※この作品はR-18作品です、18歳未満の方は閲覧をお断りします。
※この作品はフィクションであり、登場する人物や団体は架空であり、実在の人物や団体等とは一切関係ありません。
※本作に登場する人名及び地名、サイト名やアプリ名及び店名は全て作者の創作であり、実在の人物・店舗及び社名とは一切関係ありません。
※登場するキャラクターは物語上で作られた創作物の設定です、実際の年齢ではありません。
※本作は全てフィクションです。現実で行うことは法律で禁じられています。
「さぁ…終わりにしましょう…悪しき怪人よ…」
魔法少女は剣を構え、怪人に向かって飛び掛かる…。
「あぁ…そうだ…そうだよ!魔法少女!お前が世界を救うんだ!」
「はい…頑張りますね」
魔法少女は今まで見たこともないような優しく、可憐な笑顔で怪人に微笑みかける…
その表情に怪人は心を奪われた…
「おお…いちご…」
「ご主人様…」
その隙を突いて魔法少女の8本剣は怪人の身体を貫いた…。
「最高だ…最高の…魔法少女だ…俺の…魔法少女だ…」
怪人は貫かれた剣をものともせずに魔法少女に抱きつき、そのまま抱きしめた…
「ご主人様…ありがとう…」
6枚の翼は自分と怪人を包み込み、紅く大きなルビーのような結界を作り出す
「ルビープロミネンス…」
翼の中で小さな水滴程度の粒にまで圧縮された水素が急激な核融合を起こし、膨大なエネルギーが爆発し始め、太陽と同等の温度で2人を焼き尽くし始めた
「バカ野郎!お前も死ぬ気か!?」
「えぇ…だって私…ご主人様を殺すんだもの…これぐらいは徹底しないと…」
魔法少女はケロリとした顔で言い返す
「ばっか!やりすぎだ!お前はこれから世界を救った魔法少女として活躍するんだろ!?」
「私はご主人様の奴隷よ?ご主人様の最期は私の最期…一蓮托生よ…」
「ちっ…それでも…お前だけは逝かせねぇよ!」
怪人は小さく呟くと、その身体は液体のようにドロドロに溶け、魔法少女をつつみ込んでいく…
「ご主人様…何を!?」
「ここで一旦お別れってことさ…だが俺は必ず戻る…だからアジトで俺の帰りを待っ…」
その時、結界内が光り輝く…
紅炎の温度は数万度…いくら結界で防いだとしても溢れ出たその熱ですら周囲のビルを溶かし、崩れ落ちていく…。
辺り一面がマグマの海に変貌し、それでも魔法少女の紅炎は止まらない…。
やがて…内部の爆発の回数も少なくなり…その光が止む…。
そして結界が解かれ、中に居たのは…
魔法少女だけだった…。
その戦いは全世界に中継され、世界中の人々が魔法少女の勝利を喜び、魔法少女の活躍を讃えた。
まだ熱を放つ魔法少女に報道陣は近づくことすらできない…
そんな中1人の記者が大きく叫ぶ
「ありがとう!魔法少女!せめてあなたの名前だけでも教えて下さい!」
真紅のドレスに包まれた少女はゆっくりと振り向き、こう言った…
「私の名前は…天秤の魔法少女…ヘメロカリス」
そう言って魔法少女は空高く舞い上がり、その姿を消した。
その後、世界は平和になった…
ヘメロカリスが現れた時から、怪人も、怪獣も、悪の組織も姿を消し、世界は平和になったのだ…。
そして人々はヘメロカリスという名を忘れず、魔法少女を讃え続けた…
真紅の魔法少女ヘメロカリスの活躍を遠巻きに見ていたプリンセスジュエるのメンバー
「ヘメロカリス…凄い子だったね…」
「えぇ…凄い…」
「あんなの見せられたら、やる気無くなっちゃうねぇ…そう思わない?イチゴ?」
「そうね…凄まじい力の持ち主だね…」
…と赤い髪の少女は呟いた…。
日本でヘメロカリスと対決した怪人が消滅すると共に、世界中の怪人も時同じくして消滅していった…。
