負けヒロインが多すぎる!〜八奈見さんの空腹対策(精液補給)から始まる、文芸部と生徒会の狂信ハーレム〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
白い襟が上品に縁取る胸元と、そこから伸びる無防備な首筋。
「いや……とても似合ってる。制服もいいけど、このワンピースも、き、綺麗だ……ね」
「なっ……っ! き、綺麗だなんて、そんな直球な言葉……軽々しく言うものじゃないですっ!」
ぽんと顔をさらに赤くし、両手で頬を押さえた。
だが、その表情は拒絶ではなく、甘やかな恥じらいと照れに満ちている。
リビングのテーブルに資料を広げ、表面上は生徒会と文芸部の連絡事項や校内風紀についての確認作業を進めた。
しかし、室内には終始、妙な背徳感と緊張感が漂っている。
廊下の奥——弟の貴司くんの部屋からは、時折かすかにページをめくる音や床が軋む音が聞こえてくる。
(……すぐ近くにいるんだよな)
家族が家の中にいるという極限の状況。もし何か大きな音や声を立ててしまえば、すぐに駆けつけられてしまうというスリルが、密室の熱気を一層高めていく。
資料の確認が一通り区切りを迎えたところで、ふっと小さく息を吐いた。
手元に落としていた視線をゆっくりと向け、ぽつりと呟く。
「……最近、文芸部の方は賑やかなようですね」
「え? ああ、八奈見も焼塩も相変わらずというか、好き勝手に部室に集まって騒いで……すいません」
「というか……その……」
細い指先で、紺色のワンピースの裾をギュッと握りしめた。
白く整った爪が布地に食い込み、大きな感情の波が渦巻いているのが伝わってくる。
「……八奈見さんや焼塩さん、小鞠さんたちが、いつも温水さんの周囲を取り囲んでいて……。学校でも、文芸部の皆さんと温水さんの距離が近いという噂は、私の耳にも嫌でも入ってきます」
「それは……まあ、部活の仲間だし」
「仲間、ですか……」
ゆっくりと顔を上げた。
その瞳は少し潤んでおり、眉を八の字に寄せた切ない表情が視界を射抜く。
「私だって……立場があります。校内の秩序や、皆さんの関係性を無闇に乱すつもりはありません。表向きは……そういう、関係性すらも、建前としては容認せざるを得ないのかもしれません」
口から零れ落ちるのは、厳格な理性の言葉。
だが次の瞬間、瞳を潤ませたまま、ぐっと身体を寄せてきた。
「……でも、私だって……建前ではどれだけ理解を示そうとしても、本音では……本音では、嫌なんです……っ!」
「天愛星さん……?」
「温水さんを、他の誰かに渡したくなんてありません……っ! 私だけの特別にしてほしい……私だけを見てほしいんです……っ!」
以前から伝えられている、本音の独占欲。
それを隠すこともできず、真っ赤な顔で溢れさせ、潤んだ瞳が、まっすぐに見つめていた。
廊下の奥から聞こえる弟さんの気配と、静寂に包まれたリビング。
清楚な紺色のワンピースを纏った生徒会長からの、あまりにも切なく情熱的な本音の吐露に、理性のタガが音を立てて外れようとしていた。
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