※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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第三十回

「あの一つ目の巨人も何かに操られたものだと思います。あの眼が光った時、光る線のようなものが見えておりました」

 

 その線はおそらく魔法によるものだろう。しかもニンゲンのではなく亜人の。アソマリアのこの地域と北のクマモンビーク大密林に住まう、羽根妖精の魔法に見えたと。フロウラがもしやと思いある作戦を提案した。

 

 翌々日である。準備を整えたシマーヅの戦士とイズヴァルトは、サイクロプスらに対し再び挑んだ。不思議な事に連中は襲撃してこなかった。結界の近くにも来なかったのだ。

 

 デボラとフロウラに地形を教えて貰い、切り取ったいくつかの丸太と運ぶのが可能なを南西にある高台の崖に置く。イズヴァルトはエレクトラと脚の速い数名の戦士を選んでサイクロプスらに再戦を求めた。魔物らは祭壇を取り囲むように集まっていたのだ。おおよそ50体ほどである。

 

「今日こそ決着をつけに来たでござる! このホーデンエーネンのイズヴァルトが貴殿らを一匹残らず退治するでござるよ!」

 

 一つ目の巨人が笑った。逃げたくせに偉そうな。イズヴァルトはピピンの部下が貸してくれた鋼鉄の斧を持って魔物たちを襲った。

 

 重さ10キロほどの力自慢が持つそれは頑丈でなまくらであったが刃こぼれしなかった。この魔物たちは刃よりも打つ武器が効果的だ。イズヴァルトは彼等みたく片手で扱う。

 

 死に物狂いで襲い掛かるそれらを10体ほど打ち壊して巨人の前に立った。拳を振り上げて殴りつけようとする巨人の右足をイズヴァルトは狙った。

 

「頭の首がだめでも、足の首はどうでござるか!」

 

 重圧の魔法の力を込めて叩きつける。確かに表面は砕けた。けれども傷口から炎があがり、斧はこらえきれないぐらいに熱くなり、手を離してしまった。

 

「こしゃくなことを! 私に勝とうなどと思うな、虫けら!」

 

 一つ目がまた光った。拳が振り下ろされたのを軽々と避け、イズヴァルトは踵を返した。エレクトラが最後っ屁みたく爆炎弓箭を放つと、一つ目の魔物らは逃げるイズヴァルトらを追う。

 

 イズヴァルトは逃げるが、戦士から鉄の棍棒を受け取ると、くるりと向きを変えて先頭を走っていた1体を砕き割ってやった。ちらと見たが数は変わらなかった。壊されたものがいつの間にか修復を受けているらしいと見た。

 

 魔物たちは逃げるイズヴァルト達を追った。そして南西にある崖にまで行くと、イズヴァルトは自分ひとりだけを残して逃げろとエレクトラ達に言った。

 

 イズヴァルトはたちまち取り囲まれた。巨人は手下の魔物たちにかかれと命じる。岩の壁に背中をつけた格好のイズヴァルトは叫んだ。

 

「今でござる!」

 

 巨人も見渡せぬ崖の上から丸太や岩が落とされた。突然の落下物に魔物たちは為す術が無かった。多くの魔物が丸太や岩によって砕かれた。イズヴァルトを一つ目がじろりと睨んだ。

 

「謀ったな、小僧!」

「いや、まだでござるよ!」

 

 崖の上ではピピンが覇王の剣の切っ先を結わえつけた棒を掲げて走っていた。身体強化魔法とエレクトラが封じた飛翔の魔法を加えられた即席の槍がうなりをあげて飛んだ。

 

 それは見事にサイクロプスの大きな目に深々と突き刺さった。痛々しくかつ恐ろし気に大声をあげ、もがく巨人はその場で倒れた。

 

「うおおお……小癪にもほどがある。この神の化身を、私をこんな目に遭わせるとは!」

「エレクトラどの! とどめでござる!」

 

