※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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第十一回

 突然降ってわいた急報に驚いたのは、ウーラ要塞にいるハッタール皇太子も同じだった。白馬騎士団が次々と破れた。恐るべきかな、エルフ達。

 

「で、たかだか200だか300の小勢に、1000や2000も引き連れたのがやられたというわけか?」

「はッ! まさに恐るべき怪物達。ヒッターチ攻略の準備をさせている黒馬騎士団の応援が必要かと存じます!」

 

 黒馬騎士団は侵攻作戦を受け持つ騎士団。中には金色エルフやオーガの部隊もある。あわせてたかだか500人程度だが、白色エルフに対抗できるはずだろう。

 

「わかった! ウーラに向かわれている陛下にお伝えせよ! このハッタールが必ず陛下をお守りするとな!」

「ははッ! それではこれにて、御免!」

 

 オダキソフィアからの伝令は去って行った。無論、ハッタールは父を救うつもりはなかった。オダキソフィアにいる戦争反対派の家臣らに連絡をとり、皇帝を挟み撃ちにして生け捕りにする。

 

 父親のわがままにはもはや、つきあう気は無かった。ピサロと彼にウーラ要塞の中を案内されたメルビナが戻って来ると、いよいよだと2人に告げた。

 

「こちらに向かってくる皇帝陛下を囲む。そうしたら無理やりにでもヒッターチとの戦争を取りやめさせ、エルフ達を解放する」

「とうとうこの時が来ましたね。この要塞の全軍をもってすれば、皇帝陛下を必ずや、捕まえることができるでしょう」

「壮と決まれば出陣。ピサロ、お前はメルビナと共にウーラで待っていろ。それとメルビナ」

 

 ハッタールは彼女を抱き上げて頬ずりをした。お前を私の正妻に決めた。だから戻るまで湯あみとベッドの準備をしておくように。

 

「そうであるか……では、わらわを?」

「うむ。父上に承知させる。これからずっと、俺が死ぬまでお前は妻だ」

 

 頬を赤らめるメルビナを降ろすとハッタールは出陣するぞと要塞の兵士や騎士達に申しつけた。

 

 巨体ゆえ馬に乗れぬ彼は、二頭の馬に曳かせた戦車に乗り込む。ハッタールは2メートル半の薙刀を得意としていた。

 

 実際に武をふるったのは、10年ぐらい前のオータニアやヒッターチとの小競り合いぐらいだが、次代の皇帝にふさわしい戦いぶりを見せたはずだと自負している。

 

 戦車に乗り込んだ時、南側の城壁の守備隊長らがやって来て、刀身が玉鋼でできた替えの薙刀を持ってきた。

 

「殿下。皇帝陛下をお迎えし、是非ともエルフ達を蹴散らしてくださいますように……」

「しかし、おごるなかれ、であるな」

「殿下?」

「いいや、独り言だ。お父上を救い出し、このウーラにお招きしよう。私は必ずそれを為す」

 

 ハッタールは兜をかぶり、出発だと叫んだ。皇帝を助け、ウーラにいただくという名分の3000騎が出発した。

 

 しかしこの者らは皆がハッタールと意見を同じくし、共に動くと決めた者らだ。彼とその軍は城壁を越え、南の川を渡り、広大な大湿地帯を望むオダキソフィアへの街道をひた走った。

 

 しばらくのうちに見つけた皇帝の一団は、えらくのそのそとしているように見えた。それから空を守るワイバーンの空中騎兵の姿も。

 

「陛下の馬車らしきものが見えました!」

「あれは。妾達と出かけるときに使う、寝台付きの馬車ではないか。父上……」

 

 素っ裸で檻に入れられているエルフ達の監獄馬車がいくつも連なっていたのを見て、ハッタールは毒づいた。籠城中もあの女達の柔肌を貪りたいのか、ひひ爺め。激怒して真意を放った。

 

「我らはかねての手筈どおりに、今より皇帝陛下を取り押さえる! 取り囲め!」

 

 ハッタールの軍勢が駆け始めた。皇帝の一団は助けに来てくれたのだと思い安堵したが、のそりとしか動けない彼等はたちまち囲まれた。後列まで守ってくれるのか?

