「なんで、逃げなかったんだよ……」
石造りの部屋の中、粗末なベッドの上。
目を覚ました私は、レノアくんと背中合わせに座っていた。どうやら、彼も閉じ込められてしまったらしい。扉は一つ。重たく閉ざされたまま、開く気配はまったくない。底冷えする部屋の中で、触れ合った肌の温もりに救われる。
「レノアくん だって……せっかく、助けてあげたのに」
「カナリアだって、僕……言ったよね?」
顔を見えなくても、唇を尖らせているのはなんとなく伝わってきた。
レノアくんから預かった上着を、胸元で抱きしめる。それは、所々に赤く血が滲んでいた。私に残されたものはコレと、首輪だけ。服は破かれ、荷物は取られて。プライドだってズタズタだ。
カナリア。
それは、囮の暗喩だった。先頭を歩くだけの簡単な仕事。
真っ先に魔物に襲われるか、罠にかかれば使い捨てられる。下手な探知の魔法なんかより、よっぽど効果があった。彼が今日まで生きていたのは、たまたまでしかない。
「シルヴィアって……結構、さ?」
言わないでほしい。私だって痛感している。
そんなだから敬称だって抜かされるんだ。ちょっとだけ下に見られたことに腹を立てても、何も言い返せなかった。勉強で一番になったって、それ以外は片手落ちどころの話じゃない。いざ本番になれば、自分の身だって守りきれない。
もっとだ。
欲の皮が突っ張った。
私はまだ上に行けると、思い込む。先輩達が成し遂げた偉業の数々が、私をその道へと進ませた。けれど私には、引きこもって研究者をやってるほうが似合っていたようだ。
「そんなの……。逃げろなら、逃げろってちゃんと言ってよ」
冒険者の言い回しを使われたって……。
とはいえ、レノアくんの立場じゃそれも難しいか。その背中には、奴隷の烙印が刻まれていた。飼い主への反抗を封じる呪い。あんな風に食ってかかれば、どうなるか。上着に付いた血は、決して男たちからの暴力だけじゃないはず。
「死ぬ気、だったの?」
「無駄に死ぬよりは……良いかなって」
「……そ」
ありがとう。なんて言ってやるもんか。人を死ぬ理由に使わないで。
それに、今は一人じゃないのが心強かった。意地を張る相手がいる。もし一人きりでいたならきっと、私もレノアくんと同じ事を考えていたかもしれない。
「私たち……これから、どうなるのかな?」
「売られるでしょ?」
弱気には、皮肉が返される。
その前に、もう何回か犯されるだろうと付け加えられもした。
全くそのとおりだ。否定する材料はどこにもない。強いて言うなら、綺麗なままの方が、高値は付いたんじゃないかと思うくらい。まあ、それも。既に処女を失くしていた私には、関係のないことだったのかも知れないけれど。
「私じゃなくて……レノアくんは?」
「そりゃ……」
バカなことを聞いた。答えはなくても分かってる。
カナリアなんて、明日まで生きられるかどうかも。お互いが、お互いの心配をしてる場合じゃないんだ。なのに、そうしちゃってた。同情かな。同じ境遇に放り込まれて、仲間意識みたいなのはあったのかも。
__ゴンっ
痛い。思った以上にいい音が鳴った。
持ち上げた頭を、レノアくんの後頭部へ。わざとらしく、じゃれるみたいに。
けど、兄妹もいなかった私には、力加減が分からなかった。思い切りにぶつけてしまって、二人して蹲る。
「いったぁっ……なんだよ、急に」
「ご、ごめん。ちょっと、勢い付きすぎて……」
くすっと、漏れた吐息。それは、次第に笑い声と変わっていった。
いつぶりだろうか。固まっていた表情筋が変に動いて、上手く笑顔を作れない。
あんまりな顔を見せたくなくて、レノアくんの方を振り返れもしなかった。
