※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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第二十五回

 ホーデンエーネン王国暦で言えば、350年の7月である。

 

 チンゼー大陸にあるヒューガスタン王国城下の産院でイズヴァルトは、エレクトラが産んだ自分の娘と面会した。

 

「至極あっぱれでござる! 名前は……エレナと名付けよう!」

 

 エレナ=シギサンシュタウフェン=ガモーコヴィッツがそれである。赤ん坊を可愛がり、エレクトラに果物を与える数日を過ごすとイズヴァルトは城下を出ていった。傭兵団の長としてイズヴァルトは王国内で起こった紛争を収めに向かったのだ。

 

 この国に来てから2カ月でイズヴァルトはその武勇を皆に認められ信頼されていた。彼と彼が率いる減傭兵部隊は活躍した。半月後、イズヴァルトはエレクトラが待つ家に戻って来た。彼女はオルタンスと話していた。

 

 オルタンスは小さな体に大きな腹を抱えてさすっていた。生まれて初めての出産があと4カ月後に迫っていた。エルフの妊娠期間は1年である。

 

「オルタンスどの。段々と大きくなってきたでござるな?」

「最近はしょっちゅうお腹の中で動いているズラ。きっとお父さん似ズラね?」

 

 オルタンスは笑ってエレクトラが切った甘い果物を口に入れた。果たして4カ月後、オルタンスは始めての子を産んだ。娘だ。彼女はオリガと名づけた。

 

 イナンナによる遺伝子検査で、腹の子はイズヴァルトの子だとわかった。そういえばとイズヴァルトは思う。エレクトラにまとわりつくオルタンスが男で相手をするのはミツクニュモスだけだが、自分ともよくセックスをした。今も週に2度、せがまれていたりもしていた。

 

 この知らせを聞いたオクタヴィアとパオレッタ、マリアは泣き崩れた。オラ達もイズヴァルトさんとしょっちゅうおまんこをしているっちゅうのに。しかし彼女達はエレクトラとオルタンスが産んだ子を可愛がった。嫉妬よりも赤ん坊の可愛さが勝ったのである。

 

「というわけで、イズヴァルトさん」

 

 エレナとオリガが仲良く寝るのを見ながらオクタヴィアが提案する。イズヴァルトだけでもやっていけるのがわかったので一旦チンゼーを出るつもりだと。3人はイーガで新型の城塞の研究をしているミレイユ=キョーライに、手伝ってくれと呼ばれていたのだ。

 

「拙者とのあかちゃんづくりは?」

「そりゃ後にまわすずら。エルフっちゅうのは気が長いから5年10年余裕で待ってやるずら」

「それまでにきんたまを奪われないようにしてほしいズラ」

「そいじゃあしばらくはさよならズラ!」

 

 そうして3人は去って行った。結婚式もあげたのにオクタヴィアは気が早いとイズヴァルトは嘆いた。ヒューガスタンの内乱が段々と鎮まり、仕事がなくなって来るとイズヴァルトは苦悩した。

 

 その頃彼の部下は100名近くにも及んでいたからだ。イズヴァルトの武勇に惚れた若者や武芸者が彼の配下に加わった。彼等に給料を与え続けなければならないから、もっと混乱している土地に向かうべきだとエレクトラが助言した。

 

「あかちゃんを連れてでござるか?」

「そりゃあそうですよ。サイゴークで起こっている戦争に加わるつもりなら、最低でも300名は配下に加えないと。やらにゃなりません。ここで終わるわけにはいかない」

「で、ござるなあ……」

 

 かくしてイズヴァルトはヒューガスタンを出ていった。南のスミジア国に国内の反逆する部族勢力がたくさんいると聞いてそちらに向かう事にした。

 

 チンゼー大陸でもこの周辺は珍しい生き物がたくさんいる。特にヒューガスタンの南部、ミヤコノアベバ平原はいろんな獣がいた。百獣の王と言われているライオンやそれよりも強いカバ。いろいろである。

 

 イナンナに動物と話せる魔法を教えてもらったイズヴァルトは、行く先々で見かけるライオン達に呼びかけた。大体いつもたてがみ立派なオスは、いろんなメスと交尾を為していた。

