※この作品はR-18です。

ジャミに転生した   作:みじ

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天空の馬嫁

 転生したら馬だった。

 ドラゴンクエストっていうゲームに出てくる『ジャミ』という馬のモンスターだった。

 筋肉ムキムキで普通に立って歩くヤベー奴。

 主人公の仲間には、ならない。ジャミが登場するドラクエ5はモンスターが仲間になるが、ジャミが起き上がって仲間になりたそう目でこちらを……などという展開は有り得ない。

 色違いの『ケンタウラス』って奴は倒すと仲間になることもあるんだが、ジャミは倒したらそれで終わりだ。まあ、悪の幹部だし。主人公の父親の仇の一人というか一匹だし、ろくでもないことばっかりするしで死んでよし。

 ここでジャミの悪行を振り返っておくと、まず主人公の父親をリンチして殺害。トドメを刺したのはゲマっていうジャミの上司だが、リンチしてる時点で同罪である。それが主人公の幼少期。

 次に主人公の青年期に、出産したばかりの若妻を誘拐して監禁。助けに来た主人公に倒されるも、悪あがきの石化魔法で主人公夫妻を石像に変えた。

 印象に残ってるのはこの二つで、登場自体は多くはないが実にろくでもない。そして、そんなクソみたいな魔物(モンスター)に俺は転生してしまったのだ。死にたい。

 

 

『ぬおーーーーーーーーーっ』

『お、お父さんっ』

 

 転生を自覚したのは、主人公の父親パパスが焼死した瞬間だった。いきなり取り返しがつかない。

 なんでそこなんだよ。もっと前なら正義に目覚めても良かったのに、パパス殺しちゃったら後戻り不可避じゃねーか。極悪人ならぬ極悪馬だ。物語は俺の知っている通りに進み、いずれ俺は主人公にぶち殺されてしまうのだろう。

 

 

 

(いや、死にたくねーわ。ムリムリ、運命受け入れろとかムリだから。こうなったら、原作破壊してでも生き残ってやる)

 

 パパスが死んだ後、物語中の時間は一気に進む。

 主人公は友人の王子様と一緒に奴隷落ちして、怪しい神殿で強制労働させられることになる。物語としては、幼少期から青年期に進んでからのスタートになるのだが、細かい描写はカットされていた。

 幼い姿ではなく青年奴隷からのスタートだ。成長するまでの時間はゲームではプレイできなかったが、ここでの俺はその間も生活しなきゃいけない。当たり前の話だが、スキップ機能とかはなかった。

 

「時間あるし、生き残るために修行でもするか……? でもなぁ、人類が負けても後味悪いしどうするかなぁ」

 

 やることはあんまりなかった。ぶっちゃけ暇だったので、ひとまず体を鍛えまくることに。

 ジャミがレベルアップするのかは不明だったが、何事も物は試しだ。海に潜って半魚人を倒しまくり、水泳で肺活量を鍛え、ストレス解消のため夜空に向かって『夜空ノムコウ』を熱唱した。

 そんな日々を送ること数ヶ月、いきなり軽快な音楽が鳴り響き、レベルアップ! 30から31に上がったわ! お前レベル30だったのかと一人ツッコミを入れつつ、強くなれることに歓喜! 

 しかも、呪文を新規習得もできるようだ。レベルアップのついでに『モシャス』という変身呪文を覚えた。これは面白い。将来的には全ての呪文を習得……は無理だとしても、かなり強くなれる希望がある。

 俺は俄然やる気になって鍛えまくり、その辺に封印されてた『ブオーン』とかいう謎存在をぶっ倒したりしながら、着実にレベルアップを重ねていった。

 そして、あっという間に時が流れた!

 

「やばい。もうちょいでビアンカ誘拐しに行かなきゃじゃん。ちゃんと計画立ててからいかないとダメだな、うん」

 

 経験値ばかり求めていたら、いつの間にやらジャミのメインイベントがすぐそこに。

 王国の国王となる主人公の妻、ビアンカを誘拐して塔の屋上に監禁する重大ミッション。たしか、本当に重要なのは双子を攫ってくることだった気がするのだが、なんで王妃だけ攫われてたんだっけ? よく覚えてないが、ビアンカが子供を隠して自分だけ攫われてきたんだっけか?

