※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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31 碩学姫の受難③

 マイヤ=カモセンブルグはサキュバスの血が流れている。精液を摂取することで己の体力と魔力とを蓄える力があった。

 

 その特質があればアドルフ以外の男にも24時間犯されつづけていれば、いずれ眠り姫の魔法も己の力で解けたかもしれない。でも彼女は目覚めなかった。

 

 理由はアドルフとヒッポタルトらによる魔法術式が、彼女の手に負えない高度なものだったからだ。いくら魔法の才能があっても知識と対処法がわからければどうにもならない。

 

 マイヤは深く眠り続けた。その眠りの中で彼女は夢を見なかった。脳髄は思考を、身体の伝達を閉じられて暗闇の中だった。しかしその漆黒も終わりの時が近づいていた。

 

 ホーデンエーネン王国暦346年7月の終わり。彼女は薄暗い明かりの中で目を開けた。

 

(どこかしら、ここ?)

 

 身体を動かそうとするが、なかなかに動かない。全身が麻痺している様な感覚を覚えていた。いいや、感覚はある。

 

 それは中の胎児が育ち、大きく膨らんだ腹とその先にある彼女の陰裂だ。子宮からは絶えず快楽を覚えている。子宮と生殖器の他はしびれているので圧迫感や痛みを覚えなかった。

 

(お腹の子は無事だったんだ。良かった……。)

 

 イズヴァルトがいるかもしれないアノーヅへ向かう為に家を出たところで意識を失った。あれからどのくらい寝ていたのだろう。彼女は首を動かそうとした。しかし、どうにもならなかった。

 

(どうしちゃったんだろう。身体が動かないよ。ねえ、これはどういうことなの?)

 

 力を籠める。でも動かない。何度繰り返しても首から下は動かなかった。自分の身体はどうしてしまったのだろうと思っている時、重々し気な扉が開く音がした。

 

「お目覚めのようですね」

 

 女の声がした。明かりは薄暗いまま、何人かが彼女の顔をのぞき込んだ。皆が目の上までフードを深くかぶっている。

 

「あなたたちは?」

「医療魔道士です。ここは病院ですよ」

「これから貴方には大事な大仕事が待っております。それはこれから行われる事」

「お嬢さん。今日はあなたにとって一生に大切な日。最初の子を産むその日なのです」

 

 そんなに寝ていたのか。何が起きたのだろうとマイヤは尋ねた。しかしである。この時彼女の腹の奥で、凄まじい歓喜が起こった。

 

「うあっ! ああっ! あああっ!」

 

 マイヤの股に向けて明かりが灯された。医療魔導士のうち1人がまじないの言葉をかけ、彼女の陰裂の周囲に薬を塗る。

 

 膣口の拡張を促進させる分娩薬だ。これを塗ればどんなに小さな下腹でも痛みを伴わず伸びあがる。薬師としても有能なムーツのゴブリンの手によるものだ。

 

「あーっ! あああーっ! ああーっ!」

 

 これまで感じたことが無い悦楽がマイヤの下腹全体を襲った。彼女は前世に分娩の痛みを知っていた。あれは死にそうなぐらいに痛いはず。なのにどうして快感が?

 

「おああーっ! く、くるしい! 気持ちよさすぎて、し、死んじゃう!」

 

 子宮から膣の入口は狂っていた。薬の力もあったが、彼女のそこは驚くほど柔軟に広がり、赤ん坊を外へ押し出そうとする。

 

「ふああっ! ああーっ! あーっ!」

 

 拡張した膣道が、胎児の身体を出そうとする。激痛が走るはずだがマイヤのそこは喜びと悦に満ちていた。快感を数百倍させたそこをとてつもなく大きなペニスで貫かれる様な。すでに絶頂という程度は過ぎていた。

 

 もはや叫べない。涙を流して歓喜しながら荒く息をするだけしかない。いまだに毛が生えぬ、つるりとした女丘とその奥の産裂が伸びあがり、いよいよ彼女が腹の奥で育んでいた子を世に出そうとする。

 

(イズヴァルト……!)

