※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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30 教主

 パラッツォ教団の教主・コーザ=ストーンマウントがその知らせを受けたのは、エチゴニア島にある教団の本山、ハルヒアトゥントゥリで教徒の子供たち相手のお話会を終え、自分の部屋に戻った直後だった。

 

 そのような話があったのですね。5万もの教徒が自発的にホーデンエーネンに逃げたとは。それも1ヶ月ほど前の話だ。情報が集まる総本山にはこの2ヶ月、教主は空けていた。だからその話が入ってこなかったのか。

 

 それは違うだろう。そう思いながら知らせてくれた経典の巫女に呼びかける。なぜ、その知らせがこれまで入ってこなかったのですか?

 

「よくはわかりません。ただ、司祭騎士団の幹部でとどめていたかと」

 

 やはりそうでしたか。ホーデンエーネンのことについて、教主は司祭騎士団の要職らに任せていた。彼自身はもう戦争をやめるべきだと考えていたが、信徒たちはそうもいかない。平和と愛を説く教義を学んでも、殴られたら殴り返したくなるものだ。

 

 教団が領した土地の統治と戦争のことに関しては、全てを高位の司祭騎士たちに任せていた。誰もがエチウ諸島やイナーヴァニアの貴族や王族の血筋の者。私財を貯め込み過ぎないようにと釘を差しての委任だった。彼らは清貧を心がけてくれていた。何もかもが割合とうまくいっている。

 

「私に話が行かなかったのは、教主を俗界の悩み事に煩わせたくないという皆の心遣いでしょうか」

 

 5万もというのはおかしい。彼らでは到底解決できない問題である。さようでございましょう、とうなずきながら経典の巫女は、毛布を幾重にもかけた椅子に座るコーザに流し目を送った。

 

「教主様、『法悦』をくださいまし……」

 

 コーザはうなずいた。女は毛織のまとい布を脱ぎ、はちきれんばかりの肢体をさらした。コーザは椅子から立ち上がると、法衣の前をはだけ、雄大かつ神々しい『聖根』をさらけ出した。

 

 40センチを超え、馬車の車輪の軸みたく太い。すでに弓なりに硬くなっている。それを見て女は息を呑んでいた。『聖根』からは淫らな、けれども柔らかな香気が漂っていた。

 

 教主は巫女を引き寄せた。身体が密着し、女の胸は高鳴った。教主は彼女を軽々と抱き上げると、濡れて待ち望んでいるその入り口をくぐり込ませようとする。

 

 あまりにも大きな『頭』である。けれども『聖根』は相手の蜜溝の奥にすんなりと入った。この教主が持つ聖器は、それが常に発している力で女陰の幅を自在に伸縮させられるのだ。

 

 『聖根』が彼女の奥まで届いた。全身を貫く快感を覚えて喘いでいた。『聖根』には大きさだけでなく、それを受け入れた者の悦楽に伴う神経を極限以上に活性化させる力があった。

 

 挿れている最中、性の喜びに生きる魔物・サキュバスと同じぐらいの身体にさせるのだ。奥まで入りこんできただけで、経典の巫女はエクスタシーに達してしまう。行き来すれば同じ快感が。

 

 その悦は慣れて減ることはなかった。むしろ深くなるのみだ。鮮烈な快感が出るまでずっと続く。巫女はコーザにしがみついて悶え狂う。

 

 女は『法悦』を貪り、その先を目指す。昇天はすでにしているがもっと高みを目指さねばならぬ。法悦の究極に教団の信徒が目指す、神との対話があるのだ。彼女はまだ神の言葉を聞いたことが無かった。

 

 彼女はコーザのたくましい首にしがみつき、自分から腰を持ち上げて積極的に悦を感じた。入ったら最後、この聖儀を抜ける気になれない。食事をし、排泄を為しながら3日3晩、寝ずに交わり続けたくなる狂おしさを伴った。

 

 とはいえこの行いはコーザにも悦を与えることとなる。経典の巫女が激しく求める最中に、彼は腰を止めて相手を抱きしめた。『聖根』から『聖液』が放たれたのだ。

 

 コーザのそれは女に必ず排卵を促し、受精をさせることができた。その経典の巫女はコーザの子を欲しがっていた。しかし彼女はコーザの、数えきれないほどいる孫の1人であった。

 

 それに気兼ねせず彼女は子宮に吸わせてやった。コーザの『聖液』は血が濃くなるゆえの不具合を起こさなかった。娘や孫娘が自分の子を産んでも、病弱や気狂いはならなかった。彼の半魔の力がそうさせたのだ。

 

 最初の『聖液』の拝領を終え、コーザは次に分け与える分を出す為に動き出した。経典の巫女はますます歓喜した。汗をびっしょりとかき、たわわな乳房が揺れ、尻は弾んだ。

 

 その淫らだが多産そうな腰の奥では確かに変化が起こっていた。教主との法悦とともに望んでいたことだ。生命の再生産。

 

 教主のそれに含まれる数は、通常のニンゲンの10倍あった。どれもが勢いが良い。しかも亜人たちのそれのように、放たれてからも2週間や3週間は生き続ける。

 

 教主の二度目の拝領の後、その経典の巫女は神との対話に臨む前に力尽きてしまった。けれども満足行く生殖であった。

 

 行為の後、寝台で清々しそうにいびきをかいて眠る孫娘の寝顔をコーザは部屋を出ていった。このハルヒアトゥントゥリを訪れている女信者達に、『聖根』と『聖液』の功徳を施すためにである。