そして人類は未曾有の危機から救われ、世界は平和になった…
怪人のアジトはそのまま残されていたが、その中にはたった2人しか残っていなかった…
「ご主人様、ハイビス特製パスタです♪」
「またぁ?ほぼ毎食パスタじゃないのよ」
アジトに残された少女達はヘメロカリスの魔法によって、その洗脳を解かれ地上へ解放された。
そしてこのアジトに残ったのはいちごとハイビスだけとなった…。
あの戦いから早いもので4年もの歳月が流れ、幼かったハイビスもいちごとほぼ同じぐらいの身長になっていた…。
2人は魔法で戸籍を偽造し、アジトの近くにあるアパートで暮らしながら中学校へ通っていて、時折このアジトへ戻っては主の帰りを待っていた…。
「またって失礼ですね、昨日とはまた違う味付けなんですよ?」
「味付けの問題じゃないのよ!なんで毎日毎日パスタ食べさせられてんのよ!?」
「だってご主人様がパスタ好きだって言ってたから…」
「確かに好きとは言ったけど…あぁ…もぅ…」
いちごはパスタを自分の口に運ぶハイビスに文句を言うが、その表情は幸せそうに笑っていた…
そしてハイビスは幸せそうな笑みを浮かべながらいちごにパスタを口移す。
「むぐむぐ…ご主人様、そろそろご主人様のご主人様戻ってきませんかね?」
「やっぱり戻ってこないのかしらねぇ…つまらない幕引きだったわ…んっ」
「ぷは……そんなこと言わないで下さいよ…」
ハイビスはいちごの隣に座ると、いちごの腕に頭を添えた…
「私も先の戦闘で両親を失いました…これでご主人様と同じく天涯孤独同士ですが、私はご主人様と一緒にいられて本当に幸せですよ?」
「うん…本当にごめん…」
いちごは知らなかったとはいえ、あの戦闘でハイビスの両親の命まで奪ってしまったことを後に知った…。
本当にハイビスは私だ…そして私はあいつと同じだ…
ハイビスを犯し、奴隷にし、力に溺れ、その足元で小さな命を踏み潰した…
そんな自責の念がいちごの背中に重くのしかかる。
それでもハイビスはいちごを慕い、いちごの隣で笑ってくれている…
「ねぇ…ハイビス…私の事はもういいから…お前は好きな人でも見つけて…」
「嫌です!私はご主人様の傍に居たいんです!私がご主人様を幸せにするんです!」
そう言って鼻息を荒げるハイビス…。
いちごはそんなハイビスの頭を撫でる…
「ありがとう…ハイビス…私は幸せになれるか分からないけど…あなたは幸せになれるように天国のお父様とお母様に誓うわ…」
「ご主人様…」
ハイビスはいちごに抱きつき、いちごもハイビスを抱きしめた…。
「ご主人様…それこそ一度、ご主人様のご両親の墓前でご報告されてみては如何です?」
「それって…お墓参りってこと?」
「はい、私も両親に報告することで少し気持ちの整理がついたのですよ…」
「えぇ…でも、ここを留守にするわけには…」
「留守ならハイビスがしっかりと見ておきますから…ね?」
「う〜ん…」
色々な意味でハイビスにそう言われると断る事ができないいちごは渋々と、懐かしの故郷に戻ることにした…。
というかそうされた…。
「えぇ?…」
懐かしい道を辿って行き、私が目にしたのは見覚えのある…
いや、忘れもしない実家の洋食屋だった…
「あれは…」
私は洋食屋に近づいてみる…同じ店舗名…。
2階部分を見上げても修理された痕跡もない。
営業中だったので、お店に恐る恐る入ってみると…
『カランコン』という聞きなれたベルの音が響きわたる…
すると店内から見知った顔が現れた。
「いらっしゃ…イチゴ!?」
母だった…
「えぇ!?」
目の前に現れた母も、とても驚いた表情で私を見つめる。
私はこの現実を受け止められず固まったままだった…
