笑った。
笑うしかなかった。
通りかかった冒険者に助け出され、街に戻った私は、全てを取り上げられた。
学院の首席という看板も外されて、完全に後ろ盾を失くす。魔法使いという体質も、ただちょっと珍しいというだけ。この間まで調子に乗っていた小娘を、選ぶ理由は誰にもない。
それでもと。私にだってプライドはある。
才能だけで首席になれるほど、学院の評価は甘くない。大した失敗ではあったけど、まだ取り返せるはず……だった。
魔道具屋の前で足が止まる。
失くした杖の代わりを探そうとして。
その場で、へたり込んでしまった。
奇異の視線を向けられたって、気にもならない。訝しげに顔を出した店主に、追いやられてようやく。気づいた時には、雑踏の中を ただ歩いていた。
「あはっ……あははははっ……あーあー、にひひっ♪」
一つ、二つ、三つ……。桁は幾つあっただろうか?
失くした筈の杖が売りに出されていた。洞窟で見つけた誰かが持ち込んだんだろう。買い手なんて、付くわけもない。
装備としては優秀でも、それは権威の象徴だ。学院の目が強いこの街で、それを振りかざせるのは、何も知らないよそ者か、私みたいな自惚れ屋だけ。
店の店主も、旅人向けにさっさと売り切ってしまいたかったんだろう。性能を考えれば破格に思う。はした金とは言わないでも、買い戻せない金額ではない。
まざまざと見せつけられた、生々しい数字。
吊り下げられた値札が、自分の首から掛かって見えた。
もう、どうだっていい。口の端から漏れた吐息が、くすぐったくてしょうがない。
吹いた風に背中を押されて、足を踊らせる。体が嘘のように軽かった。目標も、期待も、将来も、全部が虚しい。
小石に躓き、はっとなる。
転がり落ちた身分証を拾おうとして、ふり返った街の壁は随分遠くなっていた。
なに、バカなことしてるんだろう。
戻らなきゃ。
やることは幾らもあるのに、でも。落とした身分証から、目が離せない。
氏名と、住所と、簡単な経歴を示す空欄には、その一つだけ。
学院・首席卒業。
その文字を塗りつぶすように引かれた黒い帯。
それしかないだけに、余計目立つ。バツイチだ。白雪姫と持て囃していた人達は、手のひらを返して私をそう呼んだ。さぞ、愉快だったろう。澄まし顔が、クシャクシャになるのは。そこで咲いていたから手折っただけ。高嶺の花を摘む理由なんて、そんなものだ。
ユラユラ揺れる赤い光が肌を煽る。
立ち昇った煙が風に巻き取られた後にはもう、私は本当に何者でも無くなってしまった。
やっちゃった……。
衝動的に? それも違う。撫でた頬が薄っすらと持ち上がってるのに気づく。
鼻歌のように口ずさんだ魔法の呪文は、あっさりと身分証を焼いていた。
これから、どうしよう?
焼いてしまった後は、なんにも考えてない。
冒険者としての道が閉ざされても、魔法使いならどこでだって生活は出来る。
なにも、燃やすことはなかった。ちょっと街の外をぶらついてさ。頭が冷えたら、きっと……。
きっと?
その先は、何も思い浮かばなかった。
他にやりたいことが思いつかない。
空っぽだ。投げ売りされていた杖に服を着せても、私に見えるんじゃないか?
立ち眩み。あまりの見通しの悪さに目眩がした。
もっと、先のこと考えたら? 遊んでばかりの同級生に投げた言葉が、今になって跳ね返ってくる。
そんなの、分かるわけない。
占星術の勉強なんてしてこなかった。
予想していた将来は、もっと冒険者として活躍できてたはず。今さら取り上げられて、私にどうしろっていうの? どうしたら……よかったの?
