※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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幕間⑥:和議を結ばせる。

 物事は計画通りに進まない。エレクトラは前世での経験から重々承知していた。

 

 そもそも計画していたのはイズヴァルトに、ホーデンエーネン北部の王にすえる事だけだ。

 

(覇王にゃなれないでしょうけれど、領主連合の盟主になら……。)

 

 小さな領主でも旗頭になれれば、それでいいのだ。まずは領主達との結束である。それから統治の機構を。碩学と名高いマイヤがいれば可能だろう。賢者もおのずと集まる。

 

 しかしアヅチハーゲンの、酒場や飯屋で聞いた様々な話を聞いて思った。考えが甘かった。

 

(まさか。イーガでパラッツォ教徒の虐殺が行われていたとは……。)

 

 1か月以上前にイーガの港町のパラッツォ教徒の居住区で、その事件が起こったという。イーガの魔道士による迅速な焼殺処分。4000人以上。

 

 それだけではない。イーガのあちこちでパラッツォ教徒と住民とのもめ事が起こった。事件に憤り暴れはじめた教徒のせいだ。

 

 『荒武者気質』なホーデンエーネン人の信徒であり、入信すればどんな女ともセックスができる事で宗旨替えした、浅はかな男どもだった。

 

 コーヅケーニッヒでも殺し合いが起きている。寛容だった世論は段々と、パラッツォ教徒排斥に傾きつつあった。非常によろしくない事だ。エレクトラの考えでは、ホーデンエーネンとエチウのなかだちに、イーガがなるべきだと考えていたからだ。

 

(もっと知りたい。この辺に潜伏しているイーガのスパイと連絡を取らなくては。アドルフは死んだが『お義父さま』はまだ潜ませているだろう。)

 

 この辺だと顔なじみの女魔道士が何名かいるはず。占い師やまかない女に身をやつして。しかしアヅチハーゲンのどこを探しても、彼女達は見つからなかった。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 合流する事となったカシバフェルト公とその部下達と、エルフ達は『なかよしこよし』をやろうとしなかった。

 

 連中は粗暴だ。気に入らないことがあるとすぐに、従者や奴婢を殴ったり蹴ったりする。カントニアでは奴隷だろうが暴力を振るうのは、忌むべき事だと戒められていた。

 

「あんなイキリぼうずどもらじゃ、楽しいおまんこは出来ねえズラよ?」

 

 ホーデンエーネン軍に協力するクボーニコフ軍もまた、世界的に評判が悪い軍隊ということで有名だった。

 

 戦いでは命知らずで果敢だが、犯罪は平気で起こすし人間の情というものに乏しい。軍規もかなりゆるい。特に海軍は海賊そのものだった。

 

 その理由に兵士達の多くが、内陸部の貧しい農家のあぶれ者であったのと、海軍がクボーニコフ沿岸部を征していた、オーガの海賊団の末裔であったがゆえにである。

 

 貧民達はまっとうな教育を受けていない。寒村の余り者ゆえに虐げられながら育つて来た。ゆえに犯罪には容易に手を出すし、女に対しては脅して犯すしか選択肢を持たなかった。

 

 オーガの水軍衆の末裔、つまり、海軍の武将達は一部をのぞいてオーガの血を引いたニンゲンばかりである。クボーニコフ王家からは貴族として遇されていた。

 

 代々の漁村や商業港を持ち、豊かなのが多いが、祖先のしきたりを守り過ぎて品性の良くない者が多い。

 

「ムーツ西岸部のオーガの海賊といえば、オーガの連中が船に乗っていた頃は『極悪非道』と言って差し支え無かったらしいズラ」

 

 イナンナが言った。アヅチハーゲンの街中を我が物顔で闊歩するクボーニコフ兵をちらと見ながらだ。

 

「特に2000年ぐれえ前が『最悪の世代』と呼ばれていたズラよ。その時代にナエバニアのカジミェシュさんと激しく争っていた、チアン=カイシェックっちゅうアホがいてなあ。あの辺の海域の娘っ子をかっさらってひでえことを繰り返していたそうズラ」

 