 

 コーザは『博愛』の人である。信者の女が望めば、その腹から出る子を為すのに力を尽くす。その父親であるコージュ=ストーンマウントがそうであったように。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 1週間後。ハルヒアトゥントゥリの東にあるクビキラスキの港でコーザは船を待っていた。本拠地であるカナザワース島へ向かう船である。

 

 本当はもう1ヶ月この島に滞在し、次はキンキ大陸に近いナオエニア島へ向かうはずだった。けれどもホーデンエーネン北部で起こっていた異変を聞けば聞くほど、本国に帰って腹心らと話し合い、対策をとらなければと思い立った。

 

 その腹心とは、司祭騎士の重職達のことでは無い。枢機卿と呼ばれる者達だ。常に教団の裏に置かれ、いつもは魔法の研究に従事している。しかし彼らは教団が危急の時に、重大な決断をする時にコーザの元に集められる。

 

 その数は11名。誰もが珍しい名前を名字を持っていた。そしてその生い立ちはもっと希少だ。果たしてそのうちの2人がコーザを乗せる船でやって来た。

 

 枢機卿として聖装をまとった2人は艷やかな黒髪の若々しい顔立ちの男だった。1人は背が高くて険のある目つきをしており、もう1人は背が低く、眉がさがっていて穏やかだ。しかし顔立ちはそっくりだった。起伏が緩やかな、のっぺりとした顔であるが美男である。

 

 ただ、その黒髪と顔立ちはある種族の男児にしか見られぬものであった。彼等は額にツノが生えた小さな子供たちをたくさん引き連れてコーザに拝謁した。

 

「ごきげんよう、カヅノ=サトシさん、セイジさん」

 

 穏やかに微笑みかける教主に2人は無言で頭をさげる。お子様方もごきげんよう。子供らは全員がこの2人の子である。ほとんどが娘ばかりだ。皆、髪の毛の色は微妙に違うが父親に似ていた。背の高い男、カヅノ=セイジが口を開いた。

 

「お久しぶりですな、猊下。長くカナザワースを空けていたので、島を捨てたくなったのかと心配しておりましたよ」

 

 ご冗談を。めずらしいですねと言いながら教主は笑った。枢機卿らが子供たちを連れて出迎えてくれるとは。上り板に足をかけると小柄なサトシが手を差し伸ばした。

 

「ふふふ。教主殿こそ。転移魔法を使えるのに、わざわざ船でカナザワースに戻るとは酔狂ですな」

「あまり便利な魔法を使っていると、距離感が鈍くなりますからね。たまには脚を使い馬を用い、船に乗ってゆっくりと旅を楽しみたいのですよ」

 

 船室の食堂に案内された。馳走が用意されていた。とはいっても教主が食べるのは信徒の主食ともいえる『甘露(アームリータ)』と、少しばかりの煮野菜のスープのみだ。

 

 枢機卿と子供たちは違った。サバやニシンを焼いたりシチューの具にした、エチウ諸島の伝統料理である。彼等は霊薬のみでは生きられない。ツノが生えている子供たちも、2人の父親たちも。

 

 席に付き、皆で神に感謝を伝えて食事にとりかかった。ホーデンエーネンで起きている信徒たちの大量離脱についての話となった。カヅノ兄弟は密偵を放って調べさせたことを語った。

 

「はじまったのはアヅチハーゲン近郊の、我々の軍の駐屯地からです」

「巫女・リブ=リデラントらのことで苦しい思いしましたね……」

 

 経典の巫女・リブ=リデラントは、教主が強く信頼する人物だった。1年ほど前まで、アヅチハーゲン方面に展開する軍を率いていた。聖騎士イズヴァルトを介して敵方の総大将・カシバフェルト公と和平を結び、公と男女の契りを結んだのだが、騙し討ちに遭った。

 

 その上に彼女が率いていた軍勢も全滅した。男は虐殺され女は奴隷として送り出された。ホーデンエーネンの朋友・クボーニコフ王国が1枚かんでいる厄介な事件でもある。

 

 教団軍は逃げきった生き残りとエチウからの増援でアヅチハーゲン方面軍を再結成し、去年の暮れ頃の会戦で、リブの仇ともいえるカシバフェルト公を討ち果たした。エチウでも大量生産をはじめた火縄銃でだ。

 

 復讐を果たしたからアヅチハーゲン方面軍は、専守防衛に徹するかと思えばそうではなかった。遊撃隊をいくつも編成して各地のホーデンエーネン軍の陣地を襲いはじめた。敵側も結成していた狙撃部隊でやり返す。それが続いて大会戦の気配が漂い始めていたのだが。

 

「まずは守備に当たっていたアヅチハーゲンのその1万が」

 

 兄に続けてカヅノ=セイジが言う。オバーマゲルクを伺っていた砦や、最北端のツルーガニスクを守っていた軍勢が、ホーデンエーネンに。

 

「それもこれも、ナーガーハーマにある人物が到着するまでに起きたことです」

「ということは……カツランダルクさんですね」

「ご明察、です。さすがは教主様」

 

 ホーデンエーネン王国には影に隠れた大魔導の一族がいることぐらい、コーザは知っていた。力をつければ大きな壁となって立ちはだかるであろう一族だ。

 

「カツランダルクの姉妹。どちらも底しれぬと聞き及んでおりましたが……今はもう、姉のトーリさんでしょう」

 

 もう一人は花開く前に潰されてしまった。裏の世界で、イーガの魔王と呼ばれた人物にである。

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