※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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幕間⑭:歓迎の式典

 その時マイヤがいたのは屋敷ではなく、コーヅケーニッヒにある魔道学問所であった。そこで講師陣から新しい魔道具についての情報を聞きながら、イメージした新製品についての意見を尋ねていた。

 

「ふむふむ。つらねた木の板をまわす『べるとこんべあー』というものですか」

「そういえばイーガには無かったと思いまして。私の前世の世界ではどこの工場でもあったのですよ」

「ほう。マイヤ様の前世の世界で……フォード、とよた、ほうほうほう。『じどうしゃ』というものを作っている工房でそれらがあったのですな」

 

 講師陣はベルトをまわす機械を、必要最小限のものにしたらどうかと提案した。魔道具の数を減らせば、魔蓄の数も減るからだ。メンテナンスできる魔道士に事欠く国にも輸出できるに違いない。主にホーデンエーネンであるが。

 

 マイヤはうなずいた。そのアイデアがいい。学問所の1階の空き教室で、そのようなやり取りがおこなわれていた。それを木陰からイズヴァルトがそっと見る。

 

「会わなくていいのか? まあ、歓迎会で顔をあわせる事になるだろうが」

「いいのでござるよ。拙者が入ってしまったら邪魔するだけでござる」

「奥ゆかしいのだな、ホーデンエーネンの青年騎士は」

 

 じっと見ていると教室の中に誰かが入って来た。13歳になるマルティン王子と侍女達。そのうちの1人が男の赤ん坊を抱きかかえていた。

 

 マイヤは義手でその乳児を愛おしそうに抱いた。仕事は一旦休憩。彼女は義手義足を使い慣れていた。窓側に向かうと大きく胸の空いたドレスから、たっぷりとした右の乳房を出し、赤ん坊に含ませた。

 

「測ったら94センチあったな。全くもってうらやましい……」

「その情報はいらぬでござるよ、オットーどの。しかし、マイヤもあかちゃんも幸せそうに微笑んでいるでござる」

 

 マイヤの顔のやつれは薄らいでいた。顔立ちは4年前より少し大人びた程度か。去年会った時より明るさを取り戻し、生き生きとしていた。何かに操られているという気配もない。

 

 赤ん坊に乳をやっている間、マルティンが近づいてきた。嫉妬心よりも崇拝したくなってしまう気風が漂う少年だ。マイヤにさぞかしおちんちんをいじめられているのだろう。前よりちょっとやつれていた。

 

「凛々しくなったござるな、マルティン様は」

「14歳で父親だ。顔も変わるだろうさ」

「近々もう1人、お子ができるでござろうな」

 

 イズヴァルトの問いかけにオットーは気まずくなった。もうマイヤは子供を産めない。卵巣を失ったからだ。

 

(イズヴァルトは知らないのか? いや、知らないほうがいい。もしかしたら見捨てるかもしれないからな。そのほうがマイヤにとって一番残酷だ。)

 

 これから行われる歓迎会では、イズヴァルトをマイヤのもう一人の夫とするという話があがる。国王からだ。知っているのはマルティンや貴族たちのごく一部。マイヤには知らせていない。びっくりさせたいからだ。

 

 イーガが認めればホーデンエーネンも認めざるを得まい。いや、それこそがホーデンエーネン王家の望みだろう。王国一の武者を姻族に迎えられるのだから。願ったりかなったりだ。

 

「これでよいでござる」

「いいのか? 彼女に会わなくても」

「今夜また会うでござるよ、きっと」

 

 イズヴァルトは感づいていた。イーガが自分をどのようにしたいのかをだ。マイヤとは歓迎会で会うだろう。その時にどうなるのかも。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 王宮で行われた歓迎会で、エレクトラの姿は見えなかった。国王やイナンナに尋ねても顔を見ていないと返事された。

 

 国王はエレクトラの処遇に関して隠していた。マルティンを動揺させたくないのもあるが、何よりも彼女が廷臣たちを丸め込む心配があったからだ。今頃はトーバコフからカントニアに『護送』されているだろう。

 

 エレクトラのことは別にいい。仲間として頼れる戦闘力の持ち主だが、どうにも毒蛇みたいな危なっかしさもある。だいいち、策を弄する類の人物をイズヴァルトは好きになれなかった。

