聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
約束は約束だ。エレクトラは傷の手当を受けた後、オクタヴィアとミレイユに連れて行かれた。カイロネイアに。人里離れたところに隔離することこそ、エレクトラを企ませないのだと国王は思っていたからだ。
そしてサキュバスのカミラ。彼女はホーデンエーネンにいるトーリの密使の役割を担っていた。ホーデンエーネンとは関係が修復されつつあるが、あの戦いでまだ冷え込んだまま。その為の『保険』として、国王はトーリ=カツランダルクと連絡をとることにしていた。
「陛下。イズヴァルト様を歓迎する段取りは?」
「もうすぐで終わる。マイヤには絶対に知らせるな」
「承知いたしております」
「かの者の心で決める。ここ5年、いや10年。このイーガで暮らしてくれるのであればすぐにでも婚儀を執り行う。我が国は一定の地位にある女性に重婚を認めているからな」
談義は行政庁の浴室で。国王の背をカミラは石鹸をつけた大きな乳房で撫でていた。老人の域とはいえ国王はしっかりと勃起していた。淫魔を孕ませるような子胤は放てなかったが。
「おう……気持ちいいものじゃな」
「うふふ。陛下にお褒めいただき光栄ですわ」
「前も頼もうか」
イーガ王はくるりと向いてカミラに屹立を見せた。割礼を施した太い代物だ。御立ちください、と彼女は呼びかけて己の秘所とその中に石鹸を塗り込める。
「どういう趣向か存じておるぞ?」
「はい。御心を安らかに、思いのままになされますよう……」
カミラがしがみつき、国王の胸に乳房を押し当てた。右脚をあげて尻をつかまれる。ペニスがすべりこむと喘ぎ始めた。
「あっ。あああっ。へ、陛下。たくさん、お情けをくださいませ」
カミラとの性愛はこれが初めてではない。連絡を取るようになってからずっとだ。国王はこの淫魔とこれまで、20回近く性交していた。
当然、彼女の身体は知り尽くしている。膣の中のどこが一番感じやすいかも。国王は亀頭をカミラの洞の真ん中あたりで行き来させた。そこがこの淫魔の泣き所だった。
「ふ……あっ。へ、へいか……」
「この年ではサキュバスを満足させるような量は出せん。しかしそれでもよければ拝領しよう」
「かたじけなきおことば……」
国王は腰を動かし、肢体をうねるらせてし返すカミラに今後を尋ねた。ホーデンエーネンの事についてだ。
つい先日、トーリ=カツランダルクがルッソ=シュミットが離婚した。形ばかりの離婚である。この1か月以内にトーリは再婚する。ホーデンエーネン国王のセイン=ホーデンエーネンとだ。
「トーリ殿とセイン王とは、どうだ?」
「け、結婚はまだなれど、こ、このように……わたくしと陛下のように毎日睦みあっておりまする!」
「なら、双方とも心そこにあらず、ということか」
この婚姻はセインの廷臣の一派閥、カツランダルク派と呼ばれる連中と大貴族による強硬な押し付けによるものだった。
セイン王は軍事は長けていたが政治には疎いところがあり、必要以上の銭を使ってしまって借金をすることになった。貸付したのがカツランダルク派であった。
ケノービ=ソーローとその父親のクワイガジン=スカルファッカーは多額の資産を持っていたのだ。セインは頭があがらなくなってしまった。悩んで困り果て、彼等の言いなりになってしまった。
政治の拙さのほかにもう1つ。セインはイーガとの戦いを終えたあたりから沢山の妾を囲う様になった。子造りのためだ。この1年ですでに6人もの女を妊婦にさせていた。
そのうえにカツランダルク党の頭領たる、トーリ=カツランダルクが加わるのだ。後宮関係でも出費。さらにその上にパラッツォ教団との戦争。
とにもかくにも金が要る。カツランダルク派は無利子で貸し付けた。代わりに、カツランダルク党の貴族らは、トーリとの婚姻を提案した。
それには廷臣らや大将軍達も同意した。トーリはおっぱいこそこぢんまりだが、天下一と称して申し分ない美女だ。
トーリ=カツランダルクにも話が舞い込んだ。響きにいやらしさがあってたまらないバツイチ美女とやらになってみないかい。トーリは黙って受け入れることにした。
「これでカツランダルク党とご本家が交わったわけであるが、トーリ殿はいかように考えているご様子か?」
天井を見上げ、目を潤わせながらカミラは返答した。ここだけの話だ。王位簒奪にまで持っていこうと考えている。
「ほう。カツランダルク党の庶流とそこまで話がついているのか。あるいは……」
「あふ……。『ナントブルグの女王』の力を使ってですわ。ほっ……そろそろ、限界のようでございますね?」
愉しみにしていただろうに。国王はカミラの中で射精した。豊満な彼女の身体から更に甘いにおいが漂う。放精を終えたがカミラはねだった。まだ硬いままだ。
「もう少し詳しく聞きたい。どの機会で『謀反』を起こすつもりだ?」
「お子様が生まれたのちに。セイン王を葬った後にトーリ様はご子息様に王冠を戴かせるおつもりです」
傀儡をしたてた後に自分が後ろで牛耳る。神輿はトーリとセインとの間に生まれた子だ。カツランダルク家の宿願のため。それから、マイヤを守れなかったホーデンエーネン王家への復讐を成し遂げたい。
