうするの?
同情的になって、得られるものなんて何もない。
彼の苦労を知ったとて、この仕事が終われば、それっきりの関係なんだ。
よそう。
考えたってしょうがない。
そもそも、今の私には誰かを助ける余裕もなかった。
「やめてよっ。ダメだって、こんぁっ……うぐっ!」
「クソガキが。女の前でカッコつけようってか、いっちょ前に」
男の怒号と、鈍い音。崩れた彼のうめき声に、だけど私は何もしてあげられない。
少し前。
私たちは、遺跡の奥までたどり着いていた。
その道中、現れた魔物を倒していたのは、ほとんど私。男たちは、前線で魔物を食い止めているだけ。実力が足りてないんじゃない。それがどうにも手慣れていることに、私が気づけなかっただけ。
バレないように、息を吐く。
魔力が回復するまで休ませてほしい。弱音を飲み込んだ代わりに、魔法薬に手を伸ばした。魔力が切れたときのため、以前よりも備えは増やしていたつもりだった。
それも間違い。
増やさなければいけなかったのは、備えよりも心構え。
人を信じないなら、最後までそうするべきだったし。受け入れるなら、もっと頼るべきだった。どっちにしろ中途半端。一歩引いた距離からでは、隠れた違和感も見逃してしまう。
「おっとっ」
「きゃっ!? え、なに? なんですか? 離して……」
「いやいや。疲れたなら、ちゃんと言ってくれないとさ。俺達、仲間でしょ?」
言葉だけを聞けば正しい。だけど、それ以外の全部が間違ってた。
表情も、声も、態度ですら。仲間を気遣うものじゃない。獣のように、舌なめずりを隠しもしないで。
__パリン
手から零れた魔法薬の瓶が、地面で砕ける。
後ろから手首を掴まれた私は、咄嗟の反応が遅れてしまった。蹴り飛ばされた杖が、遠くに転がっていく。大きな手に口を塞がれ、呪文も紡げなくされた。
やっぱり あの子達、正しかったんだな。
魔法使いを無力化する方法。ただし、スライムたちにされた時よりも、男達の方が手慣れていた。最初から、私の魔力が切れるのを待って。咄嗟のチャンスも作れない。爆弾代わりの魔法瓶も、カバンから取り出せないんじゃ意味が無かった。
手を振りほどこうにも、力が違いすぎる。
これならまだ、スライムの拘束のほうが可愛げがあった。
掴まれた手首が痛む。今にも折れるんじゃないか。
藻掻いてる間にも、もう一人の男が私の前に立った。影と影の間に挟まれる。
暗がりの中、見上げた男の顔が、くしゃりと歪んで見えた。顎を持ち上げられ、強引に。頭を振っても、口を塞いだ手は離れない。ゴツゴツとした岩みたい。暴れれば暴れるほど、力は強くなり、やがて首を振るのも難しくなった。
なに、を……。
男の腕が伸びてくる。その手には鎖に繋がる首輪があった。
覚えがある。魔道具の辞典に載っていた。魔力を封印するための……。
「んっ!? んんんぅぅぅっ……!?」
ダメだ。絶対ダメ。
それを嵌められたら。それは、私たちにとって手足をもがれるのにも近い。
頭に血が上る。全力で抵抗しているのに、男の腕は離れない。男と女の力の差。
それ以上に、大人と子どもの……。必死の抵抗ですら、彼らの興奮を煽ってしまって。
「ははっ。コレが何か分かるんだな?」
「ほらほら、早く逃げないと終わっちゃうぞ?」
囃し立てる言葉に、腹が立つ。
悔しくて、零れた涙には、何の魔力も含まれてはいなかった。首筋から、すっと冷えていく。カチリと嵌った金属の音に、息が詰まる。体から、力が抜けていくようだ。気が遠くなる、重たく、塗りつぶされて。
__ドスっ
鈍い音に視線が向いた。
何やってるの……あの子は。
急に飛び出したレノアくんは、男に食って掛かっていた。
だけど、彼の体格だって、私と大きくは変わらない。弱いくせに……やめてよ。
武器もなく、ただ掴みかかるだけじゃ、時間稼ぎにもなってなかった。蹴り飛ばされて、遺跡の壁に転がっていく。うめき声を上げる彼を見下ろした私は、小さく首も振れたかどうか。
私はまた、守られてる。
だけど、助けて上げられない。
つま先を大きく振り抜いて、男の尻を蹴り上げる。
強引に口を閉じ、指に噛みついた。出来たのは、ここまで。男達のヘイトが一斉に私に向く。冒険者なら、そのくらい。強がってはみても、全然ダメ。悲鳴を飲み込むのがやっと。だって私は、自分から前に立ったことなんて無いんだから。いつも人の後ろで、涼しい顔をしていただけ。それが魔法使いの役割なんだからと、さも当然のように。
胸元を掴まれ、ブラウスのボタンが弾け飛ぶ。
ゆっくりと散らばっていくそれを、眺めていることしか出来なかった。
「やめっ、はなしてっ。触らないでっ!」
声を上げたのは、恐怖に負けないため。冷たくなる心を、無理にでも奮い立たせた。それも、威勢がいいだけ。子犬がギャンギャンと、やかましく吠えているようなものだ。みるみると服は破られ、脱がされて、無惨にも肌から引き剥がされていく。