「いやぁ〜いきなりごめんなさいね…ウチの娘によく似ていたものだから…イチゴぉ〜!イチゴ〜!」
母はそう言って奥にいる女性に声をかける…
「なーにー?母さん?…え?」
目の前に現れたのは赤い髪に凛と太い眉毛…赤い瞳の女性…成長した私だった…
「あ、ウチの娘、イチゴって言うんです、まだ小さい時のあなたにあまりにもソックリだったもんでねぇ…つい…」
「えぇ…私も驚きました…」
「あははは…でも本当にそっくりさんだね…お客さんも赤い髪なんですね…」
「はい…そうですね…」
するとお店の入り口のドアが開き、店内に『カランコロン』とベルの音が響く…
「いらっしゃいませー…なんだ、ばななか…」
成長したイチゴは接客トーンを止め、いつものトーンで迎える。
ふと私もその視線の先を振り返り見ると成長した黄色井ばななの姿だった…
「なによぉ〜お客さんじゃなくて悪かっ…うわっ!!」
ばななも私を見るなり驚きの声を上げる
「えぇ!?イチゴちゃんがいるよ!…イチゴちゃん!?」
ばななは私に近寄り、私の顔を覗き込む…
「やっぱり…そんなに似ているんですか?」
私が問いかけると
「うんうん…中学の時のイチゴちゃんそっくりだよ…あの小生意気で『私は優等生』ってオーラ全開だった時のイチゴちゃんだよ」
「本人前にしてそれ言うか?」
とイチゴがぼやく…。
そうして笑い合う2人を見て、私は驚きが隠せなかった…。
なんで?なんでばななとこんなに仲良く?…
いやそれよりなんで私が2人居るの?
「お二人は仲が良いですね…」
と、私が問いかけると、成長したイチゴが…
「そうですね…中学の時からの腐れ縁ってヤツですよ…今年から同じ大学へ行ってるんです…ね?」
「うん♪」
あのばななが私と同じ大学?猛勉強でもしたのか?
「へぇ…どちらの大学へ?」
「あぁ…私立帝片女子大へね…この春から…」
私はあまりに衝撃的な返答に硬直した…あの底辺大学…。
ばななが猛勉強したんじゃない…私が堕ちていったんだ…
「中学生の時にはちょっと仲良い友達みたいな感じだったんだけどね…あの頃からだよね?」
「あぁー家が吹っ飛んだけど無傷だった事件?」
「な…なんですかそれ?」
聞いてみると4~5年前にこの家が爆発したと通報があって、警察と消防車が来てみれば、家にはキズ一つない状態だった。
最初はいたずらで誰かが通報したのだろうという事だったが、家の周りに散乱していた瓦礫は間違いなくこの家のものだったという…。
まるで吹っ飛ばされた家と全く同じ家を瞬時に作り直したように…。
そして家にいたイチゴ一家は玄関で皆眠っていて、これまた傷一つない状態だったそうだ…。
「そうなんですか…不思議ですね…」
私は全てを察したが何も言わずに、ただ話を合わせていた…すると
「なんだお前達…入り口で…うわっ!イチゴ!?」
と…今度は厨房から出てきた父が同じリアクションを取り、周囲を笑わせた…
テーブル席に案内された私は、大好きだった父の料理の中でも一番好きだったハンバーグ定食を注文する。
ここでも「小さい時のいちごの好物と同じだ」と母から言われると、そのハンバーグが運ばれてきた
「お待たせしました…ハンバーグ定食でーす」
「ありがとうございます…」
私はハンバーグを一口食べ、咀嚼する度に涙が溢れてきた…
「おいしい…おいしいです…おいし…」
心配する母を制し、私はハンバーグを食べ続けた…。
昔と変わらない味…
大好きなお父さんが作ってくれたハンバーグ…。
色々なことがあった…
だが心に浮かぶ事を心のままに口にするには、今の私は汚れすぎた…。
ただただこの味を噛み締め、涙を流すことしかできなかった…
恐らくあの時、私を戦闘不能状態にしたご主人様が全てを元に戻したのだろう…