 

 歓迎会は贅を尽くしたものだった。イーガ流の美々しい正装に着替えた彼は、会に参加した婦人たちから熱狂的な目で見られた。

 

 女達の熱い視線は、マルカスやついて来てくれたカントニアの武者達にも向けられた。イーガの女は大抵、荒武者の様な体格の男に滅法弱い。マッチョが好みなのだ。

 

 ゆえに優男で襟元を崩す伊達男のミツクニュモスは、誰にも見向きされなかった。今宵は貴族の婦人たちから浮気のお誘いは無さそうだ。この宴会ではイーガの国内情勢を勉強しようと廷臣たちと会話することに費やそうと腹をくくっていた。

 

 イズヴァルト達も注目を浴びたが、イナンナら女エルフらはもっと目立っていた。そもそもが端麗なこの種族はニンゲンがまとうドレスを一層美々しく着こなすのだ。

 

 特にイナンナが輝いていた。縁にレースがついた純白の絹のドレスをまとい、この場に君臨していた。男達だけでなく女も目が釘付けになった。

 

 背は高いが二十歳を越えた女にも、うら若き少女に彼女は見えた。年齢不詳な美貌は、妖精そのものであった。

 

「あれがツックイーの女医者、イナンナさまですか」

 

 宴会に参加していた医療魔道伯・シュタイナーに尋ねたのは、王国の工房省の長官だった。コーヅケーニッヒの工房魔道士の管理を行っている。

 

「お美しいですなあ……ほかのエルフ達も申し分ない美貌ではあるけれど、イナンナさまはまた格別。イズヴァルト殿はさぞかし、あの女人に骨抜きにされたのでしょうかね?」

「しっ。あまりじろじろ見るものではないよ。イナンナ先生に目をつけられたら君が腎虚にされてしまうよ?」

 

 シュタイナーは若い頃、イナンナのもとで医術と治療魔法を教わったことがあった。師匠のそのまた師匠にあたる。当然の事ながら彼女と毎晩寝た。そのせいで陰茎が4センチも伸びてしまった。

 

 この会場に入る前にイナンナに軽く挨拶をしておいた。今晩久しぶりにと誘われたが断った。つれねえズラと泣かれたが仕方が無い。アドルフがつけた幼い妻2人との子造りが続いて、腰が痛かったからだ。

 

「へへへへ。エルフはいいもんですな。欲を言えば彼女達が着ているお召ものの露出が欲しい。裾はふとももまで切れ込みがあって、背中が丸見えで前に至ってはへそまで……特にあの小麦肌の美人を見ると、残念でなりませんな」

 

 工房省の長官がクリスタを指さした。襟のあるドレスでも爆ぜる程に大きな乳のボリュームがわかってしまう。動くたびにとにかく揺れるのだ。

 

 彼女はテーブルいっぱいに置かれた料理を皿に取っていた。今回の宴は立食方式だ。彼女はもといエルフ達は皆、山盛りに取ってパクパクと食べ、「うめえ!」と喜んでいた。

 

「クリスタさんについては……私も同感だね。でゅふふ」

 

 シュタイナーが気持ちの悪い笑みをこぼす。クリスタは彼の好みに適っていた。厚めの唇と大きな目。朗らかな表情を絶やさず陽気に笑う。横幅がやや広いがぽっちゃり体型なのがいい。

 

 大きな乳房と見事な尻。よく食べてよく性交をする為の身体つき。とにかくドエロい。ただしそのエロさは生命力溢れるという意味でのエロスだ。

 

 アドルフの娘でもある2人の幼な妻は、生殖こそ盛んであったけれどどこか蒲柳の質があった。それがどうにもいただけなかった。

 

 先の話となるが、シュタイナーの妻のベランナとカリナは、2人とも30を少し過ぎた頃に死ぬ。彼との間にあわせて10人の子を為した後にである。

 

「あちらがお盛んなのはいいが、どこか病的なのはよろしくないよ。クリスタさんの様なむちむちとして元気なのが私は好きだ。そういう女性が1人、イーガにはいるのだけどね」