「壮大に過ぎるな。しかしサキュバスの力があればなんとかなるかもしれん。カミラ」
「は、はい……」
今後ともよしなに頼むぞ。国王が呼びかけるとカミラは嬉しそうに腰をくねらせた。吸着力があり枯れることなく濡れているヴァギナがペニスを舐め込んだ。
国王はうめきながら射精した。カミラは目を細めてそれをうれしがる。いずれはカツランダルク家が天下をとるのだ。長く仕えて来た甲斐があったというものだ。
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イズヴァルトは先々で『マイア=テクニカ』の評判を聞き続けた。それからコーヅケーニッヒに入った日に、まずはマイヤの工房を訪れたいとイーガの者らにねだった。
「今日はこの後、イズヴァルトさんへの歓迎会が行われるのですよ。国王陛下や大臣の皆さま、それから魔道騎士団の重職の方々がお目見えになられております。明日にしてください」
「いいや。拙者はマイヤの偉業を目にしたい。歓迎会ははっきりいってどうでもいい。好いたおなごの努力の結実、そちらをこの目で見る事のほうが大事でござる」
イズヴァルトは譲らなかった。案内役らはしぶしぶうなずいた。イズヴァルトだけを条件にして、彼を『マイア=テクニカ』の工房に連れて行った。
訪れた工房は、大貴族の館のように立派で広かった。そこに数十名の魔道技師が『たぶれっとぱっど』や他の魔道具を製作している。
銃器については別の場所にある工房で作っているという。量産体制が始まっており、別の街の工房でも部品や組み立てが行われている。
ただしイーガでは狩猟などの趣味目的でしか使われない。輸出先はホーデンエーネンだ。
「『たぶれっとぱっど』よりも『鉄砲』で工房は大儲け……ああいや。口が滑りましたかね?」
「それ、マイヤは存じているのでござろうか?」
本当は聞かないほうがいいかもしれない。もし知らなかったなら自分が彼女の罪をかぶればいい。いや、知らないでほしいとイズヴァルトは思っていた。
しかし工房長はうっかりものだ。ついつい口がすべってしまった。
「あはは。どうもご存じのようですね」
急に胸が締め付けられるような感覚。嘘だと言って欲しいとイズヴァルトは言いたかった。
「マイヤ様はあえてやるのだ、とおっしゃってました」
「……何をでござる?」
「なりふり構わぬお金儲けですよ。理由は故国のホーデンエーネンに大学を建てる資金が欲しいそうです」
宝石やドレスに目もくれず、得た金をすべて投資にまわして殖やしている。できるだけ自力で大学を作りたいのだ。
「大学の夢の為にも儲けたい。拝金主義というものですかな。全く、マイヤ様はほれぼれするほどに一途でございますよ」
なるほど。イズヴァルトは寂しさを感じた。もはや迷いも思慮もかなぐり捨てたのか。側にいたら激しく言い争うだろう。憎みあう事になるのだろうか。
それから彼女は工房長に、『おしゃぶり』を施しながら語ったという。その大学はホーデンエーネン南部にあるヨーシデンに建てたいそうだ。
「ヨーシデンはキンキ大陸南部の丁度中央部に位置するそうです。そこに学問の都を作り、『えくすぷれす』を通して、イーガからも留学者を呼び寄せたいとおっしゃっておりましたよ」
「ほ、ほう。なるほど、ヨーシデンにでござるか!」
ヨーシデン。あそこは温暖かつ肥沃で平野ばかりだ。そこに大学を中心にした大都市を築く。ついでに南には貿易港を設けたい。
イズヴァルトはやっと理解できた。マイヤはただの奥方にはなれぬ御仁でござる。いずれ拙者の手元から飛び立つ女の子だったに違いない。
イーガの皇子の妾となったとはいえ、マイヤはそれに留まらないだろう。領主の妻だの国王の妻だの、そんな立場では満足しないに違いない。
とにかく才能がある。そして資金も手に入れた。彼女はこれからたくさんの歴史書で書かれる大人物となるだろう。彼女の真の物語の始まりだ。
(対して拙者は……いいや、言うまいでござる。けれども。)
工房の見学を終えて外に出ると、敷地の門の近くで1人の若者を目にした。見覚えがある。若者ではなく娘であった。小姓が着ていそうな服をまとい、サーベルを腰に差しているが。
その娘は守衛に書類を渡すと、外に待たせていた馬車に乗り込もうとした。イズヴァルトが大声をあげて振り返させる。
「貴殿、しばし待たれよ!」
振り返った。怜悧な顔立ちの金髪の美少年に見えるが、どうにも甘やかな表情が垣間見えた。イズヴァルトを見るとその色がますます濃くなった。
マルティンの側近でありマイヤの『お世話係』のオットー=オーズローだった。彼女はイズヴァルトを凝視するなり、ごくりとつばを飲み込んだ。
(い、イズヴァルトだ。イーガに来ていたのか……)
つい、頬を赤らめてうつむいてしまう。イズヴァルトは白髪になってしまったが、誰もがほれぼれするような美青年。
顎もちゃんと手入れをして無精ひげが無かった。白面の貴公子である。それを見てオットーは、心臓が壊れそうなぐらいに高鳴った。
(あの男にとっては今しばらくの辛抱だろうが……ううん。なんだかどきどきしてしまう。マイヤのもう1人の夫になった暁には、私も抱いてくれないかしら?)
