※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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第三十二回

 鋳型に流し込んで作った練習用の鉄剣。あるいは冶金技術がまだ今ほどではなく、鉄ではなく銅を用いていた時代の斬るよりも殴るに用いる剣みたくなったヴィクトリアの形見、『覇王の剣』。

 

 かつては1メートル50センチにも及ぶ大剣であり、これを持ち振るえば「おれ、かっちょいい」と思わせる美しすぎる剣であった。美品の中の美品。名刀の中の名刀。

 

 しかしイズヴァルトが手にした生まれ変わりは醜い古代の剣、と評されそうな代物だ。事実、イズヴァルトは岩に当てれば剣が跳ね返り、手首を痛めてしまうだけだろうと思ってもいた。

 

 だが。切れと念じて振り下ろしたとき、刀身から紅い焔が立ち、そして長く伸びる光の刃となった。岩は真っ二つに。しかし叩き切るのではかった。焼き切ったのだ。

 

 イズヴァルトは驚き戸惑った。それからもう一つ試し切りをしていよいよはっきりと知り得た。この剣は前よりも魔剣らしくなっている。恐るべき炎の剣でござる!

 

「も、も、もしや……!」

 

 その時偶然、狩りでシカを調達してきたシマーヅの戦士が通りかかった。そのもしやをやろうとイズヴァルトは考えて決めた。

 

 一時間後、聖地にこんがりと焼けたシカの肉がデボラ達の元に届いた。程よく焼けた肉に皆が舌包みをうった。デボラは口の中を一杯にして、りすみたく頬を膨らませた。

 

「どうやって焼いたの?」

「かまどをつくって焼いたのでござるよ、デボラどの」

 

 石を積んで作ったかまどの上に不要な胸甲を置き、そのうえに肉を置いた。それから覇王の剣の炎で熱した。魔剣の力の平和的活用である。フロウラは感心してうなずいた。

 

「こういう使い方は慣れているでござるよ。覇王の剣の重圧の魔法。それから『姫竜の牙』の風切りの力は土木工事によく使ったでござる。風切りの刃は雑草刈りにも用いたでござるよ」

 

 フロウラはますます目を輝かせた。それからデボラから肉を一枚盗もうとして右手を叩かれる。ビアンカは炎の神の力が宿る剣をイズヴァルトに授けて良かったとはにかんだ。

 

 シカの肉で力をつけた後はまた、情をねだってきたビアンカとの情交が始まった。この老いてもなお潤沢な女はイズヴァルトを魅了して離さなかった。デボラとフロウラ、ピピンらが一旦キクーチの森から出ると告げて去ってからも、1週間、2週間とイズヴァルトは大巫女に情と精を与え続けた。

 

 そうして1カ月が過ぎた。朝のおはようは濃厚なフェラチオとクンニリングスをやりながら行い、羽根妖精達が持ってきてくれた木の実と果物を朝食にしてまた交合を貪るという行いにも、終わりの時が来た。

 

 お迎えがもうそろそろで死ぬ前に思い出を作りたい、と言っていたビアンカだが、何故かシミが薄くなり、前よりもぴちぴちとした肌となっていた。乳房も少し大きくなったようだった。

 

「やはり、イズヴァルト様はいつまでもここにいらっしゃってはなりません」

「拙者はここにいたいでござる。ビアンカどのを義理の母上として甘えたいでござるよ」

 

 そう言って重力から逆らい出したビアンカの巨乳を吸い立てる。すっかりちんぽをいいこいいこしてと甘えたがる『こども』となったイズヴァルトに、ビアンカは優しい声で諭してやった。

 

「私は充分に償いの前のはなむけをいただきました。とはいえ、もう数年は生きなければならなくなったようでございます」

「どういうことでござる?」

 

 問いかけるイズヴァルトにビアンカは自分の腹に手を当てて語った。神のお告げがあった。どうやら子供が出来たらしい。月のものはとっくに終わったはずなのに。

 

