聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
見目麗しくて性欲の化け物であるサガミニア=エルフの女達を虜囚にし、金玉が疲れ果てるまで抱くの日々を楽しめていた皇帝は、このところひどくご機嫌だった。
やや体温が低く思えるが、触れただけで「あっ……」と吐息をつき、挿れて動かせば熱狂的にせがんでくる愛の妖精達と閨で過ごし、彼は驕りを覚えていた。
虜囚にしてから4日目である。脚線美が透けて見えるドレスをまとわせたエルフ達を引き連れ、彼はオダキソフィアの街を案内させた。
「どうだろう。この庭園は。この都には4000年の昔からある。我がツックバーが元々得ている物質と精神の豊かさというものが、感じられなくはないかね?」
「この神殿の柱は5000年前のものだそうだ。しかし傷一つ無い。ムサシノ帝国の超魔道科学による特殊素材を用いているからなのだよ。ふふ、わかるかね、我が国の素晴らしさを?」
「見よ! この塔から見える北西の田園を! 冬だというのに青々と茂っている! 我が国が独自に開発した冬麦の畑なのだ。我が国よりも暖かい、エドニアやマリーヤにも無い絶景だ! ああ、美しきかな我が国土! この世の地上の楽園という言葉はすべて、ツックバーの為にあるのだ!」
あちこちを見学しての自慢話は延々と続いた。しかし彼女達は指摘たかったが、皇帝の無邪気な誇り顔に慮って言えなかった。それ全部、オラ達の兄貴や姉貴が手がけた仕事ズラ。
(真冬でも育つ冬麦なんぞ、サガミニアにはいっぺえ生えているズラよ……)
(その柱の原料を作る魔法も、オラ達のジジババたちが編み出したものズラ。ムサシノ帝国のやつら、支払いがケチくせえと嘆いてたズラよぉ……)
(言えねえなあ。ぜってえ言えねえ。ここの庭園の設計士、オラの父ちゃんだったってこと、ぜってえ言えねえズラ。)
しかしマリア含む女達は、オダキソフィアとその周辺についてのご自慢の後のお披露目には驚きを隠せなかった。何せ、この大陸で見かけない生き物たちが宮殿の空中庭園に現れたからである。
極彩色の羽毛に覆われ、翼が生えた体長4メートル程の大きな鳥が10頭も。しかし尻尾と顔はトカゲのそれだった。いや、オオトカゲでも鳥でもない。
背中には鞍が置かれ、長い首には手綱をかける器具が取りつけられたそれは、魔獣であった。ワイバーンという有翼種だ。しかしカントニアにはいない。東の海をずっと渡ればたどり着く、チンゼー大陸にのみに生息していた。
ワイバーン達はすごくいたたまれなさそうな、神妙な顔つきでうなだれていた。マリア達エルフを見てびびっていたのだ。というよりもどうして自分達はこんな寒いところに来たのかがわからない。チンゼーは熱帯だ。
「見よ! これこそがワイバーンだ! 余がこれから創設する予定の『飛龍騎士団』の先駆けとして、ここにいる10体を仕入れたのだ!」
空飛ぶ騎士団を結成し、絶対的優位である上空からの攻撃を敵軍に仕掛ける。ワイバーンの軍事的運用。チンゼーの国々でも聞いたことが無い話だった。
「名前も付けたのだ! 左からハリケーン、スピットファイア、モスキート、ヤコブレフ、コルセア、メッサーシュミット、ワイルドキャット、ポリカルポフ、ハインケル、ゼロセンと呼んでいる!」
「なんなんズラ、そのへんてこな名前は?」
「なんでも異世界にあったという、凶悪な空飛ぶ鉄の鳥らしいな! 数多くの人々を恐怖に陥れたという! 転生人の女薬師が教えてくれたのだよ、寝物語でな!」
エレクトーラという名前で30を過ぎていると聞いたが、少女の様にしなやかで締まった体付きでそうは思えなかった。
どうにもキンキ人くさい顔立ちでもあったが、金髪のとびきりな美人。なおかつあそこの締まりも素晴らしかった。さぞかし、好き者の男達に仕込まれた身体だろうと皇帝は嬉しそうに語った。
「夢中になって滞在の1週間、ハメっぱなしで腰が疲れたわい。まるでお前達の様だった。背中から抱きしめるとな、自分から尻を振って求めて来たのだよ。容赦無かった……今度逢ったら絶対に妾にしてみせるつもりだ」
賢くて淫らで、かつ魅了し続けたその女が教えてくれた鉄の鳥達の名前だったから、皇帝はひどく気に入っていた。
しかしワイバーン達は不服そうだった。それを見てマリアが動物と会話ができる魔法を用い、どうしてそんなに不機嫌なのかを念話魔法で聞いてみた。
「名前がつけられたのがとてもイヤそうズラな?」
「呼びかけたのはあなたですか……そうですねえ。だいたいなんていう意味なんですか、メッサーシュミットって?」