股がうるんだ。ペニスみたいな大きさのクリトリスが勃起した。いかん。ここはあくまで冷静にならなくては。オットーは深呼吸して近づいて来るイズヴァルトに罵声を浴びせた。
「ホーデンエーネンのイズヴァルト! マイヤ様を奪い返そうとしても無駄なことだ! 大人しくイーガの貴族として……」
「しばし待たれよ! 貴殿にお願いがあって呼びとめたでござるよ!」
マイヤが毎日どうして過ごしているかのを少しだけのぞきたい。彼女には告げずこっそりとだ。
「……わからんぞ、その理由が!」
「わからなくてよいでござるよ。なにとぞ秘密裡に。よろしくお願いするでござる」
「ふ、ふん。ホーデンエーネンのイズヴァルト。少しだけだ。少しだけだからな」
イーガ王からは厳命されている。マイヤにはイズヴァルトがやって来たことを絶対に知られないように。今晩の宴のサプライズを期待してだった。国王も人を驚かせるのが大好きな性分だ。
ただもし約束を破ったら、オットーはきつい罰を受けなければならない。イーガの魔道士団お抱えのドスケベオーガ貴婦人による、ツノでの責め苦がそれである。
イズヴァルトと付き添いはオットーの馬車に乗り込んだ。最近のマイヤについて聞いてみた。
「頑張っている、とは傍目から見て思う」
オットーが言ったのはそこまでだった。それ以上は教えない。昼寝を2時間ほどするが、夜は3時間程度しか寝ていない。読書や工房の新製品の計画ばかりに費やしている。
医療や周りのバックアップがあるから良いものの、死に急いでいるとしか思えなかった。でもそれをイズヴァルトに言うのはよくない。心配させてしまう。
「マルティン様へのお情けを毎晩所望するし、しょっちゅう他の男と『お楽しみ』をやったりもする。おしゃぶりとやらは中毒らしい。サキュバスの子孫というのは本当のようだな」
「ははは。マイヤらしいでござる」
「ろくでもない女だ。正妻待遇は絶対に無理だろう。あんな淫乱を御するのは相当に精神力がいる。見ているだけで不愉快だ」
イズヴァルトは悲しそうな目でオットーを見つめた。よせ、その目は。イズヴァルトの瞳には人を疑うという者が持つ、くすんだものは伺えなかった。
だからオットーは動揺してしまう。そんな顔をされただけでクリトリスが勃起し、子宮がうずいてしまう。
途方もない精力の持ち主であることを淫魔の血が探っていたから、そんなふうに見られただけで情がわいてしまうのだ。発情とも言うべきか。
「それと、日に4回はうんちをするぞ、あの娘」
「そこがマイヤのかわいいところでござる。あかちゃんみたいでござろう?」
「やめてくれ。きもちわるい。大体、人前でぶりぶりとうんちをたれるのはどうにかならんのか……ま、まあこれは相手に頼まれてのことだが」
「それはどうにもならんでござるよ……」
その世話はオットー本人か、マルティンの妹たちだった。特に、マイヤを姉の様に慕うマレーネがつとめていた。
(そもそもマイヤによれば、ケツ拭きの世話はイズヴァルトがやっていたらしいな。)
おケツ世話係にはさっさとイーガへの移住を決めてもらおう。マイヤの仕事ぶりを見れば世話したいと思うはず。
「それとイズヴァルト。すでにほかの者から聞いているだろうが『マイヤ様』は君とよりを取り戻したい御所存だ。去年のあの場での発言はすべて、一時の気の迷いで為した事……いいや、心を操られて言ったものだ。気にするな」