 

「貴殿ら!」

 

 ハッタールが叫んだ。もうここまでだ。もはや君達はオダキソフィアに引き返すという選択肢しか無い。驚く皇帝の従者達から、ハッタールは檻馬車の鍵を奪い、エルフ達を解放させる。

 

「いったいどういう事ズラ?」

「ハッタール殿下は皆様を助ける時を伺っていたのでございます」

「そういう事ズラか……オダキソフィアの毎日、それなりに楽しかったズラよ?」

 

 女エルフ達は残念がりながら外に出た。男達に輪姦され、精力絶倫の皇帝に甘えられる日々は、まあまあ楽しめた。

 

 彼女達は呑気者で緊張感に欠けたところがある。喜ばず寂しそうにするのを見た武者達はエルフとはこういうものなのだなあ、と思った。

 

 エルフ達が解放された時と同じ頃、皇帝は行為の真っ最中だった。マリアをベッドに組み敷き、形の良いあごを舌で舐めながら腰を振り動かしていた。

 

「うわ~ん。腰遣いがたくましくっていいズラぁ!」

「このこの、このっ。ほれほれ、ここをこねられるとどうだ?」

「ああ~ん!」

 

 他の女エルフは、彼の尻を舐めたり薄いおっぱいを脇腹にすりつけて楽しませていた。そんな楽しい交合最中にいきなり馬車の扉が開いた。

 

「父上!」

 

 呼びかけたのはハッタールだ。助けに来てくれたのか、と皇帝が思っていたが様子が違う。彼は得物の薙刀を向けて入って来た。

 

「御戯れはもうここまで。さあ、一緒にオダキソフィアに戻りますぞ?」

「オダキソフィアに? 何を言うか?」

「陛下は倅である私に裏切られた……そう言えばわかりますかな?」

 

 動き続けた皇帝の尻が止まった。マリアの膣の中でどぴっ、と精液が放たれた。ゆっくりと抜いてぬるぬるとした男性器をさらけ出すと、わなわなと震え始めた。

 

「お、おのれ! よっ、よをたばかりおったか、ハッタール!」

「たばかるもなにも、陛下と帝国のことを思って決心したまででございます。さあ、その3人を解き放っていただけませぬか?」

 

 ちっ。エルフ達が舌打ちした。皇帝のぼうずとの楽しい毎日もここまでズラか。思考を切り替えた3人はとっさに皇帝を羽交い絞めにして、悲鳴をあげさせた。

 

「そういう事ズラ! いままで世話になったズラな!」

「おおおお……! 余の、余の愛情は伝わらんかったか?」

「そうじゃないズラ! おまん、隠居したらツックイーに来い! オラ達がさんざんに甘やかしてやるズラよ!」

「……おお、それはいい話だ。余は近々隠居するぞ? そなたらの里の世話になる」

 

 頬を緩めてその時を夢想する皇帝を見て、ハッタールは嘆かざるを得なかった。皇帝の護衛達は彼が連れて来た騎兵だけでなく、素っ裸の女エルフ達にも取り押さえられてしまった。

 

 美しい亜人の裸体に興奮した虜囚がちんこを立たせてしまい、その場で性交が始まる事も起きた。馬車から外の様子を見たハッタールは、仕方ないとつぶやいた。彼女達の償いは存分にするべきだろう。

 

「ツックバー皇帝陛下はこのハッタールにより取り押さえられた! 皆の者! 今すぐオダキソフィアに向かう! 何人たりとも逆らう者は斬るゆえ、覚悟しろ!」

 

 連れてきた騎士達の間から歓声があがった。それからハッタールはこう叫んだ。

 

「この時をもって我が真意を伝える! こたびの対ヒッターチ戦線同盟についてだ! この不毛で無益な戦いに加わるのを止め、黒馬騎士団を呼び戻す! オダキソフィアに入った後、重臣らを使者として、コーガとウツノミーアとマリーヤに……」

 