思考の坩堝に嵌っていく。あったはずの可能性すら見落として、私の糸はぷっつりと切れた。
疲れた。
考えることすら、面倒。
甘いものがほしい。湯浴みをして、あったかいベッドで眠りたい。街に戻ればそれはあるのに、身分証は自分で焼いてしまった。門をくぐるには、バツイチの経歴が邪魔。勉強しかできないくせに、考えることすらやめるから。
勉強、勉強、勉強。
振り返った人生にはそれしかない。最初は両親に褒めてもらえるのが嬉しくて、次に自分の成長が実感できて、最後には皆がバカに見えたから。他に楽しかったことなんて……。
「そっか……あはっ♪」
あった。一つだけ。
今までの全部を忘れさせてくれる衝撃的な体験。
食料として舐られる。苗床として犯される。何も出来なかった。自分はただの少女でしかないと思い知らされる。今の私には、あんまりに眩しい。
一歩、足が動く。
その輝きに吸い込まれるように、もう一歩。
滅茶苦茶にされたかった。嫌なことばかりを考えてしまう自分を壊したくなる。
でも、スライムたちは私が全部……そっか、それならもう。
作っちゃお。
下腹をそっと撫でると、まだそこに彼らいる気がした。
笑み浮かべ、動き出した足は止まらない。弱りきった鼓動に力が戻る。
向かったのは、あの日の続き。自分から、暗い洞窟の中へと足を踏み入れた。
*******
最初から、こうすればよかったんだ。
冒険者なんかにならないで、一人研究に没頭する。先輩たちの華々しい活躍に目がくらんで、道を間違えた。失敗した。衝動的に飛び出して、ちょっと後悔。
着の身着のまま。
道具も何もない。
フラスコの一つでもあればよかったけど、そんなもの日常的に持ち歩く訳もなく。
まあ、いいか。いっそのこと清々しい。
洞窟の中ほどまで進み、振り返ってようやく、あの日の境目はあった。
見落とすはずだ。まして、そこにスライムが巣食ってるなんて思いもしない。悪いことが重なっただけ。そもそも、先を歩いていた 彼らにだって責任はあるのに、どうして私が一人が責められるの。
覗き込んだ亀裂の向こうは、なにも変わってない。
千切れたローブの破片もまだ散らばっていた。今の私と同じ。魔法的効果も失われて、完全にゴミ。
「……ただいま」
寒々しく響いた声に、静けさがより深くなる。
誰も応えない。天井を見上げて、地面の隅に目を凝らす。胸がドキドキしてた。
いまに襲われた私は、手を引かれ、足を滑らせるんだ。全身をスライムに覆われて、媚毒の染み込んだ素肌が熱を持つ。
あの日の続きに思いを馳せる。
早く、そうなればいいのに。寒々しい洞窟の中で、下腹をそっと撫でた。
希望というには、あまりにおぞましい。スライムを胎内で生成する。以前の私なら、考えもしなかった。魔法生物の初歩も初歩。作れることを確かめるだけの存在が、あれだけの生態を獲得してた。
もっと育っていたら、どうなってたんだろう?
私じゃ絶対敵わなかった。滅茶苦茶に犯されて、苗床みたいに扱われるの。
想像した最悪の未来に、ゾクリとする。体を抱いて肌を寄せると、太ももの隙間が僅かに冷えた。期待、高揚、それとも違う。初めて聞く胸の音色は、絹が裂けるようだった。胸元が大きく開いて、千切れたボタンが転がり落ちる。
もう戻れないな。
ボンヤリと考えたまま、結び目のほどかれたキュロットが、フワリ……足元へ広がった。
ー
それから、何日が経っただろう?
実験を始めて、一日か、二日、あるいはもっと。
洞窟の中に昼も夜もない。灯りを消せば、時間が止まったかのようだ。
大きくなったお腹を撫でると、熱を孕んだ吐息が漏れた。
意外と、難しいんだ。
ただ作ればいいんじゃない。自分で生きられる強い子じゃないと。
お股から流れ出る青みどろの液体を見下ろして、呆然としてた。上手く、できたと思ったのに。私との繋がりが切れた途端に、形を保てなくなって溶けてしまう。
それに、涙なんて……どうして?
