負けヒロインが多すぎる!〜八奈見さんの空腹対策(精液補給)から始まる、文芸部と生徒会の狂信ハーレム〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はあー、疲れたぁ……っ! ぬっくん、お疲れ!」
テスト期間中の放課後。あらかじめ約束して示し合わせておいた通り、誰もいない文芸部室のドアを勢いよく開けて飛び込んできた焼塩檸檬は、制服の襟元をパタパタと手で煽りながら俺の前にやってきた。テスト直前の図書室や教室の重苦しい空気から抜け出してきたせいか、引き締まった四肢や首筋には、なおも焼塩特有の健康的な熱気がほのかに残っている。
「お疲れさま。……テスト、順調?」
読んでいる文庫本から目を離さず、あらかじめ机の上に用意しておいたお茶のペットボトルを焼塩に向けて差し出しながら声をかけた。テスト前で部活動自体は休みになっているが、放課後にこうして二人きりで会う約束をしていたため、一番乗りでここにやってくる流れに変わりはない。
「聞かないでよー! 漢字も公式も頭に入らなくて、もう爆発しそうだったんだから! だから約束通り、ぬっくんを独占しに逃げてきたの!」
受け取ったペットボトルで首筋を冷やしながら、ぐっと両腕を上に伸ばしてストレッチを始めた。制服のブラウスが身体のラインにぴったりと張り付き、健康的なスレンダーボディと、呼吸に合わせて上下する胸元の起伏が嫌でも視界に入ってしまう。慌てて視線を手元の文庫本へと戻した。
「……そ、そうか。大変だったね」
たどたどしく返答すると、パッと表情を輝かせ、軽やかな足取りで俺の座るパイプ椅子へと近づいてきた。
「ふふん、というわけで、ぬっくん! 今日は私と……って、ちょっと待ってよ、なんでぬっくんはそんなに冷静なのさ!」
近づいてきた勢いのまま肩に手をかけた焼塩だったが、ぎこちない様子と目の前で重なり合う視線に、急に恥ずかしさが込み上げてきたらしい。勢いよく捲し立てていた口調が急に小さくなり、小麦色の頬から耳たぶにかけて、みるみるうちに綺麗な朱が広がっていった。
「だ、だってさ……っ。こうやって放課後に待ち合わせて二人きりになると、急に心臓がバックバク鳴り出して……なんかすごく、恥ずかしくなってくるっていうか……っ」
図々しさもなければ、おかしな理屈の大義名分もない。あるのはただ、真っ直ぐな気質と、光希への失恋を乗り越えて「ぬっくんの特別な一番になりたい」と願う、年相応の恋する少女としての切ないまでの恥じらいだけだ。
「……そんなに緊張しなくても……」
「っ……緊張くらいするでしょ……っ!」
上目遣いに潤んだ瞳で強く睨みつけ、覚悟を決めたように制服のスカートを軽く整えながら、膝の上にそっと跨がる姿勢をとった。制服の薄い布地を隔てて、体熱と柔らかな太ももの圧力が直接太ももへと伝わってくる。微かな甘い香りが混ざり合い、密着した皮膚同士の摩擦が熱を帯び始めていく。
「っ……あ……、ぬっくんの体、すごく温かい……っ」
「っ……焼塩の身体も、かなり熱いよ……。無理はしなくて……っ」
「んっ……あ……っ、ぬっくん、息……上がってない……?」
夕暮れ時の文芸部室。膝の上に跨がった姿勢のまま密着していた焼塩は、上気した顔を近付け、潤んだ瞳でじっと見つめていた。制服越しに伝わる体熱と互いの鼓動は高まるばかりで、静まり返った室内には、摩擦の掠れた音と吐息だけが小さく響いている。
「っ……焼塩こそ、顔が真っ赤だけど……大丈夫?」
「だ、大丈夫! 陸上部舐めないでよ……っ」
強がりを口にするものの、心臓は早鐘のように打っており、肩に置かれた手にはぎゅっと力が込められていた。そのまま身体を重ねるように擦り寄せられていたが、ふと何かを思いついたように動きを止め、照れくさそうに視線を泳がせた。
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