「オラも知らんズラ。でも物知りなイナンナさんなら知っているかもしれねえズラな」
「はああ……僕の名前、本当は『ハナミズ』というんですよ?」
「それはそれでひでえ名前ズラな?」
「親からもらった名前ですよ。右にいるのが『ハヌケ』、左のが『チンコデカスギ』。どいつもそんな名前を気に入っているんですよ。ニンゲンさんに変な名前をつけられるの、やだなあ……」
ニンゲンでもわかる言葉でしゃべってみようか、とそのワイバーンは嘆いた。ここに来てから3か月。そろそろこの国のニンゲンが何を言っているのかわかってきた頃である。
ワイバーンは魔獣の中でも特におとなしい。食べるのは木の上に実る果実や御芋ばかりだ。芋は彼等の友人たる羽妖精、フェアリーたちが育てている。腕があるので自分達で畑を作って芋を育てることもあった。
しかも空もそんなに高くは飛べない。皇帝は空軍を結成したいと息まいているが、高度はせいぜい100メートルぐらいまでだ。エルフの矢を確実に喰らう高度である。
「で、どうしておまんらはこの国にやって来た? 観光旅行ズラか?」
「そんなわけないですよ。もっと沢山お芋がとれる土地があるからとニンゲンの商人にだまされて連れてこられたんです。最初は……」
マリーヤという人相の悪い人々ばかりが住む国の港に着き、それから船にのせられたまま川をのぼって北のほうに向かった。
「降ろされたのがコーガという国でしたね。コーガで皆さんみたくとても怖そうな人達に囲まれて、こちらに飛ばされんです」
「オラ達は怖くないズラ。しっかし、コーガに立ち寄ったズラかぁ。あそこはカントニアの国々の中でも、
マリアは腕を組んだ。皇帝が空軍の訓練をさせていた騎士達を呼び寄せ、ワイバーンに乗って空を飛ぶのを見せてやった。確実に矢を当てられる高度だな、とマリア達は思った。
(しっかしコーガか。なんともくせえズラ。)
コーガも対ヒッターチの同盟軍に加わっていたとは聞いていた。しかしあんな湿地ばかりの小国が、ヒッターチの領土をかすめ取れるとは思ってもいなかった。そもそもコーガはヒッターチと隣接していなかった。
(こりゃたぶん、ウツノミーアとツックバーはいっぱい食わされた感じがするざあな……)
空飛ぶ騎士らを見て得意げな笑みを浮かべる皇帝を見て、マリアは残念だったズラ、と言いたい気持ちでいっぱいだった。
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オダキソフィア急襲部隊が途中までうまく潜入できた時とは違い、イズヴァルトが参加した虜囚の奪還部隊は向かう至る所で、ツックバー軍と小競り合いを繰り返さねばならなかった。
ツックバーの国土防衛部隊、白馬騎士団がそれである。籠城戦や城を打って出る迎撃の兵法に長け、帝国南部を守るのはおおよそ1万。
魔法もある程度使える訓練も受けており、印を切って火炎球を放ったり、事ができる。なかなかに油断ならぬ敵だ。
その日の午後もイズヴァルト達は、丘の街道を歩いている最中に近くの砦から迎撃して来た白馬騎士団の突然の奇襲を受けた。
空から次々と火炎球や矢が飛んで来た。白馬騎士団は魔法と矢が得意なのをここより50メートルほど北に離れた高台に配置し、高所からの奇襲をしかけて来たのだ。
しかし矢は刺さらず、火炎は上空でかき消された。矢と炎に気が付いたエルフ達は、とっさに風の結界の魔法を自分達の頭上にかけたからだ。
「しゃらくせえズラ!」
パオレッタが怒号を放つ。ツックイーのエルフどもの恐ろしさを見せつけてやれ、と皆を叱咤する。高所にいた者らが次々と魔法と矢を放つ。頃合い良しと思った時に、打ち上げ花火をあげた。
丘のあちこちから騎馬兵と槍を持った徒歩の兵が姿を現した。ぐるりと囲まれた格好だ。
彼等はパオレッタの部隊と正面きってぶち当たった連中が、完膚なきまで打ち破られたと聞き、戦法を替えてきたのだ。包囲すれば必ず倒せるはず。しかもこちらは1000いる。勝てるはずだ。
しかしその希望は早くに崩れ去った。誰よりも早く、イズヴァルトが右手にいる敵隊列に突っ込んだのだ。それを重そうな鎧をまとったマルカスと武勇抜群のクリスタがどしどしと足音を立てて追う。
「一番手はこのイズヴァルトが務めるでござる!」
彼は騎馬の武者達の中でも、一番立派そうな馬やマントで飾る者に狙いをつけた。大剣は白い布に包んで斬れないようにしている。その騎馬武者は余裕の笑みを浮かべた。舐めているのか、あいつは?