「逃げよっか、二人でさ?」
言いたいのはそれだけ。諦めるのは、やることをやってから。
レノアくんの言うことも分かる。失敗して、捕まったらどんなに目に遭わされるのか。私には商品としての価値はあっても、彼にはそれがない。ただの消耗品だ。
それならもう、失くすものなんてなにもなかった。
「ダメそうなときは、死のっか。二人で……ね?」
私だって、そこまで強くはいられない。
たまたまでもいい。こんな状況で繋いだ手を離したら……。依存してる。
冷静なふりはしてみても、正気を保ててはいない。彼からしたら、いい迷惑かも。
突然に人生を預けられたんだ。巻き込むなと、言われたっておかしくはない。
「……どうやって? 魔法も使えないくせに」
レノアくんから見えないのをいいことに、私は薄く笑っていた。
断られなかったことが、なんだか嬉しい。否定のない反論。これで一蓮托生。
一人じゃないのが心強い。一人きりは心細い。死ぬのだって、どうせなら。
******
「抱いて……くれる?」
その言葉に、僕は耳を疑った。
シルヴィアが、何を考えているのか分からない。思わず姿勢を正す。
けれど彼女は、そのまま僕の方へ肌を預けてきた。背中合わせ。顔は見えない。冗談を言っているの? それとも自棄なのか。どうせ死ぬなら、思い出づくりに。
「あ、ごめん。あんな……後だもん。困るよね、急に。私、汚れちゃってて悪いんだけど。浄化の魔法も、今は使えないし」
背中が離れていく。温もりが惜しい。
気持ちがないわけがない。彼女が犯されている間、なにもできなかった。庇われたのも分かって。せめて見ないように、蹲って耳を塞ぐしか。ただ悔しい。奪い返せるのなら、そうしたい。今、それが出来るって言うなら。引き留めようと、堪らずふり返った僕は。
そのまま動けなかった。
__ハラリ
胸元から上着が落ちていく。彼女の肌を隠すものは、首輪だけ。
それですらも、魅力を損なうものじゃなかった。むしろ、悪い気持ちにさせられる。汚れてるなんて、汚いだなんて。
綺麗だ。
あんまりにも。
透ける銀の髪。雪のように白い肌。
「白雪姫」の噂は、紛れもなく本物だった。少女然とした華奢な体。薄い胸の膨らみと、柔らかな腰のくびれ。彫刻のように作り込まれた指先が、胸元から解けていった。その手を後ろに回し、恥じらいながらも、自分の体を抱きもしない。
まるで、僕にみせつけるようだ。
淡い乳首の桜色が、瞼の裏にも浮かんでくる。
目が離せない。ずっと見ていたい。鼓動は高鳴り、息は乱れて、今にも押し倒したくなる衝動が噴き上がった。
「よかった……。そんな顔、してくれるんだね?」
「あ、いや……ごめん」
男たちに乱暴されたあとだ。異性からの興味が、心地よいはずもない。
落ち着いた彼女の声に、頭が冷える。「いいの」シルヴィアは小さく首を振る。
だけど分からない。いきなり、突然、どうして。「抱いて……」だなんて、思い出すだけでも、また。
「私の代わりに、魔法を使ってほしい」
首輪の呪いを解くには相当の魔力が必要になる。逃げるだけの余力も必要だ。
普通に回復するのを待つだけじゃ、足りない。可能性があるなら、シルヴィアに快楽を与えて、必要なだけの魔力を生み出させるしかないと。
「呪いが解けなかったときは、二人で死のうね」
魔法のことは分からない。シルヴィアが言うならそうなんだろう。
薄く微笑んだ彼女の声に、嘘は感じられなかった。心中のための言い訳か。
それにしては随分と理屈っぽいけど、騙されていい。僕だって、一人で死ぬのはやっぱり怖い。
「ねぇ……ちょっと」
「う、うんっ。分かってる……けど」
じとっと、青白い瞳に睨まれてしまった。