「ややっ! なんたることでござるか!」

「致し方ございません。羽根妖精達の見立てによれば、イズヴァルト様のおちんちんから出る精液は恐ろしく強い治癒の魔力があるそうです」

 

 そこにヌラリヒョナの他、ビアンカに仕えていた羽根妖精が説明した。イズヴァルトの精液にはとても強力な魔力がある。

 

「魔力、というよりは験力ですばい」

「なんなのでござろう?」

「つまりは万能薬かつ若返りの薬と思えばよかとよ。これを子袋に収めたり胃袋におさめると、とっても身体がよくなるようですばい」

 

 そんなことがあるわけがないとイズヴァルトは否定した。あくまでビアンカが特異体質だからそうなったまでのことだろうと。

 

 とにもかくにもイズヴァルトはビアンカと離れる事となった。贖罪ならば自分と旅をしながらできると論じたが、ビアンカは頑としてはねつけたからだ。寂寥感を抱きながら羽根妖精のヌラリヒョナを連れてキクーチの森を出た。

 

 この9カ月後、老ビアンカはイズヴァルトの子を産んだ。タバシャと名づけられた。アソマリア記によるとビアンカはこののち10年程生き、火の神に仕える精霊となったそうである。

 

 タバシャは父と何度か顔を合わせた。しかし拝火教の巫女となり、流浪の騎士となっていた父と同行することは無かった。アソマリア記によれば巫女の短命の呪いをはねのけ、跡継ぎの巫女3人に任せた後にチンゼーの地を行く旅巫女として、70年程生きたそうである。

 

【アソマリアの研究家による談:イズヴァルトの伝承歌の別の言い伝えでは、巫女ビアンカはイズヴァルトと会ったすぐ後に入寂し、タバシャはデボラとフロウラのうちどちらかの娘にされておりました。近年のホーデンエーネン学術界との合同研究により、誤った話だと確認しております。】

【ギルバート=カツランダルクによる注:大巫女ビアンカが200年以上生きていたのは本当のことである。彼女の遺骨の一部を採取し、イーガ最新式の遺伝子検査をおこなったところ羽根妖精の細胞とほぼ同じ配列を確認した。彼女が歴代屈指の大人物であることは疑い無いだろう。余談となるが伝承歌の別版では、エレクトラはアソマリアに来なかったとされている。ただし、近年の再検証により彼女が一つ目巨人退治に参加したという、ロンデニウム版の伝承歌が正しいことがわかった。このくだりはロンデニウム版を準拠にまとめ直している。】

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 イズヴァルトはアゾズアベバに戻った。再会したミツクニュモスがマル秘情報と称してこの話をイズヴァルトに語った。

 

「どうやらこの魔物退治、最初からピピン王子の部隊がやっつけるようにしたかったみたいだ」

 

 ピピンはデボラとフロウラと幼馴染だ。3人が深い仲だとは見聞きしたとイズヴァルトは答えた。

 

「なんだ、知ってたのか。ちぇっ。折角おれが得意の篭絡術で情報をあつめたのに」

「篭絡? なんでござろう?」

 

 ミツクニュモスはこの城で働く女官たちと寝たのだと言った。特に出仕し始めたばかりの12歳の新人女官はあそこをなめてやるだけでぞっこんになってくれたと。

 

「アソマリアの女は肌が白くてきれいだ。すぐに啼くしチンゼーの女の子らしくたくさんせがんでくる。そこがいいね」

「結局おまんこばかりにかまけていただけでござるな、ミツクニュモスどのは」

「でもまあ、ピピン王子さまとあの姉妹についてはいろいろ聞いたのは仕事のうちに入れてもいいだろ?」

 

 ピピンはあの姉妹のいとこにあたる。ルドメアの妹のマイリアが実母だ。その縁もあってたびたびこのアソマリアで暮していた。ピピンと2人は実の姉弟みたいに仲良かったが、性愛にも手を出していた。