命もない何かを産んだ。それすらちゃんと出来なかった。
人としての尊厳と、魔法使いとしての矜持。どれもが傷ついたようで、そうじゃない。ただ、悲しかった。理屈のない感情が頬を伝う。
ごめんなさい。
呟きは、誰の耳にも届かない。
育ててくれた両親にも、目をかけてくれた先生たちにも、積み上げてきた過去の自分にだって。今の私が見ていたのは、流れ落ちたスライムの残骸だけ。
こんなはずじゃない。
もっと上手く出来るはずだった。
あの時のスライムは、私を倒せるくらい強かったのに。
私が産んだコレは……なに? 掬い上げようとして、掴めもしない。指の隙間から流れて落ちる。次第に粘性も薄くなり、最後には溶けるように消えてしまった。
早すぎたのかな?
ちゃんと作れたようで、実際は私の魔力で保たせていただけ。
紐で繋いでるんじゃダメ。自立していた あの子達とは、比べるべくもない。
もう一度……。
目の前の快楽に食指を伸ばす。
ぶら下がった人参を追いかけるみたい。掴めそうで届かないのがもどかしい。
なに、やってるんだろう?
せめて、あの時みたいに犯してくれたら。おかしくしてくれたら。
もう、手遅れ。一人じゃ、満足できない。足りなくなった魔力を埋めようと、自分を慰めても、思いつく限りのすべてが邪魔をする。触れて、撫でて、擦って、摘む。どれも上手く出来ない。瞼の裏には、スライムの面影がチラついてた。
ああ、そっか。
これが、恋って感情なんだ。
もう一度抱かれたい。狂おしいくらいに犯してほしい。
実験なんて嘘。だから、私は……自分の体を使ってまで、無意識に。
何度か産み直していると、私から離れて動いてくれるようになった。ナメクジみたいに蠢く子達を可愛いとすら思う。
何処にいくんだろう?
イヤだ、まって、私を一人にしないでほしい。
亀裂の先へと出ていくスライムに手を伸ばす。そのままバランスを崩して倒れてしまった。飲まず食わずでずっと……そもそも食べ物なんて持ってきてもない。
ここまで、なのかな?
まぁ、いいか。
もう、いいや。
せめて あの子達が強く生きてくれたら、私の代わりに大きく育ってくれたなら。
視界が霞む。指先すら動かせない。うつら、うつら、寝ては覚めてを繰り返す。
だんだんと起きてる時間が短くなる中、唇に触れるものがあった。
「……ぁっ」
舌に乗る甘さに、口を開く。正確には抵抗出来なかっただけ。
スライムが口の中に入ってくるのを、ぼぅっと眺めていた。
あの日と違うのは、媚毒が分泌されていないだけ。今の私には、そこまで再現しきれてはいない。
美味しい。
温かいホットミルク。出来立てのパンケーキ。
お腹をすかせた私に、いつもお母さんが作ってくれた。微かに喉を鳴らすと、ちょっとだけ元気が湧いてくる。
薄々、感づいてはいた。
私から離れた子達が、何をしていたのか。
与えた以上の魔力と栄養を、一体何処から。それを食べて生かされた私は、だんだんと人から遠ざかっていく気がしてならない。
ごちそうさま。
食べて、産んで、また食べる。産み落とした子たちは、しばらくすると ひとりでに亀裂の外へと這い出てしまう。いっちゃダメ。私と居れば、安全なのに。魔力なら……私が。皆が皆、戻ってくる訳じゃない。途中で力尽きてしまったのか、冒険者にやられてしまったのか。
一人、二人、三人……。
今日もまた、戻ってこなかった。
悲しいな。悔しいな。強い子に産んであげられなかった自分が情けない。学院の首席だ何だと言ったって、この子達は まだまだ弱い。お父さん……とでも言うのかな? 私を犯した彼らのほうがまだ。
__ジュルっ
這いずるような水音に顔を上げると、亀裂の隙間からスライムが滲み出してきた。
よかった。戻ってきてくれて。君だけでも無事で、本当に。知らず視界が滲んで、涙が溢れる。
「おいで……」
両手を広げて、出迎えた。名前も知らない子を掬い上げる。
無茶をして。這い上がる力も残ってないじゃない。そっと、慰めるように口づけた。
いけない子。
魔力も、栄養も、自分が生き延びるために使えばよかったのに。
__コクリ
__コクコク
喉奥に流れ込んでくるスライムを、飲み落とす。
だんだんと小さくなっていく体を見ていられなくて、唇を閉じて引き離した。
「ダメだよ、もう。キミが、死んじゃうでしょ? 私はお腹一杯だから、ね?」
言葉が通じているのかも分からない。
唇から引き剥がされたスライムは、ゆるゆると体を波打たせて不機嫌そうにも見えた。
お腹、空いてるよね?