 

「おおーん。おおーん」

 

 気持ちよいはずの交尾なのに、どうにも吠え方がもの悲しい。イズヴァルトは近くにいたつがいに尋ねてみた。

 

「そのほう、どうしてそんなに悲し気に泣いているのでござるか?」

「うええーん。それはですねえ。ぼくたちが強いられているからですよー。女の子達に食べ物を分け与えてもらう代わりに、こうしてご奉仕をしなくちゃいけないんですー!」

 

 ライオンの交尾は生殖ではなく娯楽の為だった。メスのライオンは辛そうに吠えながら腰を振り続けるオスにこう呼びかけていた。

 

「もっと♡ もっと♡ あーそこそこ♡ きもちいいニャン♡ わたしとにゃんにゃんしてニャン♡」

「あのう。殿方が辛そうにしているでござるが……」

「うっさいニャン! わたしたちの種族のオスは、その為に産まれたわけだニャン!」

 

 ライオンのメスが語る。オスは殖やす為とちんぽで奉仕する為にしか役に立たない。喧嘩をすれば必ずメスが勝つ。オスのほうが身体つきこそ立派だけど、見掛け倒しである。

 

 寿命もオスはメスより遥かに短い。絶え間ないちんぽでのご奉仕と過労、それから睡眠不足で早死にする。大抵は10年ぐらい。メスは50年以上は生きるのが普通である。

 

「そういう扱い方はよろしくないでござるよ?」

 

 イズヴァルトはメスのライオンに近づいてのど元をくすぐってやった。「ごろごろにゃ~ん♡」と嬉しそうに鳴くと彼の手をぺろぺろと舐めた。

 

「そういえばあなたも、おっきいちんぽをお持ちみたいですニャン♡」

「あ、あの……拙者は……」

「冗談だニャン。あちらにいるわたしよりも怖そうなメスたちのものニャンね。けど、あなたがけもの愛好家だったらお付き合いしてほしいですニャン♡」

 

 イズヴァルトは動物が大好きだったけれど『動物愛好家(けもなー)』ではなかった。自分の寿命を削りながら交尾をする悲しいオスと、性欲を満たせてご満悦のライオンのつがいにさよならと言ってその場を去った。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 ホーデンエーネン王国暦351年の9月となった。イズヴァルトはスミジア国で国内の幾多の合戦に活躍し、内外に武勇を知らしめた。

 

 スミジアでは棍棒1本で数々の猛者をなぎ倒し、魔法を用いて砦を燃やして数多くの敵将の度肝を抜いた。

 

 チンゼーの兵法は個人の武勇をあてにする。ゆえに武勇は無双だが兵の指揮にはいささか不得手なイズヴァルトでも一隊の長として充分に活躍できた。

 

 とはいえチンゼー人はなかなかに魔道が得意であることも知った。特に防護結界である。イズヴァルトはおろかイナンナやエレクトラの魔法を防いだのだ。

 

 ある戦いで敵方の術師たちが魔法札をつけた縄を陣に張り巡らし、方陣や円形陣を囲って迎撃したことがある。これにイズヴァルトはかなり手こずった。

 

「戦い方を知ればチンゼー人は、とても手ごわい相手になるでござる」

 

 イズヴァルトはエレクトラと話し合いながら魔法兵団の結成と統制に関する書を記し、国王に奏上した。書を読んだスミジアの兵法家たちは、早速運用に取り掛かろうと研究を始めた。

 

【ギルバート=カツランダルク注:この事は有名な話である。もっとも、エレクトラ=ガモーコヴィッツがイーガの魔道騎士団の軍学をそのまま書いただけだが、魔道に関して優れたニンゲンが多いチンゼーでは、以後、研究が為された。】

 

 この働きによりイズヴァルトは、国王より婿にならぬかと求められた。イズヴァルトを婿にして将軍に取り立てたい。姫が9人ほどいて、そのうちの4人を嫁がせたいという。

 

「姫様方を! そ、そんな大事なことを!」

「まあ、顔だけでも見てくれたまえ。みんな美人だからきっと気に入るだろう」

 