 忘れた。まあいいや。

 設定としては、主人公の子供達は魔王を倒す鍵になるから危険だ、みたいな話があったようななかったような。

 

 

「天空の血は根絶やしにせねばなりません。しっかりと始末するのですよ、ジャミ」

「ギガデイン!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

 どうやら俺の記憶は正しかったようだ。

 ゲマ様がやって来て教えてくれたので、お礼に最近教えた呪文をかけてあげると、ゲマ様は死んだ。

 おお! ゲマ様、しんでしまうなどなさけない!

 マジで消滅しちゃったんだが、大丈夫だろうか。

 まあいっか。ギガデインの試し打ちできたし。ていうかジャミがギガデインってどういうことだ。普通に覚えちゃったんだけど、この世界バグってね?

 

「虐殺ルートもいけそうだな。だがしかし、俺は平和をこよなく愛するジャミだ」

 

 無用な殺生は気分が悪くなるのでナシで。

 ここは平和的にいくことにする。みんなハッピーになるようなエンドを目指していこうじゃないか。てなわけで、俺は前向きに動き出した。取り急ぎ、花嫁候補()()()フローラお嬢様に会いに行くことに。

 ドラクエ5は妻を選んで子供を産ませるゲームだ。

 候補のひとりが金持ちのお嬢様のフローラ。主人公はビアンカかフローラどちらかを選ぶのだが、この時空ではビアンカを選んでくれたようだな。

 

 

「君を振った男、大変なことになるから慰めてあげてね。よろしく」

「ど、どういうことでしょうか」

「しばらく石像になるから、よろしく! 奥さんは死ぬから、慰めてあげてー」

 

 フローラに会いに行った時は、勿論(もちろん)人間の姿で。モシャスって便利だね。なんでジャミがモシャス使えるんだよ気持ち悪い。

 いつしか俺は呪文をほとんどマスターしていた。

 ハイスペックジャミの爆誕である。世界からしたら害悪でしかないが、生きる権利は俺にもある。人類に迷惑はかけないから許して欲しい。

 

 

「ジャミ、ビアンカはどこだ!」

「遅かったな国王。王妃は死んだぞ。食い殺してやったわ、ははははは!」

 

 更に時は流れ、俺は見事に王妃を誘拐して檻の中に閉じ込めた。

 のこのこやってきた主人公には殺したと伝えて、主人公一行は石化だ石化! 

 

「許さないぞ、ジャミ!」

「黙れ小僧! お前は石像にでもなっていろ!」

「ぬわーーーーーーーっ」

 

 原作の流れでは、ジャミが死ぬ時に破れかぶれの石化呪文で主人公夫妻を石にする。しかし、ここで石化するのは主人公だけだ。

 後はその辺に放置して、フローラに拾いに来てもらえばハッピーエンド! 

 頑張って世界を救ってくれたまえ。魔王ミルドラースも倒しちゃっていい。その代わり、死亡扱いになるであろう王妃はいただく。

 天空の花嫁ビアンカは、魔物の花嫁に強制転職だ。

 ビアンカにとっては悪夢のようなエンドだろうし、ビアンカを選んだプレイヤー諸君にとっても同じだろう。しかし、実際に自分がジャミ(ウルトラハイスペック)になったと仮定すると、俺みたいな行動に出る奴も一定数いるのではないだろうか。

 

 

 

「どうした王妃、お前が股を開かないなら、街の娘を攫ってくるぞ。お前の故郷の村でもいい。若い娘を連れてきて、壊れるまでいたぶってやろう」

「この、人でなし!」

「残念だったな、俺は魔物だ。だが、知性もあれば話も通じる。交渉もできる。そうだな、まずは口で奉仕しろ。そうすれば周りに迷惑をかけることはない」

 

 お馴染みの衣装姿のビアンカを脅迫し、魔物の花嫁としての教育を始める。

 強く美しく、実に女らしく育った彼女は、本当なら幸せなエンドを迎えるはずだったが、ここでの結末は快楽漬けの花嫁だ。

 双子を産んでからもうすぐ三年が経つから、そろそろいいだろう。念入りに耕してから、嫁としての役目を果たしてもらうことにした。

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