手のひらにスライムを抱いたまま、そっと胸に押し付けた。
チリチリとした甘い痺れが、乳首から胸の膨らみへと広がっていく。
お腹が大きくなり始めた頃から、私の体にも、ちょっとした変化があった。
水に広がるインクのように、スライムの薄青い体が白く濁る。快感だけじゃない。
もっと物理的な違和感。強く吸われた乳首の奥から、何かが込み上げてくる。
痛みにも満たない。糸を通すような些細な刺激。閉じていたものが開かれていく。
それは、初めてを失くしたときにも良く似ていて。
一体、何を勘違いしたんだろう?
母乳だった。スライムを孕んだ私の体は、もうすっかりお母さん。
快楽と愛情が混濁する。いっぱい吸って? もっと大きくなって?
甘えん坊なんだ。外でも生きていけるのに。わざわざ私の所に帰ってくるんだもん。
だんだんと重たくなって、元気を取り戻していくのが嬉しかった。
もう、抱えきれない。手のひら から溢れたスライムは、鼠径部へと流れ込んでくる。
でも、そこはダメ。
手を伸ばして横へ押しやった。
キミはお兄ちゃんでしょ? お腹には弟がいるんだから。
「んあっ♥」
不意に母乳を啜られて、思わず喉が高鳴った。胸を覆うスライムの体が白く濁る。
納得はしてない。けれど、無理に押し入ろうとまでは。滲んだ愛液を舐め取りながら、更に大きくなったスライムは太ももの内側、その奥へと潜り込んできた。
なんで、そんなとこ……。
顔が熱い。
だって、そこは。穴の縁を舐められて、肌が粟立った。
忌避感を抑え込み、下腹に力が入ると、お腹の中でスライムが蠢く。
ごめんね? 驚かせたよね? あやすようにお腹を撫でながらも、なんとかお尻を逃がそうと腰を揺らめかせる。
ゆっくりと。
丹念に。
丁寧に。
解されて。
病的な熱っぽさに、気が抜けていく。
ああ、これ。知ってる。媚毒だ。何処で、覚えたの? 産んだ時には、出来なかったはずなのに。固く閉じた窄まりに染み込んでくる。緩んだ出口に入り込まれた後は、簡単だった。
__グッ
__ググッ
少し、息苦しいくらい。
奥へ、伸びて、広げられる。お腹が、苦しい。弄られてるのが、分かってしまう。
ヒダの形を探るように、刺激が次々と移り変わっていった。
色めき立った快感が、波打ちながら奥へと響く。おヘソの裏を通り抜けても、まだ、まだ、行き止まりには届かない。じわぁっと肌が汗ばむ。恥ずかしい、気持ち悪い、そんなとこ汚いのに。