美人に見つめられて、どうにも居心地が悪い。理由は分かってる。僕が、何もしてないからだ。裸で向き合ったまま動けない。だって、やり方が。知識らしい知識といえば、さっきの光景だけ。男たちに使われている彼女の……。僕なんかが本当に触れていいものか。嫌なことを思い出させるだけなんじゃ。
ー
ああ、怖いんだ。
レノアくんの指が震えていた。
私に手を伸ばそうとしては、躊躇うみたいに動きが止まる。まあ、あんなの見た後だもんね。気づかわれるのも分かる。でも、だからこそ。使われるだけの記憶じゃ。最後くらい、愛された思い出がほしい。
「おっぱいばっかり……見てないでさ?」
「っ!?」
呟きに、レノアくんの肩が大きく跳ねた。それでも、彼はまだ動かない。
チラリと、視線が胸を撫でる。恥ずかしいのは、羞恥心からだけじゃなかった。
汚れた肌を人に晒す。
あったのはそういう抵抗感。今すぐ、預かった上着を頭から被りたかった。
でも、その先に待っているのは確実な別れだけ。仲を深めてる余裕はない。できないなら、二人で死のう。彼に嘘の呪文を教えるだけ。これでも元首席だ。他人の口を借りて、魔法を使うくらいの技術はある。
「っ……ごめんっ!」
「……あっ」
急に胸を掴まれて、思わず声が漏れてしまう。
これが正しいのか分からない。けれど、間違ってもないはずだ。スライムも、あの男たちだって。真っ先に触れたのは、私の胸。順番に意味があるとしたら、これからの自分を予感させるには十分すぎた。
ムニムニと、形を変えられていく。
不思議と、弄ばれている気はしなかった。
だって、彼の顔はあんまりにも真っ赤で、私も何をしていて良いのか分からない。
レノアくんの顔を見て、自分の胸を見下ろす。幼さを残す細やかな膨らみは、確かにレノアくんの指を受け入れていた。胸がざわつく。ちょっとくすぐったい。嫌な感じはしないけど、快楽と言うにはまだ遠い。思い返したのは、スライムに嬲られていた自分の痴態だ。
私の指じゃ、あそこまでは届かない。
媚毒の助けもないんじゃきっと、自分の無表情を崩すこともできないだろう。
男たちに犯されている間、多少魔力の高ぶりは感じても、それだけだった。
悔しかったり、憎んだりしてみても、どこかで足踏みしてしまう。目の前でレノアくんを殺されれば、違うのかも知れないけれど。そんなのは……。
彼の助けがいる。
そのためなら、ちょっと誘うくらいは、うん。
ほとんど賭けだった。不慣れな私たちが、ちゃんと出来るのかさえ分からない。
口馴れない言葉を使って、抑えていた頬の赤みを意識的に緩める。
そのままでいい。
何の憂いもなければ、レノアくんが満足するまででも付き合ったのに。
だけど、時間がなかった。扉の隙間に挟んだ小石が、気休めになるのかも分からない。男たちが戻ってくるまえに呪いを解いて、二人で逃げる。やることが多い。
ゆっくりと、気持ちを高め合ってる暇は。
「……レノア、くん?」
「う、うん」
うんじゃない。頷かないで。軽い苛立ちに、眉根が寄ってしまう。
おっぱいを触るだけ触って、先には進まない。まさかキスだけで、子どもが出来ると思ってるタイプなんだろうか? 確かに、学があるようには見えないし。バカにしたいわけではないけれど。
「……舐めて?」
分からないことを責められない。ならせめて、私が教えてあげないと。
手を止めたレノアくんが、驚いた顔で私を見る。何か、違ったんだろうか?
私の知識だって、正しいわけがない。あるのは、スライムの愛撫を受け入れた記憶だけ。でも、そんなに変かな? 乳首、ずっと見られていたし。どうにかしたいものだとばかり。
ー
舐める?