 

 嬉しい。もうそろそろ彼との強い絆の結晶が、自分の子供と対面できる。同時に彼女は寂しくもあった。このまま産道を行ったり来たりして、私にすごい快感を楽しませて、かわいい赤ちゃん。

 

 赤ん坊の頭が出た。それと同時にヴァギナの下のアナルが大きく口を開けた。そこからどろどろとした糞便を押し流し始めた。

 

 その排泄の快感はしびれているがゆえに届かなかった。でもマイヤはぞくぞくするような産みの快楽と幸せな未来の第一歩を歩む為に、力を込めた。

 

「んん……んんん……んんんッ!」

 

 力むと同時に更にぬらりとした便が出る。赤ん坊が顔を出した。首まで出ると医療魔道士達によって引き出された。

 

 比較的小さな赤ん坊だ。2500グラムも無いかもしれない。股の付け根には割れ目があった。ぬらりとした羊水につつまれたそれが出ると、へその緒の先にある胎盤がマイヤの膣口から吐き出された。

 

 赤ん坊のへその緒は素早く切り離された。小さな体が産湯につかる。ようやく泣き始めた。マイヤは明日への強い希望を抱いた瞬間だった。

 

「元気な赤ちゃんですよ。女の子です」

「そうなの……」

 

 ただただ感激しか無かった。マイヤはこの世界でも母親となった事を改めて実感する。

 

(12歳だっけ……早すぎたかな?)

 

 同じく少女の頃に初産を遂げたトーリがオルフレッドを産んだのは、13になったばかりである。姉よりも早くに子供を産んでしまった。

 

 もしかしたら切開手術が必要なのではないかと恐れたが、それも無く子供を産む事が出来た。

 

(む、むしろ気持ちよすぎて死にかけたぐらいだったけれど……)

 

 大きく長い快楽を伴っての出産。自分のこの体はどこかおかしい。姉もそうだと聞く。気持ちよさすぎておしっこをぴゅーぴゅー放ったり、うんちをブリブリ出しながらの出産だったの。

 

(トーリ、事前に浣腸をしてもらったんだけど、と恥ずかしそうに語ってくれたっけ?)

 

 産まれたばかりの赤ん坊がマイヤの右胸に抱き着かされ、大きな乳房をつけた乳首から母乳を吸い立てた。マイヤの乳首は赤ん坊に飲ませる為に発達していた。

 

 以前の様なうっすらとした桜色ではなく、濃い紅色に近かった。彼女のとても大きなタンクは赤ん坊にいくらでも乳をやれるぐらいに蓄えられていた。

 

 首から下が動かせないからマイヤは自分の体がどうなっているのか、見る事が出来ない。しかし赤ん坊が泣くのを止めてなにかを吸い立てる音を聞いて安心を覚えた。 

 

(脳とおまんこのあたりが焼けきれそうだったけど、また産みたいなあ。ねえ、イズヴァルト……。)

 

 もっと私にあかちゃんをちょうだい。心の中でそうささやいた時にマイヤはようやく大事なことを思い出した。

 

(イズヴァルトは? 今はいつ? それからここはどこ?)

 

 医療魔道士達に尋ねた。気を失った8月末からおよそ4カ月。ホーデンエーネン暦でいえば346年の2月だという。

 

(そっか。なら良かった……このあかちゃんはイズヴァルトの子だよ。)

 

 それからこの病院はコーヅケーニッヒの数ある病院のうち1つだという。意識を失ったのはどんな理由なのだろう。そのことはいずれお話しする、と医療魔道士らは答えた。

 

「それよりも出産でだいぶお疲れでしょう」

「おかあさんになるにはとても体力を使いますからね。しばらくお眠りになられてください」

「目覚めてから、貴方に起こった事を全てお話いたします……」

 

 マイヤは満ち足りた気分と一抹の不安を覚えながら、深い眠りについた。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

「ふふ。そうか。マイヤはここがコーヅケーニッヒのどこかの病院で、今が今年の2月だと思っている訳か。はははは!」

 

 アドルフは澄み切った青空と燦々(さんさん)と輝く太陽を見て大笑いした。身体は汗ばんでいる。7月になるとこの辺りはイーガで一番暑いのだ。

 