 その先をハッタールは言えなかった。前のめりになり、うめき始めた。彼の配下が見ると、ハッタールの左胸に大きく太い矢が突き刺さっていた。何者かに狙撃されたのだ。

 

「早く! 殿下が! 医師か治療魔法を使える魔道士を!」

 

 しかしハッタールはそのまま動かなくなった。矢はいくつも飛んできて彼の周りにいた者を、皇帝の従者も含めて射殺した。

 

 しばらくして矢が飛んでこなくなると、皇帝や避難した者らはハッタールの遺体にすがりつき、泣きわめいた。性交を楽しんでいたエルフ達も途中でやめ、何が起きたのか見に来る。

 

「遠矢を射かけられたズラか?」

 

 それまで馬車の中にいたマリアは、外にいる仲間に問いかけた。そうらしい。いいや、この矢は見たことがあると何名かが答える。

 

 矢には古代エルフ語によるまじないの言葉が刻まれていた。しかしツックイーやカイロネイアのものではなかった。金色エルフの、それもミナッカミニアの者たちのであった。

 

「こいつは……ヌマタラシュクの一派のシラサワショフの奴らの矢みてえズラな?」

「ああ、オクタヴィアさんがくそったれと罵っていた、エイオンちゅうエルフのところズラか」

 

 マリアに問われた相手はうなずいた。シラサワショフはヌマタラシュク=エルフの中でも特に獰猛な部族であった。北方でしばし起こっていた合戦で、斬り込み部隊として良く用いられる連中。

 

 腰遣いについては荒々しくてとにかくがっつく。精力の強い男がたくさんいるから、教えた女エルフは10年ほど滞在していたと答えた。

 

「まあでも、シラサワショフの連中はどいつもこいつもろくでなしばっかりズラ。たまったら相手の意志などおかまいなくに強姦はするわ、ニンゲンの里の娘っ子を拉致ってくるわ……」

「くそったれなのがよくわかる話ズラな。しっかし、ヌマタラシュクが……」

 

 いよいよ合点がいったとマリアは思った。ヌマタラシュクはとある王国とも関係が深いのを知っていたからだ。

 

「どうやら、ツックバーはうまいこと焚きつけられてたみてえズラな?」

 

 マリアが仲間達やツックバー皇帝に聞こえる様に言う。皇帝は息子の死に嗚咽するだけであったが、ツックバーの武者達はどういうこと事かと尋ねた。

 

「知らんズラか。コーガ王国っちゅうのは、この200年ほどある野郎の天下ズラ」

「ある男の? オユミレトス=コーガ王家のどなたでございますかな? しかも天下をとっていると言われれば、エヴァンゲロス=オユミレトス王以外に想像できませんが?」

「あの一族には亜人の血は殆ど流れていないはず。歴代の王もニンゲンの母だという決まりがあると聞き及んでおりますよ?」

 

 マリアはきっぱり答えた。そりゃあ傀儡(かいらい)と言われるような王様の代理人みてえなもんズラ。オユミレトス一門はその男によって、200年前に王位に就かされた、コーガ王家の分家である。

 

「その前のコーガ王家はキツレティス=コーガだったズラな。建国からずーっと、キツレティスんちが歴代の王様のお家だったズラ」

「はあ……」

「まったくもって初耳です」

 

 騎士達はさっぱりわからない、という顔をしていた。無理もなかった。栄光あるツックバーの歴代の国王の名前を全員暗唱する事と、ツックバーの『輝かしい歴史』だけを叩きこまれた彼等は、他国の歴史に疎かったのだ。

 

「おまんら、ほかんとこの歴史もちゃんと学んだズラか? まあええ。でな、そのコーガの本当の天下を取っているのは、キツレティスんとこのへファイスティオンっちゅう、ハーフリングのかあちゃんを持つ野郎なんズラよ」

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 へファイスティオン=キツレティス。コーガ王家本流・キツレティス家の数代前の当主の息子である。つまりは数代前の国王。おおよそ200年程前のだが。

 

 母親はヌマタラシュク派エルフの大族長ギタナスに連なる人物。しかし母親はエルフではなかった。

 