舐めるって……。
胸、じゃない。シルヴィアの視線が、すっと落ちた。
身震いが一つ。その先には、可愛らしく膨らんだ蕾がある。可憐って言葉でいいのかどうか。そこから目が離せない。
「あ、ちょっ……!?」
不意に頭を抱き寄せられた。前のめりに崩れた体が、柔らかく受け止められる。
何とか顔を上げた僕の前には、細やかな二つの膨らみがあった。それを彩る桜色が呼吸に合わせて膨らんで、身動ぎするたび小さく揺れる。
舐める?
舐めるのか。
舐めて……。
返事の代わりに、生唾を飲み込んだ。
このまま何もしないでいたら、怒ったシルヴィアに無理矢理押し付けられそうだ。
それは、あんまり……。僕にだって、彼女を愛してみたい気持ちはある。それすら、言い訳のように感じられた。頭の中にあったのは、ただ触れてみたいという欲だけだ。
__ちゅっ
少し汗臭いような酸味があった。
押し付けた唇の隙間から、さらに舌先を伸ばす。あんなことがあった後なのに、シルヴィアの香りは何も損なわれてはいない。仄かに色づいた肌から、汗の気配が匂い立った。舌を這わせるたび、薄桃色の香りが広がるようだ。
「んっ……はぁ」
何より僕を夢中にさせたのは、悩ましい声と艶めかしい吐息。触れるだけでは引き出せなかった変化が、胸を踊らせる。もっと、喜んでほしい。違う。もっと、その声を聞きたい。
頭を撫でられながら、乳首を舐める。
褒められてるみたいで、嬉しくなった。
吸い付いて、肌が震える。舐めあげて、声が弾む。シルヴィアの反応が大きくなるほど、頭を撫でる手のひらが重たく重なった。下に追いやるようにして、あるいは誘われてるようでもあった。
乳首から唇が逸れていく。
膨らみの袂を、脇腹を、おへその横を、太ももの内側にまでキスをして。
__クチュリ
粘ついた水音が耳に届く。身じろぎが一つ。視界の端に映ったのは、濡れた肌。
擦れあった太ももの隙間から、汗よりも深まった彼女の匂いが立ち上る。
求められるまま、誘われるように。僕はシルヴィアへ唇を寄せていった。
ー
可愛いと、思う。
一生懸命に胸を舐めてくれる。愛おしさに負けて、そっとレノアくん頭を撫でた。熱心に、丹念に、愛撫を通じて彼の想いが伝わってくる。チリチリとした甘い痺れ。もどかしくて、むずがゆい。淡い快感に、緊張が解けていく。
でも、足りない。
魔力を生み出すには、ちっともだ。
だんだんと、焦れったくもなってくる。少しずつ、下へ。頭を撫でる手に力が入った。胸の袂から、脇腹へ。レノアくんは、私に逆らわない。太ももの内側にキスをされて、思わず足を閉じてしまった。
続きをしてほしい。
だけど。
少しだけ、頭が冷える。お腹の中には、まだ残っていた。
彼に舐めさせるの? それは……あんまりに。確かな拒絶。レノアくんを押しのけるつもりで力を込める。さっきまで、あんなに素直だったのに。彼の頭は動かない。さらに強く、私を求めて舌を伸ばす。
幻滅されたくなかった。
汚れた私を見て、冷めてしまったらどうしよう。
せめて指で、掻き出してもらってから。受け入れるなら、少しでも綺麗だと思われたい。
「まって……やっぱり、そこはっ」
不安に耐えきれなくなって、声を上げた瞬間だ。
__ジュっ!
腰が引けるような感覚。背筋が伸びて、爪が立つ。
何を? でも、だって、そんなのは……。心と体がチグハグだった。開かれていく太ももを、自分で閉じられないでいる。「やめて」「そこまで、しないでもっ」言いながら、レノアくんを引き剥がせない。足の間に顔を埋めた彼は、また……。