正気じゃいられなかった。
なけなしの理性も媚毒に蝕まれ、閉じたいはずの穴は、ますます緩む。
最後に精一杯、力む。でも、狭くなった窄まりは、閉じきらない。膨らんだスライムは穴を押し広げて、一瞬、その動きが止まった。嫌な予感。背筋が凍って、時間が止まる。
__ズルっ!
「まっ……!」叫ぶよりも早く、お尻の中からスライムが一気に引き抜かれた。
目の前がチカチカする。
頭の裏に火花が散った。
腰がガクガク震え上がって、悲鳴が蕩ける。
ずっと、ずっと、焦がれてたの。オナニーじゃ足らなかった。ようやくだったのに。
それがよりにもよって。なんで、お尻でなんか。最後に残った羞恥心すら、媚毒の熱に溶けていく。鼓動の音に目が回っていた。こんなの、変態みたいなのに、でも。もう、気持ち良ければ何でもいい。
そっか……。
まだ、人のつもりだったんだ、私。
洞窟に籠もってから、ずっと、思い返せばトイレになんか一度も。口にしたのはスライムばかり。
栄養を、母乳に変えて。
快楽を、魔力に変えて。
彼らを産み落とし続ける。
もう一度。
ヒクヒク動くお尻めがけてスライムが押し入ってくる。
また、一気に引き抜くの? 震える吐息に期待が混じる。お腹、苦しい。おヘソの下を通り抜け、動きが止まったその瞬間。
__グルリ
下腹が膨れ上がり、子宮の奥でスライムが暴れ出した。
お尻と板挟みにされる。やめて、ケンカは。お腹の中……こわれちゃ。髪を振り乱し、懇願しても、彼らは止まらない。体の昂りと同時に、魔力が高まっていく。
奪い合いだ。
でも、媚毒の広がるお尻のほうが快感が強い。
魔力の流れはお尻に集まり、蠕動はさらに勢いを増していった。白熱した快感が広がって、意識が散り散りに途切れだす。快楽と一緒に、魔力を吸われながらも、いよいよ限界だった。
「いっ、あっ、だめっ、いっちゃ、わた、すらいむに、お尻で、いっちゃ、あぁぁぁぁ、変態みたいに、またぁぁっ。だって、でもっ……んひっ♥」
下腹に力が入った途端、割れ目の隙間から吹き出した粘液が、ポタポタと地面に染み付く。お兄ちゃんの真似? 上手なんだ。子宮の中にも、媚毒が広がっていく。爆発寸前の魔力はお腹へと吸い込まれて、私はまた絶頂の瞬間から引き剥がされる。
「やめっ、だめっ。そんな一気にしたら、きみたち……もっ。ああっ、いくっ、いきたっ、でも、あぁぁぁぁ、むりぃっ……すぅっ! ふぁぁぁっ!!」
頭が白くなる。もう何も考えられない。
ギリギリまで高まった快楽と一緒に魔力が爆発したら、また。この子達も、耐えきれずに溶けてしまうかも。歯を食いしばって、快感を耐える。せめて、ゆっくり、少しずつ。魔力の扱いなら自信があった。でも、冷静じゃいられない。強すぎる快感のせいで、コントロールするどころか暴走を抑えるのもやっと。
__ぶつっ
子宮の中でスライムが弾けた。
煮詰まった媚毒が一気に浴びせられ、下腹が燃え上がる。意識が細切れにされていく中、頭が真っ白になったかと思えば、驚くほど冷たくなった。流れ込んでいく魔力を吸い込んだお腹が、どんどんと重たく、大きくなる。
__ぶつっ
お尻の奥にも媚毒が流れ込む。熱くて、熱い。背筋に杭が入ったみたい。
ピンっと反り返って戻らない。広がりきった窄まりの隙間から、入り切らなくなった白濁液がダラダラ溢れ出す。中と外から、スライムに挟まれた子宮はグニグニと形を変えられて、痙攣が止まらない。