 かくしてイズヴァルトは国王に連れられて後宮に入った。4人の姫は確かに将来が楽しみな風貌の持ち主ばかりだった。丸っこくであどけない顔で大変に愛らしい。

 

 とはいえ上等な絹で出来た貫頭衣は、腰の半分までしか覆っていなかった。尻がちらと見える。それはどこでも用を足していいという意味でそうだったからだ。

 

 どの子もまだ、6歳にもなっていなかった。一番下は3歳である。イズヴァルトにお辞儀した後に遊んでとせがみながら無邪気に乗っかったりして大変に親しみやすい。しかし嫁にするのは気が引けた。歳の離れた妹か息女みたいにしか思えなかった。

 

「嫁にというより、養女のほうが良いのではござらぬか?」

「気にしないでくれたまえ。スミジアでは1歳の娘が嫁に出されることもあるのだよ」

 

 チンゼー人はいい加減なので、嫁が3歳であろうと5歳であろうと必ず初夜を行う。中には赤ん坊の頃からハリガタを突っ込ませ、膜を破る者もいると王は言った。イズヴァルトはぞわっとなった。

 

「ああそうそう。君には南端のネジメル地方の領主の座も用意しておいたよ。有能な代官もつけておくから気兼ねなく腰を落ち着けたまえ」

「ありがたき幸せにござる。けど拙者はやはり、このお嬢様がたをおよめさんには……」

 

 というわけで義理の娘にした。ついでながらネジメルの名目上の領主は姫達になってもらった。国王の娘であれば反逆者はなかなか出て来ないだろう。ネジメルはそこそこな交易拠点であったから、この地にある港はあがりがとても良かった。

 

 住むこととなったネジメルの城は、石造りの連廓式だ。思ったより広かった。かつてあったネジメル王国の本城だった。

 

「うむ。立派なお城でござる!}

 

 イズヴァルトは姫君たちを城主として据え置いた。自分は部下達と城下街のはずれにある宿舎に住むことにした。ネジメルの地は風光明媚で商人も多く行き交っていた。

 

 しかし落ち着かなかった。彼の本望は軍団の長である。大将軍である。数万の兵を従えて偉ぶっているマイヤの鼻をへし折る地位と財産が欲しい。

 

 この当時のネジメルの人口は1万足らずである。兵団は500にも満たなかった。チンゼー人は子だくさんばかりなのに解せない事が多かった。

 

 メシェイド教の教えで男と女は貫頭衣一枚で過ごすか腰布をまとうだけ。男は割礼をしてしかも竿ときんたまがそろって大きい。性にも奔放でホーデンエーネン人よりも交合の回数が多かった。

 

 なのにこの大陸はなかなか人が増えない。理由は病原菌やあくどい寄生虫が多くてころころと人が死ぬからだ。事実、イズヴァルトがヒューガスタンから引き連れたニンゲンの傭兵全員がこの1年以内に病気に苦しんだ。イナンナの治療が無ければ、半分ぐらいはころりと死んでいた。

 

 夜、宿舎の自分の部屋で部下達と彼等が一緒になった女たちとの気持ちよさげな喘ぎ声を聞きながら、イズヴァルトは薄っぺらいおっぱいをオリガに含ませるオルタンスと、エレナがかかった虫下しの薬を調合しているイナンナに尋ねた。

 

「スミジアも落ち着いてしまったでござる。このままだと出世栄達はここで止まってしまうでござるな」

「でもイズヴァルトさんはもうすでに、ネジメルの実質的なご当主さまズラ。オラとイナンナさんはここで募兵してさっさとサイゴークに向かうべきだと考えているズラよ」

 

 見切り時を間違わないようにとオルタンスは注意した。イナンナも薬を臼で引きながら同意する。イズヴァルトは腕を組んで考え始めた。

 

 そこにエレクトラがやって来た。彼女は封書を手にしていた。

 

「イズヴァルトさん。ちょっと面白い話を仕入れてきたんですが」

「面白い話でござるか?」

「ええ、この封書に……」

 

 エレクトラは丸める用のひもを解き放ち中身を読ませる。それには大層驚くべきことが書かれていたのだが、さて、封書の中身に記されていたものは何だったのか?

 

 その続きについてはまた、次回にて。

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