__ジュっ!
吸われる。案の定だ。開いた割れ目の奥から、ダラリと垂れてきた。
愛液だけじゃ、きっとない。白く濁った酷い匂い。飲み込んだ青臭さが、蘇ってくる。「ダメ」「汚いから」「そんなの」お願いした。お願いをした。初めて人に頼んだかも。けれど、私の初めては聞き入れて貰えない。
__ジュっ!
__ジュっ!
何度も吸われる内に、お腹が熱くなってくる。指に力が入らない。
残った濁りを洗い流すように、後から、後から、澄んだ愛液が流れ出してくる。
見た目にはもう、凌辱の後だなんて分からない。そこにはただ、愛撫に蕩けた私があるだけ。
__ジュっ!
吸われて、頭が白む。舐め上げられて、腰が泳いだ。
足から、力が抜けていく。もっと近くに。唇を寄せたレノアくんの舌が伸び、割れ目の中へと入り込んできた。きゅぅっと、下腹部が縮み上がる。まるで、何かと勘違いしたみたいだ。
吸われて。
舐められて。
腰が跳ねた。
舌先がクリトリスを掠めた瞬間、頭の裏で火花が散る。
一回、ニ回、三回……。鼓動が重なるたび、火花はずっと大きくなった。快感の熱が引いていかない。スライムに嬲られていた時とはぜんぜん違う。絶頂の予感が、少しずつ、少しずつ、大きく、強く育って、レノアくんの舌の動きに意識を持っていかれそうになる。
意地悪なの?
クリトリスに触れたり、触れなかったり。舌を差し込んだり、引き抜いたり。
気まぐれに愛液を吸われて、変な声でちゃう。聞かれたくないのに、聞いてほしい。こんなに気持ちがいいんだと、伝えたい。
「れの、あ……くんっ。んっ、ふぅっ……はぁ、わたし、わたし……ぃっ♥」
背筋がゾクリとした。腰がガクガクと震えだす。
もう一度でも、舌先がクリトリスを掠めたら……。その瞬間に期待して息を飲む。
__ジュっ!
浅瀬に舌が入り込み、溢れた愛液を掬い上げられる。響く音に、頬が熱い。
膨らんだクリトリスがジンジンと疼き、甘い痺れが下腹を包んだ。ゆっくり、ゆっくり。根本から結び目へ近づくほどに、舌の動きが遅く感じる。堪らなかった。
耐え性がない。スライムの時みたいに、お預けなんてされたら、もう。
見上げる彼と、見下ろす私。
震えた唇が、ようやく声になる。
「もう、だめ。いく、から……いかせて、そのまま。じゅって、して。舌も、もっと、奥に、舐めて。おねが、おねがいっ。レノアくんっ、私っ……わたしっ……」
ちょっと、癖になってるのかも。
みっともない自分の痴態に、興奮が煽られる。
吸い上げられたのは、魔力じゃなくて、私の愛液だ。ベロっと、大きく舐め上げられた。包皮が捲れていく。ザラザラとした舌の表面にクリトリスを嬲られた私は、あっさりと達してしまった。
「いっ♥ あぁぁぁっっ、あ、あ、あっ♥」
声が……でも。
男たちに聞かれるかもしれない。だけど、口元を抑える余裕もなかった。
ゾクゾクと快感が流し込まれて、視界が明滅する。レノアくんの頭を抱きしめるのでやっと。イってる最中も、__ジュっと、__ジュぅっと、愛液を吸われ続けて、もう呂律も回らない。
__ベロっ
最後に、もう一度。
舌で舐め上げられた。
大きく背伸びをした体は、糸が切れたみたいに崩れていく。
気持ち、よかった。恍惚としていた。多幸感に包まれて、頭がバカになっている。
倒れそうになった体を抱き止めたのは、レノアくんの腕だった。
ちょっとだけ頼もしくて、まだ頼りない男の子の体。胸板に頭を乗せて、息を吐く。抱きしめられて、抱き返す。見つめ合った私たちは、自然と唇を重ねていた。