 エレクトラはうなずいた。印を切って特大の魔法の術式陣を自分の目の前とサイクロプスの目に刺さる覇王の剣の前とに顕現させた。光るそれが紫色に変わると、これまで見たことが無いほどの大きな閃光が彼女の前方から起きた。

 

 彼女が成し得る最大出力の紫電砲であった。極太の雷撃はサイクロプスの目を焼き、胴体のあちらこちらをいくつも爆ぜさせた。雷光が消えるとエレクトラは気を失って倒れ込むが、傍にいたピピンに抱きかかえられた。

 

 苦しめた巨人が傷口から火を噴いていた。しかしその目はまだ見開いたまま。少しばかり開くとイズヴァルトは確かに目にした。魔法による操りの光をだ。

 

「そこでござるか!」

 

 印を切り、魔法の光を空に放った。いくつも小さな閃光と爆発が起こると、何かがくすぶる煙をあげながら落下してきた。

 

 それはイズヴァルトの兜の上に落っこちた。掴んで見ると人形のようだった。腕と足首に銀の輪っかを着けている以外は何もまとっておらぬ。お椀のような形で盛り上がった乳房と股にすじしか見えなかった。雌の生き物だ。

 

「背中になにか……なんだか蝉さんの羽根みたいでござる」

 

 蝉の羽根を4つつけた生き物。羽根妖精である。この種族は蝶やトンボ以外にも、蝉や蜂みたいな羽根を生やしたものがいる。アソマリアに住む種族はアソマリアニイニイゼミの形状だった。

 

「これがフェアリーというものでござろうか。なかなかに可愛いらしいでござるな」

 

 イズヴァルトは身体にやけどを負っているそれに治癒魔法をかけ、傷口を塞いでやると頬を指先でつついた。妖精は目を覚ました。

 

「ふああーあ。わし、なにしてたん?」

「それをこれから聞きたいが、チンゼーのことばはあまり得意でないゆえ、拙者の言葉はわかるでござろうか?」

「ことばについては問題なかですばい。わしらアソマリアのフェアリーのもんは、常に心読みの魔法をかけとるばいね。あんたしゃんにもわかる様にもしておるばい」

「なんと便利な! それではお聞きいたすでござる。貴殿はあの巨人を操っていたようでござったが、覚えはござらぬか?」

 

 チンゼー人の愛らしい少女のミニチュアみたいな羽根妖精は、縮れっ毛の長い髪を撫でながら首を傾げた。

 

「なーんも覚えとらんですばい。あんたしゃん、このへんじゃ見かけん顔ばい。どこから来よった?」

「キンキ大陸のホーデンエーネンでござる。イズヴァルトと申すでござるばいよ」

「へったくそなチンゼー語やけん。火の神様がきいたらきっとげらげら笑うとよー。わしはヌラリヒョナばい。」

 

 アソマリアの火の神に仕える妖精で、この地を訪れた巡礼の旅人に慰労を施す役目を担っていると答えた。この辺りにある温泉に一緒に入り、旅人のちんぽやおまんこを楽しませるのだと言った。

 

「あんたしゃんもたまってたら、すっきりさせるばい。気軽に頼んで欲しかね?」

「そ、その様な事はともかく、火の神様というのは今もいらっしゃるのでござるか?」

「そうですばい。今もあの祭壇の奥に……そういや!」

 

 ヌラリヒョナは何かを思い出したように叫んだ。アソマリア国の大巫女さまがやって来てから先の記憶がとんだと語った。ピピン王子らがやって来る。ヌラリヒョナがイズヴァルトに一緒に祭壇に行こうと呼びかけた。

 

「その祭壇は今頃、デボラどのとフロウラどのが……ん?」

 

 イズヴァルトは何かに呼び掛けられた気がした。ヌラリヒョナがイズヴァルトの兜を叩いて呼びかけた。

 