 紛れもなく今は夏、7月だ。それを地下室に閉じ込められ続けているマイヤは、2月のまだ寒い時期だと勘違いしている。

 

 俺でもあの身の上になればまんまと騙されるかもしれん、と思いながらアドルフは医療魔道士達に報告を続けさせた。

 

「安産。しかも性的快感を伴った出産のようでした」

「ほう! それはうらやましい限りだ! 俺も女ならそんな体に産まれたいな!」

「サキュバスのそれと同じ神経の動きをしておいでの様ですね。罪悪感などという、つまらない感情に囚われずに仕事が出来ましたよ」

「そうかそうか! 引け目を感じるだろうが気にするな! お前の罪は俺が背負ってやる! マイヤの膣が治ったら、前と同じように犯していいぞ! ただし、避妊の魔法をかけてからだがな!」

「眠り姫の魔法をまたかけました。後はマイヤをいつ目覚めさせるのか、殿下のご判断を仰ぎたいと思います」

 

(ふむ……次に目覚めさせる日についての段取りか。どうするかだな。手足のこともある。)

 

 両腕両脚を斬り落としたのは逃げられない為にとしたのだが、理由はちゃんと考えてある。病気にかかっていたと伝えればいい。言い訳はいくらでも考えられた。

 

 何事も計画通りにやっていこう。アドルフは自分とマイヤとのこれからに邪魔をしそうな一番の障壁を先月の始めに葬っていた。

 

 ホーデンエーネン国王、ジュンケイン4世=ホーデンエーネンである。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 話は先月にさかのぼる。ナントブルグにいたホーデンエーネン王はイーガからの返答が遅い為、直接出向いてイズヴァルトとマイヤの2人を探すと朝議の席で語った。

 

「もうこれ以上は待てんわい! 余は聖騎士団を引きつれてイーガへ向かう!」

 

 イーガ国王が拒んでも敢行するつもりだ。有無は言わせない。無理やりに居座る。団長のエルヴィンやホーデンエーネンの武将らは国王の意に賛同していた。

 

 発言した国王へ、多くの廷臣からもう少し待つべきだという諫言が出た。しかしジュンケイン王は意に介さなかった。もう1つ、とっておきの策を立てていた。

 

「余は今日付けをもって退位する! 跡継ぎはかねてより指名していたセインだ! これよりセインをホーデンエーネンのあるじとして仰げ!」

 

 そう宣言して周囲がざわめくと、待っていたかのようにセインがジューンショーンを連れて現れた。セインは国王の前に進み出てひざまづいた。彼は王冠を戴いた。この日がセイン王の誕生であった。

 

「余は……儂はこれにて隠居の身じゃ! 国のことはセインに全て任せる。これで何人たりとも儂の邪魔だてできぬ。そういう事でよいな?」

 

 イズヴァルトの救出への旅に反対を叫んだ廷臣たちは黙るしか無かった。セインは玉座につくとすぐに立ち上がって抜刀し、家臣らにこう呼びかけた。

 

「親父の気持ちを踏みにじる奴はホーデンエーネンの王たる俺に反逆するのと一緒だ! 文句を言う奴は俺自らがぶった切ってやる!」

 

 獰猛なセイン王子の剣幕に、誰もが従わざるを得なかった。懸念材料がなくなったジュンケインは、すぐさま小姓をエルヴィンの元に向かわせる。旅支度の準備だ。

 

 ジュンケインはすぐさま執務室に戻った。机の前にあるテーブルの上にあった焼き菓子を手に取って口にする。甘党の彼の午後の楽しみだ。

 

「ふむ……ふむ……いつもと味が違うな。まあいい」

 

 その夜である。長い旅の前にたくさんおっぱいを吸おうと妾を呼び寄せて一緒のベッドで抱き合った最中、ジュンケインは心臓発作にみまわれて突然この世を去った。

 

 彼は知らないうちに毒を盛られていたのだ。それを為したのがアドルフの意を受けて王城に潜入した暗殺者だった。

 

 遅効性のそれを暗殺者が仕込んだのは、ジュンケインがよく食べる焼き菓子であった。

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