そして父も母も復活させ…新しい私まで用意した…
そして私がここに戻ることが無いように、強く父と母の死を印象付けてまで…
破壊された建物を再構築し、死者を蘇らせ、まったく同じ人物をコピーする…。
そんな事ができる者はもう人間ではない…。
それはもう神の御業だ…。
やはり私はこの世界の主人公ではなかった…。
だが私の隣には、この世界の神がいた…。
この世界の神に愛され、神に抱かれ、神の女として生きるという役だったんだ…。
なのに私は神に愛されることを拒んだ…。
あろうことか神の御力の一部を借りて殺した。
この世界から神を消してから初めて知った…
「お前がこの世界の主人公ならもっと自由に生きなきゃ」
彼が言った言葉が脳内を駆け巡ると共に彼への思いが急激に高まる…。
会いたい…ご主人様に…あの人に会いたい…
都合の良い事を言っていることは承知している…
…それでも…あの人に…。
「ありがとうございました…おいしかったです…」
私は食事を終え、お会計を済ませると、店を出て行こうとするが…
「あの…お客さん…」
母に呼び止められ振り返ると、母は私に向かってこう言った。
「また…来てくれますか?」
その言葉に私は息を呑む…もう此処に戻ることはない…此処はもう私の居場所じゃない…そう思いながら…
「はい…また来ます…必ず…」
そう答え、微笑むと、店を後にした…
帰り道、私は成長したイチゴの姿を思い返しながら歩いた…
良き父と母の元で、良い友に巡り合え、幸せな人生を歩むイチゴ…。
その姿を見つめながら心から思った…
なんてつまらない人生なんだろう…と…。
そりゃ人にもよるだろう…
平穏無事で皆と笑い合い、共に生きていく…
だが私はそんな人生は、まっぴらごめんだ…。
モモが私に言った言葉…「いちごちゃんといることで私達も、いちごちゃんも何か変わるのかもしれない…」あの言葉は本当だった…。
あのままご主人様と出会わなかった自分は、モモが言った通り変わっていった…。
平凡で、無個性で、つまらない…そんな女になっていた事を証明してくれた…。
私の身体が14歳のままだからだろうか…。
幼く、尖った考え方かもしれないが…割れ窓理論、腐ったミカンの方程式…そんな言葉が浮かび上がる…。
モモ達の存在は間違いなく、今の私にとっては悪しき存在であった…。
私はご主人様と出会って、あの当時の心のまま、あの研ぎ澄まされた殺意を抱いたまま、あのまま成長していけたからこそ、私は私でいられた…。
年中思春期とでも、中二病とでも、なんとでも呼ぶがいい…。
あの頃の私が今の私の基盤となり、私を形作ったのだ…。
だから私はあの頃を懐かしく思い、あの頃の自分を誇りに思う…。
あんなクソ女達と関わらなくて本当に良かったと…。
私はこの世界の主人公ではない、だからこの世界の主人公であるご主人様と共に生きる…。
あの小さな命を守る為ではなく、ご主人様が望むだけの小さな命を弄び、共に世界を壊し、ご主人様が望む世界を新しく作り変える…。
この世界が私よりご主人様を選んだのだから、私はご主人様に付き従い、1人でも多く道連れを巻き込んで地獄に堕ちよう…。
その為に世界は私を舞台の頂上から引きずり下ろしたのなら、私は私の役を最期まで演じ切るまでだ…。
「ご主人様…」
いちごは呟くと、アジトへと急いだ…。
お付き合い頂きありがとうございます
モチベがメキメキと上がるので、続きがちょっと気になると思ってくれた人は【評価】&【お気に】してくれると有難いです
メチャクチャ気持ちよく書けました
文章とか構成とか、そこの辺りはまだ分かりませんが、とりあえず言えることは、ワリとここら辺の話は気持ちよく書けて面白かったです