「ほう。どなたでございますかな?」

「皇太子殿下の奥様だよ。とてもかわいいし助平だし、なによりおっぱいが大きくて……いっぱいうんちをする。お通じが良いのは元気な証拠さ」

「……マイヤさまのせいで変な趣味を覚えてしまいましたよ。ひねるところまではいかないが、おしっこをするところを良く見せてもらっているのですよ。妻にね」

 

 おまるにまたがせて尻を眺める。もう40を越えて太っているが、その尻がたまらなくいやらしいのだと長官は笑った。

 

 尻はいいものだ。シュタイナーもむっちりとした尻が好きだった。3人の子を出産したマイヤの尻と太ももは、おっぱいに負けず劣らず大きくなっていた。ぷりっぷりの美尻である。

 

 今夜の歓迎会の陰のもう1人の主役となるマイヤは、いまだ顔を見せていなかった。ただのパーティだとしか彼女に伝えていなかったが、国王と側近らは待ちくたびれていた。

 

 開始してからかれこれ1時間経過している。マルティンの姿も見えない。オットーに呼びに行かせたがなかなか来てくれなかった。

 

 何故ならこの時、マイヤはマルティンと熱い交合の真っ最中だったからだ。屋敷の夫婦の寝室で汗だくになって睦みあっていた。

 

 オットーは扉の向こうから聞こえるマイヤの喘ぎ声を聴き、腕を組んで顔をしかめていた。大事な予定を忘れてこうもセックスに夢中になれるとは。イズヴァルトが待っているという事もあってオットーはこめかみに青筋を立てていた。しかし隠せと言われたことを白状できない。

 

「遅いな、マルティンは」

「しばらくすればやって来るでござるよ。拙者はのんびりと待たせていただくでござる」

「すまぬな、イズヴァルト。一応だがマルティンは貴殿が来ていることを存じておらぬ。失敗したな。マルティンにだけは伝えておけばよかった」

「陛下。拙者は大丈夫でござるよ。気長にお待ちいただきたい」

 

 この歓迎会では何が発表されるのかについては、事前に話を聞いていた。イズヴァルトにイーガ国籍を与える。既に勝手になっているが、イーガの魔道騎士団所属とする。

 

 もう1つが一番重要だ。マルティン王子の妾・マイヤのもう1人の夫となる。イーガの法律では貴族の女は重婚が認められる。特に女当主となった場合にだ。マイヤはすでに領主だ。

 

 ただ、条件があった。イズヴァルトがずっとイーガに定住してくれるのであれば、すぐにでも婚姻式をあげることができる。そうでなければ3年ほど先延ばしになる。イズヴァルトが故国・ホーデンエーネンの戦争に加わる可能性があったからだ。

 

 戦場にはもう、マイヤを連れ回すのは無理だ。しかしマイヤは必ずイズヴァルトにせがむだろう。イーガ王国から出ていくことにもなる。マイア=テクニカは立ち上がってからまだ1年。イーガはまだ、彼女の力が欲しかった。

 

 2時間経った。マイヤはまだ来なかった。この時彼女は、3度も膣内で果てたマルティン王子のペニスに、もっとがんばれのパイズリ応援を為していた。

 

 もう我慢が出来ない。国王はオットー以外にも使いを出せと側近に命じた。あまりせかす必要はないでござるよ、とイズヴァルトは苦笑した。

 

「しかしだな……」

「拙者のことについては気になさらぬように。待つのは慣れているでござる。先に拙者の処遇について好評いただきたい」

「あいわかった。そう致そう」

 

 会場の者達に、清聴せよとの呼びかけがなされた。かくして国王が皆の前で語った。

 

「……ただ、これらの処遇についてだが、イズヴァルト=シギサンシュタウフェンが、今すぐこのイーガに長くとどまってくれればという事である。イズヴァルト、いかがするかな?」

 

 イズヴァルトはうなずいた。国王の前にひざまずき、恭しく手を取って口づけした。そして答えた。

 

「どうやらそれがかなう事はいましばらくはござらぬ。拙者は明日にでも、ホーデンエーネンに向かうつもりでござった」

 

 会場のイーガの貴族たちから、落胆の声があがった。

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