倫理観が違いすぎる。同じ言語を使っているだけで、魔物と生態が変わらない。
いや、この男たちに比べたら、スライムのほうがまだ私を大切にしてくれていた。
たとえそれが、食材に向ける愛情だったとしても。獲物を甚振るような獣よりは。
胸を揉みしだかれても痛いだけ。
割れ目に押し入った太い指が、強引に中を掻き回す。快感なんて、微塵も。
それが、せめての救いだった。こんな奴らに縋りたくはない。
絶頂の間際。媚びへつらって、自分から腰を振る。想像した自分の姿に、怒りさえ湧いてくるのに……。
肌が、火照る。
そんなんじゃない。冷えた遺跡の空気が、そう感じさせただけ。
太もも閉じて腰を引く、身を守るには、あんまりにも小さな抵抗だった。
指から逃げたところで、お尻に熱い塊が押し付けられる。膝を蹴られた私は、地面に手をついて、這いつくばるしかなかった。
なんて、無様。
首輪を引かれて、無理やり体を起こされる。
犬みたいな四つん這い。目の前に立ち塞がった男の影が落ちてきた。逃げ出そうとして、腰が浮く。両手で頭を掴まれて、首を振ることも許されない。
男性器。
スライムが模したモノじゃない。完全な男の象徴に息を呑んだ。
割れ目の筋がなぞられる。亀頭の先が唇に押し付けられた。拒めない。頬を潰すように口を開かされた。先走りの汁が太ももを滑らせて、ヌルヌルと押し入ってくる。
「っ……!?」
腰が跳ねた。肩が竦む。後ろから突き上げられて、不快感が背筋を震わせる。悲鳴をあげようにも、口は塞がれ、喉奥まで肉棒が突き刺さっていた。口元に毛が絡む。家畜のように太くて、固い毛。ジャリジャリとして痛いくらい。
割れ目も、口も、良いように使われて。
男たちは私に、快感を与える気さえないようだ。ただ、道具のように使うだけ。
むしろ、嫌がり、泣いて、些細な抵抗を引き出そうとする。諦めたほうがマシ。
出すものさえ出せば、すぐに飽きるだろう。何もしないで受け入れれば、もう終わるはず。それが分かってなお、私は抵抗を諦めきれない。
「お、コイツ。魔物に媚びて助かったって、ホントだったんだな?」
「口の方も、随分なれてるみたいだぜ? 涼しい顔して、とんだ淫乱じゃねーか」
「仲間が殺されてる横で、よがるってのはどんな気分だったんだ?」
「まだ睨んできやがるぜ。へへっ。人間様のチンポじゃものたりねーってか?」
下卑た声。下品な言葉が降ってくる。
悔しい、負けたくない。惨めな自分を許せなかった。爪で地面を削って、呪文を描く。快感はなくても、腸が煮えくり返りそうな怒りがあった。けれど、魔法は発動しない。首輪の呪いが邪魔をする。
男たちは私の体を貪るばかりで、他への注意が向いていない。
スライム以下だ。彼らならきっと、それすら許さなかったはず。こんなゴロつきにさえ私は負けて。
__ポトリ
背中に涎が落ちてくる。
下卑た声は鳴り潜め、息を荒げた男たちは、もう獣と変わりがない。
お尻に爪が立ち。腰を掴む力が強くなる。頭を上下に振り回されて、目が回りそう。
気持ち悪い。
グズグズと、お腹の中から溶けていくみたい。口の中が泡立って、流れた涎が頬を汚していく。腰を振って、頭を振って。太ももを閉じる。舌を必死で動かした。
抵抗しなければ楽になれると分かっても、しないではいられない。
ここで折れたら、私じゃなくなる。
スライムに初めてを奪われていたのが、良かったのか、悪かったのか。
その日が今日だったなら、泣き叫んで、懇願していたかもしれない。「ごめんなさい」「もう許して」なまじ言葉が通じるだけに、ついに縋って。少しでも優しくされようと、媚を売る。
__とくん
そんな自分の姿を想像して、鼓動が高鳴る。
さざ波が全身に広がって、肌が汗ばんだ。
「__ぅっ、ゃっ、ぁ、ぁ……んっ!?」
生臭くて。
青臭い。
獣臭もする。
正直助かった。ひたすらに酷い匂いに、意識が引き戻される。
熱い塊が口の中一杯に広がって、ドロドロと喉奥へと流れ込んできた。焦げ付くような違和感がお腹に張り付く。
「かはっ、けほっ……」
ようやく、解放してくれた。
落ちた鎖に引きずられた体は、地面に崩れる。口も股間も、頭の中まで白く濁る。
喉に詰まった精液に溺れそう。太ももがベタついて気持ち悪い。
無意識に、喉を掻いていた。だけど、固く締まった首輪は、私の力じゃ外せない。
物理的にも、魔法的にも、今の私は全くの無力。
腕を掴まれ、引きずられる体を止めることも出来ない。
放り投げられた部屋の後ろで、扉が閉まり__ガシャンと、鍵が落ちた。
もう、逃げられないのかな? このまま愛玩動物にされるか、奴隷として売られるか。
何処で間違ったんだろう?
学院を卒業した時までは、全部正しかったのに。
気づけば、何処に向かって落ちてるのかすらも分からない。すっかり、涙も乾いてしまった。もういいか。少し休みたい。疲労に引きずられた瞼に負けて、私は意識を手放した。