 ムーツのいにしえのオーガの海賊王、チアン=カイシェックのエピソードは事欠かない。

 

 幼女エルフや少女エルフ、あるいはオーガの美少女を朝から晩まで犯し続けるのは序の口だ。

 

 海賊王はそういった娘達に四六時中、己のちんぽを頬張らせて過ごしていたという。顎が疲れたと申し出ると己のツノで相手のケツアナをほじってお仕置き。極悪非道そのものだ。

 

 更には妾達全員を、雪が降りしきる中で素っ裸で一列に並べ、誰が一番多くうんこをひねられるか競わせたという。

 

 チアン=カイシェックに略奪され、子を産んだ女エルフは数知れず。一節には2万人ほどの子を為したらしい。

 

 その子供の一部が、クボーニコフやその他西側の王国や公国の血に混ざったという。これらの王国にはエルフやオーガの童女を尊ぶ傾向があるそうだ。

 

「オノウラビア地方に『ひじき酒』ってのがあるの、イズヴァルトさんは知っているズラか?」

「よくわからぬでござるよ」

「毛が生えたばかりのちっこい娘に正座させて、お股のところに米酒を注いでそいつを飲むっていう風習ズラよ。あの辺のオーガの里にぶちこまれたことがあるパオレッタさんは、毎日『ひじき酒』をやらされたと言ってたズラ」

 

 その頃のパオレッタだが、陰毛が生えていなかった。『ひじき酒』とは言えなかったのは確かだった。南のエルフは珍しいので、オーガの男達はこぞって彼女を可愛がったらしい。頭のツノで。

 

「ううう……悪いオーガどのらに捕まると、お尻の穴をツノでほじくられるのでござるか?」

「それどころか、オーガのツノはちんぽや股のおまめみてえな、とんでもねえ性感帯ズラよ」

 

 男でも女でも、硬くなっているちんぽみたいにふわふわとしているツノをしごかれたりしゃぶられたりすると、「ああっ……♥」と悶えて果ててしまう。快楽神経がクリトリス並みの密度で集まっているからだ。奥ゆかしい連中は覆いをかぶせていた。さもないとイキ狂って日常生活に支障をきたす。

 

「拙者のちんちんみたいでござるな。そもそも、どうしてツノがあるのでござる?」

「オーガどもが魔法が使いこなせたとんでもねえ大昔の話らしいけど、オーガはツノに魔力を貯めていたらしいズラ」

「なるほど。精霊達を感じる為により一層、敏感になったのでござるな」

「そういう事ズラ」

 

 ムーツのオーガ達の話はともかく。クボーニコフ軍のアヅチハーゲンでの暴虐には目に余る物があった。世界屈指のヤクザ海軍ゆえに致し方が無い。

 

 あまりにも過ぎた行いが続いていたから、とうとうホーデンエーネンの武者らがキレ出した。随所で殺し合いが行われる。クボーニコフの兵の生首ばかりが転がった。

 

「……むごいもんズラ」

「ぼやぼやしていてはならぬでござる! カシバフェルト公どののおしりをぺんぺんして追い立てて、パラッツォ教団との和議を結ぶでござるよ!」

 

 まずはアヅチハーゲンを平和にしよう。カシバフェルト公の使者はこの時ようやく、パラッツォ教団の要塞に向かったところだ。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 翌日。会議の席にイズヴァルトが呼ばれた。和議となった。のちのち国王にお伺いの使者を立てるが、パラッツォ教の要求通りに弾圧を行わないし攻撃しないとカシバフェルト公は約束した。

 

 ただ、あくまでもアヅチハーゲンとその一帯での和平だ。パラッツォ教団は受け入れた。そもそもがアヅチハーゲンの制圧が目的ではない。虐げられている同胞を守るいくさ、というのが彼等の大義名分であった。

 

 パラッツォ教側の指導者らはイズヴァルトのことを存じていた。ホーデンエーネンの最強の騎士と呼ばれている若者。キンキ大陸で彼に敵う者無しと噂されているとも。

 