「火の神様がお呼びですばい! イズヴァルトしゃん、あの一つ目に刺さったもんを引っ張って持ってこいって!」

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 高さ3メートルの石造りの大きな祭壇は、上にあがると地下へと降りる急な階段があった。砂ほこりがかぶっていてごほごほと咳をしながら降りていくと、長い洞窟が伸びていた。

 

 じめじめとして暑い。歩くたびに汗が伝うのだが何かが潜んでいるかもしれないと思いイズヴァルトは鎖帷子を脱がなかった。

 

 奥へ進むにつれ、硫黄の匂いが濃くなった。意識を失わないかと恐れたがヌラリヒョナ問題ないと答えた。火の神の験力により、逆に酸素が濃いという。

 

 長く蒸し暑い洞窟を抜けた。そこには広大な湖が、いや、温泉が湧いていた。着ているものを全部脱いで折れた覇王の剣だけ持って来るようにとイズヴァルトは言われた。

 

「たいへんおおきなちんぽですばい。これでどれだけ女の子を啼かせたん?」

「言わないでいただきたいでござる。とにかくデボラどのとフロウラどのに会わねば」

 

 ピピンらとともに腰までの深さが続く湯の中を進む。その湖の真ん中、島になっているところにデボラとフロウラがいた。

 

 彼女達は何ひとつまとわぬ、一人の女にすがりついて泣いていた。遠目から見れば大き目な乳がややたるんだ、シミだらけの肌の年増の女であった。

 

「デボラどの、フロウラどの。その奥方は?」

 

 デボラが目を向けた。

 

「ビアンカ様。アソマリアの大巫女のビアンカ様です」

「そのお名前は……」

「私たちのおばあ様だ」

 

 そして自分達が当代の巫女だと2人は告げた。ビアンカは微笑みながらうなずいた。

 

「貴殿らと同じお名前の巫女がついていると聞いたでござるが、拙者はてっきり同名の別人だと思っていたでござる。なにせ魔物退治のいくさに加わっておられたし、ピピンどのと『おすもう』の稽古をなされていたでござるゆえ……」

「……気づかなかったのか。まあ、デボラもフロウラもこの国の女にはよくある名前だからな、騎士イズヴァルト」

 

 おばあ様から話がある。フロウラはイズヴァルトにもっと近づく様に呼びかけた。湯気ではっきりと見えなかったがイズヴァルトはビアンカを間近に見て驚いてしまった。

 

 老齢というにはあまりにも見事過ぎる肢体だ。加齢による退化で肉が落ちていなかった。シミばかりだがむっちりとしていた。乳房も垂れていたがフロウラ以上に豊かだ。

 

 顔は2人の良いところを合わせた様な美貌の持ち主だった。ほうれい線が目立つが充分に美人と呼べる。欲情をきたしてしまった。はしたなくも勃起を。

 

「イズヴァルト殿は、老女も大丈夫なのか?」

「い、いや。これは単なる条件反射でござる。拙者はおっきなおっぱいを見ると、すぐにもっこりしてしまうのでござるよ……」

「そうか。ホーデンエーネンの男はたくましいのだな。さあ、おばあ様」

 

 ビアンカは目を閉じて孫娘2人の髪を撫でていたが、フロウラに呼びかけられると目を見開いた。黒曜石の様な艶やかな瞳には炎を宿していた。イズヴァルトをまっすぐに見て威圧していた。

 

「な、なにか拙者、わるいことをしたでござるか?」

 

 イズヴァルトが恐縮する。ちんこもへなへなとなって縮こまってしまった。ビアンカ媼は立ち上がり、白い陰毛を見せてまっすぐに立った。

 

「……案内せよ」

「何をでござる?」

「わしをあんないせよ、ホーデンエーネンのイズヴァルト!」

 

 ビアンカはイズヴァルトに飛びついた。抱き着かれてすぐさま、彼は唇をふさがれた。かくしてこの若き聖騎士と大巫女は湯の中でもがき合うのだが、さて、この行動の真意はいかなるものであったのか?

 

 その続きについてはまた、次回にて。

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