__ぶつっ
だめ、ほんとうに、これ以上は死んじゃう。
乳首を絞られ、吹き出した母乳が胸元に、顔へと降りかかった。
沸々と、薄い絶頂を幾重にも重ねてた。私も、彼らも、白く溶けて、一つになって……。
「__いったぁっ」
鈍い痛みが、下腹を覆った。取り直した呼吸もままならないまま、嬌声に塗りつぶされる。裂けた割れ目から、ドップリと押し出される白濁液。孕んだスライムが、産道へと流れ込む。外から見て分かるほどの膨らみは、下へ、下へと、波打ちながら降りてくる。
歯を食いしばり、痛みに耐えた。
膣壁を削られて、気が抜ける。
痛いのと、気持ちいいのが交互に押し寄せ、もう訳が分からない。
ピンっと、乳首を引っ張られながら、思い切りに吸い上げられる。嬌声を上げて母乳を吹き出した私は、絶頂を繰り返しながら自然と笑みを浮かべてた。
「あはっ♪ あははっ……♥」
これだ……。
こうして、ほしかった。
自分で決められることなんて、何にもない。
スライムにされるがまま。愛して、愛されてるのかも分からない。割れ目はますます広がって、中から薄青い体表が顔を覗かせる。それを見た瞬間に、胸が熱くなった。
私の……赤ちゃん。
まだ、白く崩れてない。しっかりと形を保ったまま私から生まれようとしてる。
「ああっ♥ でて……きちゃっ。いって、いくっ、もうっ、はやく、はやくぅっ」
泣きながら叫んでいた。痛いのも気持ちいい。
お尻からお腹を突き上げられて、息を呑んだ。産道が潰され、引っ掛かったスライムは、なかなか出てこない。グリっと、お腹の中が引きずりだされそう。力を抜きたくても、お尻のスライムが邪魔。早く産んでしまいたくて、力むと同時に暴れ出す。広がりきった小さな穴を、元に戻せない。
今までで、一番大きい子。
お股、裂けそう。
浅い呼吸を何度も繰り返す。正気はもう、保ててない。
痛いのと気持ちがいいので、膣はずっと痙攣したまま。耐えきれなくなった私は、お腹の上に手を置いた。このまま、ぐっと押し込んだら……きっと。
絶頂しながら、絶頂して……それから絶頂する。
もうイクことしか頭にない。おっぱい吸われながら、お尻弄られて、それからスライム産むの。大きな、私の……あかちゃん。きっと痛くて……それで、それで。
「すぅっ、すぅっ、はぁ……はっ、んっ」
五つだ。五つ数えたら……お腹を押して。
ご、よん、さんっ……!!
__どっぷりっ
押しちゃった。我慢できずに、一気に、お腹を押し込んだ。
産み落とした大きな大きな塊。白濁液に塗れた半透明の塊に目を細める。絶頂の快感を反芻しながら、穴という穴がヒクヒクしてた。お尻も割れ目も、全身が、もうドロドロ。「ぁぁっ……」「ぅぅぅっ……」私の声なのに、知らない声。頭に響く情けない声に、絶頂を自覚させられて、また絶頂する。
__ポタリ
__ポタリ
滴る母乳を浴びながら、産み落としたスライムはまだ形を保っていた。
今度こそ。
きっと、お父さんより強い子に。
耳鳴りがして、気が遠のく。いやに静かだ。
お兄ちゃんは、白く濁って溶けちゃってた。だめって、だから、言ったのに。
でも、悲しんでばかりもいられない。白濁液に汚れた肌を拭いもせず、産み落としたばかりのスライムを胸に抱く。
触れさせた乳首が、甘く痺れた。
絶頂には程遠い。だけど、幸せ。涙が溢れて、薄く頬が持ち上がった。
みるみる大きくなっていくスライムを抱きながら、淡い快感の中、私はずっと微睡んでいた。