 ドワーフとエルフとの間に産まれるハーフリング。へファイスティオンの母親は『万年こども』と呼ばれる混血種だったのだ。

 

 へファイスティオンの父・アミュンタス王は、侍女としてつけられたその女に幼い頃からべったりだった。少年の時分となって性交の快感を覚えると、正妻としてめとったニンゲンの姫には眼もくれず、彼女とばかり交わった。

 

 譲位されて国王になっても、寝るのはハーフリングのその女とだけ。ちなみにだがハーフリングはもれなく、きつきつな名器揃いである。大陰唇はふわふわですべすべだ。

 

 上質なこどもまんこを毎日休みなく掘ったあげく、へファイスティオンは生を享けた。彼は母の特性を強く受け継ぎ、400年近くの命が約束される子であった。

 

 父王の薨去は、彼が15歳の時だった。当然王位に就く事となったが、半亜人ゆえに成長が遅く、即位した歳でもまだ5歳ぐらいにしか見えなかったので、貴族達からの支持がなかなか得られずに苦労したと言われている。

 

 とはいえ頭脳は年相応だった。さらに狡猾と相場が決まっているハーフリングの性格も受け継ぎ、抜け目もなかった。国王になった後に分家から仕掛けられた権力闘争をしのぎ、コーガ王歴代で『屈指の名君』と呼ばれる様な治世を築いた。

 

 しかし彼は娘しか子が出来なかった。容姿や魔法の才といった多少はボーナスがついているが、殆どニンゲンの体力と寿命である。

 

 男児が生まれなかったし、彼は兄弟姉妹がいない一人っ子だったので、分家で最も自己主張をしないオユミレトス一門に娘をやり、譲位した。しかしマリアが言うように、裏から操る人形となってもらう為にであった。

 

 そして。ハッタールの暗殺が行われていた直後、そのコーガ国の王宮にて、当の人物へファイスティオンは、現国王の玉座の裏にある部屋で、革椅子に座ってふんぞり返っていた。

 

 身長140センチ。やや細めの体格でしもぶくれのある子供みたいな顔に深いほうれい線があり、白い口ひげを生やした奇妙な容貌である。

 

 けれども、丸裸にした下半身でそそり立つものは15センチ程ある。それを乳房の大きな遊女にしゃぶらせ、気持ちよさそうにのけぞっていた。

 

「ああ、たまらんわい……」

 

 漏れるのは少年の声色だ。しゃぶらせているそれでこれまでに、80人ほどの息女をこさえたが、のどぼとけは無く、声は高かった。

 

 遊女が丸出しにした乳を揺らしながら、じゅっぷじゅっぷと音を立てている時に、「大御所様」と呼ぶ声がした。

 

「なんだね。入りたまえ」

 

 扉を開けて入ってきたのはかくもあろう、コーガの現国王、エヴァンゲロス=オユミレトス。齢35にさしかかるかというのに、顔にはいまだ気概の色はなく、おどおどしっ放しであった。

 

 鈍重な白豚、と形容される自信無さげなこの男が告げた。

 

「ツックバーで異変があったようです。大御所様に是非にも会いたいと、面会を求めるエルフが来ております」

「わかった。会いに行こう。おしゃぶりは切り上げよう」

 

 へファイスティオンはペニスを咥えている遊女をさがらせ、横のテーブルに置いてあったズボンを履いた。エヴァンゲロス王はおどおどしながらも、大きな乳房を実らせる遊女を凝視していた。

 

「で、では代わりに私がその女を」

「そうせい」

 

 エヴァンゲロスは衣の前をめくった。タイツで覆っていた下腹をさらすと、亀頭を包む皮を切り取ってむき出しにさせた、酷使されたペニスを引き出した。オユミレトス家は我が弱いが、子づくりにかけてはお盛んだった。

 

 国王が遊女を椅子に座らせ、脚を広げさせて割り入るのを見届けた後、へファイスティオンは玉座の間で待っていたエルフの一団に挨拶する。

 

「よう。今日会うのはこれが最初じゃな。知らせとはなんだね?」

 

 さて、このエルフ達は一体何者だったのか?

 

 その続きについてはまた、次回にて。

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