 

 過去に1度、デボラはピピンの子を孕んだ。3年前にだ。その娘はクマモンビーク地方にある水神の神殿に預けられたという。火の神の巫女の子供のうち1人を養子に出す、という掟があるそうだ。

 

「王様はそのビアンカさまとやらの息子のうち1人。で、デボラとフロウラのお二方の実の御父上であらせられるそうだ」

「それは初耳でござるな。王様がそうであったでござるか……」

「けど、王様というのはお飾りらしい。実際に国の政治を決めるのは巫女様がただ。アソマリアは宗教国家だったようだな」

 

 その王にイズヴァルトは再び謁見した。国王はふがふがと口を動かしながらも念話魔法ではっきりと礼を述べた。自分の娘達が望むかたちにしていただき、ありがとう。

 

「あ、いや。この場合は拙者が一つ目の魔物をやっつけた、と言い張ることができるでござるが?」

「ふがふが。 (いいえ、そうはいきますまいて。一つ目の魔物に剣を刺したのはピピン王子。雷の魔法を飛ばしたのはエレクトラ様。それから、全ての元凶たるビアンカお母さまを正気に戻したのはデボラとフロウラの2人。そうなると娘達と結婚できるのはピピン様のみ、と言い張れますぞ?)」

 

 なるほど。それもまた道理にふさわしい。国王は提案した。貢献してくれたエレクトラを王国の正妻として迎え入れたい。老境においてはあのぐらいの年頃の女がきんたまに響く歳である。是非にもと。

 

「ふがふが。 (こんななりでも股間のものは元気いっぱい。去年も手をつけた侍女に子を産ませましたのじゃ。2日に1度は女を抱く力が残っておりますわい。)」

「いやいや。それはよろしからぬお考えでござろう。ただエレクトラどのは友情のおまんこは気軽にしてくれる女人でござる。それだけならよいでござろう?」

「ふがふが……。 (エレクトラさんとは離れたくないのう。)」

 

 国王は毎晩エレクトラを寝室に呼んで、一緒にイズヴァルトの無事を祈っていたと白状した。やっぱりそうか。けれどもこの手の恋愛はコネクションを築く手法の1つでもある。財宝を貢ぐ方法が男の手段であれば、女の手段は己の宝を捧げるということだ。

 

 謁見の後にエレクトラに再会した。彼女は専用の部屋を与えられ、アソマリアの貴婦人がまとう衣装を身に着けていた。すっかり王の愛妾気分である。

 

 しかもアゾズアベバの近くにある美肌効果がある温泉に漬かっていたというから、いつもより肌艶が良く美しく見えた。国王が老いた陰茎を若々しくさせるのも無理が無かった。

 

「イズヴァルトさん。聞きましたよ。ビアンカ様のお肌は、いかがでしたかねぇ?」」

 

 誘い文句と受け取ったイズヴァルトはその場でエレクトラを押し倒した。ビアンカの事を思い出すと身体が疼いて仕方が無かった。彼は着衣のままエレクトラと長い時間乱れてやっと正気を取り戻した。

 

「話したいことがあったのにいきなり押し倒して口をふさぐなんて……」

「貴殿も喘ぎ声ばかり放っていたでござろうに? 話したい事とはなんでござろう?」

 

 抱きすくめて自分の髪のにおいを嗅ぐイズヴァルトにエレクトラは告げた。しばらくしたらシマーヅへ向かわないかと。

 

「シマーヅでござるか。拙者も行って見たいでござるが、何か理由がござるのか?」

「ピピン王子に頼まれたんですよ。イズヴァルトさんと私を是非、シマーヅに連れていきたいって」

 

 イズヴァルトが首をかしげる。何故ピピン王子が。しかしそれはこの王子の秘めていた思いゆえのものだった。

 

 さて、ピピン王子が胸に秘めていた思いとはいかに?

 

 その続きについてはまた、次回にて。

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