「お話はうかがっておりましたわ。ホーデンエーネンとパラッツォとの戦いを止めようとなされていると。流石は騎士の中の騎士、イズヴァルト=シギサンシュタウフェンさまでございますね」

 

 アヅチハーゲン方面攻略軍の指導者の1人で、『教典の巫女』のリブ=リデラントだ。エチゴニア公国の武将の孫娘が母親だった。父親は教主・コーザである。

 

 リブは男どもが目をくぎ付けにするぐらいに美しい。目こそやや細いが、眉は太く長く、顎の形が整っている。唇は薄菫色で厚ぼったく、頬には皺が無かった。乳房に至っては90以上はあり、息をするたびに弾んでいた。

 

 その日の彼女はスカートの両端に腰から端まで深い切れ込みを入れ、白い肌を顕わにさせる服を着ていた。教典の巫女はこの様な、煽情的な服を必ずまとう。

 

「父・コーザもきっとお喜びになられる事でしょう。ありがたいことですわ」

 

 リブは椅子から上がり、イズヴァルトの方に歩いて行った。脚を交差させて歩くから、魅惑に満ちた肌色の腿と、ブーツの上の膝頭が皆の目に映った。

 

 彼女の腰も乳房に負けず大きい。後ろから見れば張りの良い尻の輪郭を伺えるだろう。教典の巫女として信者の精を数えきれないほど吸い、何人もの子を産んだ熟したものである。

 

 彼女を見て男達は皆、生殖への欲望をかきたたせていた。パラッツォ教徒は皆殺しだと息まいていたカシバフェルト公も、枯れ果てるまでリブを抱きたいとまで思った。

 

 リブがイズヴァルトの手を取った。小手であるがその甲にそっと口づけする。妙な芳香を漂わせているとイズヴァルトは思った。しかし他の男達とは違い、彼は反応しなかった。

 

「間近で見ると、まあ、なんてお美しい殿方なのでございましょう……」

 

 目を潤ませながらイズヴァルトを見上げるリブ。しかしイズヴァルトは彼女に魅力を覚えなかった。魅力に満ちているのは確かだし、自分に性交を求めているのはなんとなくわかる。

 

(で、ござるがどうも。色仕掛けを受けている様にしか思えぬ。)

(イズヴァルトさん。この嬢ちゃん、サキュバスっぽいにおいがするズラ。)

(イナンナどの、サキュバスでござるか?)

 

 ほうズラ。『なかよしこよし』をやりたそうな目を向けるイナンナは念話魔法で語った。

 

(おまんこのあたりから、あの淫魔どものお菓子みてえなあっまいにおいがむわーんと漂っているズラよ。誘惑魔法は使ってねえけど、ぼうずどもがなめなめしたくなる魔力が漏れているズラ。)

(なるほどでござる。リデラントどのには注意いたす。)

(イズヴァルトさん。それとこのお嬢ちゃん、排卵期に入っているみたいズラ。相手してパラッツォとのかけはしをこさえてやるズラよ?)

 

 イナンナが促す。それは止めておくとイズヴァルトは答えた。聖騎士は頑丈な手で彼女の柔らかな右手を優しく取ると、硬く握手をした。

 

「リブ=リデラントどのの賢明なるご判断、深く感謝いたすでござる。神様をまつるやり方が違うだけでいがみあうのは良くないことでござるよ」

「その通りでございます、イズヴァルト様。あのう、できれば……」

 

 リブが恋する女の顔でイズヴァルトにささやく。この和議に導いていただいたお礼を。イズヴァルトは固辞した。

 

「あくまで拙者はなかだち役。主役ではござらぬ。ここは、カシバフェルト公と夜明けまで語られよ、リデラントどの」

 

 イズヴァルトは物欲しそうに見ているカシバフェルト公に目を向けた。今にでもリブに襲い掛かって乳房にむしゃぶりつきたいという目をしていた。

 

「……そのほうがよろしいかもしれませんわね」

 

 リブが和やかに笑う。彼女が篭絡の魔法を仕掛けようとしてもイズヴァルト達には手段があった。大公の寝室にエルフ達が張った結界を張り、使えなくさせるのだ。

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