「名乗る名前があっても資格は無いだろうに! 逝ね!」
護衛の騎馬兵数名と共に出た。突っ込んで来たイズヴァルトを討たんと槍を繰り出す。しかし信じられない事が起きた。自分よりも背の高い、鎖帷子を着込み重そうな大剣を持つ若造が、3メートル以上も飛び上がったのだ。
「なにやつ!」
「曲芸師かこやつは!」
イズヴァルトの大ジャンプからの一撃は見事に、立派な騎士隊長を馬から弾き飛ばした。それだけではない。巻き添えを喰らう形で左右の2人も倒されたのだ。
ツックバーの武者や兵士達がどよめいた。隊長殿をお助けしろ、と声があがるとイズヴァルトめがけて襲い掛かる。イズヴァルトは確信した。先ほど倒した相手こそ、この襲撃部隊の要の1人だと。
「マルカスどの、クリスタどの!」
「わかってるって!」
「背中はおらたちに任せるずら!」
マルカスはメイスを握りしめ、クリスタは槍斧の穂に紅蓮の炎を燃え上がらせた。イズヴァルトが戦列に突っ込み、次々と兵士や騎士達を叩き飛ばすと、クリスタとマルカスは周囲の置き盾を散々にぶち壊して恐怖を振りまいた。
そこにエルフ達の掩護射撃が次々と放たれた。彼女達は素早く矢を番え、周囲の包囲をたじろがせて散開して打ちかかった。
包囲網は10分もせぬうちに崩壊。高台にいた者らは必殺の手がだめになってしまった事を嘆き、撤退しようとするが、南から飛んできた矢に次々と討ち取られて叶わなかった。
高台の武者達に矢を射かけたのは、馬に乗った別働隊だった。その中にはホージュリアの姿もあった。彼女の弓矢はなかなかに狙いが正確で、武者のうち数名に命中させていた。
「お見事ズラ!」
同行していたイナンナが、馬上で短弓を構えるホージュリアを褒めたたえた。彼女はまたがった鞍に股間を押し当て、ぐいぐいと腰を動かしながらうなずいた。
「しょ、しょれも船の上で弓矢をおしえてくりぇた、パオレッタさんやクリスタさんのおかげです……うひゅうう!」
クリトリスからじわじわと広がる快楽の波に呑まれながらも尚、ホージュリアは弓矢を番えて生き残りに矢をかけ、背中に刺してやった。自慰行為をしながらも百発百中。これはきっと軍神と呼ばれるだろうとイナンナは思った。
戦いは終わり、かくしてエルフ達は生き残った男どもを襲撃して奪った砦で犯しまわり、ホージュリアは奥も気持ちよくして貰おうと、膣汁くさくなった身体でマルカスに求めた。
イズヴァルトは自分が倒した守備隊長を縛ると、嬉しそうにちんぽにむさぼりつくパオレッタと、彼の副官らに自慢のでかぱいを含ませて頭を撫でてやっているクリスタに問いかけた。
「さて、オダキソフィアまであと何キロといったところでござろうか?」
「ふんっ……! あと20キロというところズラ。もうそろそろで街を燃やしてやるズラよ」
帝都を燃やすとは物騒過ぎる。イナンナに変な催淫剤を飲まされた上に無理やりに盛らされ、気持ちいいと悶える守備隊長を見て彼が死なないことをイズヴァルトは祈った。
「しっかしずら。オダキソフィアならまだええが、ウーラに逃げ込まれたら厄介ずら」
「ウーラ? そこはどこでござる?」
「オダキソフィアの北東にある大要塞ずら。あそこはとても厄介ずらよ?」
クリスタがその要塞について語り始めた。酒の席でも聞いたことがあっただろうが度忘れしていたかもしれないイズヴァルトだが、ただただつばを飲み込んで聞き入らざるを得なかった。
さて、この褐色エルフが語った要塞の驚くべき事とは?
その続きについてはまた、次回にて。